- 生命保険料控除:納税者が生命保険料、介護医療保険料および個人年金保険料を支払った場合に、一定の金額の所得控除を受けられる制度。
- 生命保険料控除には新契約と旧契約があり、所得税で最大12万円、住民税で最大7万円まで控除される。
- 会社員の場合は年末調整の時に「給与所得者の保険料控除申告書」に生命保険料控除証明を添付する。
- 個人事業主の場合は確定申告時に生命保険料控除証明を添付する。
- 税務署に申告書類を提出して申告するほか、e-taxというオンラインサービスで申告できる。
公開日:2019年3月1日
会社員の方は年末調整の時に、個人事業主の方は確定申告の時に生命保険料控除申請を行っています。会社員の方は確定申告になじみのない方が多いですが、会社員の中にも副業をしているなど、確定申告が必要な方がいらっしゃいます。
今回は確定申告で生命保険料控除申請のやり方を詳しく解説します。
目次
生命保険料控除とは、納税者が生命保険料、介護医療保険料および個人年金保険料を支払った場合に、一定の金額の所得控除を受けることができる制度です。
生命保険料控除には所得税と住民税それぞれに新契約(平成24年1月1日以後に締結した保険契約)と旧契約(平成23年12月31日以前に締結した保険契約)に関する控除があります。保険期間が5年未満の生命保険などの中には、控除の対象とならないものがあるので注意が必要です。
生命保険料控除の対象区分は、新契約(平成24年1月1日以後に締結した保険契約)には一般生命保険料控除、個人年金保険料控除、介護医療保険料控除、旧契約(平成23年12月31日以前に締結した保険契約)には一般生命保険料控除、個人年金保険料控除があります。
新制度では介護医療保険料控除が新たに加わっています。介護のニーズが高まり、介護に備えて保険料を負担する方に対して税制上の優遇が受けられるようになりました。
新契約(平成24年1月1日以後の契約) | 旧契約(平成23年12月31日以前の契約) | |
---|---|---|
控除の種類 | 一般生命保険料控除
個人年金保険料控除 介護医療保険料控除 |
一般生命保険料控除
個人年金保険料控除 |
生命保険料控除額は新契約と旧契約で控除額の計算式が異なります。新契約と旧契約のそれぞれの控除の合計が最大12万円まで所得税の生命保険料控除として適応されます。
新契約では一般生命保険料控除、個人年金保険料控除、介護医療保険料控除がそれぞれ4万円まで所得税から控除されます。
年間の支払保険料等 | 所得税控除額 |
---|---|
20,000円以下 | 支払保険料等の全額 |
20,000円超 40,000円以下 | 支払保険料等×1/2+10,000円 |
40,000円超 80,000円以下 | 支払保険料等×1/4+20,000円 |
80,000円超 | 一律40,000円 |
旧契約では一般生命保険料控除、個人年金保険料控除が5万円まで所得税から控除されます。
年間の支払保険料等 | 所得税控除額 |
---|---|
25,000円以下 | 支払保険料等の全額 |
25,000円超 50,000円以下 | 支払保険料等×1/2+12,500円 |
50,000円超100,000円以下 | 支払保険料等×1/4+25,000円 |
100,000円超 | 一律50,000円 |
生命保険控除は住民税でも減税の対象です。下表の税率に住民税の税率10%(一律)をかけた金額が実際に負担が軽減される税金の金額です。新契約と旧契約のそれぞれの控除の合計が最大7万円まで住民税の生命保険料控除として適応されます。
新契約では一般生命保険料控除、個人年金保険料控除、介護医療保険料控除がそれぞれ2.8万円まで所得税から控除されます。
年間の支払保険料等 | 住民税控除額 |
---|---|
12,000円以下 | 支払保険料等の全額 |
12,000円超 32,000円以下 | 支払保険料等×1/2+6,000円 |
32,000円超 56,000円以下 | 支払保険料等×1/4+14,000円 |
56,000円超 | 一律28,000円 |
旧契約では一般生命保険料控除、個人年金保険料控除がそれぞれ7万円まで所得税から控除されます。
年間の支払保険料等 | 住民税控除額 |
---|---|
15,000円以下 | 支払保険料等の全額 |
15,000円超 40,000円以下 | 支払保険料等×1/2+7,500円 |
