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医療保険と家計に直接関係する生命保険料控除と医療費控除のポイントを紹介

医療保険と家計に直接関係する生命保険料控除と医療費控除のポイントを紹介

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著者名

佐藤 元宣

佐藤 元宣

佐藤元宣FP事務所代表CFP、1級ファイナンシャルプランニング技能士、経理実務士

税理士や社会保険労務士といった士業事務所経験と保険代理店を行った経験などを活かし、生活する上で避けて通れない「お金」の相談に幅広く応じている独立系FP。家計の収支状況と専門性を融合したプランニングを提供しています。

医療保険は、公的医療保険と民間医療保険の2種類があり、いずれの保険料を支払った場合も、所得税や住民税の負担額を軽減する所得控除の対象になります。

ただし、実際に負担した公的医療保険料と民間医療保険料では、適用となる所得控除の種類が異なるほか、税額を軽減する効果も大きく異なります。

そこで本記事では、2つの医療保険にかかる所得控除と知っておきたいポイントについて紹介していきます。

 

医療保険と所得控除の基本ポイント

医療保険と所得控除の基本ポイント

医療保険は、公的医療保険と民間医療保険の2種類があり、その年の1月1日から12月31日までの1年間に支払った保険料が、所得税や住民税の負担額を軽減する所得控除の対象になります。

ここでは、公的医療保険と民間医療保険の所得控除が、それぞれどのような取り扱いになるのか、個別にポイントを紹介していきます。

 

公的医療保険の保険料は、社会保険料控除の適用対象

公的医療保険の保険料は、社会保険料控除の適用対象

公的医療保険とは、健康保険や国民健康保険のことを言い、その年の1月1日から12月31日までの1年間に支払った健康保険料や国民健康保険料は、社会保険料控除として、支払った金額の全額が所得控除の対象となります。

 

会社員や公務員の場合

会社員や公務員の場合は、毎月の給与のほか、夏季や冬季などに支給される賞与(ボーナス)から健康保険料が天引きされるのが一般的です。

この時、給与計算システムを利用して給与計算を行っているところがほとんどですが、1年間に支払った健康保険料などの社会保険料は自動的に集計され、11月や12月に行う年末調整において、自動的に適用される仕組みになっています。

 

自営業者やフリーランスの場合

自営業者やフリーランスの場合は、国民健康保険料をお住いの市区町村から送付された納付書を使って納めるか、ご自身が指定した預金口座からの自動振替で納める流れになるのが一般的です。

なお、自営業者やフリーランスは、確定申告を行うことで1年間の税金の精算を完了しますが、この時、お住いの市区町村から確定申告で社会保険料控除を受けるための控除証明書が送付され、これを添付して控除の適用を受ける流れとなります。

 

民間医療保険の保険料は、生命保険料控除の適用対象

民間医療保険の保険料は、生命保険料控除の適用対象

民間医療保険とは、保険会社が販売している医療保険のことを言い、1月1日から12月31日までの1年間に支払った保険料に応じて、適用対象となる生命保険料控除の金額が異なります。

なお、生命保険料控除の計算式は、以下の表の通りとなります。

1年間の支払保険料等 生命保険料控除額
20,000円以下 支払保険料等の全額
20,000円超 40,000円以下 支払保険料等×1/2+10,000円
40,000円超 80,000円以下 支払保険料等×1/4+20,000円
80,000円超 一律40,000円

 

参考:1ヶ月あたり5,000円の民間医療保険を支払った時の生命保険料控除は?

1ヶ月あたり5,000円の民間医療保険料を支払っていた場合、1年間で支払うことになる総額は、60,000円(5,000円×12ヶ月)となります。

この60,000円を前項で紹介した生命保険料控除の計算式にあてはめますと、以下のように計算することができます。

  1. 40,000円超 80,000円以下に該当するため、該当の計算式にあてはめて計算します
  2. 60,000円×1/4+20,000円=35,000円

1ヶ月あたり5,000円の民間医療保険を支払った時の生命保険料控除は、35,000円となります。

 

生命保険料控除は、加入している生命保険の種類によって大きく3つに分けられる

生命保険料控除は、加入している生命保険の種類によって大きく3つに分けられる特徴があり、具体的には、一般用、介護医療用、個人年金用の3つがあります。

ちなみに、大まかな生命保険の種類と生命保険料控除の関係は以下の通りです。

  • 一般用:終身保険・定期保険・学資保険など
  • 介護医療用:医療保険・がん保険・介護保険など
  • 個人年金用:個人年金保険(税制適格要件を満たした契約に限る)

 

参考:1ヶ月あたり15,000円の終身保険と、6,000円の医療保険を支払った時の生命保険料控除の金額はいくら?

