- 米国株は、配当金が充実している銘柄が多い。
- 高配当銘柄に投資をする際は、成長性や過去の実績もチェックする。
- 高配当米国株は「ジョンソン・エンド・ジョンソン」や「プロクター・アンド・ギャンブル」がおすすめ。
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日本株を上回るペースで上昇を続ける米国株は、投資家たちの間では常に注目の的になっています。この記事をお読みの方の中にも、持続的な成長を続けている米国株へ投資を考えている方が多いのではないでしょうか。
そこで今回は、米国株投資をする上でおすすめの銘柄を、高配当銘柄に絞ってご紹介していきます。
米国株の成長性に期待し、売買益を狙う投資家も多いと思いますが、実は配当という視点から見ても、米国株はとても魅力的なのです。そこで、まずは高配当米国株への投資をおすすめする4つの理由を順に解説していきます。
米国株は、長期間にわたり増配を続けている銘柄がたくさんあります。日本株で一番連続増配をしているのは、30年連続増配をしている花王ですが、一方で2020年5月現在、米国株で30年以上連続で増配している企業は85社以上にのぼります。
さらに50年以上連続増配している企業が27社、そして一番連続増配をしているアメリカン・ステイル・ウォーターは、65年連続で増配しているというから驚きです。長期で連続増配をしている米国株を持ち続ければ、特に買い増しをしなくても、年々配当金が増えていくことが期待できます。
日本企業の大半が年2回の配当金を出しているのに対し、米株企業では年4回の配当金を出している企業が非常に多いです(ただし米国企業には株主優待制度はありません)。
例えば、マイクロソフトは、3月、6月、9月、12月の年4回配当金を出しています。配当金を出すタイミングは企業により異なるため、保有銘柄の組み合わせによっては、なんと毎月配当金をもらうことも可能なのです。
米国企業は、連続増配銘柄や配当利回りが3%を超える高配当銘柄がたくさんあります。そうした配当への強い意識がある背景には、米国企業が株主還元を重視していることが挙げられます。
つまり、「事業で得た利益を配当金に上乗せして株主に還元する」という意識が強いため、高配当銘柄や連続増配をする企業が多いのです。
配当利回り:「買った株価に対して、年間どれくらいの配当がもらえるか」が分かる指標。例えば、配当利回り3%の株を100万円分購入すると、年3万円(100万円×3%)の配当金を受け取ることができます。
「配当金を目的に投資をしていたけれど、いつの間にか株価が上がって、キャピタルゲインも得られる」ということが、米株投資をしているとよく起こります。これは米国の経済成長を背景に利益を伸ばし、それにともない株価が上昇している銘柄が多くあるためです。
ただし、配当利回りの高い銘柄の多くは安定的に成長している企業が多いため、利益をほかの事業に投資をして爆発的に成長を遂げている企業に比べて、株価の上昇は緩やかな傾向にあります。
キャピタルゲイン:株式の売買によって得られる利益のこと。簡単にいうと、安く買って高く売ったときの利益です。100万円(1,000円×1,000株)で購入した銘柄が株価上昇し、150万円(1,500円×1,000株)で売却した場合、キャピタルゲインは50万円となります。
前章では、米国株の配当の魅力をお伝えしてきました。しかし、いくら米国株の配当が魅力的だとしても、配当利回りや配当額だけを見て投資をするのはリスクが高いケースがあります。この章では、配当目的の投資の注意点を4つ解説していきます。
米国株の魅力は、高配当銘柄が多い点にあります。しかし、あまりに高すぎる配当利回り銘柄への投資は避けたほうがよいでしょう。なぜかというと、倒産リスクや減配リスクが高いからです。
高すぎる配当を出す企業の中には、単に不祥事や倒産懸念で株価が大幅下落して、配当利回りがよくみえるケースがあります。そうした銘柄は将来的に配当金が下がる可能性も高くなるのです。
著者の感覚でいうと、高配当銘柄の配当利回りは2%~5%程度という認識です。6%を大きく越えてくるような銘柄は注意が必要だなと警戒しています。
減配リスク:配当金の額が下がるリスクのこと。
高配当銘柄へ投資をする際には、配当利回りや配当金の額だけでなく、必ず成長性もチェックしましょう。継続的にもらえる配当金は、投資家としては確かに魅力的です。
しかし、いくら高い配当金を出していたとしても、成長性に乏しく、年々株価が下落している銘柄に投資をしてしまうと、配当金の利益以上の損失を売買によって被ってしまう可能性があります。
また、売らずに株価が戻るのを期待し保有しておくにしても、ますます株価が下がって売るに売れない塩漬け株になってしまう可能性もあります。事業内容や過去の売上推移、売上予想やアナリストの評価などを参考に成長性を確認することが大切です。
塩漬け株:買った株が大幅に下落し、売ることもできずに保有している株。
いくつかの高配当銘柄に投資をする際は、セクター別に分散投資をすると、リスクヘッジになります。「セクター別に分散投資をする」とは、例えば、比較的不況に強い生活必需品やヘルスケア銘柄と、好況期に強いサービス株や一般消費財銘柄を組み合わせるような方法です。
このように幅広いセクターに分散投資をすることにより、たとえ株価が暴落した際にも、相対的に損失を抑えられる可能性が高くなります。
過去いくらの配当金を出してきたのかも念のためにチェックしておくとよいでしょう。特に業績の変動が激しい銘柄は、直近の業績が良く、たまたま配当金の額が多かった可能性もあります。過去の配当金もチェックし、安定的な配当を出している企業かどうか判断しましょう。
ここでは配当が高い人気の米国株をランキング形式で7銘柄紹介していきます。どの銘柄も世界的なグローバル企業であり、投資家たちの注目を常に浴びている企業ばかりです。投資先を決める上でぜひ参考にしてください。
