公開日:2018年10月16日
先日、奈良市で未成年の男女8人がバイク事故を起こし、その内、17歳から18歳の男性4人と、身元不明の男女2人の計6人が死亡した事故が発生しました。
このニュースを見た時、未成年の子を持つ親として、また、FPという職業に就いている立場として、率直に感じたことは、もしも、他の人を巻き添えにしていた場合、両親の賠償責任はどのようになるのだろう?といったことでした。
そこで本記事では、交通事故の内容を紹介しながら、両親の賠償責任と個人賠償責任保険について幅広く紹介をしていきたいと思います。
目次
はじめに、実際にあった交通事故の概要について簡単にまとめて紹介します。
平成30年8月31日午前2時20分頃、奈良市の国道24号の高架橋で、バイク1台と原付2台が転倒しているのを、トラックで通りかかった男性が見つけ通報。
3台に分乗していたとみられる男女計8人が付近に倒れており、同市内の17~18歳の男性4人と、身元不明の男女2人の計6人が死亡。他に17歳と14歳の2人も重軽傷を負った。
事故現場の周囲にはバイクの破片に加え、サンダルやイヤホンなどが広範囲にわたって散乱し、車体が真っ二つにちぎれた大型バイクや原型をとどめないほどに壊れたスクーターなどの状況からも、相当な速度が出ていたと推測される。
また、現場にはヘルメットが2個しか残されておらず、数人は着用していなかった可能性が高い。深夜にバイクに3人乗りして暴走。しかもノーヘルで無免許に信号無視。
交通事故の概要を見て、このような結果になってしまったのは、致し方がないというのが大型バイクの免許を保有している筆者個人の感想ですが、もしも、未成年の自分の子が、このような状況で他の人を巻き添えにしていた場合、私たち両親の賠償責任はどのようになるのでしょう?
未成年者が交通事故を起こしたことによって、他の人に損害を与えてしまった場合は、当事者である未成年の子は、当然に損害を賠償する責任を負うことになっています。
ただし、未成年者であることから、場合によっては、両親にも損害賠償責任が生じることもあるため、ケース・バイ・ケースであるのが現状です。
バイク事故ではありませんが、実際にあった有名な裁判例として、当時11歳の児童が自転車運転をしていた際、歩行者に重度の障害が残る大けがをさせた事故について、両親の監督義務を果たしていないことを裁判所が認め、億単位の損害賠償を命じた判例があります。
あり得ないようなことがあり得る時代であり、未成年の子を持つ親御さんとしては、他人事ではないと感じられたのではないでしょうか。
未成年者が交通事故を起こした場合、必ず両親の賠償責任が問われるわけではなく、未成年者の責任能力があるのか、ないのかによって損害賠償責任の有無が変わってくるようです。
たとえば、未成年者の責任能力とは、ざっくり言ってしまえば、自分の行動の善悪が判断できるのかどうかといったことを指し、具体的には、年齢が12歳や13歳以上であれば、責任能力があるものとされているようです。
従いまして、今回のバイク事故は、未成年者であっても年齢が14歳から18歳となっており、すべて未成年者でありながらも責任能力があるものとされ、損害賠償責任が生じるものとされます。
このように、未成年者であっても責任能力がある場合は、原則として両親には損害賠償責任は生じないものとされているようです。
前項では、未成年者であっても責任能力がある場合は、原則として両親には損害賠償責任は生じないと紹介しましたが、昨今では、子に対する親の監督義務が果たせていない場合は、両親も損害賠償責任を負う裁判の判決が多くなってきているようです。
そもそも、親の監督義務とは、普段のしつけや注意などがわかりやすいですが、たとえば、本記事で紹介した交通事故の概要を再度確認しますと、未成年者が深夜に外を出歩いていること自体が常識的に考えると異常です。
これだけでも親の監督義務が果たせていないと思われますが、無免許でバイクを運転し、3人乗りして暴走、ノーヘル、信号無視といった不法行為を重ねれば、さすがに親の監督義務が問われても決して不思議ではないでしょう。
今回の事故では、他人を巻き込んではいないものの、仮に、他人を巻き込んで死傷させたといった場合は、親の損害賠償責任は免れないのではないかと推測されます。
それにしても、未成年8人は、すべて大型免許を所持していなかったのにも関わらず、大型バイクはそもそもどのようにして手に入れたのでしょう?
今回の事故で、事故を起こした未成年者が、大型バイクをどのようにして手に入れたのかはわかりませんが、仮に、大型バイクが盗難されたものであったとしますと、ケース・バイ・ケースではありますが、大型バイクの所有者が損害賠償責任を負わなければならない可能性が生じます。
最もわかりやすい例ですと、バイクや自動車といった車両にエンジンキーを差し込んだまま駐車して盗難にあった場合です。
これは、泥棒運転とも呼ばれ、車両の所有者とはまったく関係のない第三者が、所有者に断りもなく無断で運転することを言い、このような場合、車両を所有している方には、管理上の過失があったものとされ、何かしらの責任が問われる傾向が多くなってきています。
思いもよらないところに大きな落とし穴が潜んでいることを踏まえますと、普段から車両の管理や維持をしっかりとしておかなくてはならないことを率直に感じます。
個人賠償責任保険とは、日常生活において生じた偶然の事故などによって、他人にけがを負わせてしまった場合や命に関わるような損害のほか、他人の物へ損害を与えてしまったことによって損害賠償責任を負った場合などに補償される損害保険のことを言います。
ポイントは、日常生活の偶発的な事故が補償対象であり、具体的に補償されるモデルケースは、以下の通りです。
個人賠償責任保険は、加入者のみならず、同居の家族なども補償対象となるため、当然に未成年の子が起こした損害も補償対象にはなるのですが、今回紹介したようなバイク事故の場合は、日常生活の偶発的な事故ではなく、個人賠償責任保険から補償されることはありません。
とはいえ、個人賠償責任保険で補償されるモデルケースを見ますと、小さな子供がいる世帯の方々にとっては需要がある損害保険であるとも言えるのではないでしょうか。
ちなみに筆者は、未成年の子を3人育てているのに加え、事務所へ看板を設置していることから、万が一への備えのために個人賠償責任保険へ加入しておりますが、保険料も非常に安価でお守り感覚で加入しています。
こちらは余談となりますが、本記事中で紹介した児童の自転車事故によって億単位の損害賠償を被害者に対して支払う判決が言い渡されたのを受け、お住まいの地方自治体によっては自転車保険への加入が義務化されています。
また、この判決を受け、自転車保険のニーズや関心が大きく高まったのも確かです。
先の個人賠償責任保険もそうですが、未成年の子で特に小さな子は、いつ、何をするのか予想もつかないことをすることによって、大きな損害を与えてしまう懸念も決して否めません。
自転車保険も個人賠償責任保険も支払保険料は、おこづかい程度の安価なものですので、本記事をきっかけに、万が一の家族のお守りとして備えてみてはいかがでしょうか。
未成年者による今回の交通事故を受けて、子育てをする親として、FPとして、バイクを乗る1人の人間として、さまざまな立場としていろいろと考えさせられる部分があったと感じています。
若気の至りや反抗期といった年齢の子供たちは、親のしつけや子育ての仕方によって子供が良くも悪くも変わっていくものであることを率直に感じておりますが、一歩間違えると、家族全体の人生に大きく関わってくる損害を受けることも真摯に感じることができました。
少なくとも、これまで以上に親の監督責任が問われる時代になっていくことを踏まえますと、子供だけでなく親御さん自身も常識的な善悪を身に付けておく必要性がありそうです。
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