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知らない方は大損必至!介護保険を利用している家族がいる場合に知っておきたい住宅改修とリフォームのお金

知らない方は大損必至!介護保険を利用している家族がいる場合に知っておきたい住宅改修とリフォームのお金

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佐藤 元宣

佐藤 元宣

佐藤元宣FP事務所代表、日本FP協会CFP(R)認定者、1級ファイナンシャルプランニング技能士。 税理士や社会保険労務士といった士業事務所経験と保険代理店を行った経験などを活かし、生活する上で避けて通れない「お金」の相談に幅広く応じている独立系FP。家計の収支状況と専門性を融合したプランニングを提供しています。

この記事のポイント

  • 介護保険を利用している家族がいる場合は、住宅改修によって一部お金が支給される内容について紹介しています
  • 住宅改修助成金の申請方法と流れについて紹介しています
  • 介護にかかる住宅改修とリフォームを行った場合の税優遇制度について紹介しています

介護保険は、年齢が40歳になりますと強制加入となりますが、実際に介護保険のサービスを利用するには、お住まいの市区町村から要介護認定を受けなければなりません。

この時、在宅介護をするなどの方法により、介護保険を利用している家族がいる場合は、住宅改修やリフォームなどについて検討される方も少なくありません。

一方、実際に介護保険を利用している家族がいる場合で住宅改修やリフォームを行ったのにも関わらず大損したという事例も筆者の実務経験上あったことも確かです。

そこで本記事では、介護保険を利用している家族がいる方や介護の予備知識を付けたい方を対象に、知っておくべき住宅改修とリフォームのお金について紹介していきます。

 

介護保険を利用している家族がいる場合は、住宅改修によって一部お金が支給される

介護保険のサービスを利用するには、お住まいの市区町村から要介護認定を受けなければなりませんが、実際に、介護保険を利用している家族がいる場合で住宅改修を行った場合、要介護認定の種別に関わらず、申請することによって一部お金が支給されます。

要介護者等が、自宅に手すりを取付ける等の住宅改修を行おうとするときは、必要な書類(住宅改修が必要な理由書等)を添えて、申請書を提出し、工事完成後、領収書等の費用発生の事実がわかる書類等を提出することにより、実際の住宅改修費の9割相当額が償還払いで支給される。なお、支給額は、支給限度基準額(20万円)の 9割(18万円)が上限となる。

出典:厚生労働省 介護保険における住宅改修

ちなみに、市区町村が認定する要介護認定は、要支援1・要支援2・要介護1から要介護5までの7段階にわけられているのですが、上記の助成は、原則として1人1回までとなっています。

ただし、要介護状態区分が、3段階上昇した時や転居した場合は、再度、20万円までの支給限度基準額が設定されます。

たとえば、要支援1と介護認定を受けた方が、住宅改修の助成を受けた後に、介護度合いが重くなって、要介護2の介護認定を受けた場合、再度、住宅改修の助成が受けられるといったイメージになります。

 

どのような住宅改修が助成の対象になるのか

介護者がいる方の住宅改修をする目的を考えますと、自宅の危険個所を無くするといった最優先の目的があるわけでありますから、その住宅改修内容も幅広いものとなっています。

住宅改修の種類 住宅改修の内容
手すりの取付け 廊下・便所・浴室・玄関などへの手すりの取り付け
段差の解消 廊下・便所・浴室などの敷居の撤去やスロープの取り付け
滑りの防止及び移動の円滑化等のための床又は通路面の材料の変更 浴室などの床変更など
引き戸等への扉の取替え 引き戸・折れ戸・アコーディオンカーテンなどへの変更・取り付け
洋式便器等への便器の取替え 和式便所から洋式便所への変更
上記の住宅改修に付帯して必要となる住宅改修 浴室や便所の給排水設備の工事など

上記の住宅改修は、介護者がいる方にとってどれも必要となるものと考えられますが、これらの全部または一部の住宅改修をすることによって助成が受けられるため、支給を受けるためのハードルは基本的に低めだと思われます。

 

住宅改修のお金について助成を受けるまでの流れ

住宅改修のお金について助成を受けるまでの一通りの流れは、以下の通りです。

 

1.住宅改修についてケアマネジャーなどに相談します

ケアマネジャーとは、介護支援専門員のことを言い、介護保険のサービスが有効に活用できるようにするために、ケアプランを作成するほか、介護に関する専門的な知識や技術を持っている方のことを指します。

仮に、介護者のために住宅改修をする予定がある場合は、このことについて、ケアマネジャーに相談して助成を受けるサポートやアドバイスを受けるところから始めます。

 

2.申請書類または書類の一部提出と確認

住宅改修の助成を受けようとしている方は、住宅改修の支給申請書類の一部をお住いの市区町村へ提出します。

なお、市区町村に提出する書類は、以下の通りです。

  • 支給申請書
  • 住宅改修が必要な理由書
  • 工事費見積もり書
  • 住宅改修後の完成予定の状態がわかるもの(写真又は簡単な図を用いたもの)

書類の提出を受けた市区町村は、提出された書類などを確認した後、保険給付として適当な改修かどうかを確認します。

 

