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個人事業主は屋号付き口座を開設すべき?メリット&おすすめ銀行をFPが解説

個人事業主は屋号付き口座を開設すべき?メリット&おすすめ銀行をFPが解説

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著者名

棚田 健大郎

棚田 健大郎

行政書士、国土交通大臣指定 マンション管理士、ファイナンシャルプランナー

大手人材派遣会社に正社員として入社。 主要取引先であったJASDAQ上場(当時)の株式会社エイブルへ出向。 その後ヘッドハンティングされ、完全に移籍。およそ3,000人の社員の中で、トップセールスを記録するなどして活躍。 その後管理職として複数年勤務後、独立。 行政書士、マンション管理士、ファイナンシャルプランナーなどの資格を取得し、棚田行政書士リーガル法務事務所を設立。現在に至る。

この記事のポイント

  • 屋号付の口座は取引先に安心感を与えるので、必ず開設すべき。
  • 屋号のみの口座は開設できず、必ず前後に個人名義が付く。
  • ネット銀行系は比較的簡単に屋号付口座が開設できておすすめ。

個人事業を始めようと思ったら、税務署への開業届などいくつかの手続きが必要になりますが、その中でも重要になってくるのが専用口座の開設です。そこで今回は、個人で事業をする人の店名などが入る口座の必要性などについて詳しく解説します。

 

屋号などが入る口座とは?

屋号などが入る口座とは?

個人事業を始める際には、取引先から報酬を振り込んでもらう先となる銀行口座を開かなければなりません。

個人で使っている口座をそのまま流用することもできますが、私用と仕事を完全に仕分けすることが困難になることを考えると、基本的には個人事業専用にもう1つ口座を開設する必要があります。

通常、個人が銀行口座を作る際には個人名義の口座しか作れません。では、店名などが入る口座とはどのような口座のことなのでしょうか。

 

お店名義の銀行口座や通帳は作れる?

法人であれば会社名義の銀行口座を作ることができますが、個人事業主についてはたとえお店の名前や事務所名があったとしても、法的には個別の人格がないのでその名前を主体として口座を開設することができません。

ただ、取引先に送る請求書に書く口座が個人名義の口座だと、取引先に不安を与える可能性があります。そこで個人事業主については、個人名義の前や後にお店の名前などの屋号をつけて口座を開設することが認められています。これを店名などが入る口座といいます。

例えば、山田太郎さんが山田食堂というお店を個人事業で営んでいる場合、次のような口座の開設が可能です。

・山田食堂 山田太郎
・山田太郎 山田食堂

このように屋号単独での口座は開設できませんが、個人名を前か後につけることで屋号付の口座を開設することができます。

 

店名などが入る口座は簡単に作れるのか

店名などが入る口座は各銀行の窓口で開設することができますが、個人口座のように簡単に開設できるわけではありません。最近では銀行口座が詐欺行為の入金先になったりするケースを懸念して、銀行側も以前のように簡単には開設してくれないケースもあるようです。

例えば銀行によっては、以下のような業種の店名などが入る口座の開設を断っているそうです。

  • 出会い系サイト運営
  • アダルトチャット運営
  • キャバクラ
  • ホストクラブ
  • その他風俗店
  • 情報商材の取り扱い
  • マルチ商法
  • ネットワークビジネス

これらに該当しない業種でも、事業の実態や予定が明確でない場合などは口座開設を断られることもあります。私も実際に店名などが入る口座を開設したことがありますが、事業内容がわかるパンフレットを提出するなど、一定の審査がありました。

また、事業を行う所在地を管轄するエリアに支店がない銀行については、口座開設できない場合もありますので、事前に支店に確認してから来店することをおすすめします。

 

個人事業主が屋号付の口座を作るメリット

個人事業主が屋号付の口座を作るメリット

個人事業主が店名などが入る口座を開設することで、次のようなメリットがあります。

 

取引先への信頼度

私はこれが一番大きいと思います。というのも、個人名義の口座しかない場合、取引先に出す請求書の振込先は個人名義の銀行口座になります。

別に問題はないのですが、請求書を受け取った相手からすると「あ~個人なんだ」と再認識することになり、なんとなく心細くなるのです。人によっては、本当にこの口座でいいのか確認してくる人もいます。

