マネタス

【新型コロナウイルス】どうしたら休業補償はもらえる?気になる疑問をFPが解決!

【新型コロナウイルス】どうしたら休業補償はもらえる?気になる疑問をFPが解決!

カテゴリー:

著者名

田中祐介

田中祐介

住宅ローンアドバイザー、2級ファイナンシャルプランナー

大学卒業後、大手金融機関にて融資業務を担当。その後外資系生命保険会社にスカウトされ転職。 主にライフプランニングを中心に活動。以後、保険代理店へと移籍。移籍後は数多くの企業と提携し 個人向けマネーセミナーを開催中。金融業界で経験した知識、経験を基に「お金」にまつわる幅広い知識を 「いかに分かり易くお伝えするか?」をモットーに日々活動しています。

この記事のポイント

  • 新型コロナウィルスの影響で世界的に経済が停滞している。
  • 事業主を助成する助成金の制度が緩和された。
  • 事業主、労働者を守るための制度を積極的に活用しましょう。

2019年12月より、中国武漢市から発生したとされる新型コロナウイルスが全世界に蔓延し、経済の停滞や生命の危機を引き起こしています。日本では感染者が増え、現在では7~8割の外出を控えてほしいと緊急事態宣言まで発令されました。

いまだ収束は見えずさまざまな問題が浮き彫りになってきています。今回は、どうしたら休業補償はもらえるのかということをテーマに解説していきます。

 

給与所得者、個人事業主の現状は?

給与所得者、個人事業主の現状は?

コロナが蔓延し始め、世間では外出を自粛しなければならない事態になりました。人から人への感染が確認されていて、いわゆる「三密」を避けなければなりません。仕事として会社員や個人事業を営んでいる方がほとんどですが、現状はどのようになっているのでしょう。

 

正社員、アルバイト、パートの場合

まずは雇用されている方々ですが、基本的にはテレワークを中心に経済活動を行っています。離れたところで仕事をしていくスタイルですが、基本的には自宅が仕事場になります。もっとも、パソコンなどを活用して仕事をする方はテレワークで十分対応可能です。

しかし、接客や販売といった仕事に従事している方々は店舗に出勤しなくてはなりません。感染リスクが高まるわけですが、レジなどではビニールシートを活用したり、レジに並ぶ間隔を1m~2mというように空けることで対策を立てているようです。

飲食店などは軒並み自粛しているところが多く、特に夜開店している居酒屋は営業時間が大幅に短縮となっているようです。それ以外にも完全自粛といった形で営業できない店舗も多数見かけます。完全に自粛という形態であれば、経済活動は完全に停止し企業は潰れてしまいます。

線引きがかなり難しいですが、経済活動を止めるわけにもいきませんので、シフト調整などで出社日を調整している会社も多数あるようです。

 

個人事業主の場合

個人事業主の場合は、人との接触が基本の業態は自粛している店舗が多いようです。特に飲食店などは、自粛するところもあれば営業しているところもあるようですが、換気に気を使いドアは開けっ放し、席も間隔を空けたりとさまざまな工夫を凝らしています。

自粛を求められる業態として、スナック、キャバレー、クラブ、パチンコ店などは三密になりやすく、不特定多数の方と濃厚接触してしまう可能性が極めて高いため、自粛を強いられています。このように会社員よりも個人事業主のほうがかなり厳しいように感じます。

 

自宅待機による自粛

では仕事ができない状況の中で、何をやっているのかというと、自宅で待機し不要不急の外出は控えるようになっています。これは誰もが守るべきルールとでも言いましょうか。とにかく今は感染拡大を抑えなければならず、拡大すれば医療が崩壊し、その先には経済の崩壊に繋がってしまいます。

日本の法律は強制力こそありませんが、この国難を乗り切るために一丸となって取り組む必要はあります。それでは、待機期間中の給与や売上の補償はどうなるのでしょう。その点を後述していきたいと思います。

 

緊急事態宣言と休業補償

緊急事態宣言と休業補償

では緊急事態宣言と休業補償について解説していきますね。

 

 

なぜ休業補償が受けられないのか

緊急事態宣言が発令され自粛を要請されることになりましたが、国の方針にしたがって自粛したとしても休んだ分の補償は受けられません。この点が今非常に議論となっており、休んだ分の補償がないので倒産する会社も増えているようです。

どうして休業補償が受けられないのかというと、緊急事態宣言に問題があるようです。

 

緊急事態宣言って何なの?

