- マザーズorジャスダックに上場するIPO銘柄が狙い目。
- IPOの取扱数・主幹事数が多い証券会社がおすすめ。
- IPOに強い証券会社は、SBI証券・マネックス証券・SMBC日興証券など。
公開日:2020年8月13日
「IPOに申し込んだのに、なかなか当たらない。どこの証券会社で申し込んだらいいの?」、そんな風に思ったことはありませんか?IPOの最大のデメリットは、抽選で当選しないと買い付ける権利を得られない点です。しかも、当選確率は非常に低いのが現状です。
そこで今回はIPOの当選確率を少しでも上げるために、IPOに強い証券会社を紹介していきます。併せて初値が上がりやすいIPO銘柄の特徴なども解説しますので、IPO投資をする際にご参考にしていただけたらと思います。
目次
それでは、まず通常の株取引(すでに上場している株を売買する株取引)にはないIPOの魅力を2つ見ていきましょう。
IPOの最大の魅力は、短期間で大きな利益を得られる可能性が高いという点です。投資家はIPO銘柄を上場前に事前に提示された公募価格で購入し、上場後にいつでも売却することができます(もちろん、そのまま保有し続けたり、買い増しすることも自由です)。
公募価格:新規に上場する株式(IPO銘柄)を購入する際の価格のこと。
そして、多くのIPO銘柄が公募価格よりも初値(上場後に初めて付く株価)のほうが高くなるのです。しかも、初値が公募価格の2倍・3倍になることも珍しくありません。
2019年の新規上場をしたIPO銘柄は全86社。その内、初値が公募価格を上回ったのは86社中75社と、全体の87%を占めています。
つまり、初値で売却をすれば、IPOの申し込みから上場までの2~3週間という短期間で、投資した資金を一気に2倍・3倍にも増やすことが可能なのです。
それでは初値で売却した場合、具体的にどれくらい利益を上げられるのでしょうか。2020年7月の記事執筆時点で今年新規上場したIPO銘柄は39社あります。そのうち直近上場した10銘柄の公募価格と初値を見てみましょう。
上場日 | 企業名 | 公募価格 | 初値 | 初値/公募価格(倍率) | 初値売却時の利益(100株単位) |
---|---|---|---|---|---|
6/24 | ロコガイド | 2,000円 | 4,605円 | 2.30倍 | +260,6500円 |
6/24 | フィーチャ | 520円 | 4,710円 | 9.06倍 | +419,000円 |
6/26 | コマースOneホールディングス | 1,600円 | 6,970円 | 4.36倍 | +547,000円 |
6/29 | エブレン | 1,350円 | 5,000円 | 3.70倍 | +365,000円 |
6/30 | グッドパッチ | 690円 | 2,757円 | 4.00倍 | +206,700円 |
7/7 | Branding Engineer | 490円 | 2,920円 | 5.96倍 | +243,000円 |
7/10 | Speee(スピー) | 2,880円 | 5,150円 | 1.79倍 | +227,000円 |
7/15 | GMOフィナンシャルゲート | 2,540円 | 6,550円 | 2.58倍 | +401,000円 |
7/15 | アイキューブドシステムズ | 3,120円 | 9,430円 | 3.02倍 | +631,000円 |
7/15 | KIYOラーニング | 2,300円 | 5,360円 | 2.33倍 | +306,000円 |
直近10銘柄はすべて初値>公募価格という実績でした。公募価格に比べて初値が2倍~4倍の銘柄が多く、中には9倍以上になっている銘柄もありますね。一方で、2020年1月~2020年7月までのIPO銘柄の中で、公募価格割れをしてしまった銘柄が18銘柄あります。
公募価格割れ:初値<公募価格になること。
