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遺族年金の受給条件とは?仕組み・申請方法をFPがわかりやすく解説!

遺族年金の受給条件とは?仕組み・申請方法をFPがわかりやすく解説!

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大野 翠

大野 翠

芙蓉宅建FPオフィス代表、宅地建物取引士、2級FP技能士(きんざいFPセンター正会員)

芙蓉宅建FPオフィス代表。金融業界歴10年目(2020年現在)。お金と不動産の専門家。生命保険、損害保険、各種金融商品の販売を一切行わない「完全独立系FP」として、プロの立場から公平かつ根拠のしっかりしたコンサルティングを行っています。一般消費者の金融に関する苦手意識を払拭すべく、ライフワークとして「超・初心者向けマネー勉強会」を毎月テーマを変えて開催しています。

この記事のポイント

  • 遺族基礎年金は国民年金加入者が対象。
  • 遺族厚生年金は厚生年金加入者が対象。
  • 厚生年金加入者は該当すれば遺族基礎年金ももらえる。
  • 申請してから実際の年金振込までに約4か月前後かかる。
  • シングルマザーの場合も子供に遺族年金が支給される。
  • 事実婚でも遺族年金の対象となる場合がある。

生活を共にしていた配偶者が死亡した場合、これからの生活や今後の事など不安に苛まれ、精神的にとてもお辛いかと思います。日が経つにつれ、現実的には金銭面での今後についても一気に不安になることでしょう。

この金銭面でのサポートとして「遺族に対する年金制度」があります。しかし残念ながら、どなたにでも平等に…というわけにはいきません。この遺族年金をもらうためには、いくつかの要件を満たす必要があります。その要件を満たしていない場合は残念ながらもらえないということです。

本記事では、遺族年金を受け取るにはどうしたら良いか等について、具体的な申請方法についてわかりやすく解説をしていきます。

 

受給の条件

受給の条件

「遺族年金」の受給の条件として《亡くなった方が満たすべき条件》と、《受給の対象となるご遺族が満たすべき条件》の2種類があります。

更に、亡くなった方が生前加入していた年金が、自営業やフリーランスの加入する国民年金であるのか、会社員や公務員などの給与所得者が社会保険と同時に加入している厚生年金なのかによって、それぞれの受給の条件が変わります。

対象となるお子さんの条件に関しても年齢の制限がありますので、よく確認しましょう。

 

【共通要件】遺族の所得制限

基礎・厚生どちらにも共通することとして「遺族年金」を受け取ることになる方の所得の制限があります。年収850万円を超えている配偶者(遺族)の場合は、所得制限にかかり受け取ることが出来ません

この所得の制限を調査するためにも、年金請求書とともに提出する書類として「源泉徴収票」などの所得のわかる書類が含まれています。

 

【自営業者等】国民年金加入の場合

【自営業者等】国民年金加入の場合

国民年金のみ加入している自営業者やフリーランスの方は、遺族年金のうち【遺族基礎年金】のみを受給することが出来ます。

 

亡くなった方の条件

  • 受給資格期間が25年以上ある(免除期間も含めて保険料納付済期間が2/3以上であること)
  • 死亡日に65歳未満の場合は死亡した月の前々月までの1年間の保険料の滞納が無いこと(令和8年4月1日までの特例)

 

ご遺族の条件

以下のいずれのかに該当する必要がありますが、いずれ場合も、死亡した者と同居していた等の生計維持関係であることが前提です。

  • 子(18歳を迎えた年の年度末まで。または障害等級1級か2級で20歳未満)
  • 子のある配偶者

 

【会社員等】社会保険加入の場合

【会社員等】社会保険加入の場合

会社員や公務員など給与所得者として社会保険に加入し、厚生年金をかけていた場合は、遺族年金の内【遺族基礎年金】と【遺族厚生年金】の両方を受け取る権利があります。ただし、それぞれの要件を満たす必要がありますので、どちらか片方または両方を受け取ることとなります。

