マネタス

確定申告はいつでもできる?手続き時期&必要書類etc.を初心者にもわかりやすく解説!

確定申告はいつでもできる?手続き時期&必要書類etc.を初心者にもわかりやすく解説!

カテゴリー:

著者名

佐藤 元宣

佐藤 元宣

佐藤元宣FP事務所代表CFP、1級ファイナンシャルプランニング技能士、経理実務士

税理士や社会保険労務士といった士業事務所経験と保険代理店を行った経験などを活かし、生活する上で避けて通れない「お金」の相談に幅広く応じている独立系FP。家計の収支状況と専門性を融合したプランニングを提供しています。

この記事のポイント

  • 確定申告の基本からやり方までわかりやすくポイントをまとめています。
  • 初めて確定申告をする方でもポイントを押さえることができます。
  • 確定申告に必要な書類や持ち物、場所や期間など疑問点が解決できます。

確定申告や年末調整は、個人の方が1年間に得た収入を基に税金の精算をする手続きにあたり、就いている職業や実際に得た収入金額によって手続きの種類が異なる特徴があります。

通常、会社員や公務員をはじめ、アルバイトやパートといった職業に就いている方の場合ですと、勤務先が11月下旬から12月にかけて行う年末調整で1年間の税金の精算が完了することになります。

ただし、上記すべての方が、年末調整で税金の精算が必ず完了するとは言い切れず、時として確定申告をすることで税金の精算をしなければならない場合もあるのは確かです。

そこで本記事では、確定申告とはどのような税金の精算手続きなのかといった基本的な説明から確定申告のやり方までポイントを幅広く解説していきます。

 

【確定申告をわかりやすく解説①】確定申告とは?

確定申告とは?

確定申告とは、個人の方が、毎年1月1日から12月31日までの1年間に得た収入を基に所得税の額を計算し、源泉徴収された税金や予定納税額などがある場合には、その過不足を精算する手続きのことを言います。

ここで言う収入(所得)は、全部で10種類にわけられ、それぞれの収入(所得)を基に所得税を計算することになりますが、これら10種類の所得は、以下の通りです。

  1. 利子所得
  2. 配当所得
  3. 不動産所得
  4. 事業所得
  5. 給与所得
  6. 退職所得
  7. 譲渡所得
  8. 山林所得
  9. 一時所得
  10. 雑所得

たとえば、会社員の方で年の途中で退職して退職金を受け取った場合、これまでに受け取った給与所得と退職所得の2つの収入があったと考えることができます。

また、自営業をしながら株式投資をしている方であれば、自営業による事業所得と株式投資による配当所得といった2つの収入が生じるとも考えられます。(事業による赤字や株式投資による損失がない場合)。

このように、1月1日から12月31日までの1年間において、さまざまな状況で得た収入によって、収入(所得)の計算も異なることになり、これを確定申告という手続きを行うことで1年間の税金の計算をして精算をすることになるわけです。

では、実際に、どのような立場の方が確定申告をする必要があるのでしょう。

 

【確定申告をわかりやすく解説②】確定申告が必要な人

確定申告が必要な人とは?

確定申告が必要な人は、以下のような条件にあてはまる方が対象です。

  • 給与の年収が2,000万円を超える人
  • 給与の支給を1ヶ所から受けていて、かつ、その給与の全部が源泉徴収の対象となる場合において、各種の所得金額(給与所得、退職所得を除く)の合計額が20万円を超える人
  • 給与の支給を2ヶ所以上から受けていて、かつ、その給与の全部が源泉徴収の対象となる場合において、年末調整をされなかった給与の収入金額と、各種の所得金額(給与所得、退職所得を除く。)との合計額が20万円を超える人
  • 同族会社の役員やその親族などで、その同族会社からの給与(いわゆる役員報酬)のほかに、貸付金の利子、店舗や工場などの賃貸料、機械や器具の使用料などの支払を受けた人
  • 給与について、災害減免法により所得税などの源泉徴収税額の徴収猶予や還付を受けた人
  • 在日の外国公館に勤務する方や家事使用人の方などで、給与の支払を受ける際に所得税などを源泉徴収されないこととなっている人

上記は、確定申告が必要な方で、おもに給与の支給を受けている給与所得者(会社員や公務員など)を対象にしたものとなり、公的年金の支給を受けている方や所有している不動産を年の途中で売却した場合などのように特殊な事情がある方を加味しておりません。

ちなみに、確定申告が必要な人の中でも、特に、注意が必要な人とは、給与の支給を受けているほかに、別の収入(所得)もある場合と言えるでしょう。

なお、確定申告が必要な人について、もっと詳細に知りたい方は、国税庁のWEBサイトで公開されておりますので、そちらを見て確認されることをおすすめします。

国税庁 確定申告が必要な方

 

【確定申告をわかりやすく解説③】確定申告の手続きが必要な所得はいくら?

