- 保証人の連帯保証人には「催告の抗弁権の違い」「検索の抗弁権の違い」「分別の利益の違い」の3つの違いがあります。
- 連帯保証人は主権者と同等の支払い義務があるため、保証人よりも責任が重いです。
- 連帯保証人を頼まれた場合には、「本人の信頼性」や「返済計画が潤沢か」など、チェックすべきポイントがあります。
公開日:2020年1月26日
保証人になって欲しいと頼まれた場合には、それが単なる保証人なのか連帯保証人なのかによって事情が異なります。連帯保証人は保証人よりも責任が重いため、安易に引き受けると自分が借金地獄となってしまう可能性があります。
この記事では、保証人と連帯保証人の違いについて解説した上で、連帯保証人を依頼された時の注意点を紹介します。
保証人と連帯保証人の違いを知らず、連帯保証人になってしまった場合、主権者の借金が焦げ付くと自分が借金地獄に陥ります。返済請求をされてから慌てても時すでに遅しですので、連帯保証人を引き受ける前にその違いを知っておきましょう。
保証人と連帯保証人の違いは以下の3つがあります。
それぞれの内容を具体的に見て行きましょう。
債権者が保証人であるあなたに「お金を返してください」と言ってきたとします。その時、借りた本人ではなく、まずあなたに「返してください」と言っているとするならば、違和感がありますよね。
先に保証人に請求するのではなく、借りた本人に請求して欲しいと思うのが自然なことでしょう。その際に「まず本人に請求して下さい」という権利が、「催告の抗弁権」です。
保証人には「催告の抗弁権」がありますので、もしこんなケースがあれば主張しましょう。しかし、連帯保証人には「催告の抗弁権」はありません。本人に振ることなく、あなたが求められた通りに返済しなければならないのです。
債権者が保証人であるあなたに「お金を返してください」と催告してきた時に、実は借りた本人は十分返せるお金を持っていたとします。一般的な感覚だと、「本人が返せますので本人に請求してください」と言うはずです。
借りた本人が返せるのに借りていない自分が保証人だからという理由で肩代わりするのは違和感があるでしょうから、当然の判断かと思います。このことを「検索の抗弁権」と言います。
しかし、保証人には「検索の抗弁権」はありますが、連帯保証人には「検索の抗弁権」がありません。催告されたら拒否ができないのです。
保証人は1人とは限りません。場合によっては複数の保証人が存在する借金もあります。もしも借りた本人の借金が焦げ付いた場合、その借金を複数の保証人に分割して返済することができます。これを「分別の利益」と言います。
複数の保証人で分割して返済した方が1人あたりの負担は軽くなりますので、保証人にとってはありがたい権利でしょう。しかし、連帯保証人の場合には「分別の利益」もありませんので、1人で返済しなくてはなりません。
保証人と連帯保証人は責任の重さが異なり、連帯保証人は主権者と同等のレベルだと言えます。つまり、連帯保証人になる際には相当の覚悟が必要ということになります。ここでは、以下の内容について紹介します。
連帯保証人になるということは、自分が不利益を被る可能性があるということです。連帯保証人になるケースは、身内や友人などの近しい人、信頼ができる人のケースが多いため、「まぁ大丈夫だろう」と思ってしまうこともあります。
しかし、借りた本人が本当にちゃんと返せるという保証はありません。結果的に「騙された」「裏切られた」という結果となり、信頼関係自体が壊れてしまうこともあり得るのです。
連帯保証人は、先述した「催告の抗弁権」「検索の抗弁権の違い」「分別の利益の違い」の3つがありませんので、借りた人と同じ責任がのしかかることになります。つまり、連帯保証人を頼まれたということは、自分が同じ借金をするのだという意識が必要となります。
債務者が返済中も、ちゃんと滞りなく返済できているのか、時折様子をチェックしておかなければ、ある日突然寝耳に水の催告が来る可能性があるのです。
ここまでの内容を知れば、安易に引き受ける人はいないかと思いますが、それでも「安易に引き受けてはならない」と強調しておきたいです。世の中には連帯保証人になってしまったばっかりに、借金苦に陥ってしまった人も多いのです。
善意で行った行為のために、自分や自分の家族の生活を壊してしまい、将来設計ができなくなるケースも珍しくありません。連帯保証人を依頼された時には、慎重すぎるくらいしっかりと検討しましょう。
連帯保証人は基本的に断った方が無難ですが、大切な身内や友人などから切に頼まれた場合、無下に断れないケースもあるでしょう。そのような時には以下の内容をチェックしてから判断しましょう。
最初に重要なのは本人の信頼性です。人柄や生活スタイルなどをしっかりと把握した上で判断すると良いでしょう。自己管理ができずダラダラした生活をしている人や、時間や約束を守らない人、過去に任意整理や自己破産などの債務整理をしている場合には要注意です。
銀行ローンや消費者金融などでも、借入れ審査で本人の信用力をチェックしますので、社会的ステータスも含めて返せそうな人かをチェックしましょう。
借金は返すアテがあるから成立します。返すアテは返済計画がどれくらい潤沢なのかで判断ができるでしょう。生活費に対して借金の割合が大きすぎる場合には、いずれどこかで焦げ付く可能性があります。
また、あまりにも返済期間が長い場合にもハイリスクです。借金が高年齢まで続く場合には、失職による焦げ付きリスクも高くなりますので、額と期間を総合的に判断しましょう。
連帯保証人を頼まれた時点で、既に数種類の借金がある人も要注意です。借金は多ければ多いほど返済できなくなるリスクが高くなりますので、現在の借金事情をヒアリングしておきましょう。
銀行ローンや消費者金融ローン、クレジットカード審査などでも、多重債務者は敬遠されがちです。場合によっては聞きづらいことかも知れませんが、把握してくことは大切です。
万が一本人が借金を返せなくなり、あなたが借金を被ることになっても、この先やっていけるかどうかも検証しましょう。連帯保証人になるということは、債務者本人と同じリスクを被る訳ですから、最初にリスクマネジメントをしておく必要があるのです。
全ての借金を被った場合の返済計画を立てておけば、いざという時にも安心です。成り立たない場合はハッキリとお断りしましょう。
保証人の連帯保証人には「催告の抗弁権の違い」「検索の抗弁権の違い」「分別の利益の違い」の3つの違いがあり、連帯保証人は主権者と同等の支払い義務があります。そのため、保証人よりも遥かに責任が重いです。
連帯保証人になってしまったばっかりに、自分と家族の生活を犠牲にするケースもあり得るのです。
連帯保証人を頼まれた場合には、「本人の信頼性」や「返済計画が潤沢か」「複数社から借入がないか」など、本人に関する情報をチェックし、安易に引き受けないように気を付けましょう。
債務整理の手続きは複雑で難しいため、債務整理のプロへ相談することが賢明です。まずは相談料無料で債務整理に強い弁護士事務所に相談してみるのがいいでしょう。
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