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交通事故の損害賠償の基礎知識まとめ!対象範囲・請求方法についてFPが徹底解説

交通事故の損害賠償の基礎知識まとめ!対象範囲・請求方法についてFPが徹底解説

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著者名

棚田 健大郎

棚田 健大郎

行政書士、国土交通大臣指定 マンション管理士、ファイナンシャルプランナー

大手人材派遣会社に正社員として入社。 主要取引先であったJASDAQ上場(当時)の株式会社エイブルへ出向。 その後ヘッドハンティングされ、完全に移籍。およそ3,000人の社員の中で、トップセールスを記録するなどして活躍。 その後管理職として複数年勤務後、独立。 行政書士、マンション管理士、ファイナンシャルプランナーなどの資格を取得し、棚田行政書士リーガル法務事務所を設立。現在に至る。

この記事のポイント

  • 交通事故の損害賠償で請求する項目は多岐にわたるため、交通事故に強い弁護士に依頼するのが得策である。
  • 納得のいく賠償金を獲得するためには、示談交渉がとても重要である。
  • 弁護士費用よりも弁護士に依頼して増額する金額のほうが大きいので、費用倒れになる心配はない。

この記事は約10分で読めます。

交通事故の損害賠償において、被害者が加害者に請求できる項目にはどのようなものがあり、およそいくらくらいの請求が可能なのでしょうか。そこで本記事では、請求できる項目や範囲そして請求する際の示談交渉のポイントなどについて詳しく解説します。

 

損害賠償の定義と算出方法

損害賠償の定義と算出方法

交通事故で加害者に請求できる項目は、非常に多岐にわたります。ここでは具体的な請求項目について、具体例を用いて解説していきたいと思います。

 

損害賠償請求でよくある相談事例

例えば次のような相談があったと仮定します。

  • Q:車で走行中に交通事故に遭い、幸い大事には至りませんでしたが、長く続いた治療がようやく終わりました。加害者側の保険会社から示談に関する打診がありましたが、事故による損害額はどのように計算すれば良いのですか?

損害額の算定についてですが、自動車の事故で一方的に衝突されたような場合は、加害者側の負担割合が100%に近くなります。

では、どのような損害について請求が可能なのかについてですが、加害者側に請求出来る範囲は、「事故があったから、この損害が発生した」という因果関係がある事が大前提となります。

そしてそれを基に考えた場合、下記のような費用について請求が可能になります。

 

怪我の治療費の範囲

交通事故のせいで治療が必要になった、という因果関係のもと治療費の請求が可能です。これは原則、全額の請求が可能ですが、医師の適切な指示のもと行なわれた事が前提となります。

保険会社によっては、接骨院や整骨院などで受ける施術を治療とは認めない場合もありますので、予めよく確認してから治療を進める必要があります。もちろん、領収書も大切に保管しましょう。

怪我の治療費の範囲

 

治療に付随して請求できる項目

入院する事で一定の雑費が発生します。例えば家族の付添いが必要になった場合、付添費の請求が認められています。

また、病院に来院するための交通費も損害賠償の対象になりますが、タクシー代については、よほど相当の理由がない限り保険会社は支払わない傾向にありますので、可能な場合は極力電車やバス等の公共交通機関を利用しましょう。

 

慰謝料の種類

事故によって怪我を負ったせいで通院する事になり、その結果精神的な苦痛を受ける事になった、という因果関係のもと慰謝料を請求する事が可能です。これについては算定基準がありますので、それに当てはめて計算する事になります。

