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【金融の専門家が解説】外貨預金のリスクとは?初心者が損しないために知っておきたい基礎知識

【金融の専門家が解説】外貨預金のリスクとは?初心者が損しないために知っておきたい基礎知識

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山下 耕太郎

山下 耕太郎

証券外務員1種

一橋大学経済学部卒業。証券会社でマーケットアナリスト・デリバティブディーラーを経て個人投資家に転身。投資歴は20年以上。現在は、日経225先物を中心に、現物株、FX、CFDなど幅広い商品に投資しています。証券会社勤務と実際の投資経験を活かし、初心者の方にもわかりやすい記事作成を心がけています。

この記事は約7分で読めます。

国内では低金利が続いているので、外貨での運用を考えている人も多いのではないでしょうか。外貨建ての金融商品の中で、初心者でもチャレンジしやすいのが外貨預金です。いつも利用している国内の銀行でも取り扱っていますし、あくまでも「預金」なので安心感があるからです。

ただし預金といっても、外貨預金には元本割れのリスクがあります。また、手数料や税金などの仕組みが、円預金と異なる部分もあるので注意が必要です。

今回は外貨預金のリスクと対処法について解説します。

なお、外貨預金の基礎知識やメリットが知りたい方はこちらをご覧ください。

 

 

外貨預金の仕組み

外貨預金の仕組み

外貨預金とは、「外国通貨建ての預金」のことです。日本円を日本の銀行に預けている人は多いと思いますが、外国の通貨を銀行に預けるのが「外貨預金」になります。

銀行によって扱っている通貨は異なりますが、以下のような様々な通貨の預金が取りそろえられています。

  • 米ドル
  • ユーロ
  • 豪ドル
  • スイスフラン
  • 英ポンド
  • ブラジルレアル
  • 南アフリカランド

 

預金と貯金の違い

預金とは、「金融機関にお金を預ける」ということです。ですから、外貨預金は「外貨で金融機関にお金を預ける」ことを意味します。

貯金も同じ意味ですが、一般的に郵便局(ゆうちょ銀行)、農協(農業協同組合)、漁協(漁業協同組合)にお金を預けることを「貯金」といい、銀行や信用組合といった民間金融機関のほか、労働金庫では「預金」と呼ばれています。

 

外貨預金にも普通預金と定期預金がある

外貨預金にも普通預金と定期預金がある

外貨預金といっても基本的な仕組みは円預金と同じですし、普段利用している国内の銀行ですぐに始めることができます。また外貨預金の口座にも「普通預金」と「定期預金」があり、あくまでも預金なので元本(預けたお金)は保証されています。

ただし元本が保証されているといっても、あくまでも「外貨建ての元本」である点に注意が必要です。外貨預金に預けた時と引き出す時の為替レート次第では、実質的な元本割れが生じるケースがあるからです。

 

外貨普通預金

外貨預金をする時は、目的に応じ「普通預金」と「定期預金」を使い分けるようにしましょう。外貨普通預金のメリットは、預け入れや引き出しが自由で、いつでも・いくらでも引き出せることです。海外旅行前に一時的に預けておきたい時や、為替差益を狙った運用におすすめです。

ただし、預け入れや引き出しのたびに為替手数料がかかります。つまり、出し入れを繰り返すほど高い手数料支払うことになってしまうのです。為替差益を狙って頻繁に出し入れをしたい場合は、為替手数料の安い金融機関を選ぶようにしましょう。

 

外貨定期預金

外貨定期預金は、一定期間引き出さないことを約束することで、高い金利を得られるというメリットがあります。外貨定期預金は長期的な運用で、高めの利益を得たい時におすすめです。

期間は1カ月や3カ月、1年など目的に応じて自由に選ぶことが可能です。ただし、引き出しは自由にできません。途中で解約するとペナルティが発生します。

期間が長くなるほど金利が高いのが一般的ですが、経済の状況や金融機関のキャンペーンによっては、期間の短い定期預金の金利が高くなることがあるので、こまめにチェックするようにしてください。

 

外貨預金のデメリット

外貨預金のデメリット

外貨預金のデメリットについて確認しましょう。

 

 

元本割れになる可能性がある

外貨預金は、為替レートの変動によって為替差損が発生し、受取時の金額が預け入れの金額を下回る「元本割れ」の恐れがあります。外貨建て資産の外貨ベースの価格が同じでも、その通貨に対して円高が進めば、為替差損を被ることになるのです。

 

為替の仕組み

為替レートの話が出てきたので、為替のしくみについて解説します。

たとえば、米国でしか販売されていない1ドルのハンバーグを、日本人のAさんが買おうとしていると仮定します。Aさんは日本円しか持っていないので、そのハンバーグを買うためには、米ドルを手に入れなければいけません。

1ドル手に入れるために、日本円で100円出せばいいのであれば、米ドルと日本円の為替レートは「1ドル=100円」になります。

しかし、さまざまな要因によって日本円そのものの価値が高くなった場合、1ドル手に入れるために80円を出すだけでよくなり、為替レートは「1ドル=80円」と円高方向に動きます。するとハンバーガーを80円で手に入れることができます。

一方、日本円の価値が下がり、120円出さないと1ドルを手に入れられない場合、「1ドル=120円」の円安になり、ハンバーガーは120円ださなければ買えなくなります。

このように、ある国の通貨と別の国の通貨を交換することを「外為(外国為替)」といい、その交換比率を「為替レート」といい、日々の為替取引の中で変化します。つまり、円高になったり円安になったりということが、つねに起こり続けているのです。

 

