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再婚したらどうなる?元配偶者の遺族年金の受給資格者&仕組みをFPが解説

再婚したらどうなる?元配偶者の遺族年金の受給資格者&仕組みをFPが解説

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大野 翠

大野 翠

芙蓉宅建FPオフィス代表、宅地建物取引士、2級FP技能士(きんざいFPセンター正会員)

芙蓉宅建FPオフィス代表。金融業界歴10年目(2020年現在)。お金と不動産の専門家。生命保険、損害保険、各種金融商品の販売を一切行わない「完全独立系FP」として、プロの立場から公平かつ根拠のしっかりしたコンサルティングを行っています。一般消費者の金融に関する苦手意識を払拭すべく、ライフワークとして「超・初心者向けマネー勉強会」を毎月テーマを変えて開催しています。

この記事のポイント

  • 基本的に再婚後は配偶者に対する遺族年金は全て消滅する。
  • ポイントは子供の有無。
  • 子供が新しい配偶者と養子縁組すると遺族厚生年金のみ受給。
  • 養子縁組しない場合は、基礎・厚生もどちらもそのまま受給。
  • 再婚後は「遺族年金失権届」を提出する。

この記事は約6分で読めます。

配偶者と死別した後、良きパートナーに恵まれ再び人生を共にする方もいらっしゃるでしょう。今後高齢化が進むのは間違いありませんから、長い人生を歩んでいくために家族がいるのは心強いものです。

もし素敵なご縁があって再婚することになった場合、これまでに受け取っていた遺族年金については一体どうなるのでしょうか。今回は、再婚後の遺族年金(基礎・厚生)の取り扱いに関して、いくつかタイプ別に分けて解りやすく解説します。

なお、基本となる遺族年金の概要についても触れながら進めていきます。

 

遺族年金の概要

遺族年金の概要

遺族年金とは、【遺族基礎年金】と【遺族厚生年金】の二種類があります。フリーランスや自営業で国民年金のみ加入している場合は基礎年金のみを、会社員等の給与所得者の方で厚生年金に加入している場合は、基礎・厚生の二つとも受け取る権利があります。

細かな受給要件の概要は、以下でポイント解説をします。

 

受給資格者の年収制限

生前、厚生年金に加入していた方のご遺族には、収入の上限の定めがあります。その他の要件も満たし、なおかつ年収850万円未満の配偶者は遺族厚生年金を受け取る権利が生じます

遺族が妻の場合、この年収制限のみに該当すれば【遺族厚生年金】を受け取りますが、ここで問題となるのが《夫が遺族になった場合》です。

妻が死亡し【遺族厚生年金】の受給対象となった夫の場合、850万円未満という年収制限に加えて、夫の年齢が55歳以上の際に妻が亡くなった場合、夫が60歳以降にならなければ【遺族厚生年金】をもらうことができません。

例えば若くで奥様と死別されシングルファーザーになった場合でも、年収に関係なく年齢条件に該当しない場合は一切【遺族厚生年金】が支給されないという事です。

 

対象者

まず【遺族基礎年金】の受給対象者は《子または子のある配偶者》とされています。以前は「子のある妻」に限定されていましたが、近年の家族環境の多様化を受けて改正され、現在では夫婦どちらも対象となりました。

【遺族厚生年金】を受け取ることが出来る順番として、第一に「配偶者」「子」です。遺族厚生年金における配偶者は、お子さんが居なくても受給対象者となります。ただし、夫の死亡時に妻が30歳未満でなおかつお子さんがいらっしゃらない場合は、5年間のみの期間が定められています。

 

①子供のいない妻(夫婦のみ世帯)の場合

①子供のいない妻(夫婦のみ世帯)の場合

子どものいない妻が新しいパートナーと再婚する場合、遺族年金は打ち切りとなります。この場合の「遺族年金」とは【遺族厚生年金】を指します。

なぜなら、遺族基礎年金の受給要件として「子」または「子のある配偶者」ですから、お子さんのいらっしゃらない場合は【遺族基礎年金】の受給対象者には該当しません

入籍の有無に関わらず、生活を共にして夫婦同然の暮らしをしている相手がいる場合(いわゆる内縁や事実婚と呼ばれる状態)は再婚とみなされます。未入籍だからバレないだろう等の問題ではありません。年金制度全体において、このような不正受給は厳しく処罰されます。

 

この場合の受給資格者

①の場合に受け取ることが出来る人は存在しません。そもそも遺族年金とは、生計維持者の死亡により同一生計だったご家族が生活に困窮しないように支給されるものです。

お子さんのいらっしゃらない配偶者が新たなパートナーと再婚すれば、そこで新たな生計維持関係が発生しますから、従前の年金は打ち切りになるという事です。

 

②子供のいる妻の場合

②子供のいる妻の場合

子どものいる妻の場合、さらに2つに分けて解説します。お子さんと新しいパートナーとの養子縁組を行うか否かで、これまで受け取っていた遺族年金の支給状況が大きく変わります。

子供のいる妻の遺族年金についての共通事項として【妻の年金と子の年金】を合算して、ここでいう母である妻が受け取っています。再婚すれば当然、妻は全ての遺族年金が打ち切りになります
子に関しては、新しい夫と養子縁組するか否かで、基礎年金と厚生年金の取り扱いが全く変わってくるということです。

