- 株初心者はネット型証券会社での口座開設がおすすめ。
- ネット型証券会社も個々の会社ごとに特徴がある。
- 特に新興のネット型証券会社の中には、特徴的なサービスを展開しているところがある。
公開日:2020年5月3日
資産運用といえば、大半の人が思い浮かべる金融商品は株式だと思います。これから投資を始めようとしている方の中には、株式投資でのトレードに関心のある方も多いのではないでしょうか。
そこで今回は、株初心者の方におすすめの証券会社のランキングを作成してみました。証券会社の分類をまず記載し、その後に個々の証券会社の特徴について解説します。
証券会社には、大きく分けて対面型とネット型の2つがあります。株初心者にはネット型での口座開設がおすすめです。
対面型証券会社は営業店舗が全国各地にあり、相談したり情報提供を受けやすい点が強みです。その反面で店舗の管理費や営業員の人件費などのコストがかかっており、販売商品は比較的高コストです。
反対にネット型証券会社は直接店舗で相談などはできませんが、提供商品には低コスト商品が充実しています。
いずれのタイプの証券会社でも口座開設時に必要となる書類は一緒です。ただし、ネット型証券会社の方が口座開設はしやすいです。書類としては、免許証などの本人確認書類に加え、マイナンバー確認書類として通知カードなども必要になります。
一部のネット型証券会社では、ネットでこういった書類を提出することが可能で、対面型に比べて早めに口座開設が可能です。
証券会社の中でもネット型証券会社はITに強い人材を多数採用しており、24時間不測の事態を事前に想定して行動できるように会社の態勢を整えています。また、口座開設者と異なった方が利用していると思われる事象の調査も定期的に行っています。
セキュリティ面にも配慮されていますので、ご自身のパスワード管理をしっかり行っていれば基本的に不便なことはないでしょう。
ネット型証券会社の方が株初心者におすすめですが、ネット型証券会社にも様々な会社があります。人気で選ぶというよりも、それらの会社の特徴を理解した上で、その中から自分に合った会社を選ぶのがおすすめです。その上で検討するべき項目は以下の5点です。
まずは取引時にかかる手数料です。国内株式での取引であれば、売買時の手数料です。外国株式の取引であれば売買時の手数料に加え、円貨を外貨に交換する為替手数料もさらにかかります。
株初心者であれば、取引金額は比較的少額になることが多いでしょう。そのため手数料を低コストにすることは特に大事です。
次にポイントなどの制度があるかどうかという視点です。ポイントは、もちろん証券会社側としては販促として顧客に配布するものですので、大量に配布されるかというと必ずしもそうとはいえません。
しかし取引金額が比較的少額になる株初心者であれば、そのポイントも取引時には馬鹿にできない要素です。
次に少額投資が可能かどうかという視点です。株式取引は売買単位が100株に統一されています。この100株以上を購入することで、その会社の株主として配当などに加え、議決権も行使することが可能です。
ただし100株未満で取引可能な方法もあり、その場合でも配当などの利益を享受することが可能です。その手法にも各社様々あり、取引金額が小さくなりやすい株初心者には重要なポイントです。
次は取扱商品です。株だけで見れば各社大きな違いはありませんが、こだわりのポイントがある方にとってはとても重要なポイントになるので、1つの着眼点として取り上げています。
最後は提供情報などです。ネット型証券会社で取引する場合は、取引に必要な情報は自分で収集する必要があります。株式取引では、日々リアルタイムで様々な要因により株価が変動していきます。
その要因となる可能性のある情報を収集したり投資について学んだりすることは、株式取引の成功のカギを握っています。その情報提供などという観点も見逃すことはできないポイントです。
以上の5点をもとに、比較的大手のネット型証券会社を比較してみました。各証券会社のランキングと各項目の評価は以下の通りです。
なお、筆者の独断も含まれており、サービス内容も執筆当時と掲載時点で一部変更になっている可能性もあります。実際に口座開設される際は、該当の会社のホームページで特徴とサービスを確認されることをおすすめします。
金融機関名 | ランキング | 手数料 | ポイント | 少額取引 | 商品 | 情報等 |
---|---|---|---|---|---|---|
SBI証券 | 1 | ◎ | 〇 | 〇 | ◎ | 〇 |
楽天証券 | 2 | ◎ | 〇 | 〇 | 〇 | 〇 |
松井証券 | 3 | ◎ | △ | × | △ | 〇 |
SBIネオモバイル証券 | 4 | 〇 | ◎ | 〇 | △ | 〇 |
マネックス証券 | 5 | △ | △ | 〇 | 〇 | 〇 |
以下、各証券会社について各項目別の評価も合わせて記載します。
出典:SBI証券ホームページ
