- 「ダブルエール」は日本を代表するネット生保、ライフネット生命のがん保険。
- わかりやすい3つのプランから自分に合った保障を選ぶことができる。
- 「プレミアム」プランでは、がんの治療費だけでなくがんによる収入減にも対応。
公開日:2020年4月9日
ライフネット生命の「がん保険ダブルエール(以下ダブルエール)」は、最近ネットのランキングサイトなどで評価が急上昇しているがん保険です。昨今のがん治療事情に合わせ、「がんの治療と仕事の両立」をコンセプトにしています。そのため、既存のがん保険と異なる保障内容になっています。
その部分をどのように評価するかが、「ダブルエール」を選択するうえでのポイントになります。今回は「ダブルエール」の保障内容と人気の秘密を調査し、分析しました。
「ダブルエール」について詳しく説明する前に、がん保険の選び方について簡単に触れておきます。
「私は医療保険に入っているからがん保険は必要ない」と思われる方もいるのではないでしょうか。そもそも、医療保険とがん保険の違いとはなんでしょう。主な違いは以下の通りです。
医療保険 | がん保険 | |
---|---|---|
保障の対象 | 病気・ケガ | がん(悪性新生物・上皮内新生物) |
保障内容 | 入院・手術給付金 先進医療給付金 |
診断給付金などの一時金 治療給付金(抗がん剤など) 入院・手術給付金 がん先進医療給付金 |
免責(保障が受けられない)期間 | なし | 申込日から90日 |
入院給付金の支払限度日数 | 60日、120日などの限度あり | 無制限 |
医療保険とがん保険では加入時の条件も異なります。一般的にがん保険は「がんに罹ったことがある」「がんになりやすい状態(ポリープや筋腫など)である」などでなければ、既往症があっても加入できる可能性が高いです。
主ながん保険のチェックポイントは以下の通りです。
それでは、「ダブルエール」の基本的な保障内容について確認していきます。
保険期間 | 終身 |
---|---|
保険料払込期間 | 終身のみ |
保険料払込回数 | 月払い |
保険料払方 | 口座振替・クレジットカード払い |
保障 | 内容 |
---|---|
がん診断一時金/上皮内新生物診断一時金 | ・悪性新生物と診断されたときに給付される ・100万円~300万円まで ・上皮内新生物はがん診断一時金の半額 ・給付は1回のみ |
治療サポート給付金 |
・約款所定の治療(手術・放射線治療・抗がん剤治療)を受けたとき ・月ごとに給付(10万円/月、何回でも) ・入院・通院の有無は問わず |
がん収入サポート給付金 |
・がん診断一時金が支払われ、翌年以降生存していた場合に毎年一時金が給付される ・がん診断一時金の半額を最大5回まで |
がん先進医療給付金 |
健康保険が適用されない先進医療の技術料を通算2000万円まで給付 |
保険料払込免除 |
悪性新生物と診断された場合、それ以降の保険料の払い込みが免除される |
ダブルエールは、がん診断一時金を必須にした3種類のプラン「シンプル」「ベーシック」「プレミアム」から選択します。
シンプル | ベーシック | プレミアム | |
---|---|---|---|
がん診断一時金 | 〇 | 〇 | 〇 |
治療サポート給付金 | × | 〇 | 〇 |
がん収入サポート給付金 | × | × | 〇 |
がん先進医療給付金 | × | 選択可 | 選択可 |
保険料を押えたい場合はシンプル、長びく治療に対応したい場合はベーシック、がんに罹ったことによる収入減にも備えたい場合はプレミアムなど、個人個人のニーズに合わせて選べるようになっています。
がん保険選びにおいて最重要なポイントは診断給付金の支払い条件です。診断給付金の給付が1回のみなのか、複数回無制限払いなのか、望ましいのは複数回無制限です。
また、複数回払いの場合の支払い間隔について、2年に1回のものが多いですが、最近は1年に1回のものもありますのでよく検討することをおすすめします。
それでは、ダブルエールのメリットを見ていきましょう。
例えば、女性の乳がんなどは20代など若くして罹患するケースが多いことが知られています。死亡率は低いものの、再発・転移の確率は低くなく、治療が長期化する可能性が高くなります。
健康保険が適用される治療であっても回数が度重なれば自己負担もバカにならず、多くのご家庭で治療費が家計を圧迫することになるでしょう。
そんなとき、がんの三大治療を受けた月に10万円を受け取ることができれば、治療費の自己負担が全額カバーされなくても助かることは間違いありません。そして、その給付金が治療が続く限り無制限に受け取れたら、治療費への不安はかなり軽減されるのではないでしょうか。
がんと診断されてがん保険の給付が受けられるようになるのは、金銭面では安心です。ですが、治療費や生活費への不安の中で、必要とは言えがん保険の保険料を払い続けるのは大変ではないでしょうか。
