- 連帯保証人が必要な融資形態がある。
- 連帯保証人なのか連帯債務者なのか違いを知っておく。
- 連帯保証人になる際はしっかりと確認しておくこと。
公開日:2020年2月4日
最近では住宅を購入する方が増えてきました。必ずついて回る相談は「住宅ローン」です。今回は住宅ローンに関するテーマで解説を行っていきます。
中でも、「連帯保証人」が必要なケースや、そうでないケースとあり、自分はどっちなんだろうと気になる方もいらっしゃるかもしれませんね。これから住宅を購入する方は事前に読んで頂きたい解説です。
住宅購入する際、現金で一括購入する方はほとんどいません。理由は簡単です。高額な金額になるからです。その時、ローンを組む事になりますが、各金融機関が商品として持っているのが「住宅ローン」です。
住宅ローンは家や土地を購入する時に利用します。金額も様々ですが、住宅ローンを組む時に「連帯保証人」が必要だと言われる事もあります。逆に「保証会社」で大丈夫ですよと言われる事もあります。この違いや保証会社に関してこれから解説していきます。
まず、住宅ローンを組む際に、審査が必ず発生します。収入や借り入れ状況、勤続年数、購入価格等調べられます。
特に何も問題無く審査に通れば融資実行となりますが、金融機関としては「融資はできるけど、もしもの事があったら回収できるかな?」と懸念は払拭できません。そこで、「保証会社」での審査も行う事になります。
保証会社とは借主が返済出来なくなった場合に、支払いを代行する会社の事を言います。連帯保証人の代りであると考えて下さい。
保証会社は賃貸物件やローン保証に利用されますが、支払いを代行してもらっても、返済先が金融機関から保証会社に変わるだけですので、債務が無くなる事ではありませんのでご注意下さい。
この保証会社の審査を通過し問題無いと判断された方は、住宅ローンを1人の名義で借りる事(単独融資)が可能になります。以前は連帯保証人等を必要とする事が往々にしてありましたが、時代の変化と共に連帯保証人ではなく、保証会社を通じる事が一般的なスタイルになっています。
先程の審査でもしも引っかかってしまった場合、連帯保証人が必要になるケースがあります。例として、クレジットカードの債務額が多い場合、本人の収入だけでは借入希望額に到達しえないので、配偶者の収入を合算する場合等です。
連帯保証人が必要なケースの詳細は後述していきますが、保証会社を通じても連帯保証人が必要なケースもありますので、参考までに知っておいて下さい。
ここで少し予備知識を解説しておきたいと思います。少し混同し易いのが「保証人」と「連帯保証人」という一見すると同じ言葉ですが、実は意味は全く異なりますので補足しておきますね。
結論から言うと、「催告と検索の抗弁権」が有るのか、無いのかという違いがあります。イメージし易いように会話形式での解説をしていきます。
銀行「借主さんが、住宅ローンの支払いをしてくれませんので、代わりに支払ってくれませんか?」
保証人「いやいや。ちょっと待って。いきなりそんな事言われてもね。先に借主に言ってくれないかな?」
このケースの場合、保証人は支払いをしたくないので借主にもう一度言う様になっていますよね。この催促(督促)に対し抗う(抵抗する)権利があるのが保証人で、連帯保証人はその権利はありません。よって支払いをしなければならない義務を負う事になります。
銀行「借主が支払いをしてくれないので、保証人さんの財産を差押えますからね!」
保証人「いやいや。ちょっと待って。借主をさしおいて、私に来るのはおかしいでしょ!先に借主から差押えして下さいよ!」
このケースでは話がこじれて財産差押えと物々しい事になっていますね。当然保証人は差押えられたくないですから、先に借主を差押えてくれと権利を主張する事ができます。連帯保証人の場合はその権利が無い為、差押えられる事になります。
今ではどの金融機関も連帯保証人として契約するケースが殆どです。これは住宅ローンに限らず、金銭貸借の保証人、連帯保証人でも同じことです。保証人や連帯保証人を頼まれたら、慎重に判断しましょう。
もう一つ予備知識を。連帯保証人と混同しやすい連帯債務者について解説しておきます。これも意味は異なりますので、参考までに憶えておいて下さいね。
連帯債務者とは借主と同等の支払い義務を負っている事になりますが、連帯保証人との違いとしては、連帯保証人の場合、借主が支払い出来なくなってから請求が来ます。
連帯債務者は通常の支払い義務がありますので、毎月の支払い日に必ず支払わなければなりません。後程解説しますが、夫婦の収入合算の場合、主たる債務者がご主人様、連帯債務者が奥様のケースが多いです。
また連帯債務者の場合は住宅ローン控除を適用する事ができますので、この点は連帯保証人にない違いと言えます。