むち打ち症などで他覚的所見がない場合(損害賠償額算定基準:別表II)
単位 入院 1
ヶ月
2
ヶ月
3
ヶ月
4
ヶ月
5
ヶ月
6
ヶ月
7
ヶ月
8
ヶ月
9
ヶ月
10
ヶ月
(万円)
通院 35 66 92 116 135 152 165 176 186 195
1ヶ月 19 52 83 106 128 145 160 171 182 190 199
2ヶ月 36 69 97 118 138 153 166 177 186 194 201
3ヶ月 53 83 109 128 146 159 172 181 190 196 202
4ヶ月 67 95 119 136 152 165 176 185 192 197 203
5ヶ月 79 105 127 142 158 169 180 187 193 198 204
6ヶ月 89 113 133 148 162 173 182 188 194 199 205
7ヶ月 97 119 139 152 166 175 183 189 195 200 206
8ヶ月 103 125 143 156 168 176 184 190 196 201 207
9ヶ月 109 129 147 158 169 177 185 191 197 202 208
10ヶ月 113 133 149 159 170 178 186 192 198 203 209
上記以外の場合の傷害部分の慰謝料基準表(損害賠償額算定基準:別表I)
単位 入院 1
ヶ月
2
ヶ月
3
ヶ月
4
ヶ月
5
ヶ月
6
ヶ月
7
ヶ月
8
ヶ月
9
ヶ月
10
ヶ月
(万円)
通院 53 101 145 184 217 244 266 284 297 306
1ヶ月 28 77 122 162 199 228 252 274 291 303 311
2ヶ月 52 98 139 177 210 236 260 281 297 308 315
3ヶ月 73 115 154 188 218 244 267 287 302 312 319
4ヶ月 90 130 165 196 226 251 273 292 306 316 323
5ヶ月 105 141 173 204 233 257 278 296 310 320 325
6ヶ月 116 149 181 211 239 262 282 300 314 322 327
7ヶ月 124 157 188 217 244 266 286 301 316 324 329
8ヶ月 132 164 194 222 248 270 290 306 318 326 331
9ヶ月 139 170 199 226 252 274 292 308 320 328 333
10ヶ月 145 175 203 230 256 276 294 310 322 330 335

例えば、むち打ち症で他覚的所見がない場合に1ヶ月通院した場合の慰謝料の目安は19万円となります。また、これらの慰謝料とは別に、治療後も一定の後遺症が残った場合は、その後遺症に対する後遺障害慰謝料を別途請求できます。

保険会社が算定して提示してくる示談金には、これらの慰謝料は考慮されていない事が多いため、安易に応じる前に必ず交通事故に強い弁護士に相談しましょう。

 

休業損害の内容と請求できる範囲

休業損害の内容と請求できる範囲

事故によって仕事を休むことになったことで収入が減少した、という因果関係のもと休業損害を請求する事ができます。算定基準等は弁護士基準に基づくと下記の通りです。

  • 会社員や自営業者の場合:事故当時の収入をベースとして、現実に失われた損害を算出します。
  • 専業主婦の場合:専業主婦には収入はありませんが、家事労働を労働として捉え、女性の平均賃金をベースに損害を算出し請求する事が可能です。
  • 学生や未成年:原則として休業損害は認められません。但し、アルバイトをしているような場合は、その分の損害を請求する事は可能です。

主な損害賠償の項目としては以上となります。

あとは、後遺障害が認定された場合に、事故に遭わなければ得られていたはずの利益として逸失利益についても請求が認められる場合があります。また死亡事故の場合は、死亡慰謝料や葬儀費用等も損害として請求する事が可能です。

 

 

主婦の休業日数は証明できる?

会社員が休業損害を請求する場合は、実際に休業して減収が発生した旨を、勤務先に書類を書いて捺印をもらうことでそれを証明します。

ところが主婦の場合は、このように休業日数を客観的に証明する書類がありません。この場合は、次のようなものを証拠として利用します。

  • 医師の診断書
  • 通院時に支払った領収書
  • 通院の状況を記録したメモなど

子供や家族の人数が多く、休んでいる間家政婦を雇う必要性があった場合は、家政婦を雇った実費を休業損害として請求することも可能です。ただ、請求できるのは賃金センサスを基礎とする休業損害か、家政婦を雇った場合の実費のいずれかになるため注意が必要です。

主婦の休業日数は証明できる?

