- 遺族年金は高齢者だけの年金ではない。
- 若くして死別した場合でも遺族年金を受給できる。
- 遺族基礎年金は自営業者などが対象。
- 遺族厚生年金は給与所得者が対象。
- 遺族基礎年金では子供の有無が算定基準。
- 遺族基礎年金は該当すれば支給額は一律。
- 遺族厚生年金の算定基準は複雑な為シミュレーションを活用しよう。
公開日:2020年1月30日
結婚し、ともに家庭を築いてきた配偶者が逝去することは、縁起でもないので本来ならあまり考えたくないものです。
しかし、万が一そのようなことになってから考えるとなると、配偶者の死後は各種手続きでの時間も必要となりますし、事務手続きと並行して考えることも多いとなると、心身ともに大変お辛いかと思います。
不幸にも若くして配偶者と死別し、幼い子供を抱えたまま未亡人になる方も中にはいらっしゃいます。遺族年金制度とは、高齢者になってからの死別のみが対象ではありません。
では、配偶者と死別した場合の生活保障などはどうなるのか、最低限の知識は前もって身に付けておくと安心でしょう。本記事では、配偶者と死別したその後の生活費として受給する【各種遺族年金】について、いくらもらえるか等についても解説していきます。
遺族年金とは、その名の通り「世帯主(正式な呼び名は生計維持者と言います)の逝去に際し遺された遺族に対し年金形式で支払われるお金」のことです。遺族年金といってもその内訳は2種類あり、一つは【遺族基礎年金】、もう一つは【遺族厚生年金】です。
遺族の補償として【基礎年金】だけなのか【厚生年金】だけなのか、どちらとも受け取ることが可能かの違いがあります。この場合における受給権の算定基準となるのが、世帯主の年金加入状況です。
フリーランスや自営業の方で、国民年金だけ加入していた(現在加入中)のか、会社員などの給与所得者として厚生年金に加入していた(現在加入中)のかが、遺族年金を決める大きなポイントとなります。
以下、亡くなった方が【厚生年金加入】か【国民年金加入】か、それぞれについて概要をまとめていきます。
通常「年金」と聞くと、大半の方が「老齢年金」をイメージするでしょう。一般的にはそのとおりで、一定の年齢に達した高齢者の方がもらっているのが、一般的な「年金」です。しかし実は年金制度には、この老齢年金以外にあと二つの年金があります。
ひとつは今回のテーマである【遺族年金】であり、もう一つは【障害年金】です。この遺族年金と障害年金に関しては、若年層であってもこれらの事由に当てはまれば、年金としてお金を受け取る権利が発生します。
すなわち、老齢年金のみ一定の年齢以上に達しなければもらえない年金であり、他の二つの年金に関しては年齢問わず誰もが受給対象になり得るということです。
もちろん受給するためには年金保険料を納付していること等の要件はありますが、年金には3種類あると覚えておくと良いかと思います。
お亡くなりになった方が生前会社員などサラリーマン(給与所得者)だった場合、ご遺族に何らかの遺族年金が支払われる要件として、ご本人(世帯主・生計維持者)が以下の要件の内いずれかに該当しなければ、ご遺族は補償を受けることができません。
この長期要件のいずれかに該当する場合は、加えて以下の年金保険料の納付に関する要件にも当てはまる必要があります。
お亡くなりになった方が、生前に自営業者やフリーランス等で国民年金のみの加入だった場合、そのご本人が以下の要件の内いずれかに該当していなければ、ご遺族は遺族年金を受給できません。
さらに、厚生年金加入の場合の長期要件で解説したものと同じ「老齢基礎年金の受給資格期間が25年以上ある」「特別措置として令和8年3月31日までに65歳未満でお亡くなりになった場合、死亡の前々日までの1年間に保険料の滞納が無い」という要件も必須です。ご注意ください。
遺族年金を受け取る為の要件として、亡くなられた方だけでなく、残されたご家族の要件もあります。亡くなった方の生前の働き方によって大きく2つに分けられます。サラリーマンの場合、自営業者の場合に分けて解説していきます。
