- 2015年10月以降は公務員も厚生年金に一元化されている。
- それ以前の対象者は公務員共済年金を受給している。
- 計算は加算も含めて複雑な為、シミュレーションなどで目安を試算する程度が良い。
- どうしても詳細を知りたい場合は年金事務所に相談を。
公開日:2020年3月13日
一般的な年金の種類として、現在では自営業者などが加入する【国民年金】と、会社員や公務員が加入する【厚生年金】がありますよね。
国民年金を建物の一階部分、厚生年金を二階部分に見立てる【二階建ての年金】などのたとえによって、年金を分かりやすく説明するFPの先生も多いです。(私もよく二階建てのたとえを使います)
しかし、実は数年前まで公務員の方が加入する【共済年金】というものがありました。昔は、建物で言うと三階部分があったということです。
現在その三階部分である【共済年金】は消滅したのではなく、【厚生年金】と合併してデータなども全て統合されているのでご安心ください。建物の二階と三階をくっつけたとイメージしていただくのが良いでしょう。
今回のテーマはこの共済年金も含めて《公務員の【遺族年金】について》です。年金をもらい始めた時期によっては【共済年金制度】の適用がされていることもあるので、一緒に内容を確認していきましょう。
2015年10月に、公務員等が加入していた【共済年金】は、会社員などの給与所得者が加入している【厚生年金】と一元化されました。それまでの【共済年金】にかかるデータ全般は、時間はかかりましたが厚生年金にデータ移行が済んでいます。
共済年金には【退職共済年金】【障害共済年金】【遺族共済年金】の制度がありました。
2015年10月以降に年金受給対象となった場合は、全て【遺族厚生年金】をもらうことになります。
【共済年金】を実際にもらうための要件などは、ほぼ現行の【厚生年金】と同じ内容です。また、現在公務員の方が今後遺族補償として年金をもらう場合は全て【遺族厚生年金】の対象です。
【遺族厚生年金】の概要については、あわせてこちらもご覧いただくと良いでしょう。
国家公務員(主な省庁に勤務、自衛隊など)は【国家公務員共済年金】に加入していました。現在でもKKR【国家公務員共済組合連合会】が各省庁ごとに年金相談の窓口を設けています。
KKRは全国でホテルや病院などを運営しており、共済加入者や年金受給者への施設優待があります。もちろん共済加入者以外の方でも利用できます。
【地方公務員共済年金】は、地方職員共済組合が窓口です。2015年以前に受給対象となった方の窓口として現在も運営されています。
地方公務員共済組合に関しては、警察共済組合、全国市町村職員共済組合、指定都市職員共済組合など、所属先団体によって細分化されていました。
詳しい概要については、日本年金機構ホームページ内に「地方公務員共済組合一覧」のページがありますので、これらの詳細を知りたい方はご確認ください。
まず、亡くなった方の要件として《共済年金に加入していた方が2015年9月以前に亡くなった場合》または《亡くなった方が既に老齢共済年金や障害共済年金を受け取っていた場合》です。これ以降は全て【遺族厚生年金】の対象になります。
もちろん未納や滞納が多く、所定の期間加入していない場合は対象にはなりません。本来加入しておくべき期間の2/3以上は納付済であるか、免除等の申請をしていることは必須条件です。
さらに受給資格についていくつかのポイントがあるので、ここからそれぞれに分けてまとめますね。
先にまとめた条件と併せて、以下の内いずれかに当てはまらないと【遺族共済年金】はもらえません。
公務員の遺族年金では、配偶者の要件として妻も夫もその対象となっています。ただし妻と夫で満たすべき要件が違いますので、それぞれポイントをまとめます。
妻が【遺族共済年金】をもらうための条件は以下3つです。このうちどれかに当てはまればもらえます。
簡単に言うと、子供の有無に関わらず、妻であれば【遺族共済年金】はもらえるということですね。
夫が遺族共済年金を受け取る場合は、妻の場合よりかなり条件が絞られます。
18歳未満の子供がいる場合で、妻が亡くなった時に夫が55歳以上である場合に、60歳以降になればもらえる。
実際に支給される金額の計算ですが、計算の基となるのが故人の生前の給与です。その給与に対して所定の係数をかけて割り出しますが、一律にいくらというものでは全くないので、ご自身で計算するのは一苦労ですからオススメしません。
目安として知りたい場合は、Web上の無料シミュレーションを活用するか(あくまで目安程度として活用くださいね)、公務員共済の相談窓口、社会保険労務士などにお尋ねいただくのがベストです。
お子さんがいる場合などで【遺族基礎年金】の要件にも該当すれば、もちろん【遺族基礎年金】からももらえます。
現行制度の【遺族厚生年金】の支給額の計算には《平均標準報酬額》や《平均標準報酬月額》の金額が必要です。さらに加入期間ごとに2つの計算式に分けて計算をし、それらを合計した額が【遺族厚生年金】の受給額(の目安)となります。
これもなかなか分かりづらく、念のため参考までに計算式を以下に紹介しますが、やはりご自身で計算するよりはWeb上の簡易シミュレーションを活用するか、年金事務所等に出向くことをお勧めします。
【遺族厚生年金】=〈平均標準報酬月額×7.125/1000×平成15年3月までの被保険者期間(月数)〉+〈平均標準報酬額×5.481/1000×平成15年4月以降の被保険者期間(月数)〉×3/4
なお、計算方法については、こちらの記事にもまとめていますので、参考までにどうぞ。
参考までに、遺族共済年金の計算式をご紹介しますが、聞きなれない言葉ばかりでなかなか分からないと思いますので、やはり支給額に関しては年金の担当窓口にお尋ね頂くのがよいでしょう。
【遺族共済年金】=厚生年金相当額+賦課加算(職域年金など)+配偶者に関する加算(中高齢寡婦加算など)
公務員の【遺族年金】は、【厚生年金】と統合された2015年10月以降の申請から【遺族厚生年金】の対象となっています。
統合の背景として、年金をもらうための手続きの煩雑化や、年金制度の分かりづらさ等を軽減する目的もあったそうです。2015年から既に役5年ほど経過し、現在では随分浸透してきているようです。
まとめると、現行制度では、自営業者やフリーランスは【遺族基礎年金】、公務員と会社員などの給与所得者は【遺族厚生年金】の対象です。
日本は高齢化も進み、人口のバランスとしても、子供より高齢者の割合が高くなってきていますよね。いよいよ平均寿命も、あと数年後には90歳に到達するのではないかと言われています。
【遺族年金制度】は、共済年金でも、厚生年金でも、ご遺族が安心して暮らしていけるための大切な生活費として、末永くもらえることのできるお金です。
今回の記事を参考に試算をしてみて、もし不足分が判明したり、何か金銭的な不安があるようでしたら、お早めに遺族補償としての生命保険の活用や、老後資金対策をスタートしてみてはいかがでしょうか。
最後に、年金制度全般に関するご不明点は、最寄りの年金事務所、または年金の専門家である社会保険労務士事務所までお尋ねすることをお勧めします。
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