- 遺族年金の受給要件に該当したら自分で手続きをする。
- 年金請求書は年金事務所またはホームページで入手。
- その他戸籍謄本などの必要書類を準備。
- 申請から実際の年金受取まで4カ月前後かかる。
公開日:2020年2月14日
配偶者が亡くなり、これからの生活をいかに立て直していくか大変心細い状況の中で、「遺族年金を受給できる」ということは唯一の安心材料ではないでしょうか。どんなにつらい状況であっても生活は続きます。つまり生活費は日に日に減っていきます。
精神的にもお辛い中で、2カ月に一度の振込日には、必ず生活費として遺族年金を受け取ることが出来ると思うと、少なくとも金銭面での不安は少し解消されるかもしれません。本記事では、この大切な遺族年金の受け取りの流れについて解説していきます。
遺族年金は、老齢年金と違って誰しもが受け取る権利のある年金ではないので、該当する場合にはご自身で申請しなければ受給できません。配偶者の逝去により、なんらかの遺族年金を受給できる要件に該当するかもしれない、と思った方は最寄りの年金事務所へ相談に行くと良いでしょう。
もちろん本記事のようにインターネットや書籍などで遺族年金についてご自身で調べるのも一つの手段ではありますが、配偶者を亡くした後で精神的にもお辛い中、ご自身で調べるにも限界があるのではないでしょうか。
ここからは実際の申請方法の流れや必要書類について、なるべく簡潔にポイントを絞ってまとめていきます。是非参考になさってください。
申請に必要な書類として、2パターンあります。まずは【ご自身で取り寄せる書類】、もうひとつは【年金事務所から受け取る書類】です。年金事務所から受け取る書類は「年金請求書」のみです。
実際に年金事務所へ行き直接受け取ることもできますし、日本年金機構のホームページ内より年金請求書のダウンロードもできます。記入見本を確認することもできますので、ホームページの資料をお使い頂いても良いでしょう。
【ご自身で取り寄せる書類】はいくつかありますので、以下リストにて紹介します。
「遺族年金の受給」といっても、自営業者やフリーランス等のご遺族が受け取る年金なのか、会社員や公務員等の給与所得者のご遺族が受け取る年金なのかによって、申請および提出先が違います。
亡くなった方が国民年金の加入者だった場合の申請先は「市町村役場の年金窓口」です。一方、給与所得者であり、厚生年金の加入者だった方の請求先は「お住まいの都道府県の最寄りの年金事務所」となります。
年金請求書や取り寄せるべき書類一式を提出したら、あとは実際に振り込みがあるまで3~4カ月待つことになります。途中で進捗状況を知らせる葉書や封書が日本年金機構から届きます。
またその間、書類に不備などがあれば当然修正することになり更に時間がかかりますので、なるべく最初の提出時に間違いのないよう書類を揃えましょう。以下、申請から初回の振込までの流れを順を追って解説します。
各種遺族年金を受け取ることが出来るのは、受給要件に該当したときからスタートで、該当しなくなれば取り消しです。
最初は貰っていたのに、のちに要件に該当しなくなる場合とは、主なもので【新たなパートナーと再婚する場合】や【遺族年金を受け取っていた遺族の死亡】により中断すること等が挙げられます。
加えて、遺族基礎年金に関しては子供がいるかいないかは受給するための大前提となります。そのお子さんが成長し、18歳を超えた場合には、遺族基礎年金は打ち切りとなります。
そのほかの遺族年金がもらえない場合等について、こちらの記事に詳しくまとめていますので是非ご参照ください。
遺族年金の開始時期は「配偶者の死亡した日の翌月から」対象となります。ただし、翌月からすぐに振り込みがあるわけではありません。実際には諸手続きを済ませた後、3~4カ月くらいは初回の振込までに時間がかかります。
また、振り込まれるタイミングは個別に違うものではなく、全国一斉に日にちが決められており、銀行などの金融機関では「年金支給日カレンダー」をあらかじめ掲示や配布しているところもあります。
支給月は1年の内の偶数月で(2月・4月・6月・8月・10月・12月)、支給日は偶数月の15日です。
ただし土日や祝日などで一般的な金融機関が営業していない日にちに年金振込日が重なった場合は、前倒しでの振込となります。(たとえば2月15日が土曜日である場合、前倒しの14日金曜日に年金が振り込まれます)
