- 2017年に仮想通貨は大きく上昇したが、2018年になるとハッキング被害が相次ぎ価格は暴落。
- 今後は法整備が進めば、仮想通貨の成長は加速していく。
- 機関投資家の参加が見込める「ビットコインETF」が認められるかにも注目。
公開日:2020年4月11日
ニュースなどで、ビットコインなど仮想通貨の名前をよく耳にするようになりました。今やすっかり市民権を得た仮想通貨ですが、2018年からハッキング事件が起きているので、仮想通貨にあまり良い印象を持っていない人もいるのではないでしょうか。
しかし将来性を考えれば、今後も仮想通貨の見通しは明るいと考えています。今回は、仮想通貨の今後の動向と注目銘柄について解説します。
仮想通貨の代表格は「ビットコイン」です。ビットコインは、2008年に「サトシ・ナカモト」という人物が論文を発表し、その論文をもとに2009年1月にビットコインが発行されました。
このビットコインを知る上で欠かせないキーワードが、「ブロックチェーン」です。ビットコインは「分散型台帳システム」と訳され、取引情報を台帳に記載して管理するための仕組みです。
しかし、ビットコインに紙の台帳はありません。インターネット上に「仮想台帳」があるのです。これを利用して、ビットコインを利用するすべてのユーザーを管理しているのです。
ビットコインの将来性を予測するには、まずビットコインの特徴を知り、その価値の高さを十分に理解しておくことが大切です。なぜビットコインが世界中で使われ続けているのかについて解説します。
仮想通貨とは、紙幣や硬貨といった実体がない「価値を持ったデジタルデータ」です。仮想通貨の歴史は浅く、ビットコインも2009年に誕生したばかりです。仮想通貨と米ドルや円などの「法定通貨」との最大の違いは、中央に管理者がいないことです。
たとえば、米ドルは「FRB(連邦準備制度理事会)」、日本円は「日本銀行」といった中央銀行が通貨発行の役割を担っています。しかし、仮想通貨には中央管理者が存在せず、決められたシステムにもとづき、発行や管理がされているのです。
ただ、仮想通貨のシステムはあらかじめプログラムされているので、簡単に変更することはできません。そのため、任意に供給量を変動させ、価値をコントロールできないのが特徴です。
ビットコインには、国境がないことも大きな特徴です。国が違えば、使用している法定通貨も異なります。そのため、海外に行く場合には、その国の通貨に両替しなければいけません。しかし、仮想通貨には国境がないので、ビットコインの取り扱い店舗であれば世界中で使えるのです。
また、仮想通貨を送金する場合、ビットコインならわずか10分程度で着金します。これまで銀行を通じて海外送金する場合は2~3日、遅ければ1週間程度かかることも普通でした。
しかも、送金手数料も15%程度と高く設定されていますが、ビットコインなら数円~数百円程度で送金できます。こうした「送金革命」によって、ビットコインの価値は世界的なものになったのです。
ビットコインは、世界で初めてつくられた仮想通貨です。ですから、リップルやイーサリアムといった他の仮想通貨を売買するときの基軸通貨として設定されています。
つまり、他の仮想通貨を取引するときには、ビットコインを介して取引されることが多く、それだけ購入者や利用者が増えることが予想されるのです。
また仮想通貨は、従来ある法定通貨のように、モノやサービスを買うときに使うことも可能です。海外ではビットコインが使える場所は多くあります。たとえば、アメリカではスターバックスの店頭でビットコインを使えますし、通販での支払いに利用することも可能です。
国内でも、ビットコインで支払いできる店舗が増えています。2017年にビットコインでの決済を導入して話題になったのがビックカメラです。
4月に有楽町店と新宿東口店に試験導入後、7月から全店舗に展開。12月からはWeb通販「ビックカメラ.com」でも使えるようにし、決済限度額をそれまでの10万円から30万円に引き上げました。
ビットコインでの決済が普及しつつある背景には、外国人観光客の増加があります。通常、外国人観光客は日本に来るとき、自国の通貨を日本円に両替します。しかし、仮想通貨を使えれば両替の必要はありません。
そこで、仮想通貨での支払いに対応することで、外国人観光客の需要を取り込もうと考えているのです。
ビットコインの値付けが初めておこなわれたのは、2009年10月。「New Library Standard」というサイトが、ビットコインを生み出すのに必要な電気代から逆算して値付けをおこないました。