ランキングの1位はSBI証券です。この会社はどの項目をとっても死角がありません。株初心者はもちろんのこと、そうではない方も含め全般的におすすめできる証券会社です。
国内株式の場合、1日の約定代金合計額に対して手数料がかかるアクティブプランを用いれば、1日合計50万円までの取引まで手数料無料です。さらに非課税口座であるNISAでの株式取引であれば、金額問わず売買時の手数料は無料です。
また、外国株式のうち米国株式の手数料で見ると、為替手数料を加味しても他社と比べて最も安い水準です。
SBI証券では、手数料にTポイントが付きます。国内株式で取引ごとに手数料がかかるスタンダードプランを選んだ場合の話にはなりますが、月間の合計手数料の1.1%相当のTポイントが付与されます。
そのTポイントは、投資信託の買付代金として証券口座内でも利用が可能です。他にも新規口座開設時にもTポイントが付与されます。
S株という単元未満株の取引が可能です。1株から取引可能で、通常の株式と異なり、24時間365日いつでも注文できます。また、NISAでの利用も可能です。手数料はかかりますが、約定代金×0.500%(税込0.550%)で比較的割安です。取引可能な銘柄も東証上場銘柄全般で売買が可能です。
国内株式だけではなく、海外株式の商品も充実しています。米国株式だけはなく、中国、韓国、ロシア、ベトナム、インドネシア、シンガポール、タイ、マレーシアと合計9か国の外国株に投資可能です。
株初心者がすぐに利用することは少ないかもしれませんが、慣れてきたら外国株式に挑戦したい方にとっては利便性がある事項です。
特徴的なのは顧客向けセミナーです。オンラインだけでなく対面セミナーも行っており、ネット証券には珍しくSBIマネープラザという店舗があり、不明点を直接講師の方に聞くことが可能です。
また、コールセンターの営業時間は年末年始を除く平日8:00~18:00と他社より長めで、「口座開設サポートデスク」、「テクニカルデスク」と複数のタイプがあるところも特徴的です。
出典:楽天証券ホームページ
ランキングの2位は楽天証券です。手数料やキャンペーンの仕組みがやや複雑な分、ランキングはSBI証券に次いで2位にしていますが、サービスにほとんど差はありません。
楽天証券は、楽天カードや楽天銀行など他の楽天グループのサービスを利用している方にとっては特におすすめです。なぜなら、決済が便利な上にポイントも付くなどの特典があるからです。
国内株式の場合、1日の約定代金合計額に対して手数料がかかる「いちにち定額コース」を用いれば、1日合計50万円までの取引は手数料無料です。また、一部のETF売買手数料も無料です(信託報酬はかかりますが割安です)。
さらにNISAでの株式取引であれば、金額問わず売買時の手数料は無料です。また、NISA口座内での海外ETFの買付手数料は全額キャッシュバックになります。
取引ごとに手数料のかかる超割コースを選んだ場合、手数料の1%分がポイントバックされます。獲得したポイントは楽天スーパーポイントに交換することができ、楽天グループで買い物などに使えます。
超割コースを選択すれば、国内株式だけなく海外株式などの手数料でもポイント獲得することができます。
楽天スーパーポイントを利用して国内株式の投資ができます。楽天証券で口座を保有する場合は「楽天証券ポイントコース」と「楽天スーパーポイントコース」の2種類があり、この投資を利用する場合には「楽天スーパーポイントコース」への設定が必要になります。NISA口座でも利用可能です。
国内株式だけではなく海外株式への投資も可能です。種類は米国株式、中国株式、アセアン株式、海外ETFがあります。SBI証券に比べたらさすがに種類は少ないですが、その他の証券会社に比べて充実しています。
特徴的なのは情報量です。ホームページではQ&Aが非常に充実しています。他にもトウシルという金融メディアや、各種YouTubeチャンネルも運営しています。また、口座を開設すれば日経新聞も無料で読むことが可能です。
コールセンターはSBI証券と同様に平日8:00~18:00(土日祝・年末年始を除く)まで営業しており、窓口は口座ありの方だけでなく、なしの方向けの窓口まであります。
出典:松井証券ホームページ
ランキングの3位は松井証券です。サービスの豊富さという点ではSBI証券や楽天証券に劣りますが、サービス内容がシンプルでホームページはすっきりしていて見やすいです。国内株式だけしか取引予定のない方にとっては、選択肢の1つとして検討の余地があると言っていいと思います。
1日の約定代金の合計50万円までの取引手数料が無料です。SBI証券や楽天証券のように手数料体系に関する複数のコースがなく、とてもシンプルでわかりやすい内容となっています。
株式の手数料に関するポイント制度はありませんが、「MATSUI SECURITIES CARD」というクレジットカードがあり、通常の買物で利用すると利用金額の1%が松井証券ポイントとして還元されるサービスがあります。
ポイントは投資信託で積立投資にしたり、カタログ商品と交換したり、Amazonギフト券と交換することが可能です。