遺族年金の認定日から実際の初回振り込みまで時間がかかっても、その間に受け取ることが出来る年金額については、初回振込分に合算して支給されます。たとえ遅れていても、年金受給の権利が発生していればもれなく受け取ることが出来ますのでご安心ください。
受給できる要件として、亡くなった配偶者が「国民年金」「厚生年金」いずれに加入していたかによって違います。また、どちらの場合でも【配偶者】であれば夫でも妻でも良いのですが、夫の場合は少々要件が厳しい場合があります。
ここでは年金制度別に、受給の要件についてポイントをまとめます。
詳細についてはコチラの記事もご参照ください。
お子さんの居ない国民年金加入のご夫婦の場合、遺族年金をもらうことが出来ません。現行の遺族年金制度では、年齢や収入に関わらず、子供の有無が大きなポイントとなっています。
例えばご夫婦二人で自営業を営んでいる場合などは、配偶者の内どちらかがお亡くなりになると事業自体の規模縮小や、場合によっては廃業せざるを得なくなる場合もあります。遺族年金が無いという事は、配偶者の死後の生活費を自分で準備しておくしかありません。
生命保険の死亡保障でしっかりお互いの為に資産を残すことや、事業の内容によっては損害保険への加入検討など、早めに万が一に備えておくことをお勧めします。
中高齢寡婦加算とは、遺族厚生年金を受給する妻にお子さんがいない場合(または18歳に到達した子がいる場合)に、40歳から65歳未満であればその期間だけ上乗せして支給されます。残念ながらこの制度は、妻を亡くした夫には適用されません。
また、中高齢寡婦加算が65歳で終了した後、妻が自分の老齢基礎年金を受給するようになったら、今度は【経過的寡婦加算】という加算を受け取ることが出来る場合もあります。これも遺族が夫の場合は受け取ることが出来ません。
このような遺族年金に関する諸制度に関しては、妻が遺族になる場合が未だ優遇されている面があります。
遺族年金の金額は、亡くなった配偶者が生前に加入していた年金が、国民年金か厚生年金かどちらだったかによって計算基準が変わります。なお、年金制度の違いによる受取基準は上記の通りです。
ここでは年金別に金額の目安となる概要を説明します。また、年金額の一般的な計算はご自身やファイナンシャルプランナーでも行うことは可能ですが、年金に関する専門的なご質問に関しては、最寄りの年金事務所または社会保険労務士までお尋ねください。
遺族基礎年金(国民年金加入者だった方)の場合は、年金受給の要件に該当すれば受け取る年金額はどなたでも一律です。基準となる額は同じなので、変動があるとすればせいぜい子供の人数によって金額が変わるくらいです。一律の金額は以下の通りです。
780,100円+子の加算(第2子までは各224,500円・第3子以降は各74,800円)
遺族厚生年金の受給額は、亡くなった配偶者の年収に応じて細かく金額が変わります。基礎年金と違い、決して一律ではありません。
平成15年以前とそれ以降の被保険者月数と、平均標準報酬月額(平均標準報酬額)を掛け合わせ、さらにそれぞれに対して所定の係数をかけて合算したものが遺族厚生年金の額の目安となります。
この計算式は非常に複雑な為、手計算で行うのではなく、Web上に無料で公開されている遺族厚生年金の受取額を調べるための簡易シミュレーターがありますので、そちらを活用するのが良いでしょう。
遺族年金をもらうと言っても、なかなかすぐには受給開始とならないことはお分かりいただけたのではないでしょうか。
年金を受け取ることになる方(ご遺族)の生計維持関係の確認や、年齢・年収の確認、お子さんの条件など、申請してから調査し認定を受けるまでに、最低でも3カ月~4カ月は時間がかかると思っておいた方が良いでしょう。
またその際でも所定の期間の分は、1回目の支払日にまとめて振り込まれますが、初回振込まで少し間が空く間の生活費に困ることがないよう、できるだけの預貯金は常に準備しておくことをお勧めします。
申請先に関しても、基礎年金の請求は市町村窓口、厚生年金の申請は年金事務所と、実は細かく分けられています。もちろん年金全体に関するご相談やお尋ねは最寄りの年金事務所で構いませんが、提出先は異なるという事は覚えておきましょう。
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