「ダブルエール」のベーシックタイプとプレミアムタイプでは、悪性新生物と診断されたら保険料の払込が免除され、保障はそのまま一生涯続きます。保険料負担がなくなって保障は一生続いたら、がんに罹った精神的ダメージも和らぐことでしょう。
がんの治療が始まると、入院や通院のために会社を休まなくてはならなくなったり、体調不良で仕事ができなくなったりすることもあります。特に自営業やフリーランスの人なら収入の減少は深刻な問題になるでしょう。
そんなとき、「ダブルエール」のプレミアムタイプでは、がん収入サポート給付金が治療の有無にかかわらず最大5回まで受け取れます。治療費だけでなく、がんによる収入の減少が心配な人には心強い保障だと思います。
なかなか魅力的な「ダブルエール」ですが、デメリットはないのでしょうか。確認していきましょう。
他のデメリットは多めに見ることができても、「がん診断一時金の給付が1回のみ」だけは見過ごすことができないデメリットです。がんは決して死を意味する病気ではありません。それゆえに再発・転移の可能性も高まり、治療が長期化する傾向にあります。
そんな中、他社のがん保険の多くはがん診断給付金などの一時金を回数無制限の複数回払いにしています。がんの治療が続く限り、まとまった一時金を1年に1度とか2年に1度受け取ることができるのです。
それに対し、「ダブルエール」では「がん診断一時金の給付が1回のみ」なのは寂しい限りです。
通常、上皮内新生物は悪性新生物より治療費がかからないケースがほとんどです。しかし、子宮頸がんは上皮内新生物の場合が多く、子宮摘出をするケースもあります。女性はなるべく上皮内新生物も同額保障のがん保険を選んだほうがいいと思います。
がん保険の申し込みは基本的には告知書扱いでできます。それは「ダブルエール」も同じです。しかし、「ダブルエール」の場合、がん診断一時金が150万円以上の場合は定期健康診断の結果表の写しの提出が必要です。
他社のがん保険では診断給付金などの一時金が高額の場合でも告知書扱いは変わりませんので、この点は明らかなマイナスポイントです。
保険料払込免除が無条件に付いているので、払い込みは基本的には終身払いでいいと思います。それでも、「年金生活になってから保険料を払うのはイヤ」という理由から現役時代に払い込みを終わらせたい人もいることでしょう。
その場合は、他社のがん保険を検討した方がよいでしょう。60歳や65歳で払い込みが完了するがん保険もあります。
それでは、「ダブルエール」の口コミについてネットから拾った主なものを見ていきましょう。
口コミの声で目立ったのが、「シンプル・ベーシック・プレミアムの3つのプランから自分に合ったものを選べるところが良い」というものでした。
まず、がん診断一時金の金額を決めて、あとはシンプル・ベーシック・プレミアムの3つのプランのどれかを選び、最後にがん先進医療給付金を付けるか付けないか決めるだけです。
死亡保障と違い、複雑でわかりにくいがん保険にネットで加入するハードルを低くする工夫と言えそうです。
「がんの三大治療を受けた時に治療サポート給付金を回数無制限で受け取れるので、長引く治療にも安心できる」という声も目立ちました。
他社のがん保険には抗がん剤などの治療給付金の支払回数に限度があるものもあります。回数無制限であれば、治療費の心配を軽くすることができます。
がんと診断されたら誰でも相当な精神的ダメージを受けるはずです。そんなときに、給付請求での保険会社の対応が親切だと、救われる気持ちになります。ライフネット生命はネット生命のトップランナーだけあって、顧客満足度の高いサービスを提供しているようです。
「保険料が割安で家計にやさしい」という声もある半面、「プレミアムの保険料は高い」などの声も見受けられました。がん保険同士を全く同じ条件で比較するのは難しいのですが、他の商品との比較はしたほうがいいと思います。
「ダブルエールでは治療サポート給付金を受け取るたびに、毎回診断書の提出を求めてくるところが面倒」とは、給付を受けている人からの声です。
「治療サポート給付金」を請求する場合、原則として医師の診断書が必要となります。診断書代もかかります。診断書に代えて診断明細書の提出を認めるなど、より契約者の負担を軽減する対応が望まれます。
今回は日本を代表するネット生保、ライフネット生命の単体のがん保険「ダブルエール」について分析しました。3つのプランから自分に合ったプランを選択する、という今までにないやり方で難しいがん保険選びを簡単にした画期的な商品です。
しかしながら、「がん診断一時金の給付が1回のみ」という欠点もあり、必ずしもベストながん保険とは言えないと筆者は考えます。各方面で高い評価を受けている商品ですが、それだけを信用せず、他の商品と併せての検討をお勧めします。