ではここから、連帯保証人若しくは連帯債務者が必要な方の条件について解説していきます。あくまでも一般的な条件ですので、銀行の審査基準ではないという事だけ念頭に置いておいて下さい。一般的な条件は下記の通りです。
上記は一般的な条件です。では代表的なものをいくつか解説していきますね。
自営業者の方は、収入こそ青天井ですが、裏を返せば収入がサラリーマンよりも不安定であると言えます。貸す側の銀行の立場に立って言うと、返済を担保できるだけの根拠が乏しくなる事になります。
サラリーマンの場合であれば給与を差押える事は可能ですが、自営業になると給料ではなく売上になりますので、押さえるにしても押さえられない事があります。
よって連帯保証人を求める事が発生し易いと言えるでしょう。また審査なども確定申告書を過去3期分提出しなければならなかったりと、開業して間もない場合は審査に通らない事も考えられますので、注意が必要です。
先程解説しましたが、このケースは銀行の場合だと連帯保証人となり、フラット35の場合だと連帯債務者のパターンです。連帯保証人のパターンであれば夫婦のどちらか名義で1つのローンを組み、もう1人が連帯保証人になります。
連帯債務者のパターンについてもう少し具体的に解説すると、借入額を3,000万円希望していたとします。ご主人様の1人の年収では返済が難しそうだなと判断された場合、借入額を減額する等の案が浮上してきますが、減額した場合、希望の間取りや住宅が購入出来なくなります。
そこで、奥様がお仕事をされている場合、2人の年収を合算すれば3,000万円の融資は可能と判断された際に2,000万円はご主人様名義のローン、残り1,000万円は奥様名義のローン(連帯債務者)で合わせて3,000万円を融資するという事です。
このケースの場合で購入する方も少なくありません。また団信などもそれぞれが加入しなければならないパターンや夫婦連生団信に加入するパターンもあります。ここで団信、連生団信について解説しておきますね。
団信とは、団体信用生命保険の略で「だんしん」と読みます。住宅ローンを組んだ場合、必ず加入が義務になります(銀行融資の場合)。
これは債務者が、万が一住宅ローンの返済中に亡くなった場合、生命保険の効力で住宅ローンの支払いが無くなるといった効果が発生します。残されたご家族は、住宅ローンの負担が無い状態で家に住み続ける事が可能になります。
連生団信とは、連帯債務者での契約の際に加入できる団信で、先程の例で言うと、仮にご主人様が返済期間中に亡くなった場合、奥様分も含めて住宅ローンを一括で返済出来る保険になります。逆のパターンでも同じ効果が発生する事になります。
それぞれが別々の団信に加入していた場合は、ご主人様が亡くなった際に、ご主人様分の住宅ローンが無くなり、奥様分の住宅ローンはそのまま残るといった事もありますので、購入の際は比べてみて下さいね。
親御さんが土地を所有していて、その土地の上に新しく建物を建てる場合、土地の名義人が連帯保証人になる事があります。このケースは条件の中の「土地、建物が共有名義の場合」も当てはまります。
何故、この場合連帯保証人が必要になるのかと言いますと、通常土地も建物も1人の所有である事が多いです。しかし、物件によっては名義を共有していたり、土地と建物の名義が異なる事もあります。
最悪のケースで、支払いが困難になった際、物件を競売にかける事も想定されます。この時、共有者の承諾を得なければ物件を処分する事が出来ないので、一般的には連帯保証人になってもらう事になる訳です。
この様に、貸す側の立場で連帯保証人を必要とする事がありますので、あくまでも債権保全の為であるとお考え頂ければと思います。
ペアローンはそれぞれが別々の住宅ローンを組み、お互いに連帯保証人になるという形式の住宅ローンです。親子リレーローンは子供をローン返済の後継者として親が組みますが、このケースでは連帯債務者として契約する事になります。
いずれにしても返済に関しての形式が単独融資と異なりますので、連帯保証人、連帯債務者になるという点は十分に考えられるでしょう。
連帯保証人になる場合の手続きですが、通常は事前に審査を通過した後に、金銭貸借契約の際に借主と同時に行う事が殆どです。
銀行も一発で終わらせたいという事と、何度も足を運ぶ手間を省く為です。必要な書類は沢山ありますが、憧れのマイホームまであと一歩という段階ですね。
今回は住宅ローンの連帯保証人について解説してきました。高額なお金を借りる事は非常にシビアに審査される事になります。なるべく単独で借入が出来れば良いのですが、そうできない場合もあります。今回の記事が購入する方にとって参考になれば幸いです。
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