亡くなった方がサラリーマンだった場合、ご遺族は「遺族基礎年金」と「遺族厚生年金」のいずれからも貰える権利があります。ただし、遺族が以下の要件を満たすことも必要です。
上記の要件は「第一順位」の場合です。この後第一順位に該当する方がいない場合、それ以降の順位として「父母」や「孫」「祖父母」に受給権が発生することもあります。
亡くなった方が自営業者の場合は、ご遺族が受け取ることのできる遺族年金は「遺族基礎年金のみ」となります。さらに遺族が受給できる条件として、以下の条件に該当しなければなりません。
世帯主が自営業者で配偶者が専業主婦で、なおかつ18歳未満のお子様がいらっしゃらない場合、上記の受給要件のいずれにも該当しないということになり、結果として【遺族基礎年金】は受給できません。
この場合は将来の老後資金に対策として、早い内からご夫婦で話し合い備えておく必要があります。
上記のようにお子さんが居ないご夫婦の場合、条件によっては遺族に対する補償が全く受けられない、ということも考えられます。例えば、ご夫婦二人で美容室や飲食店など自営業を営んでいる場合などは早めの対策がポイントです。
世帯主様がお亡くなりになった後、お仕事自体の存続をどうするかも考える必要があり、さらに店舗兼住宅の場合は「お店を閉店せざるを得ない場合の住居」についても問題となる場合があります。
このように、ご夫婦二人ともが国民年金のみ加入している場合は、万が一に備えて多角的なプランニングが必要です。
世帯主(生計維持者)がサラリーマン等の給与所得者で、厚生年金加入の場合、遺族年金(基礎・厚生)どちらの受給要件も満たしている場合は、合わせた額を受給することが出来ます。
一般的な例としては「18歳未満の子のいる妻」ですが、実際の年金受給に関しては個別条件が違いますので、年金事務所等でお尋ねください。
受給の金額は、遺族厚生年金に関しては亡くなられた方の生前の給与に比例し算定されます。一方遺族基礎年金は、要件に該当さえすればどなたにでも一律同じ額が支給されます。
【遺族厚生年金】の額の算出に関しては、平均標準報酬月額や亡くなられた方の年金加入期間等を基に、所定の倍率をかける等細かく計算をします。
また、毎年少しずつ改定も行われており1円単位で変動していることから、遺族厚生年金の支給額に関してはご自身での計算はオススメしていません。
概要を計算してみたい方は、遺族厚生年金のシミュレーションを無料で利用できるウェブサイトもありますので、そちらを利用すると良いでしょう。
遺族基礎年金はどなたにでも一律です。計算式は以下の通りです。
【780,100円+子の加算】★第2子までは一人当たり224,500円、★第3子以降は一人当たり74,800円
遺族基礎年金、遺族厚生年金いずれも、2カ月に一度指定した金融機関への振込が原則です。また、毎年料率の改定も行われており、おおむね毎年少しずつ減っているのが現状です。
いかがでしたか。お子様の有無によって受給できなかったり、死別した時の配偶者の年齢などによっては途中で打ち切られることもあるという事実は、なかなかショッキングな内容だったのではないでしょうか。
遺族年金の制度自体は広く知られていますが、条件によっては受け取ることが出来ない場合があることも、今回を機に知って頂くことが出来たかと思います。
さらに、今回の記事を読んで遺族年金の受給要件に該当しないと判明した方は、今からでも備えをスタートすることが可能です。遺族年金に代わるような老後資産作りを早速はじめませんか。
おひとりでの生活になると、これまでの生活費から何割くらい抑えれば暮らしていけそうか等も考慮する必要があります。
夫婦、また家族が健康で末永く時間を過ごすことが大前提ではありますが、万が一の場合の知識を持っておくかおかないかは、その万が一が訪れたときに慌てず対応できるポイントとなります。
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