確定申告は、いくらから手続きをする必要がある?

確定申告は、すでに紹介させていただきましたように、給与の年収が2,000万円を超える人や給与のほかに20万円を超える別の所得がある人などが、確定申告をする必要があります。

なお、通常であれば、自営業の方は金額に関わらず、毎年確定申告をすることによって事業所得の申告をされていると考えられるほか、アパートや土地といった不動産の貸付を行っている方も、金額に関わらず毎年不動産所得の申告をされているものと考えられます。

そのため、上記の方の場合は、確定申告の際に他の収入と合わせて毎年確定申告をすることになるため、給与所得者で確定申告をしなければならない人のような注意点にあてはまることは基本的にありません。

このような理由から、確定申告をしなければならない金額の縛りが生じるのは、基本的に1年間の収入が給与のみなどのように、いわゆる給与所得者の方が多いと考えられます。

 

【確定申告をわかりやすく解説④】確定申告をする時期は毎年決まっている

確定申告をする時期は、毎年決まっている

確定申告をする必要のある人は、毎年決まっている時期に必要書類を揃えて手続きを行わなければなりませんが、確定申告をする時期はいつでも行えるといったものではありません。

ちなみに、確定申告の時期は、翌年2月16日から3月15日までの1ヵ月の期間で行わなければならないのが原則となっているのですが、2月16日や3月15日が土日と重なった場合は、土日が過ぎた月曜日となります。

たとえば、平成30年分の確定申告は、平成31年2月16日から平成31年3月15日までに行うといったイメージになるのですが、平成31年2月16日が土曜日にあたっているため、平成30年分の確定申告は、平成31年2月18日(月曜日)から平成31年3月15日(金曜日)までとなります。

 

 

【確定申告をわかりやすく解説⑤】確定申告で還付申告をする場合

確定申告で還付申告をする場合は、申告期間よりも前にできる

確定申告の時期は、毎年決まっていることがわかりましたが、確定申告には例外があり、具体的に、還付申告をする場合は、確定申告期間(2月16日から3月15日)よりも前に手続きを行える特徴があります。

還付申告とは、確定申告をすることによって納めすぎた所得税などの還付を受けるための手続きのことを言い、わかりやすい例をいくつか紹介しておきます。

  • 給与所得者が、確定申告で医療費控除を受ける場合
  • 給与所得者が、年末調整で適用し忘れた所得控除を新たに追加する場合
  • 給与所得者が、確定申告で寄附金控除(ふるさと納税など)を受ける場合
  • 過去5年間で、適用し忘れた所得控除があった場合

還付申告は、通常、確定申告書を提出する義務のない人でも、確定申告期間とは関係なく、その年の翌年1月1日から5年間提出することができることになっているため、平成31年2月15日(金曜日)以前でも行うことができます。

 

【確定申告をわかりやすく解説⑥】確定申告書には大きく2種類がある

確定申告書には、大きく2種類がある

確定申告をする場合、ご自身で作成した確定申告書を所轄の税務署へ提出する必要があるのですが、確定申告書には、確定申告書Aと確定申告書Bという2種類の申告書があります。

この確定申告書Aと確定申告書Bでは、使用できる方がそれぞれ異なっているため、あらかじめどのような方が使用できるのか確認しておくことが大切です。

確定申告書の種類 使用できる方
確定申告書A 申告する所得が給与所得や公的年金等・その他の雑所得、配当所得、一時所得のみで、予定納税額のない方
確定申告書B 誰でも使用可能

確定申告書Bは、誰でも使用可能であることがわかり、確定申告書Aのように細かな条件が記されていないため、ご自身で確定申告書を作成する場合で、どちらの確定申告書を使用したら良いのかわからない場合は、確定申告書Bを使用するのが確実です。