では緊急事態宣言がどんな内容なのかを解説しておきます。発令は国が行います。国が何に対して発令するのかというと、都道府県知事に対してです。

ではどんなことができるようになるかというと、人が多く集まる場所や施設の使用停止、制限を「指示」したり「要請」したりできる権限を知事に与えることです。ではそれぞれの立場からどんな風に映るのか見てみましょう。

 

国の立場

国としては国民の安全を守らなければなりません。国が危機に瀕したときに、または危険がおよびそうになったときに緊急事態宣言を発令することが可能になります。

先ほども解説しましたように、国から都道府県知事に対して権限を与えることになりますので、すべての権限を国が持っていることにはなりません。多少人任せに聞こえるかもしれませんが、簡単に権限を与えているわけではないということです。

 

知事の立場

では、権限を与えられた都道府県知事はどのようにしていくのかと言いますと、外出自粛や博物館や図書館などの公共機関の閉鎖、人が集まる場所の制限などを都道府県民に対し要請することが可能になります。この自粛要請が現在でも続いており、皆したがって不要不急の外出を控えているわけです。

ただし、現行の法律では強制することはできず、あくまでも要請、つまりお願いする立場となりますので、ときとして自粛に応じなかったりする事例も出てくることになります。

 

経営者の立場

ではお願いされた経営者はどうでしょうか。経営者も会社の経営悪化や継続の判断を迫られます。自粛して欲しいという要請を無下にすることもできず、また従業員の命を守らなければなりません。立場として、私個人の意見としては一番しわ寄せが来ていると思っています。

また、強制ではなくあくまで経営者の判断で自粛や休業となりますので、補償ということがあやふやになってしまいます。

強制的に営業停止であれば補償の対象になりますが、言い回しとしては要請レベルです。今この補償の点が問題視されているわけです。誰に責任があるのか、それぞれの立場で考えても法律として曖昧な状態ですので混乱しているということです。

 

問題点は法的な拘束力の有無

先ほどの会話形式での解説の中で「要請」と書きましたが、法的な強制力や拘束力は全くありません。つまり自粛しなくてもよいということになります。しかし経営者は自粛しなければ社員の安全を守ることができません。要請は受けたものの、補償されるという根拠が全くないのです。

そして労働基準法では以下のように休業手当について定めています。

休業手当(第26条)使用者の責に帰すべき事由による休業の場合においては、使用者は休業期間中当該労働者に対してその平均賃金の100分の60以上の手当てを支払わなければならない」

上記のように、会社の経営不振などで休業しなければならなくなった際には平均賃金の6割以上を補償しなければなりませんが、この点が会社都合なのか、社会的な都合なのかということが問題となっているわけです。

従業員の方もお給料が減ってしまうことに繋がってしまいます。また休業手当は課税対象となっており、雇用保険や社会保険も控除されることになりますので、手取りはさらに減ることになります。

 

今回のコロナウイルスの件は会社都合?不可抗力?

