マネタス

個人年金保険とiDeCoをFPが徹底比較!違い&メリットデメリットを理解しよう

個人年金保険とiDeCoをFPが徹底比較!違い&メリットデメリットを理解しよう

カテゴリー:

著者名

森本 由紀

森本 由紀

行政書士、AFP(日本FP協会認定)、離婚カウンセラー

行政書士ゆらこ事務所・離婚カウンセリングYurakoOffice代表。法律事務所勤務を経て、2012年に行政書士として独立。メイン業務は協議離婚のサポート。養育費、財産分与など離婚の際のお金の問題や離婚後の生活設計に関するアドバイスなど、離婚する人の悩みを解決するためトータルなサポートを行っています。法人設立や相続に関する業務にも力を入れています。

この記事のポイント

  • 個人年金保険やiDeCOに加入していると所得控除が受けられ所得税・住民税が安くなる。
  • 個人年金保険の控除額には上限があるほか、運用効果は高くない。
  • iDeCoでは自分で運用効果を高めることができ、運用益が非課税になるメリットもある。
  • 個人年金保険は途中解約も自由だが、iDeCoは原則解約不可で受取期間にも制限がある。

老後の生活費に不安を感じている人は多いのではないでしょうか?老後資金を積み立てる方法として、個人年金保険とiDeCo(イデコ)があります。

本記事では、個人年金保険とiDeCoの違いについてご説明しますので、それぞれのメリット・デメリットを比較しながら、自分に合った老後資金の準備方法を考えましょう。

 

個人年金保険とiDeCoを比較してみよう

個人年金保険とiDeCoを比較してみよう

個人年金保険やiDeCoという言葉を聞いたことがあっても、詳しくは知らないという人もいると思います。まずは、両方の概要を知っておきましょう。

 

個人年金保険の概要

個人年金保険は民間の保険会社が取り扱っている貯蓄型保険で、老後資金の積み立てに利用できるものです。契約で設定した年金受取開始年齢になれば、払ってきた保険料を原資として、年金や一時金で支払いを受けられます。

個人年金の種類や商品内容については以下の記事をご参照ください。

 

iDeCoの概要

iDeCo(イデコ)とは「個人型確定拠出年金」のことです。iDeCoは商品名ではなく、制度の名称です。確定拠出年金は法律にもとづき2001年に開始した制度で、個人型と企業型の2種類があります。

企業型確定拠出年金は、勤務先で制度が導入されているサラリーマンのみが加入できるものです。一方、iDeCoは20歳以上60歳未満の人なら基本的に誰でも加入できます

 

iDeCoの申し込み方法は?

iDeCoを利用するには、「運営管理機関」と呼ばれる金融機関(銀行、証券会社、保険会社)で申し込みが必要です。申し込みの際には、金融機関で用意されている商品(定期預金、投資信託、保険商品など)から自分で複数の商品を選びます。

 

iDeCoの受取時期・受取金額は?

iDeCoは老後資金を積み立てるための制度なので、60歳以降でなければ受け取れないという制限があります。受け取れる金額は、自分が選んだ商品の運用結果によって変わります。

 

共通のメリットは所得控除が受けられること

共通のメリットは所得控除が受けられること

お金を貯めるだけなら、通常の預貯金でもいいはずです。しかし、個人年金保険とiDeCoには、通常の預貯金にはない節税効果があります。

 

所得税・住民税は所得控除で安くなる

所得税・住民税は所得を基準に計算するので、所得が多ければ税金が高くなります。ただし、所得からは各種の所得控除を差し引きできるので、所得控除が増えるほど税金を抑えられます。

個人年金保険(税制適格特約付きのもの)またはiDeCoに加入していれば、いずれも所得控除が受けられます。老後資金を積み立てるなら、通常の預貯金よりも個人年金保険やiDeCoを利用した方がお得です。

 

