- 仮想通貨のレバレッジ取引は大きな利益を狙えるが、大きな損失が出る恐れもある。
- 買いだけでなく、売りからも利益を狙えるのが魅力。
- 現在の最大倍率は4倍だが、来年までに2倍になる。
- 最初は現物で取引し、仮想通貨の取引に慣れてからレバレッジ取引をするようにする。
公開日:2020年6月13日
仮想通貨には、自己資金の何倍も運用できる「レバレッジ取引」があります。うまく利用すれば短期間で大きな利益を狙えますが、反対に大きな損失を抱えることもあるので、仕組みをきちんと理解しておく必要があります。
今回は、レバレッジ取引の仕組みやメリット・デメリットについて詳しく解説します。
仮想通貨(暗号資産)のレバレッジ取引とは、証拠金を取引所の口座に入れることによって、その金額の何倍もの取引ができる仕組みのことです。レバレッジとは「てこ」という意味です。
10万円の現金がある場合、現物取引だと10万円分の仮想通貨しか買うことができません。しかし4倍のレバレッジをかければ、40万円分の取引が可能になります。
レバレッジ取引は値上がり局面だけでなく、値下がり局面でも利益を出すことが可能です。仮想通貨を売却し、値下がりした時点で買い戻せば利益を得られる可能性があるのです。この点も現物取引にはない魅力といえるでしょう。
仮想通貨のレバレッジ取引は売りからの注文が可能で、相場の下落局面でも利益を出すことができます。また、レバレッジ取引では手持ちのお金より大きな金額の取引が可能で、相場が予想通りに動けば大きな利益を出すことができます。
しかし、予想に反して逆に動けば損失も大きくなるので、ハイリスク・ハイリターンの取引といえるでしょう。仮想通貨は円やドルなどの法定通貨に比べて値動きが激しく、1日に20%以上動くことも珍しくありません。
レバレッジ取引を行うのはリスクが高いので、初心者にはオススメできません。まずは通常の現物取引を行い、慣れてからレバレッジ取引をするようにしましょう。
株の信用取引や、金や原油などの先物も同じレバレッジ取引です。少ない元手で大きな金額を取引できます。ただし、信用取引や先物取引は取引時間が決まっていますが、仮想通貨のレバレッジ取引は取引期限がありません。24時間365日取引できるという点が大きな特徴です。
出典:GMOコイン
GMOコインの仮想通貨レバレッジ取引は、「暗号資産FX」と呼ばれています。ビットコインだけでなく、ビットコインキャッシュやライトコイン、リップル、イーサリアムなどのアルトコインも暗号資産FXで取引可能です。
ビットコインが動かない場合はアルトコインの暗号資産FX取引を行うなど、マーケット環境に合わせた柔軟な取引ができます。GMOコインの暗号資産FXでは、レバレッジ4倍で取引できます(2020年6月12日時点)。
通常のFX(外国為替証拠金取引)や株式は取引時間が決まっていますが、仮想通貨取引所なら24時間365日取引が可能です。平日はFXや株式を取引し、週末は仮想通貨を取引するという投資スタイルも可能になるのです。
GMOコインの暗号資産FXでは、シンプルな取引画面で注文タイプや売買区分、取引数量を指定すればすぐに注文できます。
出典:GMOコイン
注文方法にはIFD、OCO、IFD-OCO注文も用意されているので、相場急変のときでも安心です。
IFD注文とは、買いと売りを同時にセットできる注文方法。あらかじめ買い注文と売り注文をそれぞれ指定した値段でセットしておき、買い注文が成立したら売り注文が出されます。
OCO注文では、「利益確定」と「損切り」の注文を同時にセットできます。たとえば100万円で購入したビットコインを、「利益確定の売り注文120万円」「損切り注文80万円」で出しておけば、価格がどちらに動いても自動で決済してくれるのです。
IFD-OCO注文は、IFDとOCOを合わせた注文方法です。
出典:bitFlyer
仮想通貨取引所・bitFlyerが提供している「bitFlyer Lightning」では、レバレッジ取引を提供しています。bitFlyer Lightningは、仮想通貨の現物取引やレバレッジ取引に対応した取引所です。
現物取引では日本円でビットコインなどの仮想通貨を購入でき、また保有している通貨を売却して日本円に変えることもできます。
