- がん保険は0歳から加入すべき。
- がんの罹患率だけではなく罹った際のリスクを想定しておく。
- 選び方のポイントとして、診断一時金と通院治療が付いているかを確認する。
公開日:2020年3月21日
今回はがん保険を備えるなら何歳からが良いのかという疑問にお答えする記事になります。
今では男性、女性共に2人に1人ががんに罹るという結果が出ています。理想としてはがんに罹る少し手前で保険を備える事がベストですが、罹患のタイミングばかりは誰にも分かりません。逆に備え損なった状態でがんに罹患してしまっては大変です。
保険料との兼ね合いもあるでしょうが、備えあれば憂いなしです。何歳の罹患率が高いのか等も含めた選び方のポイントも合わせて解説しますので、最後までお付き合い下さい。
はじめに保険に関しての予備知識について触れておきます。日本は世界の中でも圧倒的に保険に加入している割合が多く、約9割の方が何らかの生命保険や医療保険、がん保険などに加入しています。
中には親が子供に掛けているケースも含まれ、成人した際に保険の支払いをバトンタッチする事も可能です。最近の傾向では独身の方で20代前半の方の加入率は低い様です。しかし、結婚や社会人になった事をきっかけに保険に触れる事が多く、誰もが保険に関わっていると言えるでしょう。
では保険の役割について解説していきますので、未加入の方や見直しをご検討の方は次の解説をご覧ください。
一般的に生命保険とは死亡保険の事を想像しますが、生命保険とは医療保険、がん保険、介護保険等保険会社が取り扱う保険商品全般を指します。今回の解説では生命保険を死亡保険として解説します(以下死亡保険)。
死亡保険は字の通り、亡くなった際に支払われる保険です。加入後3年以内の自殺は免責(支払いの対象外)となる事が殆どで、死因は問いません。
主な役割としては、遺されたご家族に金銭的な負担をかけたくない場合に掛ける事が多く、結婚していてお子さんや奥様等を扶養している男性が大きな死亡保険に加入する事が多いです。
独身の方であれば、万が一亡くなった際には扶養者はいないと思いますが、お葬式や借入等の整理資金に充当するため保険に加入する事もあります。
また死亡保険には貯蓄機能が付加されているものが多く、この機能を活用し、保険で積立をする方も少なくありません。老後や教育資金に備える際に、死亡保険が付いてくるのはこのためです。
メジャーな保険ですが、病気・ケガで入院した際に保険会社から支払われるのが医療保険です。
最近の医療保険は治療を伴う入院はもちろん、検査入院や(人間ドック等の健康診断による入院は除きます)、糖尿病の教育入院なども対象になる保険会社もあり、活用の幅は広くなってきています。
入院を伴う場合には手術する事もあるでしょう。手術をする場合は別途手術給付金というお金を受け取る事ができ、退院後の通院も保障される特約もあります。
また女性特有の病気に罹ってしまい入院した際に、女性疾病特約という名前で入院日額を上乗せで受け取る事も可能です。そして先進医療特約という健康保険が効かない治療を受けた際にも保険会社が支払ってくれるオプションもあり、最近の保険会社は医療保険の改定が目まぐるしいです。
いつ、どんな時に入院するか分かりません。その際に医療保険に加入しておけば掛かる医療費を軽減する事が出来ますので、ご検討する方が多いです。
私はお子様がいるご家庭であればお子さんにも医療保険をお勧めします。理由として、子供の場合は乳幼児医療があるので医療費は殆どかかる事はないですが、もし小さな子供が入院するとなった場合に誰かが付き添わなければなりません。
その時、夫婦であれば母親が付き添うケースが多く、この時、母親の仕事がパートだとします。するとパートさんでも仕事を休めば給料はありません(有給など付与してくれる会社以外です)。
つまり子供の入院に合わせ仕事を休む事になるので、休んだ日数分の給与補填の意味でお子さんに医療保険を勧める訳です。今は共働きやシングルマザー、ファザーも増えており、中々仕事を休めない方等は加入を検討しておいても良いのではないでしょうか。
がん保険はがんであれば支払いの対象になりますが、それ以外の病気だと支払われる事はありません。病気が特定されていますので、罹らない方には勿体ない保険であると言えます。
しかし、冒頭で解説したように2人に1人ががんに罹患する時代です。そして治療期間がとても長くなる特徴があります。長い治療期間となると金銭的な負担は計り知れません。そこでがん保険が役に立ちます。
がん保険の主だった特徴は診断一時金や抗がん剤、放射線治療による通院に対応している事が多く、医療保険とは対照的な金額の支払い方になる保険であると言えます。
