- がんの生存率が高くなった結果、再発や転移が増え、結果として治療が長期化するようになった。
- がんの治療の長期化に伴い、治療費だけでなく、がんによる収入減少への対策も必要になってきた。
- がん保険選びには診断給付金などの一時金の給付条件がポイントになる。
- がんによる収入減少に対応するには、がん保険の診断給付金などの一時金が有効。
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がん医療の進歩に伴い、がん保険の保障内容も新しい商品が出るたびに変わってきています。すでにがん保険に加入していても、その保障内容が現在の治療事情に合っていなければ、いざというときに役に立ちません。
そこで今回はがん保険選びの重要ポイントをお伝えし、そのポイントに合った具体的なおすすめ商品をランキングにしました。
がん保険はがんによる経済的なダメージを補填するのが目的です。具体的な商品を比較する前に、今がん保険にどのような保障が求められるのかを知っておきましょう。
では、今日のがんの治療事情はどのようになっているのでしょうか。
だいたい1990年以前のがんの治療の中心は、がんを切除する手術でした。当時は開腹や開胸による大変な手術が主だったため、大きな傷跡が残ったり、術後の回復にも時間がかかるのが普通でした。そのため、入院期間が長くなる傾向がありました。
現在のがん治療には、主に「手術」「放射線治療」「抗がん剤治療」の3つがあります。がんの種類や進行度に応じて、これらの治療を組み合わせた個々の患者に合った治療が選ばれます。
がんの手術も開腹・開胸から、腹腔鏡手術などの身体に負担がかからず、術後の回復が早い方法が選ばれるようになりました。
3つの治療のうち、「放射線治療」「抗がん剤治療」については通院による治療が普通になってきています。治療は長期化する傾向がありますが、それに伴い働きながらの治療も増えてきました。
次に、がんに罹った場合、どのようなことにお金がかかるのかを確認していきましょう。
放射線はあまり長期になりませんが、抗がん剤治療は数ヶ月単位に渡ることもあります。治療費が月に10万円以上の自己負担になることも多く、高額療養費制度を利用できたとしても家計を圧迫するようになります。
がんは「死に至る」病気でなくなった反面、再発や転移が起こりやすくなっています。その場合、治療も長期化しやすく、積み重なる治療費の負担が重くなってきます。
がんの先進医療には、重粒子線治療、陽子線治療などがあります。筆者の住む地域には重粒子線治療が受けられる病院があり、決して手の届かない治療ではありません。しかし、健康保険は適用されないため、全額自己負担となります。ちなみに、重粒子線治療は約300万円かかります。
がんの治療が長引くと、治療のために仕事を休んだり、体調が優れずに仕事を休むことが多くなったりと、仕事への影響が大きくなります。思うように働けないことによる収入減少と治療費の負担が重なると、ますます経済的に苦しくなります。
これまでに述べたがんとお金の事情を踏まえ、どのようながん保険を選んだらいいのか考えてみましょう。筆者が考えるチェックポイントは以下の通りです。
治療が長引くと、治療費だけでなく収入減による生活費の補填なども必要になってきます。また、民間療法や自由診療を選択するケースもあるでしょう。使い道が自由なまとまったお金が受け取れる診断給付金などの一時金は、複数回出るものでなければなりません。
抗がん剤やホルモン剤による治療は1回ずつの費用負担はそれほどでなくても、度重なると大きな重しになります。再発や転移を繰り返すような場合、一時金だけでなく都度(治療を受けた月ごと)受け取れる給付金もあったほうが安心です。
そして、その給付金が何度でも受け取れることが望ましいです。
がんの罹患リスクは60歳以降になると一気に高くなります。高齢になれば身体に負担のかかる治療は選ばなくなるかもしれませんが、医療の進歩で素晴らしい治療法が生み出されるかもしれません。つまり、がん保険は一生涯必要ということです。
また、年金生活者になってから保険料が上がっていくのも不安なものです。がん保険は終身保障で、保険料の上がらないものを選びましょう。