レバレッジ取引では最大4倍のレバレッジを効かせることができ(2020年6月時点)、ビットコインを取引できます。ビットコインが値上がりしても値下がりしても、利益を狙えるのです。
bitFlyer Lightningでは、「Lightning FX(証拠金取引)」と「Lightning Futures(先物取引)」の2つのレバレッジ取引に対応しているのです。FXは期限がありませんが、先物には1週間や3カ月などの期限が決まっているという違いがあります。
通常のレバレッジ取引では日本円を証拠金としますが、Lightning FXではビットコインも証拠金として使えます。ただし、ビットコイン現物の最新価格の80%が評価額となります。
レバレッジ取引では、証拠金維持率が100%を下回ると、約定していない新規注文がすべて取り消されてしまうので注意が必要です。さらに2営業日以内に証拠金を追加で預け入れる必要があります。
その後も証拠金維持率が100%を下回った状態の場合、ロスカットルールが適用される場合があります。
証拠金維持率が50%を下回ると、新規注文が失効になり、すべての建玉が自動的に反対売買されて強制決済(ロスカット)されます。仮想通貨の値段が大きく動き、証拠金を上回る損失が出た場合、速やかにお金を入金して、不足金を解消する必要があるのです。
仮想通貨のレバレッジ取引のメリットは、以下の2つです。
レバレッジ取引の最大の魅力は大きなリターンが狙えることです。レバレッジの倍率を上げて大きな金額を取引すれば、得られる利益も比例して大きくなります。
1BTC=100万円の場合、現物取引では100万円を用意しなければいけません、しかしレバレッジ4倍の取引なら、4分の1の25万円で取引ができるのです。少額の資金で大きな利益を狙えるという点が、レバレッジ取引の最大のメリットといえるでしょう。
仮想通貨のレバレッジ取引では、売り注文から取引を始めることが可能です。現物取引では買いしか取引できないので、相場が下落する局面では利益を出せません。しかし、レバレッジ取引なら売りから注文できるので、仮想通貨の価格が下落しても利益を狙えるのです。
仮想通貨は上がるときもあれば下がるときもあります。現物取引では価格が安いときに仮想通貨を買い、値上がりしたタイミングで売却すると利益が出ます。しかし、値下がり局面では損失になってしまいます。
一方、レバレッジ取引であれば、どのような相場状況であっても利益を狙う取引が可能なのです。仮想通貨が値上がりしている局面では、価格が安いときに仮想通貨を買い、値上がりしたタイミングで売却すれば利益になります。
これは現物取引と同じです。しかし、価格が高いときに仮想通貨を売り、値下がりしたタイミングで仮想通貨を買い戻しても利益を狙えるのです。
仮想通貨のレバレッジ取引のデメリットについても確認しておきましょう。
仮想通貨のレバレッジ取引は大きな利益が狙える半面、損失も大きくなる可能性があります。仮想通貨の値動きは大きいので、損失が膨らむリスクもあることを十分理解してレバレッジ取引をするようにしてください。
仮想通貨は、株やFXなど他の金融商品と比較して「ボラティリティーが高い」といわれています。ボラティリティーとは、価格変動の大きさを表す言葉で、ボラティリティーが高いと価格が乱高下しやすくなります。
GMOコインの調査による2017年8~11月の日次ボラティリティーは、以下の通りです。
通貨ペア | 最高ボラティリティー |
---|---|
ビットコイン・円 | 34.34% |
ドル・円 | 1.63% |
トルコリラ・円 | 7.94% |
原油先物WTI | 4.28% |
このように仮想通貨はボラティリティーが非常に高いので、それだけ価格が急激に変動しやすいのです。大きな利益を狙えるので、ボラティリティーが高いことは必ずしも悪いとはいえませんが、損失も大きくなるリスクがあるという点には注意が必要です。
また、「追証」が発生するリスクもあります。追証とは、追加で証拠金を支払わなければいけないことです。仮想通貨のレバレッジ取引には、ロスカットルールがありますが、価格が急変動した場合にロスカットが行われない場合もあります。
そうなると現在の証拠金では取引を続けられないので、追加で証拠金を入れて、証拠金率を高めないといけないのです。
