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自動車に関係する2種類「強制加入の保険」と「任意保険」の違いについて解説

自動車に関係する2種類の保険「強制加入の保険」と「任意保険」の違いについて解説

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佐藤 元宣

佐藤 元宣

佐藤元宣FP事務所代表CFP、1級ファイナンシャルプランニング技能士、経理実務士

税理士や社会保険労務士といった士業事務所経験と保険代理店を行った経験などを活かし、生活する上で避けて通れない「お金」の相談に幅広く応じている独立系FP。家計の収支状況と専門性を融合したプランニングを提供しています。

この記事のポイント

  • 自動車に関係する保険は、強制加入の自賠責保険と任意加入の自動車保険に大きくわけられ、補償範囲は全く異なります
  • 自賠責保険は、補償金額に限度額が設けられており、事故が起こった場合の補償としては不十分です。そのため、自分と相手をどちらも守る自動車保険に加入することが大切です
  • 自賠責保険と自動車保険には、それぞれ保険金が支払われない場合が設けられています。無責事故や保険約款に定められている保険金が支払われない場合をあらかじめ知っておくことがとても大切です

自動車に関係する2種類の保険とは、強制加入の自賠責保険と任意加入の自動車保険があります。

自賠責保険と自動車保険は、交通事故などが起こった場合の損害を補償する範囲がまったく異なり、これらの保険の違いを知らない状態で自動車運転をすることは、とても危険な行為です。

そこで本記事では、強制加入の自賠責保険と任意加入の自動車保険の違いや押さえておくべきポイントを解説していきます。

 

強制加入の自賠責保険とは?

強制加入の自賠責保険とは?

自賠責保険とは、自動車損害賠償保障法という法律に基づいて必ず加入しなければならない強制加入の保険です。

具体的な補償内容は、後ほど紹介する自賠責保険と自動車保険の違いで触れていきますが、自賠責保険は、補償範囲が限定されているほか、補償金額も決まっているため、十分な補償が受けられません。

大げさではなく、自賠責保険だけで重大な事故を起こした場合は、人生が終わってしまうことも否定することはできません。

 

任意保険の自動車保険とは?

任意保険の自動車保険とは?

任意保険の自動車保険とは、自賠責保険と違って強制加入ではありませんが、補償範囲が広いほか、特に、事故相手や物を損壊した場合に対する補償が無制限であるため、自賠責保険で賠償できない金額を補填することができる特徴があります。

また、自身や搭乗者の補償だけではなく、別途、車両保険に加入することによって、保険契約した自動車が損害を受けた場合も補償される特徴も合わせ持っており、厚みのある補償を備えられます。

 

自賠責保険と自動車保険の違い

自賠責保険と自動車保険の違い

自賠責保険と自動車保険の違いは、補償対象と補償金額の違いです。仮に、自動車事故が起きた場合、ご自身と相手が、それぞれの保険で補償される範囲は、以下の通りです。

保険の種類 自賠責保険 自動車保険
相手の身体に対する補償
相手の物に対する補償 ×
自分の身体に対する補償 ×
自分のものに対する補償 ×

※●は、車両保険に加入することで補償されるため、必ず補償されるものではないという意味合いで表記を区別しています。

 

自賠責保険と自動車保険の補償範囲は明らかに違う

自賠責保険と自動車保険の補償範囲の違いを見ると、その違いは明らかなのがわかります。

自賠責保険は、相手の身体に対する補償のみであるため、たとえば、正面衝突などの交通事故状況では、相手の自動車に対する補償は、自賠責保険から支払われることはありません。

つまり、自己負担をしなければならないことになります。併せて、ご自身の身体や自動車に対する補償も自賠責保険で行われることはありません。

 

自賠責保険と自動車保険の補償金額の違い

今度は、自賠責保険と自動車保険の補償金額の違いをまとめたものを見ていきます。

自賠責保険 自動車保険
相手の身体に対する補償 死亡:被害者1人あたり3,000万円

傷害:被害者1人あたり120万円

後遺障害:被害者1人あたり75万円~4,000万円

無制限
相手の物に対する補償 × 無制限
自分の身体に対する補償 × 保険契約によって異なる
自分のものに対する補償 × 保険契約によって異なる

 

自賠責保険の補償金額のポイント

自賠責保険は、事故相手に対する補償金額が限定されており、事故後の状況によって、補償金額が異なります。

たとえば、事故相手の自動車に本人と配偶者と子供の3人が搭乗し、仮に、3人が死亡した場合、この3人は被害者にあたるため、少なくとも9,000万円以上が遺族に対して支払われます。その一方、保険金が支払われないケースもありますので、どのような場合に保険金が支払われないのか確認しておくことも大切です。(後述します)