ちなみに、最近では男性が家事をしていて女性が働いているというご家庭もありますが、このような場合にいわゆる主夫が交通事故の被害者となるケースもあります。

この場合も、男女とも公平になるよう、賃金センサス女子全年齢平均を基礎として計算をしますので覚えておきましょう。

 

保険会社への請求は多岐にわたる

保険会社への請求は多岐にわたる

このように、一言で損害賠償といってもその項目は多岐にわたり、算定方法についても非常に複雑です。これらの項目1つずつを適切に算定し相手方に支払わせるには、経験豊富な交通事故に強い弁護士のサポートは必要不可欠といえます。

少しでも多くの賠償金を受け取りたいと考えるならば、必ず交通事故に強い弁護士に相談するべきです。

 

損害賠償請求手続きにおける示談のポイント

損害賠償請求手続きにおける示談のポイント

交通事故の損害賠償請求で示談交渉という言葉が用いられますが、そもそもこの示談とはどういう意味かご存知ですか。示談交渉をスムーズに進めて迅速に解決するためには、どのようなことに気をつけたらよいのか詳しく解説します。

 

 

示談とは?

示談とは言葉としては、物事を表沙汰にせずに内々に解決することをいいますが、法的にいうと裁判ではなく、任意での話し合いによって解決することをいいます。実は交通事故の多くは、この示談によって解決が図られています。

 

示談交渉のメリットについて

被害者が示談をするメリットは何でしょうか。交通事故の損害賠償請求をするためには、裁判外の示談で請求するか、裁判によって請求するかのいずれかの選択肢となります。(※ADRや調停という選択肢もあります)

この際、裁判所を通じて請求をする民事訴訟の場合、問題が解決して相手方から賠償金が支払われるまで場合によっては1年以上かかるケースもあり、解決のスムーズさという部分では遅くなってしまいます。

これに対し、示談の場合はお互いが合意さえすればよいので、主張が真っ向から対立していなければ示談交渉で解決したほうが圧倒的に早いです。

また、裁判をするとなると弁護士費用や裁判費用など諸費用の負担が増えます。出費が増えた分以上に裁判で経済的利益が得られないと費用倒れになってしまうため、多少妥協したとしても示談で決着したほうが被害者にとってメリットが大きいことがよくあるのです。

 

示談交渉はやり方次第でスムーズになる

交通事故の示談交渉をスムーズに進めるためには、交通事故後の段階ごとに3つのポイントがあります。これらのポイントを押さえておけば、示談交渉が始まった時に交渉を有利かつスムーズに進めることが可能です。

 

1:実況見分の重要性について

人身事故が発生した場合、警察が現場に駆けつけて現場検証や実況見分を行います。警察が交通事故当事者の話をもとに、事故当時どのような状況だったのかを実況見分調書として残すために行います。

実はこの時のやり取りの記録は、のちにお互いの主張が食い違った場合に重要な証拠となるため、主張すべきところははっきりと主張し、違うところははっきりと違うと伝えて記録しておく必要があります。

ただ、交通事故で怪我を負っている場合は、自分自身が実況見分に立ち会えない場合があります。加害者のみの立会いで実況見分がされてしまうと、加害者側の一方的な言い分だけが記録されてしまうため、後でこちらが不利になる可能性があります。

そのため、自分自身がどうしても立ち会えない状態であれば、同乗者や家族を立ち会わせるか、後日実況見分をやり直すよう伝えておくことが重要です。

 

物損事故の場合

ちなみに物損事故の場合は実況見分が行われません。

事故後しばらくしてから怪我が発覚するようなケースでは、事故現場で物損事故(正確には物件事故)として処理していることが多いので、場合によっては再度警察に出向いて実況見分をやり直してもらう必要性も出てきます。