その価格は「0.07円」。2017年12月につけた高値230万円と比較すると3,300万分の1にすぎなかったのです。ビットコインの取引所が誕生したのは、2010年の7月です。取引所の誕生によってビットコインの認知度は急速に高まりました。
しかし、2014年に取引所のマウントゴックスがハッキング被害に遭い、当時の価格で470億円相当のビットコインが盗まれて同社は破綻。ビットコインは冬の時代を迎えるのです。しかし、2017年には仮想通貨バブルが発生します。
ビットコインの他にも、仮想通貨に種類はたくさんあり、それらは「アルトコイン」ト呼ばれています。2017年は、ビットコインだけでなく、アルトコインも大きく値上がりしました。どの通貨が、どれぐらい値上がりしたかを確認してみましょう(2017年始値→終値の比較)。
2017年始値 | 2017年終値 | 値上がり率 | ||
---|---|---|---|---|
1 | モナコイン | 2.9円 | 1,166円 | 402.07倍 |
2 | リップル | 0.777円 | 232.99円 | 299.86倍 |
3 | ネム | 0.433円 | 110.31円 | 254.76倍 |
4 | リスク | 19.021円 | 2,270.1円 | 119.35倍 |
5 | ダッシュ | 1,376.80円 | 11万7,750円 | 85.52倍 |
2017年に大きく上昇した仮想通貨ですが、2018年1月にコインチェック事件が発生しました。
コインチェック事件とは、国内取引所大手コインチェックがハッキング被害を受け、580億円相当の仮想通貨「NEM」が不正に流出。ネットワークから切り離された「ゴールドウォレット」で管理すべき仮想通貨を、ネットワーク上のウォレットに入れていたことが原因です。
その他にもハッキング被害が起こり、仮想通貨は暴落。ビットコインも2017年12月の220万円台から、2018年末には40万円前後と5分の1まで下落しました。相次ぐハッキング被害で仮想通貨にあまりいい印象を持っていない人も多いかもしれません。
事件を引き合いに、仮想通貨は終わったという意見もあります。しかし、2019年には120万円を突破しました。2020年はコロナショックで仮想通貨も乱高下していますが、今後の展望はどうなっていくのでしょうか。
仮想通貨の価格変動に影響を与える要素はいくつかありますが、もっとも注目されているのが「ビットコインETF」。ETFとは「上場投資信託」のことで、ある特定の指数(日経平均株価など)に連動するように設計され、証券取引所で取引される投資信託です。
そしてビットコインETFとは、ビットコインと連動するように設計された上場投資信託のこと。株や債券などの金融商品に連動するETFはありますが、ビットコインでもできるようにしようという動きが起こっているのです。
もしビットコインETFが認められれば、政府からビットコインが金融商品と認められたことになり、世界中の機関投資家からの資金流入が期待できます。その場合、仮想通貨の市場規模は2倍以上になることが確実といわれています。
その理由として、仮想通貨の市場規模は他の金融商品に比べると小さく、株式などの売買が行われている証券取引所にビットコインETFが上場することで、仮想通貨の取引に懐疑的な機関投資家もETFであれば参入しやすくなるとみられているからです。
ビットコインなど仮想通貨を取引して利益を得た場合、「雑所得」として課税対象になります。これは株式などの金融商品(20.315%)と異なり、最高税率は住民税と合算すると55%にもなります。
これは外国に比べると非常に高い税率なので、仮想通貨の普及のためには税制の改革も最新のものが求められているのです。
また、企業が資金調達のためにカオス通貨を発行するICO(Initial Coin Offering)という動きがあります。資金調達には、新規公開株式(IPO)やクラウドファンディングなどがあり、これと似たような方法を仮想通貨やブロックチェーンの技術で仕組みをつくったのがICOです。
仮想通貨のICOが盛り上がることが期待されていたものの、詐欺が多発したためにICOを禁止している国が増えました。しかし、今後ICO関連の法整備が進めば、仮想通貨の成長は加速していくでしょう。
それでは、仮想通貨の選び方について解説します。
仮想通貨を買うときは、時価総額を見ましょう。時価総額10位以内の銘柄であれば、資金が多く集まっているので安心です。さらに、国内の取引所で取り扱っている銘柄がいいでしょう。時価総額が低く、海外でしか取り扱いがない銘柄は信用力がないからです。