40,000超 70,000円以下 | 支払保険料等×1/4+17,500円 |
70,000円超 | 一律70,000円 |
ここでは確定申告で生命保険料控除を申請する方法と実際の確定申告のやり方を紹介します。確定申告の生命保険料控除申請に必要な書類は生命保険料控除証明です。その証明書を添付して確定申告することで生命保険料控除の申請が完了します。
毎年10月~11月に保険会社から送られてくる「生命保険料控除証明書」を添付して確定申告する必要がありますが、会社員の場合と個人事業主の場合で申告方法が異なります。
会社員の場合は年末調整の時に「給与所得者の保険料控除申告書」に生命保険料控除証明を添付することで生命保険料控除申請が完了します。
個人事業主の場合は確定申告時に生命保険料控除証明を添付し申告することで生命保険料控除申請が完了します。
ここでは実際の確定申告のやり方を紹介します。確定申告が必要な人は個人事業主の他、副業のある会社員や高額所得者です。会社員の大部分は年末調整で所得税等が精算されるため申告は不要です。
確定申告の申告方法は、申告書を税務署に提出する方法とwebサービスを使ってオンラインで提出する方法があります。国税庁は近年e-taxで確定申告することを推奨しています。
パソコン操作が苦手な人は敬遠しがちですが、e-taxを利用した確定申告はサポートが充実しており、はじめての方でもスムーズに確定申告できるようになっています。
記入した申告書を税務署の窓口に直接持参するか、郵送することで手続きを完了することができます。
インターネットを利用した国税庁が運営する「e-tax」というオンラインサービスで、ウェブ上で申告書を作成、オンラインで提出します。e-taxを用いた確定申告は、マイナンバーカードやICカードリーダ、PCの事前セットアップが必要です。
税務署などの確定申告会場で電子申告をする場合は、以下の持ち物が必要です。
この他に必要な方は、生命保険料控除証明書や給与所得の源泉徴収票などの書類を持参します。
紙の申告書で確定申告する場合は、申告書の用紙を国税庁ホームページ「確定申告特集」からダウンロードできるほか、税務署や確定申告会場、市区町村の担当窓口や指導相談会場でも入手できます。
国税庁ホームページの「確定申告書等作成コーナー」を利用すると税額などが自動計算されて税の金額、消費税及び地方消費税並びに贈与税の申告書や青色申告決算書などを作成できます。
使用する申告書 | 使用できる方 |
---|---|
申告書A | 申告する所得が給与所得や公的年金等・その他の雑所得、配当所得、一時所得のみで、予定納税額のない方が使用。 |
申告書B | 所得の種類にかかわらず、誰でも使用できる。 |
申告書Bと第三表(分離課税用)の併用 | ・土地建物等の譲渡所得がある方 ・株式等の譲渡所得等がある方 ・申告分離課税の上場株式等の配当所得等がある方 ・申告分離課税の先物取引の雑所得等がある方 ・山林所得や退職所得がある方 |
申告書Bと第四表(損失申告用)の併用 | ・所得金額が赤字の方 ・所得金額から雑損控除額を控除すると赤字になる方 ・所得金額から繰越損失額を控除すると赤字になる方 |
基本的に毎年2月16日から3月15日までに申告します。前年の1月1日から12月31日までの1年間が課税対象期間です。
確定申告が必要な人は、個人事業主と一部の会社員です。基本的に次の1~4に該当する人は確定申告が必要です。
個人事業主は基本的に確定申告が必要です。ただし、確定申告の際に所得から差し引かれる金額に38万円の基礎控除があります。年間所得が38万円以下の場合と、給与所得以外の収入が20万円を超えない場合は確定申告の必要はありません。
確定申告は個人事業主だけが必要なイメージがありますが、会社員でも確定申告が必要な場合があります。会社員で確定申告が必要な場合は以下の3つの場合です。
確定申告は個人事業主だけでなくサラリーマンの高額所得者や副業している人も必要でした。生命保険料控除額は1年間では微々たるものですが、面倒だからと生命保険料控除申請をしないでおくと数十年後には大きな金額に膨れ上がります。
そうならないためにも、慣れると申請手続きが簡単なe-taxを利用して確定申告してください。
領収書の管理~確定申告までスマホで完結できるクラウド会計サービス「freee」を使うと簡単に確定申告できます。
確定申告のやり方がわかない方も心配ありません。ステップに沿って質問に答えるだけで確定申告書類を作成してくれます。