外貨預金で元本割れが生じるケース

外貨預金では、預けたときよりも引き出す時に円高が進んでいると、実質的な元本割れが生じるケースもあるので、注意が必要です。具体例を考えてみましょう。

たとえば、100万円を米ドルで預けたとします。預ける時の為替レートが「1ドル=100円」であれば、外貨預金の残高は1万ドルになります。

為替レートが変動し、「1ドル=120円」の円安になったとします。1万ドルの外貨預金を解約して日本円に戻すと、120万円が手元に残ります。この時の為替差益は20万円と大きな利益になりました。

しかし逆のケースも考えられます。100万円預けた時の為替レートが「1ドル=100円」だったのに、それが「1ドル=80円」の円高になると、日本円に換算した場合は80万円まで目減りしてしまうのです。

その場合、再び円安に動くのを待って外貨預金に預けたままにしておくか、それ以上の損失を避けるため早めに解約するしかありません。

 

手数料がかかる

国内の円預金と外貨預金のもう一つの大きな違いは、円と外貨を交換するための手数料(為替手数料)がかかることです。円預金から外貨通貨に預ける時は「TTS(対顧客電信売相場)」、引き出す時は「TTB(対顧客電信買相場)」と呼ばれるレートが適用されます。

これは為替手数料込みの為替レートと考えることができます。外貨預金をする際にはこの手数料も考慮しなければいけません。たとえば、多くの銀行では「1米ドルで1円」の為替手数料がかかります。

しかし、楽天銀行では「1米ドルにつき25銭」と4分の1のコスト負担で済みます。為替手数料は金融機関によって大きく異なるので、必ず比較した上で決めるようにしましょう。

ただ為替手数料が安い金融機関でも、頻繁に出し入れをするとその度に手数料がかかってしまいます。円預金の感覚で気軽に行っていると為替手数料が差し引かれるので、利息が減ってしまうばかりではなく、元本割れしてしまうリスクもあるので注意しましょう。

 

外貨預金の税金

円預金でも外貨預金でも、同じように利息の一部が税金として差し引かれます。しかし、税金を差し引いてもマイナスになることがない円預金と、外貨から円に換算した時に元本割れしていても税金が差し引かれる外貨預金には、大きな違いがあります。

外貨預金を円に戻す時、円高が進んで利息でカバーできないほど為替差損が発生していても、税金を支払わなければならないからです。外貨預金の利息に対する税額は、円預金と同じ20.315%(国税15.31%+地方税5%)です。

また、外貨預金の為替差益の税金には注意が必要です。利息にかかる税金は一定割合が自動的に差し引かれますが、外貨預金の為替差益は税法上の雑所得として扱われるため、確定申告が必要だからです(税額は利息と同じ20.315%)。

ただし、年収が2,000万円以下の会社員で、為替差益を含めた給与以外の所得が20万円以下であれば申告不要です。また為替で損失が出た場合(為替差損)は、雑所得から控除できることを覚えておきましょう。

 

外貨預金はペイオフの対象外

ペイオフとは、銀行が破綻しても元本1,000万円とその利息が保護される仕組みのこと。正式には「預金保険制度」といい、預金保険法という法律で定められています。預金保険制度は、政府や日銀(日本銀行)・金融機関によって設立された預金保険機構で運営されているのです。

円の普通預金や定期預金など大抵の預金がペイオフの対象となっていますが、外貨預金は対象外。つまり、外貨預金をしていた銀行が破綻してしまった場合、その預金が戻ってこない可能性があるのです。

 

為替差損のリスクを低くする方法

為替差損のリスクを低くする方法

為替差損が発生した場合でも、外貨預金の利息が元本の減少分を上回っていれば、結果的に総額はプラスになります。

たとえば金利が高い通貨を長期的に保有しておけば、それだけ利息を多く受け取れるので、為替変動による元本割れリスクを相対的に低くできるのです。また資産を分散させ、リスクを軽減することもできます。

 

 

初心者におすすめの資産運用は積立投資

外貨預金の「為替変動リスク」を抑えるには、次の2つの方法があります。

 

通貨の分散

1つ目は米ドルとユーロなど、値動きの異なる複数の通貨に分散投資することです。一つの通貨で損失が出ても、他の通貨では大きな損失が出なかったり、利益が出たりするので、大きなダメージを受けずに済みます。

 

時間の分散

2つ目は、預ける時期や引き出す時期を分けることです。為替レートは短期的に大きく動いても、長期でみれば元に戻ることがあります。一度にまとまったお金を動かすのではなく、時期をわけて外貨預金することで、為替リスクを軽減できます。

以上のような分散投資を行う際は、「自動積立投資」サービスを利用すると便利です。すでに持っている円預金から、毎月一定額を引き落として米ドルなどの外貨に交換していくのが、自動積立投資サービスです。

自動積立投資サービスは、円高の時でも円安の時でも同じ金額を外貨に交換するので、「為替レートを平均化」できるというメリットがあります。為替レートの変動を気にしたくない人や、外貨に交換するタイミングがわからないという人におすすめです。

ただし、為替レートを平均化してリスクを軽減できますが、損失がでる可能性がなくなるわけではありません。余裕資金で運用することや、いくつかの通貨に分散投資することも必要です。

 

外貨預金のリスクに関するまとめ

外貨預金には、以下のようなリスクやデメリットがあります。

  • 為替変動リスク
  • 手数料がかかる
  • 税金がかかり、確定申告が必要になる場合もある
  • ペイオフの対象外

特に為替変動リスクには注意が必要です。円高が進むと元本割れして損失が膨らむからです。ただし、複数の通貨に分けて預けることや、買い付けのタイミングをずらすことでリスクを軽減できます。

その際は、自動積立サービスを利用するのがおすすめです。自動積立サービスがあるのか、手数料は安いのかなどを比較して金融機関を決めるようにしましょう。

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