 

【確定申告をわかりやすく解説⑦】確定申告のやり方には複数の方法がある

確定申告のやり方には、複数の方法がある

確定申告をする必要がある人や確定申告をする時期、確定申告書の種類がわかったところで、いよいよ確定申告のやり方について解説を進めていきます。確定申告のやり方には、大きく3つの方法があります。

  1. 確定申告をネットで行う方法
  2. 確定申告を郵送で行う方法
  3. 確定申告を申告会場で直接行う方法

上記3つの内、どの方法で確定申告を行ったとしても問題がありませんが、特に所得税法などで認められている特例やその他の制度を活用するために確定申告をする場合は、確定申告期間中に確定申告をすることが求められているものも多くなっています。

そのため、確定申告期間中に確定申告をしなければならない部分には細心の注意を払っておく必要があると言えます。以下、確定申告の3つのやり方について、それぞれポイントの解説を進めていきます。

 

①確定申告をネットで行う方法

確定申告をネットで行う方法とは、国税庁が公開している国税電子申告・納税システム(以下、e-Taxとします)を利用して確定申告をする方法になります。

e-Taxは、インターネット上で確定申告書を作成して確定申告をすることができ、作成した確定申告書は、電子申告用データを作成することにより、電子申告で確定申告を行うことができます。

電子申告で確定申告を行う方法は、わざわざ税務署へ足を運ぶ時間や手間が省かれるほか、確定申告期間内であれば24時間いつでも申告をすることが可能ですので、自分の空いた時間を見つけて確定申告を行うことができ、とても便利です。

また、電子申告で確定申告を行い、還付される所得税などがある場合は、後述する書面提出する方法に比べて還付金の振込が早いメリットがあることも知っておきたいポイントと言えます。

 

確定申告を電子申告で行う場合の事前準備に懸念も

確定申告を電子申告で行うメリットがある一方で、初めて確定申告を電子申告で行う方は、事前準備に手間や時間がかかるデメリットがあることも知っておく必要があります。

具体的に確定申告を電子申告で行うために必要な事前準備は、以下の流れの通りです。

 

e-Taxを利用するための環境を整える

パソコンやブラウザなどが推奨環境になっているかを確認します。

 

e-Taxを利用するために電子証明書を取得する

市区町村役場で住民基本台帳カードに電子署名を付記してもらうのが一般的です。数百円程度の手数料負担が生じるほか、ICカードリーダーライターの準備(3,000円程度)なども必要です。

 

e-Taxを利用するために開始届出書を提出

開始届出書に必要事項を記載の上、納税地を所轄する税務署へ提出。ただし、e-Taxの開始(変更等)届出書作成・提出コーナーを利用すると、オンラインで開始届出書を送信することもできます。

 

利用者識別番号等を取得する

開始届出書をオンラインで提出した場合は、利用者識別番号等がオンラインで発行(通知)されます。開始届出書を書面で提出した場合は、後日、税務署から利用者識別番号等を記載した通知書等が送付されます。

 

e-Taxソフトのインストールやe-Taxソフトを利用するための初期登録作業

上記の事前準備が一通り完了した後は、e-Taxソフトのインストールやe-Taxソフトを利用するための初期登録作業などが必要です。これらの作業が完了することで、ようやく確定申告を電子申告で行うことができる条件が整うことになります。

確定申告を電子申告で行うには、手間や時間がかかるほかに準備するための費用もかかるため、毎年確定申告をしない人にとってみますと、メリットよりもデメリットの方が大きくなってしまうと言えそうです。

 

現状では、確定申告を電子申告で行うメリットが見当たらないが将来の展望も

過去を振り返ってみますと、e-Taxで確定申告書を作成し、電子申告をすることによって、1人あたり1回限り5,000円の電子証明書等特別控除という税額控除を受けられるメリットがありました。

この電子証明書等特別控除は、年が経過するにつれ、1人あたり1回限り5,000円から3,000円に減額されました。平成31年1月現在では、電子証明書等特別控除はすでに廃止されているため、確定申告を電子申告で行う直接的なメリットが見当たらないのが現状です。

だし、2020年からe-Taxを利用して電子申告をすることによって、自営業者など確定申告を毎年青色申告でされている方は、控除額が10万円増額されることになっています。そのため、将来的に考えた時、メリットが得られることが十分に期待できると考えられます。