FXの場合、1日の取引終了時間である朝6時をまたいで通貨を保有していると、通貨間の金利差としてスワップポイント(金利差調整分)がもらえます。仮想通貨には金利という概念はなく、スワップポイントの支払いや受け取りは発生しません。また注文手数料もかかりません。
しかし仮想通貨のポジションを保有した場合、管理費として「レバレッジ手数料」が発生します。その日のうちに取引を完了させれば手数料を支払わずに済みますが、長期間保有していると手数料が多くかかってしまうので、レバレッジ取引はなるべく短い期間で取引するようにしましょう。
GMOコインやbitFlyerでは、建玉ごとに1日0.04%のレバレッジ手数料がかかります。
仮想通貨のレバレッジ取引では、ロスカットルールや証拠金維持率が決められています。ロスカットルールとは、一定の損失が出た場合にさらなる損失の拡大を防ぐため、取引を強制的に終了させるルールです。ロスカットが発生するタイミングは、証拠金維持率によって決定されます。
証拠金維持率は、仮想通貨のレバレッジ取引をするのに必要な証拠金に対し、純資産(口座残高)がどの程度の割合を占めているかを表しています。証拠金維持率の計算式は、以下の通りです。
たとえば250万円入金し、含み損が50万円の場合の有効証拠金は200万円(250万円-50万円)です。1BTC(ビットコイン)=100万円のときに、レバレッジ4倍で400万円分の買いを入れたとします。この場合の必要証拠金は400万円÷4倍=100万円です。
ですから証拠金維持率は、以下のようになります。
ロスカットになる証拠金維持率は取引所によって異なります。たとえば、GMOコインの暗号資産FXでは75%、bitFlyerでは50%となっています。
以前、仮想通貨のレバレッジは取引所によってまちまちでした。レバレッジの上限が5倍の取引所もあれば、25倍の取引所もあったのです。
しかし現在は、仮想通貨自主規制団体であるJVCEA(日本仮想通貨交換業協会)による自主規制により、日本国内の仮想通貨取引所の上限は4倍になっています。仮想通貨のレバレッジ規制が出てきたのは、価格の乱高下を招いているのは、レバレッジ取引の拡大だと考えられたからです。
仮想通貨を決済手段ではなく、投機対象だという現実を考えると、規制を見直す必要があるとみなされ、FX(外国為替証拠金取引)のように法律で上限が設けられたのです。
2018年に約580億円が流出したコインチェック事件をきっかけに、政府は仮想通貨の規制強化にかじを切りました。
そして2019年5月に、仮想通貨の取引や交換業者に関する規制強化対策を盛り込んだ「金融商品取引法の改正法」と「資金決済法」が成立。改正の柱となるのが今回の証拠金取引の規制でした。
仮想通貨の取引の大半は証拠金取引とされ、投機的な動きを心配する声が多かったのです。これからはFX(外国為替証拠金取引)と同じように、金融商品取引法の規制対象となります。
米国の先物取引所CMEやEUは、仮想通貨のレバレッジ取引の倍率を2倍にしているので、日本もさらにレバレッジを下げるべきだという議論もありました。そこで2020年になり、金融庁は仮想通貨のレバレッジ取引を2倍までとする方針を固めました。
2020年5月から取引所ごとに2倍への変更が行われる予定です。そして、2021年4月30日までにすべての取引所が2倍になるので、現在4倍で取引できている取引所でも、2倍を想定した取引をしておいたほうがいいでしょう。
仮想通貨のレバレッジ取引とは、証拠金を取引所の口座に入れることによって、その金額の何倍もの取引ができる仕組みのことです。現物取引では値上がりでしか利益を狙えませんが、レバレッジ取引なら値下がり局面でも利益を狙うことが可能です。
レバレッジ取引は2020年6月現在は4倍までかけることができ、レバレッジをかければかけるほど大きな利益を狙えます。ただし損失もその分大きくなる可能性があるので、過剰なリスクを取り過ぎないように注意が必要です。
また、来年までにはレバレッジの上限は2倍になるので、レバレッジを抑えた取引に慣れておいたほうがいいでしょう。
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