松井証券では100株未満で取引する少額取引の仕組みはありません。こちらは他のネット型証券に比べてデメリットです。
取扱商品は国内株式だけで、海外株式の取扱いはありません。海外株式への投資も考えている方にとってはこちらもデメリットです。
ホームページを見ると、口座開設時のサポートが丁寧です。コールセンターの案内や動画での解説など、手続き時のフォローが手厚いところが他のネット型証券と比べて優れています。
また、口座のないお客様専用の 「マネープランサポート」というコールセンターがある点も特徴的です。そこでは、結婚、育児、住宅購入、老後など、今後のライフイベントごとに相談することが可能です。
ランキングの4位はSBIネオモバイル証券です。新興の証券会社であり、初めて名前を聞いた方もいらっしゃるかもしれませんが、名称の通りSBIグループの証券会社です。
少額取引に特化したサービスおよびTポイントを利用した取引ができる点が大きな特徴です。少額取引で実践を通じて投資を学びたい方に特におすすめです。
1日の約定代金の合計50万円までの取引手数料は220円(税込)です。ただし、後述する通り各種ポイント制度があり、大きな金額での取引でなければ実質的に手数料がほとんどかからずに取引可能です。
毎月Tポイントが200ポイントもらえます。さらにサービス利用料(税抜)の1%のTポイントがもらえます。ポイント制度のお得さでは、現在のところ今回取り上げたネット型証券で一番だと言えるでしょう。
単元未満の1株からの取引に特化しています。東証上場銘柄であれば買付と売却が可能で、24時間365日いつでも注文を入力できます。ただし、NISAが利用できませんのでその点はデメリットになります。
国内株式の少額取引に特化しているため、海外株式の取扱いはありません。海外株式への投資も考えている方にとってはここもデメリットです。
最低限のサービスに特化しているため、投資情報などについてはホームページに記載されていません。ただしコールセンターはあり、年末年始と土日祝祭日を除いて8:30~17:00まで営業しています。他にもチャットボットなら24時間自動応答可能です。
ランキングの5位はマネックス証券です。高額な取引時の方がサービス的には有利な面もありますが、米国株式だけで見れば一番利便性があります。米国株式投資にこだわりのある方にとっては利用する価値のある証券会社です。
国内株式の手数料は他社に比べて割高です。しかし、米国株式は買付時の買付手数料は他社と同じくらいですが、買付時の為替手数料が無料で、トータルでは一番割安です。
取引毎手数料の月間支払い金額が30万円以上のとき、株式売買手数料の半額相当額がマネックスポイントで返却されます。マネックスポイントは、Amazonギフト券、Tポイント、JALやANAのマイルのほか、さまざまな特典と交換することもでき、日本赤十字社への寄付にも利用できます。
1株から取引可能なワン株(単元未満株)が利用できます。1株から取引ができるので、ほとんどの銘柄が1万円程度で取引可能です。手数料も他社と遜色ありません。東証上場銘柄であれば取引可能で、NISAでの利用も可能です。
米国株式の取扱い銘柄が豊富な点が特徴的です。海外株式は米国株式しか利用しないのであれば、一番利用しやすい証券会社と言えるでしょう。他に中国株式や海外ETFへの投資も可能です。
マネックス証券も米国株式の取引をする方向けのサービスが充実しています。コールセンターは口座なしの方・ありの方以外に、米国株専用のダイヤルまであります。
ランキングには入れませんでしたが、特徴が際立っており、関心のある方にとってはおすすめの会社も最後に紹介します。
出典:LINE証券ホームページ
LINEも近年新しく野村證券と合弁で証券会社を立ち上げています。取引可能な銘柄はまだ少なく、NISAを利用できないデメリットはあります。しかし注文したら即時約定となり、取引手数料はあらかじめ値段の中に込められているため、シンプルでわかりやすい取引が可能です。
また、LINEのポイントを活用しながらの少額取引もしやすいです。LINEグループのサービスをよく利用する方で、少額取引に関心のある方におすすめです。
STREEMはスマホアプリで、従来型株式手数料が約定金額の条件抜きに原則として何回でも無料です。さらに、リアルでもオンラインでも投資仲間との情報交換ができるコミュニティがあり、先輩投資家に学びながら投資を行うことが可能です。
国内株式の100株単位の売買限定でNISAが利用できないというデメリットはありますが、際立っている特徴に魅力を感じる方にとっては利用を検討する余地はあります。
以上のように、各ネット型証券会社にはそれぞれ特徴があります。ランキングを掲載しましたが、ご自身が何を重視したいかで利用するべき証券会社は異なりますので、あくまで一つの判断材料として見ていただけたら幸いです。
また、証券口座は複数の会社で開設することが可能なので、どの会社を利用するか悩む方は複数の会社を利用してみて、後からメインに利用する会社を決めるのもありでしょう。