なお、確定申告を青色申告で行うためには一定の条件が設けられており、そちらにつきましては同サイト内で公開されている以下記事で確認することが可能です。

 

②確定申告を郵送で行う方法

確定申告を郵送で行う方法は、ご自身が作成した確定申告書を住んでいる所轄の税務署に郵送する方法です。

確定申告書は税務署で用紙を貰うこともできるほか、インターネットから確定申告書をダウンロードすることもできます。

また、先に紹介したe-Taxで確定申告書を作成した後に、作成した確定申告書をプリンターで印刷し、実際に作成した確定申告書を書面で所轄の税務署に直接提出する方法も選ぶことができます。

 

③確定申告を申告会場で直接行う方法

原則として、2月16日から3月15日までの確定申告期間になりますと、確定申告を行うための申告会場がそれぞれ設けられることになり、ご自身が住んでいる所轄の税務署やその他の施設で確定申告を行うことになります。

確定申告を申告会場で直接行う方法では、税務署の職員の方をはじめとした担当者とマンツーマンで確定申告書を作成していくことになりますので、初めて確定申告をされる方で、あまり確定申告をする頻度がない方には最も確実な方法かもしれません。

ただし、かなりの人混みによる混雑が十分に予測され、確定申告を一通り終えるまでにかなりの時間を要することになります。その辺については、あらかじめ知っておく必要はあるでしょう。

 

【確定申告をわかりやすく解説⑧】確定申告を行う場所や必要書類(持ち物)

確定申告を行う場所や必要書類(持ち物)

確定申告を行う場所は、すでに紹介しましたように、確定申告を行うための申告会場がそれぞれ設けられるため、あらかじめどこで行うのか場所を確認しておく必要があります。

また、確定申告を申告会場で直接行う場合の必要書類(持ち物)は、以下の通りとなりますので、内容を確認して忘れずに持っていくようにして下さい。

 

 

確定申告をする方のすべてに共通した必要書類(持ち物)

  • 運転免許証や健康保険証などの身分証明書
  • 本人および扶養者または事業専従者のマイナンバーカード(通知カード)
  • 還付を受ける場合の預金通帳
  • 印鑑(実印である必要はありませんが、シャチハタよりは認印が望ましい)
  • 確定申告書の控え(昨年確定申告をしている方)、
  • 利用者識別番号がわかる書類(電子申告をしたことがある場合)

 

収入関係にかかる必要書類(持ち物)

  • 源泉徴収票(給与所得者の場合や公的年金等を受給している場合)
  • 収入金額および必要経費がわかる書類(その他の収入がある場合)

 

所得控除関係にかかる必要書類(持ち物)

  • 寄附した団体等から交付された領収証(寄附金控除を受ける場合)
  • 申告する年分中に支払った医療費の領収書(医療費控除を受ける場合)
  • 保険金などで補填された金額がわかるもの(医療費控除を受ける場合)
  • 年末調整で適用を受けなかった場合の各種控除証明書

 

税額控除関係にかかる必要書類(持ち物)

主に税額控除の代表的なものとしては住宅ローン控除が挙げられます。

こちらにつきましては、同サイト内で公開している以下記事で詳しく解説をしておりますので、そちらを参考にされることをおすすめします。

 

確定申告についてのまとめ

確定申告の基本からやり方まで幅広く解説を進めさせていただきました。会社員や公務員など、普段確定申告とは縁のない方であれば、申告会場へ必要書類を持って確定申告をされるのが間違いもなく確実でしょう。

特に、初めて住宅ローン控除を受ける場合や医療費控除を受ける場合などが、確定申告をする目的として多いことが十分予測できます。これらの場合は必要書類がたくさんあるため、あらかじめの事前準備がとても大切になります。

仮に、初めて住宅ローン控除を受ける方や医療費控除の適用を受けるために確定申告をされる予定がある方は、サイト内の確定申告に関する記事も合わせて読み進めてみることをおすすめします。

 

毎年の確定申告大変ではないですか?

領収書の管理~確定申告までスマホで完結できるクラウド会計サービス「freee」を使うと簡単に確定申告できます。

確定申告のやり方がわかない方も心配ありません。ステップに沿って質問に答えるだけで確定申告書類を作成してくれます。

最も簡単な確定申告サービス「freee」