個人年金保険で受けられるのは「個人年金保険料控除」

税制適格特約の付いた個人年金保険に加入している場合には、所得控除の中の「生命保険料控除」が受けられます。生命保険料控除は3種類に分かれていますが、通常はそのうちの「個人年金保険料控除」の対象となります。

なお、個人年金保険料控除で受けられる控除金額の上限は4万円です。

個人年金保険料控除について、詳しくは以下の記事をご参照ください。

 

iDeCoで受けられるのは「小規模企業共済掛金控除」

iDeCoの掛金を払っている場合には、所得控除のうちの「小規模企業共済掛金控除」が受けられます。年間に払った掛金の全額が控除の対象となります。

 

個人年金保険とiDeCoの違い:個人年金保険のデメリット

個人年金保険とiDeCoの違い:個人年金保険のデメリット

個人年金保険は保険会社と自由に契約できる商品なので、自分の希望に合わせて内容を決めやすくなっています。一方、iDeCoは国の制度として大きな優遇がありますが、その分制限も多くなります。両者をデメリットの面から比較してみます。

 

 

個人年金保険のデメリット①控除額に上限がある

個人年金保険で払った保険料は、所得控除できる金額に上限があります。年間保険料払込額が2万円以下であれば全額控除の対象になりますが、2万円を超えていれば一部しか控除の対象になりません。所得控除による節税効果はiDeCoの方が大きくなります

 

個人年金保険のデメリット②自分で年金受取額を増やせない

個人年金保険ではお金の運用は保険会社に任せることになるため、自分で年金受取額を増やせません。将来の年金受取額が確定している確定型の商品は、低金利の現在はメリットが少なくなっています。

iDeCoでは元本確保型の商品(定期預金、保険)以外に、投資信託も選べます。投資信託にはリスクもありますが、運用の成果によってはリターンが大きくなり、年金受取額を増やせる可能性があります。

 

個人年金保険のデメリット③途中解約すれば元本割れしてしまう

個人年金保険を途中解約した場合、元本割れしてしまうケースが多くなります。柔軟性がある反面、最後まで保険料を払い続けることができなければ結局は損してしまいかねないというデメリットがあります。

 

個人年金保険とiDeCoの違い:iDeCoのデメリット

個人年金保険とiDeCoの違い:iDeCoのデメリット

続いて、iDeCoのデメリットを見ていきましょう。

 

iDeCoのデメリット①原則として途中解約ができない

iDeCoは原則として途中解約ができません。60歳を過ぎないと引き出せないので、急にお金が必要になったときに困ることがあります。

 

iDeCoのデメリット②掛金に上限額がある

iDeCoでは掛金が全額所得控除になるメリットがある代わりに、掛金の金額に上限が設けられています。iDeCoの毎月の掛金上限額は、職業などによって変わります。

 

(1) 第1号被保険者(自営業者・個人事業主)

月額6万8,000円が上限になります。ただし、国民年金基金または国民年金の付加年金にも加入している場合には、両方を合わせての上限額になります。

 

(2) 第2号被保険者(会社員・公務員)

第2号被保険者の掛金上限額は、勤務先での企業年金の加入状況等によって異なり、次の表のようになります。なお、企業年金にはDB(確定給付年金)とDC(確定拠出年金)があり、どちらに加入しているかで区別されます。

勤務先に企業年金制度がない会社員 月額2万3,000円
勤務先でDCのみに加入している会社員 月額2万円
勤務先でDBとDCの両方に加入している会社員 月額1万2,000円
勤務先でDBのみに加入している会社員
公務員

 

(3) 第3号被保険者(専業主婦)

月額2万3,000円が上限になります。

 

iDeCoのデメリット③受取期間が決まっている

iDeCoでは60歳になるまでは年金を受け取ることができません。また、受け取るときには、5年以上20年以下の有期年金として受け取るか、70歳までに一時金として受け取るかのどちらかになります。いつでも好きなときに受け取れるわけではありません。