3.住宅改修完了後に、再度、申請に必要な書類を提出します

住宅改修の工事が終了した後は、工事終了後に施工業者から受け取った領収書など、住宅改修工事をしたことによって費用の発生事実がわかる書類を市区町村に対して提出します。

なお、市区町村に提出する書類は、以下の通りです。

  • 住宅改修に要した費用に係る領収書
  • 工事費内訳書
  • 住宅改修の完成後の状態を確認できる書類(便所、浴室、廊下等の箇所ごとの改修前及び改修後それぞれの写真とし、原則として撮影日がわかるもの)
  • 住宅の所有者の承諾書(住宅改修を行った住宅の所有者が当該利用者でない場合)

上記の必要書類を提出したことによって、正式な支給申請が行われることになりますが、市区町村は、事前に提出された書類との確認、および、工事が行われたかどうかの確認を行った結果、住宅改修費の支給を必要と認めた場合に住宅改修費を支給することになります。

 

住宅改修や住宅のリフォームを行った場合は、税優遇が受けられる

介護保険を利用している家族がいる場合、住宅改修やバリアフリーを目的とした住宅のリフォームをまとめて行う方も少なくないと思います。

先に紹介しましたように、住宅改修を行った場合は、市区町村に申請をすることによって、住宅改修の助成が受けられますが、実のところ、住宅改修やバリアフリーを目的とした住宅のリフォームをまとめて行うことによって、税優遇も受けられる場合があります。

バリアフリー改修工事をした場合の住宅特定改修特別税額控除(住宅ローン等の利用がなくても適用できます。)とは、特定個人が、自己が所有している居住用家屋について高齢者等居住改修工事等(以下「バリアフリー改修工事」といいます。)を行った場合において、当該家屋を平成21年4月1日から平成33年(2021年)12月31日までの間にその者の居住の用に供したときに、一定の要件の下で、一定の金額をその年分の所得税額から控除するものです。

なお、このバリアフリー改修工事について借入金等を有しており、住宅借入金等特別控除又は特定増改築等住宅借入金等特別控除のいずれの適用要件も満たしている場合は、これらの控除のいずれか一つの選択適用となります。

出典:国税庁No.1220 バリアフリー改修工事をした場合

要点をまとめますと、住宅改修やバリアフリーに伴う自宅のリフォームを行った場合で、金融機関からリフォームローンなどを借入しなくても、一定の条件を満たしていれば、税優遇が受けられるということになります。

また、金融機関からリフォームローンを借入してバリアフリーのリフォームを行った場合は、こちらも一定の条件を満たすことで住宅ローン控除を適用することができるのですが、住宅特定改修特別税額控除と住宅ローン控除の内、有利になる方を選択して適用しても良いといったことになります。

 

住宅改修や住宅のリフォームにどのくらいのお金を支出した場合に対象になる?

バリアフリー改修工事をした場合の住宅特定改修特別税額控除(住宅ローン等の利用がなくても適用できます)は、バリアフリー改修工事の額が50万円を超えるものであれば対象になります。

住宅改修の種類 住宅改修の内容
手すりの取付け 廊下・便所・浴室・玄関などへの手すりの取り付け
段差の解消 廊下・便所・浴室などの敷居の撤去やスロープの取り付け
滑りの防止及び移動の円滑化等のための

床又は通路面の材料の変更

浴室などの床変更など
引き戸等への扉の取替え 引き戸・折れ戸・アコーディオンカーテンなどへの変更・取り付け
洋式便器等への便器の取替え 和式便所から洋式便所への変更
上記の住宅改修に付帯して必要となる住宅改修 浴室や便所の給排水設備の工事など

上記のような住宅改修は、バリアフリー改修工事に含まれることを考慮しますと、自己資金で50万円を超えるお金を支出した場合で、適用条件を満たしていれば、大きな税優遇が受けられることを意味します。

 

税優遇のイメージを紹介

住宅特定改修特別税額控除の控除額は、支出したバリアフリー改修工事の額の10%が税優遇されることになりますが、支出したバリアフリー改修工事の額は、最高200万円となっています。

たとえば、以下の前提条件の下、住宅特定改修特別税額控除の適用条件をすべて満たしているものと仮定し、先に紹介した住宅改修の助成を受けた場合の税優遇イメージを紹介しておきます。

  • 住宅改修助成金として18万円(20万円×9割)を市区町村から支給されている
  • バリアフリー改修工事として200万円を自己資金で支出した(すべて控除対象費用)

200万円-18万円=182万円(助成金がある場合は、工事費用から差し引く)

182万円×10%=18.2万円(税額控除=納めるべき所得税から直接差引される)

1年間に納めるべき所得税の内、18.2万円が税額控除となることから、個人差はあるものの、多くの還付金が期待できることを意味します。

 

まとめ

住宅改修にかかる助成や税優遇は、いずれもご自身で申請したり申告をしなければ恩恵が受けられないものになりますので、知らない方は大損してしまう懸念がどうしても否めません。

介護の問題は、老後の問題とも大きく関係することを踏まえますと、仮に、今は活用する知識でなかったとしても将来役立つ知識であることに変わりはありません。

もちろん、法改正によって制度内容が変わることは十分予測できるものの、制度そのものが無くなることは考えにくいため、周りの家族に変化があった時のための知識として役立てていただければと思います。