そうなると加害者の協力が得られない可能性も出てくるので、現場で少しでも体に違和感を感じたらできるだけ人身事故扱いにしてもらって、その場で実況見分をしてもらった方がよいでしょう。

 

2:医師の診察を受ける

示談交渉をスムーズに進めるためには、大前提として損害額が確定している必要があります。

ただ怪我の治療が継続している間は常に治療費がかかり続けているため、すぐに示談を成立させてしまうと後で治療費が思ったよりもかかった場合に、被害者自身で実費負担しなければならなくなってしまうのです。

そのため、事故後はすぐに病院で検査を行い、医師の指示のもと適切な治療を開始することが大切です。

人によっては接骨院や整骨院、マッサージなどに治療だといって通う人がいますが、保険会社はいわゆる東洋医学に基づく治療については、治療とは見なさない傾向があるため注意が必要です。

間違った治療を受けたせいで怪我の症状が悪化したとの主張を加害者側に許すことになってしまう可能性もあるため、十分注意しましょう。基本的には医師の指示に基づくこと以外は、できる限り避けることをおすすめします。

 

3:交通事故経験の豊富な弁護士相談する

加害者側が自動車保険に加入している場合、交通事故の示談交渉の窓口はその保険会社の担当者となります。

ただ、保険会社は年間で何百件もの示談交渉を行っているため、示談金を低くするための卓越したノウハウやマニュアルを持っています。そのため被害者自身が直接示談交渉しても、相手の手の内でうまく転がされてしまう可能性があります。

保険会社相手の示談交渉は、被害者自身で行うのではなくプロである弁護士に任せることが得策です。自身の加入している自動車保険に弁護士費用特約が付帯されている場合は、300万円まで弁護士費用が保険金から出ます。

加入していることを忘れている人がよくいるのですが、この特約は付帯することで保険料が割り増しになっていて使わないとただ損するので注意しましょう。

依頼する弁護士については、保険会社指定の弁護士以外でも事前に保険会社の許可を受けていれば、自分自身で好きな弁護士に相談することが可能です。

 

示談は合意すると修正できない

示談交渉は一度示談書に署名捺印してしまうと、後でその内容を覆すことはほとんど不可能です。被害者の方だけで示談をすると、適切な慰謝料相場などを見誤ってしまう危険性もありますので、できる限り弁護士に任せることをおすすめします。

 

損害賠償請求は弁護士に依頼すべき?

損害賠償請求は弁護士に依頼すべき?

交通事故の損害賠償請求は、基本的に損害額を計算して加害者に請求するだけなのでやることとしてはシンプルに聞こえますが、交通事故の場合は損害の明細が多岐にわたるため、支払いを請求する前の計算の段階でかなり苦労します。

加害者側の保険会社は常に支払う保険金を低く抑えようと考えているので、被害者の知識不足がわかると保険会社は相場よりも低い金額を当然のように提示してくるため、気をつけなければなりません。

このようなリスクを考えると基本的には被害者自身が損害賠償請求をするのではなく、交通事故の経験が多い弁護士に依頼したほうが安心できます。

 

弁護士の費用対効果

弁護士に依頼するとなると一番気になるのが弁護士費用でしょう。ただ、交通事故の場合は弁護士に依頼することによって増額する金額のほうが弁護士費用をはるかに上回ることがほとんどなので、基本的に依頼して損をするということはないといえます。

仮に増額の可能性が低い案件の場合は、弁護士が受任する前にその旨をはっきり教えてくれるケースが多いので、まずは1人で悩まずに弁護士に相談してみることをおすすめします。

 

交通事故の損害賠償に関するまとめ

今回は損害賠償請求の基本的な項目と、加害者に請求する際のポイントとなる示談交渉について詳しく解説してきました。

交通事故の損害賠償額は高額になることが多いので、できるだけ被害者自身で無理をせず専門家である弁護士に任せたほうがよいでしょう。

 

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