2020年前半は、約半分のIPO銘柄が公募価格割れというかなり悪い結果となりました。ただし、これは18銘柄すべてが3月~4月上旬に集中しているので、新型コロナウイルスによる歴史的な市場環境の悪化が大きな要因と考えらます。
なお、直近5年間のIPO銘柄のうち、初値>公募価格となった銘柄は8割~9割に上っています。
IPO銘柄を買い付ける際は、通常の株取引でかかる買付手数料が発生しません。そのため、公募価格×購入株数が必要な購入資金額となります。
IPO投資では初値が公募価格を大きく上回る確率が非常に高いです。一方で、中には初値<公募価格になってしまうIPO銘柄も中にはあります。そこで、ここでは初値>公募価格になる可能性の高いIPO銘柄の特徴を解説していきます。
IPO銘柄の成長性が高いと、投資家の人気を集めるため、初値が高くつきやすいです。逆に、成長性がほとんどないと見られるIPO銘柄には買い手がつきづらいという傾向があります。
成長性を見極めるためには、過去の業績をチェックし、売り上げや利益が順調に右肩上がりで上がっているか、その企業が属する業界は今後市場拡大が見込めるのかどうかなどを確認しておきましょう。
いくつかある市場の中で、マザーズorジャスダックに上場するIPO銘柄は、ほかの市場に上場する銘柄よりも初値が飛びやすい傾向にあります。これは、どちらの市場も今後の成長が期待できるベンチャー企業が多く上場するためです。
また、マザーズとジャスダックを比べると、マザーズのほうが成長力のある企業が上場する傾向があるため、どちらかと言うとマザーズに上場するIPO銘柄のほうがおすすめです。
IPO銘柄の知名度にも初値は影響されます。知名度がある企業のIPOには、「あの企業が上場するなら買ってみようかな」と、普段IPOに参加しない投資家が申し込みや買い付けをすることがあります。そのため知名度があると買い付ける人が多く、初値が上がりやすい傾向にあるのです。
2015年に上場した日本郵政やゆうちょ銀行、かんぽ生命保険、2016年に上場したJR九州は初値>公募価格でした。一方で、2018年に上場したソフトバンクは公募価格割れをしてしまいました。ソフトバンクが公募割れした要因の1つに、上場前に大規模な通信障害を発生させてしまい、それが投資家心理に悪影響を与えたこと、という指摘もあります。
他社にはない事業内容を展開している企業のほうが、初値が高くつきやすい傾向にあります。それらの企業は競合他社が少なく、今後の成長力に期待をする投資家の買いを誘いやすいためです。
前章では初値>公募価格になりやすいIPO銘柄の特徴をお伝えしました。しかし、いくらよいIPO銘柄を見つけても、当選しなければ意味がありません。そこで、この章ではなるべくIPOの当選確率を上げるための証券会社選びのポイントを3つ紹介していきます。
IPOの当選確率は非常に低く、100回申し込んで1回~2回当たる程度だと言われています。そのため、IPO銘柄の取り扱いの多い証券会社で、より多くの抽選機会を確保することが重要です。
年間数社の取り扱いをしている証券会社と、何十社と取り扱っている証券会社では、抽選に参加できる回数に大きく差が出ます。当選するためには、IPOの取扱数が多い証券会社を選び、数を打つことが大切なのです。
企業が新規上場する際には、4社~7社の証券会社がさまざまなサポートをします。主幹事証券会社とは、その中でも主導的な役割を果たす証券会社を指します。実はこの主幹事証券会社は、売り出すIPO銘柄の株数のうち、約7割~9割程度を受け持っているのです。
つまり、主幹事の証券会社は投資家へ割り当てるIPOの株数の絶対数が多いため、それだけ当選する投資家も多いことになります。そのため、主幹事を多く務める証券会社は狙い目です。
IPOの割り当て方法は証券会社によって異なります。取引実績や資金量に関係ない平等な抽選方法を採っている証券会社もあれば、抽選によらず証券会社側が任意で配分をする方法もあります。また、この2つの配分方式をミックスしている証券会社もあります。