ヘルスケアセクターにおいて時価総額No.1を誇るジョンソン・エンド・ジョンソン。私たち一般消費者にとっては、バンドエイドやマウスウォッシュのリステリン、コンタクトレンズのアキュビューなどで馴染みのある企業ではないでしょうか。
ジョンソン・エンド・ジョンソンは、一般消費者向け製品のほかにも、医療機器や医療品を提供しており、特に医療品部門の売上が伸びています。
その安定した事業と成長性を背景に、過去20年間で株価は3倍近く上昇しています。さらに事業の性格上、景気に左右されにくく、不況にも強いという特徴があります。また記事執筆時の配当利回りは2.79%でした。
このようにジョンソン・エンド・ジョンソンは、安定性・不況に強い・成長性という3つの観点から非常に有望な銘柄といえます。
時価総額:「株価×発行済株式数」で計算され、企業の規模を示すもの。
ピーアンドジーの略称で馴染みのあるプロクター・アンド・ギャンブル。ファブリーズや洗剤のアリエール、台所用洗剤のジョイなど普段私たちが使用している製品をたくさん販売しています。
プロクター・アンド・ギャンブルは世界最大の一般消費財メーカーであり、世界180ヶ国に販売網を持ちます。企業の規模を示す時価総額は29兆円にのぼり、日本一の一般消費財メーカーである花王の7倍以上の規模です。
マーケティング戦略にも優れており、不況にも強いため、これからも安定的な成長が期待できます。記事執筆時の配当利回りは、2.82%。米国株の高配当銘柄を検討する上で外すことができない銘柄の1つです。
誰でも一度は飲んだことがあるであろう「コカ・コーラ」。世界一の投資家であるウォーレン・バフェット氏の保有銘柄として有名です。その圧倒的なブランド力と景気に左右されない事業により、安定的な収益を生み出し続けています。
現在、コカ・コーラは58年連続増配中で、連続増配企業が多い米国株の中でもトップクラスの記録を誇っています。記事執筆時の配当利回りは3.56%です。
成長性という観点では、アマゾンやアップルなどほかの世界的な企業からするとあと一歩かもしれませんが、非常に安定的な事業を展開しています。株価も相対的に安定していますので、長期投資保有をして、配当金を継続的にもらうにはもってこいの銘柄です。
JPモルガン・チェースは世界屈指の規模を誇る総合金融グループです。創業は1799年と古く、アメリカで最も歴史のある金融機関の1つです。記事執筆時の配当利回りは、3.76%です。
地域別売上高で見ると約8割が北アメリカのため、同社の事業は主にアメリカの経済状況に強い影響を受けることになります。EPS(1株あたり利益)も上昇しており、投資銀行部門やトレーディング部門などで存在感を見せています。
日本株でも配当金を目的にメガバンクの株式を保有している投資家は多くいますが、JPモルガン・チェースも同様に高配当目的で保有するには適しているでしょう。
EPS(1株あたり利益):1株に対して当期純利益がいくらあるのかを示す指標。一般的に株価はEPS×PER(株価収益倍率)で求められるため、EPSが上がると株価は上がる傾向にある。ちなみに、PER(株価収益倍率)とは、シンプルに表現すると「投資家の期待」です。
マクドナルドは世界中に3万5,000以上の店舗を持つ、言わずと知れた世界最大級のハンバーガーショップを展開している企業です。株主還元にも積極的で、強烈な自社株買いをしたり、増配もしています(44年連続増配中)。記事執筆時の配当利回りは2.71%でした。
世界中のフライチャイズ店舗から収入を得るという鉄板のビジネスモデルを築いているマクドナルドは、配当目的に長期保有するのに適した銘柄といえます。
自社株買い:自社の株を買い戻すこと。自社株買いをすると、市場に出回る株式数が減るため、1株あたりの価値が上がり、株価が上昇する傾向があります。
キャタピラーは、世界180ヶ国以上の国と地域でブルドーザーや油圧ショベルなどの建設機械を販売している、世界一の建設機械メーカーです。記事執筆時の配当利回りは、3.51%と高い水準になっています。
ただし、世界経済の好不況の影響を強く受ける銘柄でもあります。もし長期保有を前提に保有するのであれば、たとえ下落をしたとしても動じず、株価が戻るのを根気強く待つという心構えを持っておいたほうがよいかもしれません。
IBMは世界170ヶ国以上で事業を展開している世界的なIT企業です。IBMは、ソフトウェアやクラウドサービス、ブロックチェーンなどさまざまな製品を提供していますが、AIのワトソンにも力を入れています。ワトソンはみずほ銀行やJR東日本など数多くの日本企業で利用されています。
実はIBMは研究機関としても有名で、2020年現在で、米国特許取得数ランキングにおいて27年連続でNo.1を誇っています。IBMの高い技術力や開発力は今後も世界を革新し続けていくでしょう。
ただし、ここ10年IBMは低迷を続けています。これは大型コンピューターからクラウドへの流れの対応に出遅れてしまったためです。投資をする際は、IBMのクラウド部門の売上を注視しつつ、時期を見計らったほうがよいかもしれません。
記事執筆時の配当利回りは、5.35%と高い水準となっています。
今回は高配当米国株への投資について、おすすめする理由や銘柄、注意点を解説してきました。配当という視点から見ても、日本株にはない魅力が米国株にはたくさんあることが分かりました。
個人的には、高い配当と同時にキャピタルゲインも狙うことができるのが1番の魅力なのではないかと思っています。記事内で触れた注意点に留意しつつ、優良な高配当米国銘柄への投資を検討してみてはいかがでしょうか。
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