もしもがんに罹患した際には、仕事を辞めざるを得ない、配置転換になり収入がダウンしたなど色んな事情があります。一般的な軽度な病気やケガと異なり、治るまでに時間を要する病気ですので、それなりにお金がかかる訳です。
そこで大きな給付金である診断一時金があれば安心できますし、通院にも備えがあるのであれば毎月の抗がん剤治療、放射線治療等にも使えます。私としては、がんになった際の闘病期間が長いクライアントさんを数多く見てきているので、がん保険は必ずお勧めするようにしています。
入院を伴う場合、誰もが治療費を意識します。どれくらいかかるのかはお医者さんの治療方針次第です。治療方法にメニュー表などはありませんので、自分で選択する事は難しいです。ではかかる医療費を抑制する事ができる制度を知っていれば、安心できますよね。
民間の保険以外で活用できる方法が高額療養費制度です。どれ位抑制できるのかを以下の表にまとめました。
区分 | 所得条件 | 計算式 | 多数該当 |
---|---|---|---|
区分ア | 年収約1,160万円~
健保:標準報酬月額83万円以上 国保:所得901万円超 |
252,600円+(総医療費-842,000円)×1% | 140,100円 |
区分イ | 年収約770万円~約1,160万円
健保:標準報酬月額53万円~79万円 国保:所得600万円~901万円 |
167,400円+(総医療費-558,000円)×1% | 93,000円 |
区分ウ | 年収約370万円~約770万円
健保:標準報酬月額28万円~50万円 国保:所得210万円~600万円 |
80,100円+(総医療費-267,000円)×1% | 44,400円 |
区分エ | ~年収約370万円
健保:標準報酬月額26万円以下 国保:所得210万円以下 |
57,600円 | 44,000円 |
区分オ | 住民税非課税者 | 35,400円 | 24,600円 |
所得に応じて区分されており、高額とも思える費用を圧縮してくれる大変有難い制度です。健康保険に加入していればどなたでも利用する事は可能ですので、憶えておきましょう。
では区分ウに該当する場合どれ位になるのか計算してみましょう。今回計算事例を2つ準備しました。
病気は特定しませんが、検査や手術、諸々の治療費で100万円の実費だとします。この100万円に健康保険の負担割合である3割を掛けると30万円になりますよね。30万円でも大きな負担です。では計算式に当てはめてみると次のようになります。
30万円だった費用が87,430円で済む事になりました。かなり効果は大きいですよね。
では同じように300万円の実費負担だったらという事で計算しますが、健康保険適用しても3割の90万円です。かなり大きな額になりますね。では計算してみます。
かなり圧縮されましたね。この様に高額療養費制度は経済的な負担を軽減するために作られた制度ですので、入院の際は思い出して頂ければと思います。
高額療養費制度に関する計算は先程の通りですが、いくつか注意点があります。
まず1つ目は、1ヶ月以内の治療費に対して計算されるため、月を跨ぐ場合は再度計算されるという事です。例えば月末に緊急入院、手術を行ったとすると、翌日は来月です。
緊急入院、手術を行った日にレセプト(医療費の計算)が締めとなりますので、その月は高額療養費で対応できても、来月の検査等の治療費は改めてリセットされる事になり、プラスα加算される事になります。月末に入院する際はタイミングを選ぶ事はできませんが、避けたい所ですね。
2つ目は上記の表ですが、これは健康保険加入の被保険者単位の計算になります。例えば区分ウに該当するご主人がいて、奥様は健康保険の扶養で専業主婦だとします。
奥様が入院される場合は住民税が非課税である事から、区分オになるかなと思いがちですが、扶養家族は区分ウで計算される事になります。これは健康保険の被保険者がどの区分になっているのかという事が前提の制度ですので、気を付けておきましょう。
ここまでの話はがん保険の必要性について他の保険も合わせて解説してきました。
高額療養費があるとはいえ、がんは1年を超える闘病や治療をしていかなければならない病気です。つまり毎月のようにお金の負担がかかるという事です。少なくともがん保険は備えておくべき重要な保険だという事です。
ではここからがんに罹る割合を年齢別に見ていきたいと思います。一体何歳から罹りやすいのでしょうか?この解説で加入のタイミングを判断して頂ければと思います。
まずはこちらの表をご覧ください。
これは国立がん研究センターの2014年度の資料になります。ご覧の様に20代までは低推移となっていますが、年齢が上がるにつれ、確率が上昇しており、30代・40代では女性の方ががんに罹る確率が男性よりも高い事が分かります。