 

自動車保険の補償金額のポイント

自動車保険に加入しますと、基本的に、どこの保険会社でも、対人賠償および対物賠償は無制限の補償になっています。

そのため、自賠責保険のように補償金額に対する限度額が設けられておりません。

また、自動車保険では、保険契約によって異なりますが、ご自身の身体や自動車に対する補償もされるため、当初交わした保険契約における保険金が、損害額や過失割合などの事情が加味されて支払われることになります。

 

自動車保険に加入するメリット

自動車保険に加入するメリット

自動車保険に加入するメリットは、相手に対する損害賠償と自分の補償をどちらも確保できるところにあります。

自動車保険に加入した場合、搭乗者傷害保険や人身傷害保険といった身体に対する補償があるほか、別途、車両保険に加入することで、ご自身の自動車に対する補償に備えることができます。

加えて、事故相手が自動車保険に加入していない場合において、相手側から十分な補償がされないリスクを回避する重要な役割もあります。

 

無保険車傷害とは?

無保険車傷害とは、自動車保険に加入していない自動車(無保険車)との事故によって、ご自身や同乗者が死亡または後遺障害を負った場合で、相手から十分な補償を受けられない場合に、保険金が支払われます。

自動車保険では、無保険車傷害にかかる補償も自動付帯される保険会社が多くなっているため、自動車保険に加入するということは、自分や家族を守るための重要な役割を持っていると言えます。

 

車両保険の加入も考え方は同じ

車両保険の加入も先に紹介した無保険車傷害の考え方と同じように、仮に、事故相手が無保険車であった場合、ご自身の自動車に対する損害について、相手から十分な補償が得られません。

そのため、大切な自動車を事故の損害から守るといった観点から考えますと、車両保険の加入を検討する場合は、このようなことも視野に入れた上で検討することが大切になります。

 

自動車保険に加入するデメリット

自動車保険に加入するデメリット

自動車保険に加入するデメリットは、保険料負担をしなければならないことです。

自動車保険は、等級制度という名の制度が設けられており、保険契約をする内容だけではなく、自動車保険等級や車両保険の加入の有無などによっても保険料が大きく変わります。ただし、これまでの解説内容を踏まえますと、自動車保険に加入しない状態でハンドルを握ることは、いかにリスクが大きいか、ご理解いただけていると思います。

 

自賠責保険と自動車保険の保険金が支払われない場合

自賠責保険と自動車保険の保険金が支払われない場合

自賠責保険や自動車保険は、事故が起こって損害を被ったからといって必ず保険金が支払われるものではありません。そのため、どのような場合に自賠責保険や自動車保険の保険金が支払われないのかあらかじめ知っておくことはとても大切です。

 

自賠責保険の保険金が支払われない場合

自賠責保険の保険金が支払われない場合は、無責事故と言い、100%被害者の責任で発生した事故が生じた場合です。具体的な例としては、以下、3つの原因があげられます。

 

①被害車両がセンターラインオーバーによる事故

被害車両がセンターラインオーバーによる事故

②被害車両が赤信号無視による事故

被害車両が赤信号無視による事故

③追突した側が被害車両

追突した側が被害車両

上記のように、ご自身の過失が100%で発生した無責事故については、相手車両の自賠責保険金の支払対象にならないため、相手から身体の補償が受けられないことになります。

つまり、無責事故によってご自身や搭乗者が死亡や後遺障害をはじめ、傷害を負ったとしても、相手の自賠責保険から補償されないわけでありますから、普段の安全運転が第一であることがわかります。

 

自動車保険の保険金が支払われない場合

自動車保険の保険金が支払われない場合は、保険会社の約款によってそれぞれ定められておりますが、おもな例は、以下の通りです。

  • 無免許、酒気帯び運転中の事故
  • 契約者や被保険者が故意に起こした事故
  • 父母、配偶者、子供に対する対人・対物賠償事故

自動車保険は、被害者救済の目的があるため、無免許や酒気帯び運転であったとしても、事故相手に対して補償はなされることになりますが、ご自身の補償は受けられません。

 

自動車保険まとめ

自賠責保険と自動車保険の違いを知ると、任意加入の自動車保険や車両保険に加入する重要さについてご理解できると思います。

自賠責保険は、相手の身体に対して補償する最低限のものでありますから、相手とご自身を守るためには自動車保険の加入が必須です。

そのため、目先の保険料負担に捉われることなく、しっかりと補償される自動車保険の加入と検討をするように心がけておきたいものです。

 

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