今回の1件は会社都合による休業に該当するのでしょうか?コロナの影響に関係なく、会社の業績が悪化した場合は会社都合となるでしょう。しかし、全世界に蔓延し世界経済を貶めているコロナは不可抗力であると考えます。

厚労省のHPには「不可抗力による休業の場合は、使用者の責に帰すべき事由に当たらず、使用者に休業手当の支払い義務はありません」と明記されています。これでは労働者を守ることができなくなってしまいます。

 

会社の休業手当を助ける雇用調整助成金

会社の休業手当を助ける雇用調整助成金

ここで最近話題となっているのが雇用調整助成金です。コロナウイルスが蔓延し、雇用調整助成金も特例措置が設けられました。どのようになったのか見てみましょう。

 

 

雇用調整助成金の特例措置はどうなった?

下図にまとめてみました。

特例以外の場合の雇用調整助成金 新型コロナウイルス感染症特例措置
(令和2年4月1日~令和2年6月30日)
対象事業者 経済上の理由により、事業活動の縮小を余儀なくされた事業主 新型コロナウイルス感染症の影響を受ける事業主(全業種)
生産指標要件 3ヶ月10%以上低下 1ヶ月5%以上低下(要件緩和)
対象被保険者 雇用保険被保険者が対象 雇用保険被保険者でない労働者の休業も助成金の対象に含める
助成率 中小2/3 大企業1/2 中小4/5 大企業2/3
(解雇を行わない場合は中小9/10 大企業3/4)
届出 計画届出は事前提出 計画届出の事後提出を認める(令和2年1月24日~令和2年6月30日)
クーリング期間 1年のクーリング期間が必要 クーリング期間を撤廃
被保険者要件 6ヶ月以上の被保険者期間が必要 被保険者期間要件を撤廃
支給限度日数 1年100日、3年150日 同左+上記対象期間

コロナウイルス感染症による雇用調整助成金の主だった特例措置の内容は上記のようになります。

 

つまりどういうことになるの?

上記のまとめをかいつまんで分かりやすく言うと下記のとおりになります。

  • パートさんやアルバイトさんも対象になります
  • 影響を受けたすべての業種が対象です
  • 国の助成が厚くなりました
  • 入社したばかりの方も対象になります
  • 届出は事後でも大丈夫です(6月30日までに提出)

今までは雇用保険に加入している方が対象者となっていましたが、雇用保険に入っていないパートさん、アルバイトさんも含まれることになります。影響を受けた事業主が対象になりますので、ほとんどの事業が対象になるでしょう。

要件がかなり緩和されていますので、積極的に助成を受けたほうがよいでしょう。

 

助成金の注意点

助成金の注意点として、1日の助成金の上限が決まっており8,330円と決まっています。つまりこの金額を超えて助成を受けることはできません。

例えば、1日の平均賃金が20,000円の従業員がいたとします。休業手当の60%を支給するとなると、20,000円×60%の12,000円となります。中小企業で解雇を行わない場合であれば9/10の助成を受けられますので、12,000円×9/10で10,800円となります。

しかし上限が決まっていますので、12,000-8,330円=3,670円は会社が負担することになるわけです。この点は従業員の規模などが絡んできます。また、追加で5月1日に下記の発表が行われています。要件を満たしたものについて助成率を10/10とするということです。

助成金の注意点

 

手続きはどうやるの?

最後に助成金の手続きに関して解説しておきます。受給の流れに関しては下記の通りとなります。

手続きはどうやるの?

必要な書類や提出しなければならない書類などの詳細について、分かりやすいガイドブックが厚生労働省のHPに掲載されています。該当のHPへのリンクをご紹介しますのでご確認ください。

雇用調整助成金ガイドブック

 

新型コロナウイルスにおける休業補償に関するまとめ

新型コロナウイルスという目に見えない感染症により、世界経済は混乱に陥っています。誰もが経験したことのない事態ですので、何が正しいとか悪いとかは分かりません。今何をすべきなのかということは感染を防ぐことです。

経営者の方に向けて、自粛しながらも雇用や会社を守れるよう助成金の要件が緩和されていますので、多少面倒な手続きかもしれませんが、申請して補償を受け取れるようにしていただければと思います。

助成金に関する以下記事もおすすめ☆