これが個人口座であれば店名などが記載されるので、ちゃんと事業としてやっているんだな、と信頼してもらいやすくなるのです。

ちょっとしたことですが、先方に与える印象は大きく違ってくるので、個人事業を始めるのであれば必ず店名などが入る口座を作ることをおすすめします。

取引先への信頼度

 

管理しやすい

個人名義用の口座と屋号付の口座を作ることによって完全に資金を分けることができるので、記帳などの管理がしやすくなります。キャッシュフローを把握できるので、資金ショートの兆候なども早めに気が付いて対処することができます。

 

ビジネス機能が使える

最近ではどの銀行でもオンラインでの振り込みや残高照会などが可能になっています。銀行によっては、店名などが入る口座と個人名義口座のオンライン上での機能が異なっていて、屋号付のビジネス口座で開設することで機能が拡張されるケースがあります。

 

クレジットカードの引き落とし先にできる

個人事業の決済にクレジットカードを使うケースも少なくありません。ちょっとした備品などをクレジットカードで購入すれば、履歴がすべて残るので経費管理がしやすくなります。

ただ、個人事業主の場合は個人名義でしかクレジットカードを作ることができないため、クレジットカードの請求だけ個人口座から引き落としされてしまいそうに感じるでしょう。

実は店名などが入る口座でも個人名義のクレジットカードの引き落とし先に指定できるケースがあるので、会社用のクレジットカードを1枚決めておけば、店名などが入る口座で全部経費を管理することが可能です。

 

おすすめのネット銀行

屋号付の銀行口座はほとんどの銀行で取り扱っていますが、銀行によって特徴が異なります。中でもおすすめしたいのが、実体店舗を持たないネット銀行系です。そこでここでは、おすすめのネット銀行について詳しくご紹介します。

おすすめのネット銀行

 

 

ネット銀行のメリット

法人となると大手都市銀行で口座を開設していることが取引先の安心につながることはありますが、個人事業主の場合、屋号付の口座を開設していれば十分取引先の安心は得られるので、銀行はどこでもそんなに影響はありません。

そんな中ネット銀行をおすすめする理由は、すべてがオンラインで完結することです。支店がある銀行の場合、窓口まで来店する手間がかかったりしますが、ネット銀行であればすべて郵送での手続きのみで、店名などが入る口座を開設することができます。

また、取引先への支払い手続きなどについてもすべてオンラインで決済できますし、最近ではスマホでも簡単に操作が可能です。

三井住友銀行やみずほ銀行など大手都市銀行系や、ゆうちょ銀行でもオンライン決済は可能になってきていますが、スピードや手数料の安さでいえば、やはりネット銀行系の方がメリットが大きいです。

 

手数料が安い

銀行振り込みする件数が増えてくると、じわじわダメージを受けるのが振込手数料です。近年、銀行の振込手数料の値上がりが始まる中、コストが少ないネット銀行系は月数回まで振込手数料が無料になるなど、独自のサービスを展開しているところもあり、手数料負担が軽くなる傾向があります。

 

楽天銀行のビジネス口座がおすすめ

店名などが入る口座を作るなら、ぜひおすすめしたいのが楽天銀行のビジネス口座です。通常、店名などが入る口座の開設は、支店まで足を運んだり様々な書類を準備したりする必要がありますが、楽天銀行なら必要最小限の書類を郵送で提出してオンラインで手続きするだけで完結します。

楽天銀行で個人口座を開設している人であれば、すぐにウェブ上から店名などが入る口座の開設手続きが可能です。

 

必要書類

店名などが入る口座の開設にあたって必要になる口座は、以下のうちいずれか1つだけです。

  • 個人事業開業届の受付印があるものの写し
  • 個人事業開始申告書の受付印があるものの写し

ウェブ上で店名などが入る口座の申し込みをすると、楽天銀行から返信用封筒が送られてきますので、それに入れて返送すれば手続きは完了です。非常に簡単に作れます。

楽天銀行ビジネス口座開設はこちら

 

個人事業主の口座開設に関するまとめ

個人事業主として事業を始めるにあたっては、店名などが入る口座はもはや必須といっても過言ではありません。開設するなら比較的簡単なネット銀行系を活用するとよいでしょう。

 

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