特に女性の場合は男性に無い部位があり、乳がんや子宮がんなどに罹患する事が多い為です。丁度年齢的にも子育て真っただ中という世代ではないでしょうか。
また55歳くらいより男性の罹患率が急上昇し、女性よりも圧倒的にがんに罹りやすくなっている事が分かります。男女の平均寿命である80歳を超えると、その差は歴然ですね。
逆に0歳から20歳までは限りなく低い確率であるため、気にならないかもしれませんが、しかし確率とは誰かが外れて誰かが当たるものです。当たった当事者はたまったものではありません。
お子さんとは言え、前述の入院した際の付き添い等が発生する年齢であれば仕事にも影響が出ますし、最悪仕事を辞めなければならない選択もあり得ます。家計を支える為の仕事ができなくなるので経済的に苦しくなる事は否めないでしょう。
次にこちらの表をご覧ください。
現在の年齢 | 10年後 | 20年後 | 30年後 | 40年後 | 50年後 | 60年後 | 70年後 | 80年後 | 生涯 |
---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|
0歳 | 0.1% | 0.3% | 0.5% | 1% | 3% | 8% | 21% | 41% | 62% |
10歳 | 0.1% | 0.4% | 1.0% | 2% | 8% | 21% | 41% | 62% | |
20歳 | 0.3% | 0.9% | 2% | 7% | 21% | 41% | 63% | ||
30歳 | 0.6% | 2% | 7% | 21% | 41% | 63% | |||
40歳 | 2% | 7% | 20% | 41% | 63% | ||||
50歳 | 5% | 19% | 41% | 63% | |||||
60歳 | 15% | 38% | 63% | ||||||
70歳 | 29% | 60% | |||||||
80歳 | 53% |
現在の年齢 | 10年後 | 20年後 | 30年後 | 40年後 | 50年後 | 60年後 | 70年後 | 80年後 | 生涯 |
---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|
0歳 | 0.1% | 0.2% | 0.6% | 2% | 6% | 11% | 19% | 30% | 47% |
10歳 | 0.1% | 0.5% | 2% | 5% | 11% | 19% | 30% | 47% | |
20歳 | 0.4% | 2% | 5% | 11% | 19% | 30% | 47% | ||
30歳 | 1% | 5% | 11% | 19% | 29% | 47% | |||
40歳 | 4% | 9% | 18% | 29% | 46% | ||||
50歳 | 6% | 15% | 26% | 45% | |||||
60歳 | 9% | 21% | 41% | ||||||
70歳 | 14% | 36% | |||||||
80歳 | 28% |
この表の見方としてですが、30歳男性が10年後がんに罹患する確率は0.6%となります。50年後となれば41%まで上昇しており、かなり高い確率で罹る事が判明しています。
生涯で見ても男女共に高い罹患率になっており、将来の健康面での不安は拭えない結果となっています。まずは出来る事から始めて健康な体作りに専念したいですね。
最後になりますが、がん保険の選び方のポイントについて解説しておきます。
私がお勧めする保険の選ぶポイントは、診断一時金と、抗がん剤や放射線で通院が必要になった際の通院特約が付加されている保険です。
理由として、まずがんであっても入院日数が短期である事から、通院治療にシフトしています。殆どのがん治療は通院がメインになりつつあるため、通った月毎に最低でも10万円の給付がある保険が望ましいです。
また診断一時金も上皮内癌、悪性新生物といった住み分けなく支払われるものが良いです。そして1年に1回は給付金を受け取れる保障がベストです。この2点は今後のがん治療に非常に役立つと思います。保険の組み合わせでも構いませんので、選ぶ際の参考にしてみて下さい。
今回は何歳から加入すべきというテーマでしたが、私の結論は0歳から備えていても問題無いと思います。
クライアントさんにも小さなお子さんでがんに罹患した方がいるので、迂闊にも50歳からで大丈夫ですよなんて言えません。小さいお子さんのがん保険であれば掛け金の負担も軽いので、早めに備える事が重要だと言えます。
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