個人年金保険の場合には、保険会社との契約により受取期間も柔軟に選べます。終身タイプの商品もあるので、一生涯年金をもらうことも可能です。

 

iDeCoのデメリット④手数料が発生する

iDeCoに加入すると、次の表のようなさまざまな手数料が発生します。元本確保型の商品だけで運用していると損してしまうことがありますので気を付けましょう。

加入時・移管時手数料 加入時や企業型確定拠出年金からの移管時にかかる手数料で、初回1回のみ2,829円かかります。
加入者手数料(口座管理手数料) 運用期間中は、掛金の納付の都度、国民年金基金連合会の手数料105円、事務委託先金融機関(信託銀行)の手数料66円、運営管理機関の手数料(※金額は金融機関によって異なる)がかかります。
給付事務手数料 年金の給付を受けるときには、1回につき440円の手数料がかかります。
還付事務手数料 事情により掛金の還付を受ける場合には、国民年金基金連合会の手数料1,048円、事務委託先金融機関の手数料440円が1回ごとにかかります。

 

個人年金保険とiDeCoのどちらを選んだらいい?

個人年金保険とiDeCoのどちらを選んだらいい?

個人年金保険とiDeCoにはそれぞれメリット、デメリットがあります。どちらを選んだらよいかは、資産運用に対する考え方や年齢などによって変わってきます。

 

 

年金を積極的に増やしたいなら

保険会社が着実に運用してくれる個人年金保険と違い、iDeCoは自己責任で運用するものです。運用に失敗すれば元本割れしてしまうリスクもありますが、逆にお金が増える可能性もあります。

通常、預貯金の利息や投資信託などの運用益には20.315%の税金がかかります。しかし、iDeCoでは利益に対する税金も非課税となっており、効率よく資産運用ができます。

iDeCoでは手数料も発生するので、預貯金だけで運用すると損してしまうこともあります。投資を行って積極的に年金を増やしたい人は、iDeCoの方がおすすめです。

 

50代以上で加入を考えるなら

iDeCoでは通算加入期間によって、年金受取が可能になる年齢が次のように決まっています。

加入期間 受給開始年齢
10年以上 60歳
8年以上10年未満 61歳
6年以上8年未満 62歳
4年以上6年未満 63歳
2年以上4年未満 64歳
1か月以上2年未満 65歳

iDeCoで60歳から年金を受け取るには、10年以上の積立期間が必要です。50代の人でも加入のメリットがないわけではありませんが、60歳から年金をもらうことはできません。

個人年金保険の場合には、保険料の一時払いも可能になっており、年金の受け取り開始年齢も契約で自由に設定できます。60代や70代で加入できる商品もあるので、高齢になってからの資金準備に活用できます。

 

個人年金保険とiDeCoは併用できる

個人年金保険とiDeCoの両方に加入することも可能です。所得控除の枠もそれぞれ別になるので、両方を併用すれば節税効果も大きくなります。

たとえば、iDeCoだけで積み立てると、急にまとまった資金が必要になったときに引き出せず困ってしまうことがあります。途中解約もできる個人年金保険でも積み立てをしておくと、資産運用に柔軟性を持たせることができます。

 

個人年金保険とiDeCoに関するまとめ

個人年金保険やiDeCoには節税効果があるので、老後資金の積み立てに活用するのがおすすめです。できるだけ若いうちから積み立てを開始した方が確実に老後資金の準備はできますが、長期間保険料や掛金を払い続けなければならないこともしっかり認識しておく必要があります。

加入するときにはデメリットも把握しておき、後で慌てることのないようにしましょう。

 

iDeCo口座はSBI証券か楽天証券がおすすめ

iDeCoを始めるには口座を開設する必要があります。銀行や証券など多くで投資信託の取扱いがございますが、おすすめはSBI証券か楽天証券です。業界屈指の格安手数料や、豊富なサービス・商品ラインナップを誇るネット証券業界最大手の2社です。

SBI証券口座開設はこちら

楽天証券口座開設はこちら

 

iDeCoに関する以下記事もおすすめ☆