なお、保険会社も運用難の今、がん保険に貯蓄性を求めるのは合理的ではありません。保険料の安い掛け捨てを選び、貯蓄は別の方法を考えましょう。
上皮内新生物とは、がんの中でも上皮内にとどまっているもののことです。この段階では転移のリスクがほぼないため、軽微な治療で済むことがほとんどです。そのため、がん保険の商品ごとに、上皮内新生物の保障には悪性新生物とは別の条件が付くことが多いです。
ただし、女性の乳がんや子宮がんは切除や摘出手術をし、その後、抗がん剤治療などが続く場合があります。ですから、女性は上皮内新生物の保障内容には注意していただきたいと思います。
例えば、上皮内新生物での保険料払込免除などは必要ないとしても、診断給付金などの一時金は悪性新生物と同内容の保障が望ましいです。
今回は、保険の比較サイトなどで人気の商品を分析し、筆者独自の視点で厳選したがん保険をランキング化しました。それでは、具体的なおすすめのがん保険ランキングを発表します。ランキングとともに診断給付金などの一時金の支払条件を比較できるようにしました。
順位 | 保険会社 | 商品名 | 初回の支払条件 | 2回目以降の支払条件 |
---|---|---|---|---|
1 | FWD富士生命 | 新がんベスト・ゴールドα | 初めて悪性新生物と診断確定 | ・2年経過後 ・がんの治療目的で入院または通院 |
2 | 朝日生命 | スマイルセブンSuper | 初めてがん(上皮内新生物含む)と診断確定 | ・1年経過後 ・がんと診断 |
3 | 三井住友海上あいおい生命 | &LIFE ガン保険スマート | 初めてがん(上皮内新生物含む)と診断確定 | ・1年経過後 ・がんで入院 |
以下、それぞれのがん保険についての詳細を解説していきます。
FWD富士生命の「新がんベスト・ゴールドα」は、常にがん保険ランキング上位に選ばれる人気商品です。主契約の診断給付金が最大300万円まで設定可能です。それだけでなく、2回目以降の診断給付金を割り増しできる特則は他社にはないユニークなものです。
これらは、がんの闘病が長引いた場合、治療費以外に収入減でより多くの保障が必要になることから生まれたものです。
長年がん保険のトップランナーとして、がん患者が必要とする保障を知り抜いた保険会社ならではの頼もしいオプションだといえます。保険料が高くなりますが、傷病手当のない個人事業主などは検討に値する特則です。
2回目以降の診断給付金は通院治療でも受け取ることができ、入院を支払い要件にしている他社が多い中、加入者ファーストといえる好条件です。
オプションの抗がん剤給付金・放射線給付金が何回でも支払われるので、一時金と組み合わせて長期の治療を安心して受けられます。女性がんの特約が付けられる点も見逃せません。
それでは、「新がんベスト・ゴールドα」の口コミについてネットから拾った主なものを見ていきましょう。
良い評価として多かったものに「保険料と保障内容のバランスが良い」があります。診断給付金を中心とした手厚い保障内容でも保険料はそれほど高くない、つまりコストパフォーマンスが良いということです。
診断給付金受給の2回目以降の要件である「通院」は、「治療が続いていれば支払います」と同じ意味といえます。また、治療給付金の支払回数も無制限なので、安心して治療を受けることができます。
シンプルに「診断給付金だけで契約したい」という声は意外に多く聞かれます。基本的な保障がセットになった商品では、不要な保障まで付いてしまい、保険料も高くなりがちです。がん保険のキモである診断給付金だけで契約するというやり方は、人によってはとても合理的だといえます。
悪性新生物に限りますが、保険料払込免除が自動付帯されていて、しかも保険料は高くないのは高評価になりました。
悪いほうの評判としては保険会社の「給付が遅い」という、いささか気になる内容がありました。「支払わない」わけではありませんが、ぜひとも保険会社に改善してほしい点です。
AIG富士生命からFWD富士生命に変わり、何となく不安という声もありました。FWD富士生命は2017年12月12日付でフィッチ・レーティングス・ジャパン株式会社より、保険会社財務格付「BBB+」(支払い能力が良好)を取得しています。
保険会社の経営の健全性を示す指標の一つであるソルベンシー・マージン比率は2018年度決算では1029.7%と、十分な支払い能力を有していることを示しています。