 

亡くなった方の条件

  • 厚生年金に加入していた場合
  • 被保険者期間中にの病気やケガが原因で5年以内に死亡した場合
  • 免除期間も含めて保険料納付済期間が2/3以上であること
  • 死亡日に65歳未満の場合は死亡した月の前々月までの1年間の保険料の滞納が無いこと(令和8年4月1日までの特例)
  • 【老齢厚生年金】の受給資格期間が25年以上ある場合
  • 【障害厚生年金】の1級または2級を受けられる方が亡くなった場合

 

ご遺族の条件

以下のいずれのかに該当する必要がありますが、いずれの場合も、死亡した者と同居していた等の生計を維持する関係にあることが前提です。

  • 子(18歳を迎えた年の年度末まで。または障害等級1級か2級で20歳未満)
  • 55歳以上の夫
  • 父母
  • 祖父母

 

申請方法

申請方法

遺族年金の条件を満たしていた場合は、速やかに年金受給の手続きをしましょう。ここからは、必要書類や申請先について解説します。

 

 

必要書類

必要書類は以下の通りです。

  • 年金請求書(日本年金機構HPよりダウンロードも可能)
  • 年金手帳
  • 世帯全員の住民票
  • 亡くなった方の住民票の除票
  • 請求する方(遺族年金の対象者)の収入のわかるもの(源泉徴収票など)
  • 子供の収入の収入のわかるもの(義務教育は不要。高校生は学生証の写しなど)
  • 死亡診断書のコピーまたは死亡届の記載事項証明書
  • 年金振込先に指定する金融機関の通帳
  • 印鑑(認印可。スタンプ印不可)

 

申請先

申請先は、どの年金を受給するかによって違います。遺族基礎年金はお住まいの地域の市町村役場の年金担当窓口です。遺族厚生年金は最寄りの年金事務所です。

 

受取方法

受取方法

遺族年金の受け取り方法は、指定した銀行口座へ2カ月分の合計額が振り込まれます。支給のタイミングは1年の内の偶数月(2月・4月・6月・8月・10月・12月)の各15日です。

15日が土日祝日に重なる場合は、前倒しで直前の平日となります(たとえば15日が日曜日である場合は、13日金曜日に振り込まれます)。

 

初回分が振り込まれるまでの期間

遺族年金の申請手続きを済ませてから、実際に1回目の年金振込があるまで約3~4か月かかります。支給日が遅れた場合でも、受給の権利が発生した日以降の分は初回分に合算して振り込まれますのでご安心ください。

 

収入の途絶に備えるために

手続きの為には、まず様々な必要書類を集めたり記入する必要があります。遺族年金の申請手続きと並行して、配偶者の逝去に伴う様々な手続きを同時進行する場合がほとんどですので、なかなか思うようには進まない場合もあるかもしれません。

先ほども紹介しましたが、遺族年金を受取るには申請してから更に3~4か月かかります。その前の段階(提出する前)にも時間がかかってしまうと、配偶者の逝去から半年~1年後から遺族年金を受け取ることになる方も少なくありません

その間の収入の途絶に備えるために、生命保険や預貯金での最低限の生活費の備えは、あらかじめしておくようにすると安心です。

 

受給額の目安について

年金の受給額に関しては、各ご家庭の家族状況などによって差があります。もちろん、受け取る遺族年金が基礎年金か厚生年金かの違いもあります。

受給額の目安についてはこちらの記事も参考にされてください。

 

遺族年金は非課税

遺族年金は非課税

遺族年金は全額非課税扱いです。これは金額の多寡に関わらず、どなたでも一律課税されません。遺されたご家族の生活費の要となるお金ですので、そこまで課税していては本末転倒です。ただし、老齢年金や付加年金に関しては課税されます。

 

扶養親族になるメリット

高齢の親御様が遺族年金を受給している場合、給与所得者であるお子さんの「扶養親族」とすることで、お子さんの節税になり、さらに親御様も健康保険の保険料が安くなるなどのメリットがあります。

遺族年金受給中の親を扶養親族にすることが出来る条件や、その節税効果などについては、こちらの記事にまとめていますので是非ご参照ください。

 

夫ももらえる?