 

養子縁組する場合

再婚し、子供と新しいパートナーを養子縁組する場合でも、基本的に子の持つ遺族年金を受け取る権利は同じで変わりません。

ただしもともと基礎・厚生のどちらも受け取っていた場合、養子縁組後は遺族厚生年金のみの受給となります。この場合も当然に再婚した妻の遺族年金は打ち切りとなります。

 

この場合の受給資格者

この場合に受け取ることが出来るのは《子》のみです。ただし基礎年金部分は消滅し、厚生年金のみ存続となります。

 

養子縁組しない場合

妻が再婚し、事情があってお子さんと新しいパートナーを養子縁組しない場合(たとえば親族に預ける等)、お子さんの持つ遺族年金の権利はいずれもそのままです。

つまり、母親が再婚しても新しい配偶者と子を養子縁組しなければ、お子さんの年金は再婚前と同じ状態であるということです。また、再婚すれば当然に妻は全ての遺族年金は打ち切りです。

 

この場合の受給資格者

この場合で年金を受け取ることが出来るのは「子」のみです。ただし新しい親と養子縁組をしていないことから、遺族年金(基礎・厚生)いずれもこれまで同様に受給することができます。つまり子にとっては、母親の再婚前と何も変わらないということです。

 

③新しい配偶者が死亡した場合

③新しい配偶者が死亡した場合

夫と死別した妻が子供を連れて再婚した後、新しい配偶者が亡くなった場合も養子縁組の有無により受給権が違ってきます。妻の場合、子の場合、それぞれに分けて解説します。

 

養子縁組していた場合

前提条件として、新しい配偶者が会社員で厚生年金加入・子が18歳未満であるとした場合、妻は【遺族基礎年金】【遺族厚生年金】を受け取ることになります。

子が養子縁組をしていた場合は、子にも遺族基礎年金と遺族厚生年金の権利が発生しますが、合わせて母親(妻)への支給となります。

 

養子縁組していなかった場合

養子縁組をしていなかった場合は、新しい配偶者(新しい父親)の子に対する遺族年金に関してなんの権利も発生しません。

妻は婚姻関係にあったので、夫の死亡に伴い遺族厚生年金を受け取ることになります。すなわち、この場合に年金を受け取るのは《妻のみ》ということです。

 

【補足】遺族厚生年金の支給額

遺族厚生年金の額は、亡くなった方の収入に応じて決まります。詳細な額は年金事務所などでご相談することになりますが、最近では、年収等のデータを入力すると、簡易的に遺族厚生年金の額を調べることが出来るシミュレーションがウェブ上で公開されています。

安心できるサイトで調べてみるのもオススメです。

 

④子供を引き取って再婚した夫が死亡した場合

④子供を引き取って再婚した夫が死亡した場合

当初の離婚の際に、子が妻でなく夫に引き取られ、さらに夫が子供を連れて別のパートナーと再婚し、その後死亡した場合は少々複雑です。まず、既に離婚しているので当然に前妻は何の遺族年金も発生しません。

元夫の死亡により受給権が発生するのは、後妻にあたる新しい配偶者と、夫が引き取った子です。この場合、後妻と子が養子縁組をしていなかったとしても、子も後妻も遺族基礎年金・遺族厚生年金の対象者となります。

いずれにしても、お子さんは絶対的にその年金の権利を失うことはありません。

 

【補足】⑤子供のみが受給者になる場合

親権者不在で、不幸にも子供たちだけが遺された場合、その子供たちに対して直接【遺族基礎年金】が支払われます。遺族基礎年金を受給できる対象者として《子または子のある配偶者》です。

亡くなった方から見て配偶者、お子さん達から見ると親が不在であっても、子に対する年金の権利は残ります。付随して、お子さんたちだけになってしまった場合でも、然るべき行政サービスを受けることが出来ます。

 

再婚する場合の手続き

再婚する場合の手続き

これまでに遺族年金をもらっていた方が再婚する場合、「遺族年金失権届」という書類を自ら年金事務所へ提出しなければなりません。再婚の際、この失権届の提出を失念してしまうと後で大変なことになります。

遺族基礎年金は14日以内に、遺族厚生年金は10日以内に、お住まいの地域の年金事務所や関連の出張所まで提出しましょう。

 

遺族年金受給者の再婚に関するまとめ

遺族年金を受給している方が、新しいパートナーと再婚する場合、再婚にもいろんなパターンがありますが、全てに共通していることとして《配偶者は再婚後に全ての遺族年金受給権を失う》という事です。

一方子どもの場合は、新しい配偶者との養子縁組の有無によって遺族厚生年金のみになることはあっても、全ての遺族年金が打ち切られることはありません。いかなる場合でも子どもは守られるべき存在です

また、再婚したら自動的に遺族年金が打ち切られるわけではありませんので、必ず年金事務所等へ【遺族年金失権届】を自ら提出しましょう。

個別案件のご相談結果は様々です。個別のご不明点は、ご自身にて年金事務所等でご相談ください。

 

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