こちらも参考情報となりますが、仮に、1ヶ月あたり15,000円の終身保険と6,000円の医療保険を支払った時の生命保険料控除の金額について、計算例を挙げて紹介しておきます。

  • 年間終身保険料(一般用):15,000円×12ヶ月=180,000円
  • 年間医療保険料(介護医療用):6,000円×12ヶ月=72,000円
1年間の支払保険料等 生命保険料控除額
20,000円以下 支払保険料等の全額
20,000円超 40,000円以下 支払保険料等×1/2+10,000円
40,000円超 80,000円以下 支払保険料等×1/4+20,000円
80,000円超 一律40,000円

 

生命保険の種類が異なる場合、別々に計算するのが重要ポイント

終身保険と医療保険は、生命保険料控除の種類が異なるため、それぞれ別々に計算するところが重要ポイントです。

終身保険の生命保険料控除額は1年間で180,000円となっており、上記表の計算式にあてはめると、年間80,000円超えの保険料を支払っているため、40,000円の所得控除額となります。

医療保険の生命保険料控除額は、1年間で72,000円となっており、上記表の計算式にあてはめると、38,000円(72,000円×1/4+20,000円)の所得控除額となります。

 

生命保険料控除は、種類ごとに計算した控除額を合算する

生命保険料控除は、種類ごとに計算した控除額を合算して適用する控除額を求めることになるため、今回の例では、一般用の40,000円と介護医療用の38,000円を合算した78,000円が適用される生命保険料控除額ということになります。

生命保険の見直しにおかれましては、保障内容や保険料を考慮することも大切である一方、負担するべき税金を少なくさせるための対策も合わせて検討することが大切だと言えます。

 

 

生命保険料控除は、新制度と旧制度に分けられる

生命保険料控除は、新制度と旧制度に分けられる

これまで解説した生命保険料控除の計算は新制度による計算方法であり、実のところ、生命保険料控除には新制度と旧制度の2つに分けられる特徴があります。

  • 新制度:平成24年1月1日以後に締結した保険契約
  • 旧制度:平成23年12月31日以前に締結した保険契約

そして、新制度と旧制度のいずれの生命保険にも加入している場合は、適用の仕方によっては税負担を少なく抑えられる場合があります。

 

新制度と旧制度の違いは、簡単に見分けられる

現在加入している生命保険が、新制度と旧制度のどちらなのか見分ける方法が知りたい方も多いと思いますが、こちらは、保険会社から毎年秋ごろに郵送される生命保険料控除証明書を見ると簡単に確認できます。

新制度と旧制度の違いは、簡単に見分けられる

保険会社を問わず、上記図のように適用制度が新制度なのか旧制度なのか記載されているため、そちらを見ることでどちらの制度なのか簡単に確認することができます。

 

新制度と旧制度のいずれの契約もある場合は、シミュレーターの活用がおすすめ

生命保険料控除について、新制度と旧制度のいずれの生命保険にも加入している場合は、適用の仕方によっては税負担を少なく抑えられる場合があることをお伝えしました。

しかしながら、そのような専門的なことはよくわからないといった方も多いと思いますので、保険会社が無料で提供している生命保険料控除のシミュレーターを使ってみるのも良いでしょう。

参考までに、以下、第一生命が無料提供している計算ツールとなります。

生命保険料控除額計算サポートツール

 

医療保険と関係の深い医療費控除について

医療保険と関係の深い医療費控除について

医療保険に加入している状態で、病気やケガで入院した場合など、保険金の支払事由に該当する場合は、保険会社から保険金を受け取ることができます。

この時、医療保険と関係の深い所得控除として、これまで解説した生命保険料控除のほかに、医療費控除が挙げられます。

医療費控除を知ることは、家計のお金に直接影響を与えることに繋がるため、以下記事から医療費控除の重要ポイントを一通り確認しておくことをおすすめします。

また、広い視野で医療保険を考えた時、高額療養費制度といった公的医療保険制度も知っておく必要があります。

各種控除も含めて、家計のお金に直接影響を与える重要ポイントになるため、合わせて以下記事も読み進めてみることをおすすめします。

 

医療保険に関わる控除についてのまとめ

医療保険に関係する控除には、生命保険料控除と医療費控除があります。保障内容や保険料といった目に見える部分だけではなく、いずれの控除も考慮しておくことがとても大切です。

 

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