夫ももらえる?

これまでは【遺族基礎年金】における定義付けとして「子または子のある妻」と限定されていました。現行では「子のある配偶者」と改正されていますが、これは近年の家族形態の多様化によるものです。

必ずしも夫が一家を担う大黒柱である必要はなく、夫婦が揃って社会で活躍するスタイルが増えてきました。このことから【遺族基礎年金】では、夫も対象となります

また【遺族厚生年金】でも夫が受け取ることは出来ますが、この場合は妻が死亡した当時に夫が55歳以上で、なおかつ夫が60歳以降にならなければ受け取ることが出来ないという少々厳しい条件となっています。

 

 

年金がもらえなくなる場合とは?

配偶者が亡くなった当初は受給の要件に該当していて受け取ることが出来ていた年金が、途中でもらえなくなることがあります。もらえない場合に該当する一般的な例として「再婚による場合」「子どもが成長して18歳を超えた場合」があります。

他にも途中で打ち切りとなる場合がいくつかあります。次の記事にまとめていますので参考になさってください。

 

再婚によりもらえなくなる場合

再婚により年金が打ち切りになる場合に関しては、こちらの記事も是非ご確認ください。

 

事実婚の場合どうなる?

事実婚の場合どうなる?

近年、家族形態の多様化に伴い、事実婚や内縁関係でも柔軟に遺族年金が支払われる場合があるとのことです。

この場合の大前提として、戸籍上別の婚姻相手がいないことは当然ですが、離婚後そのまま同居して事実上夫婦の形態で暮らし、生計を維持する関係にある場合などが、遺族年金上の生計維持関係とみなされる場合があるようです。

実際に事実婚を証明するには様々な必要書類を提出しなければいけませんが、仕事上の都合や何かしらの理由があって未入籍のまま長く夫婦同然に生活をしている場合は、遺族年金の受給の要件に該当する場合もありますので一度年金事務所などに相談に行かれると良いでしょう。

 

シングルマザーはどうなる?

シングルマザーはどうなる?

シングルマザーの方でお子さんとご本人だけの生活である場合、子供にとって唯一の親であるお母さまに何かあったら遺族保障はどうなるのでしょうか。

まず、アルバイトやパートなどで国民年金のみ加入している場合、遺族基礎年金の受給要件である「子」に該当すれば、お子さんに遺族基礎年金が支給されます。お母さまの要件として、直近1年以内に保険料の未納が無ければ大丈夫です。

会社員や派遣社員などで社会保険加入の場合、「子」の条件に当てはまれば、遺族厚生年金も受給できることになります。この場合のお母さまの要件として、基礎年金と同様に1年以内に保険料未納が無いこと等があります。

配偶者が居なくても、お子さんは守られるべき存在です。然るべき遺族保障が遺されたお子さんにきちんと支給されることになっています。どうぞご安心ください。

 

遺族年金の受給条件に関するまとめ

いかがでしたか。遺族の条件や亡くなった方の要件、さらに加入していた年金がどれであるかによって満たさなければいけない内容が様々です。ご自身がどこに、どう該当して、果たして遺族年金をもらうことが出来るのか、なかなかご自身で判断できかねる場合もあるかと思います。

そのような時には最寄りの年金事務所や年金相談センター、市町村役場の年金担当窓口などへお気軽にご相談されることをお勧めします。ちなみに、委任状による代理申請や郵送での申請も可能です。

また、年金制度全般に関する専門家は社会保険労務士です。別途有料にはなりますが、年金関係の手続きの代行も行ってくれますので、時間短縮や正確さを求める場合は社会保険労務士に依頼することも一つの対策となります。

 

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