特に取引実績の少ない株式投資初心者は、取引実績や預けている資金量に関係ない、当選確率が皆平等な抽選方法を採用している証券会社を選んだほうがよいでしょう。
それではIPO投資をする際に口座を開く証券会社はどこがいいのでしょうか。最後にIPOに強い証券会社をランキング方式で5社紹介しますので、参考にしてみてください。
第1位はネット証券最大手のSBI証券。まず、SBI証券は、IPO銘柄の取扱数がほかの証券会社に比べ非常に多いです。2019年には86社が新規上場しましたが、SBI証券はそのうち82社を取り扱っていました。2020年も引き続き、取扱数は豊富です。
つまり、現状SBI証券に口座を持っていれば、IPO銘柄の大半に申し込みができる、ということです。
SBI証券には、IPOチャレンジポイントというSBI証券独自の特徴的な制度があります。この制度では、抽選に外れた回数に応じてポイントが加算されます。
そして、次回以降の抽選時にこのポイントを使用すると当選確率が上がる、という仕組みになっています。つまり、抽選に外れても決して無駄にはならず、外れれば外れるほど、次回以降の当選する可能性が高まるのです。
なお、抽選方法は、個人顧客へ配分予定数量の70%が抽選(申込株数単位)、30%がIPOチャレンジポイントに基づく配分となっています。
第2位はネット証券のマネックス証券。マネックス証券の特徴は取扱数が豊富な点です。2019年は45銘柄/86社を取り扱っており、ここ数年は50社前後取り扱っています。おおむねマネックス証券では全IPO銘柄のうち、半分以上に申し込みができるイメージです。
さらにマネックス証券は、申し込み数や取引実績、資金量が当選確率に反映しない抽選方法を採用しているため、誰もが平等に当選する可能性があるのも大きなポイントです。
主幹事数と取扱数が業界でも有数なSMBC日興証券が第3位です。2019年の主幹事数は20社と第2位で、取扱数は61社に上り、2020年も7月時点で7社の主幹事を務めています。
SMBC日興証券では、一般投資家へ販売する数量のうち、最大15%が抽選に回ります。15%のうち、10%前後が1人1票の平等なチャンスのある抽選方法のため、少額の申し込みであっても当選する可能性があるのです。
また、残りの5%/最大15%部分に関しては、オンライン取引のダイレクトコースの中で、抽選で落ちてしまった申し込み者を対象に、預かり資産額に応じて当選確率が変わる抽選方法を採っています。
第4位は業界最大手の野村證券。野村證券の特徴は、主幹事数が毎年トップクラスに多いことです。主幹事を狙ってIPOの申し込みをしたい人にはぴったりの証券会社です。ただここ数年の取扱数が、SMBC日興証券と比べて30社前後下回っているため、第4位としました。
野村證券では、顧客へ割り当てるIPOのうち、90%が営業マンなどの裁量で配分する裁量配分を、10%がネット抽選による当選確率が平等な抽選方法を採っています。
また、野村證券は事前入金不要で、手軽に申込みができるのも特徴です。ただし、野村證券の口座数の多さや、事前入金不要で申し込みができる手軽さから、申込みの絶対数が多く、当選確率は厳しいケースが多いでしょう。
第5位はネット証券口座数No.2の楽天証券です。楽天証券は最近IPOに力を入れてきており、2019年の取扱数は26社と特筆して多いわけではありませんが、ここ数年は取扱数が伸びています。
なお、抽選方法は取引実績や資金量によらない完全平等な方式ですので、誰でにもチャンスがあります。
今回はIPOの魅力やIPOに強い証券会社などを紹介してきました。IPO投資は当選確率は低いですが、当たれば短期間で利益を上げられる可能性が高く、とても魅力的な投資方法です。
今回紹介したIPO銘柄や証券会社の選び方を参考にしていただき、IPO投資をご検討いただければ幸いです。