これら情報がFWD富士生命の将来にわたる経営状況を約束するものではありませんが、一つの目安としていただけたらと思います。
「スマイルセブンSuper」は、がんをはじめとする7大疾病で所定の状態となってしまった場合に、まとまった一時金を受け取ることができる保険です。基本保障は7大疾病一時金のみです。その一時金の受取りが年に1回で、2回目以降もがんと診断されていれば受け取ることができます。
また、一時金は最高500万円まで掛けることができます。がんに罹っても毎年200万円以上の一時金が受け取れたら、治療費だけでなく、がんによる収入減にも備えることができます。
また、一時金を500万円にできたら、自由診療の免疫療法などにも活用できるのではないでしょうか。「新がんベスト・ゴールドα」より弱い部分は、主にオプションのがん治療給付金に支給限度があることです。
それでは、「スマイルセブンSuper」の口コミについて主なものを見ていきましょう。
一時金の支払回数が年に1回、何度でも受け取れるだけでなく、2回目以降の支払条件に「入院」などが付かないことは、とにかく高く評価されています。
もともと7種類の疾病の保険だったため、保障対象ががん以外の6疾病と広く、がん以外の疾病の一時金も何度でも受け取れます。
一時金が何度でも受け取れるため、がんの治療が長びいても安心という声が多く聞かれました。
保障内容のわりに保険料が安いという評価も多く見られました。
朝日生命の財務状況などがなんとなく不安という声もありました。2018年の朝日生命のソルベンシー・マージン比率は861.1%となっており、十分な支払余力を有しています。
この情報が朝日生命の将来にわたる経営状況を約束するものではありませんが、一つの目安としていただけたらと思います。
「スマイルセブンSuper」は朝日生命の直販では取り扱っていません。また、インターネットでのお申し込みは可能ですが、付けられるオプションに制限があるため、お勧めしません。大手保険代理店もしくは一部の銀行などで取り扱っています。
第3位は、2018年9月に販売がスタートした三井住友海上あいおい生命の「&LIFE ガン保険スマート」です。1番の魅力は診断給付金の受取りが年に1回であることです。診断給付金を増額できるところにも注目しています。
がんに罹っても毎年200万円の一時金が受け取れたら、治療費だけでなく、がんによる収入減にも備えることができるのではないでしょうか。
「&LIFE ガン保険スマート」のメリットはかなり強力ですが、「新がんベスト・ゴールドα」「スマイルセブンSuper」に比べると若干弱い部分もあります。
まずは、基本保障が入院給付金と手術給付金のため、それらが不要でも外すことができず、結果として保険料が高くなってしまう点です。もう1つは抗ガン剤治療給付金に120月の限度があること、さらに保険料払込免除がないことです。
また、診断給付金の2回目以降の受取り条件に入院が付くことも、上記2商品に対して見劣りします。
それでは、「&LIFE ガン保険スマート」の口コミについて主なものを見ていきましょう。
実際に割安かどうかは別として、口コミでは保険料が割安という声が多いです。実際に、男性の保険料には割安感があるようです。
上皮内新生物と悪性新生物が同額保障であるに越したことはありません。上皮内新生物でも治療が長期になる可能性がある女性にはうれしい特色です。
保険料の払込は終身払いだけでなく、60歳払込済みも選択できます。保険料は高くなりますが、現役中に払込が完了するので、年金生活になってからが楽です。
保険料払込免除はありませんので、もし、がんになって給付を受けるようになっても保険料は払い続けなくてはなりません。
医療の進歩でがんは死に至る病気ではなくなってきています。反面、治療が長びきやすく、治療費だけでなく収入減少への対策も必要になってきています。そのために一番役立つのはがん保険の診断給付金などの一時金です。
今回のランキングでは、一時金の保障内容が充実したがん保険を厳選しました。皆さまのがん保険選びの参考にしていただければ幸いです。
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