2020年4月時点の仮想通貨時価総額ランキングは、以下の通りです。
(単位:億円) | ||
---|---|---|
1 | ビットコイン(BTC) | 135,126 |
2 | イーサリアム(ETH) | 17,222 |
3 | リップル(XRP) | 8,574 |
4 | ビットコインキャッシュ(BCH) | 4,628 |
5 | ビットコインSV(BSV) | 3,489 |
6 | ライトコイン(LTC) | 2,847 |
7 | イオス(EOS) | 2,364 |
8 | バイナンスコイン(BNB) | 2,320 |
9 | テゾス(XTZ) | 1,278 |
10 | モネロ(XMR) | 1,015 |
仮想通貨の基軸通貨で、時価総額もダントツの「不動のトップリーダー」であるビットコイン。ブロックチェーン技術に支えられたビットコインは、中央銀行など中央の管理者抜きに通貨の安定を実現しています。
しかし、2017年春頃からトランザクション(取引)が急増し、「送金詰まり」と送金手数料の急騰を起こす「スケーラビリティ問題」が浮上。ビットコインとビットコインキャッシュの分裂騒動につながりました。
しかし、「ライトニングネットワーク」や「サイドチェーン」など、セカンドレイヤーと呼ばれる新たな仕組みで取引の高速化を実現し、日々進化を続けています。圧倒的な利用者や時価総額をみても、今後も仮想通貨界をけん引する構図は変わらないでしょう。
仮想通貨選びで迷った時は、ビットコインから始めることをおすすめします。ビットコインはダントツの時価総額を誇り、信頼性が高いので値上がりする可能性が高いからです。ニュースで取り上げられる機会も多いので、情報を得やすいというメリットもあります。
ブロックチェーン技術を応用して、決済以外の機能を持たせた次世代の仮想通貨。ロシア人技術者のヴィタリック・ブテリン氏によって開発されました。イーサリアムは、ビットコインに次いで時価総額2位の通貨です。
イーサリアムは中央集権的でなく、オープンなブロックチェーンシステムだという特徴があります。イーサリアムをベースにトークン(ブロックチェーン上の仮想通貨)を発行して資金調達するICOが急増し、「ICOの基軸通貨」としても脚光を浴びています。
アルトコインで最も時価総額が高く、ICOの多くでイーサリアムが利用されているので、アルトコインはイーサリアムから始めることをおすすめします。
リップルは、リップル社が開発した国際送金に特化した仮想通貨。わずか4~5秒という決済スピードと、いくら送金しても数銭足らずという決済コストの低さが強みです。リップルは新たな送金手段として注目を集めており、世界中の金融機関がリップルを使った送金実験をおこなっています。
日本の企業でもSBIホールディングスやみずほ銀行などがプロジェクトに参加しています。リップルは送金手段として優れているため、企業による実用化が実現すれば、価格は大きく上昇するでしょう。
今後の将来性に期待したいという人にはリップルがおすすめです。ただし、リップルラボという管理主体が存在するために「中央集権的」といわれ、ビットコイナー(ビットコインの熱烈支持者)などからは敬遠される傾向があります。
ビットコインキャッシュは、ビットコインの送金遅延や手数料の高騰を招く「スケーラビリティ問題」が発生していたことが誕生のきっかけ。2017年にビットコインのハードフォーク(通貨の分岐)が発生したことにより誕生しました。
これによって、本家の10倍以上の取引処理能力を実現。名前にビットコインとついており、ビットコインの機能を踏襲した部分も多いものの、完全に別の通貨となっています。
ビットコインキャッシュはビットコインよりも送金手数料が安く、送金手数料は1円以下になっています。将来、個人間での仮想通貨の送金が活発になったときは、送金手数料が安いことは大きなプラス材料になるでしょう。
2017年はビットコインだけでなく、アルトコイン(ビットコイン以外の仮想通貨)も大きく値上がりしました。しかし、取引所でハッキング被害が相次ぎ、仮想通貨は暴落しました。仮想通貨にあまりいい印象を持っていない人もいるかもしれません。
ただ、今後は法整備やセキュリティレベルが上がれば、仮想通貨の成長は加速していくでしょう。
また、ビットコインのETFが認められれば、金融商品の一種となるので機関投資家の参加も見込まれます。ビットコインを中心として、時価総額の大きいイーサリアムやリップルの動向が注目されます。
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