- 売買手数料には、1回当たりの売買手数料と1日の合計金額で売買手数料を決定する方式がある。
- 信用取引は「制度信用」と「一般信用」の2つがある。
- 信用取引では持っていない株式を売ることができ、その際は貸株料が発生する。
- 売買手数料が安いおすすめの証券会社は、「松井証券」「SBI証券」「楽天証券」。
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最近はいろいろな証券会社が、独自の売買手数料でオンライントレードのサービスを提供するようになりました。今回は証券会社ごとのオンライントレードの売買手数料を比較しながら、各証券会社の特徴やサービスなどを解説していきたいと思います。
まず一口に売買手数料といっても、最近は1回当たりの売買手数料と、1日の合計金額で売買手数料を決定する方式に分けているところがほとんどです。
これは、1回株式を購入したら当面売却しない長期投資と言われる方法と、1日で複数の売買を繰り返すデイトレードと言われる方法の両方のニーズを満たすためと考えられます。
まずは1回当たりの売買手数料の比較をご覧ください。<(単位:円)(税抜)>
証券会社名 | 10万 | 20万 | 30万 |
---|---|---|---|
むさし証券 | 75 | 95 | 175 |
DMM.com証券 | 80 | 97 | 180 |
ライブスター証券 | 80 | 97 | 180 |
立花証券 | 80 | 100 | 240 |
GMOクリック証券 | 88 | 98 | 241 |
楽天証券 | 90 | 105 | 250 |
SBI証券 | 90 | 105 | 250 |
最初にお断りさせていただきたいのは、この表は2020年5月の段階の情報を各社ホームページを参考に作成いたしました。ですので、今後この情報が変更になる可能性もございますし、特別なキャンペーンでの割引などは考慮に入れておりませんのでご了承ください。
証券会社の選択については、10万円時の売買手数料が安い証券会社から7社選んでいます。ほかにも証券会社は多数存在しますが割愛させていただきました。
また金額に関しては、一般の投資家のほうがよく使いそうな10万円から30万円の価格についての表にしております。これより金額の高い株式の売買についてはさらに変わってくるとご理解ください。
この表をご覧いただくと、10万円時での売買手数料が立花証券のほうがGMOクリック証券より安いにも関わらず、20万円時の売買手数料ではGMOクリック証券のほうが安くなってはいるものの、基本的には売買手数料が安い証券会社はどの価格帯でも安いと言えそうです。
しかし、単純な売買手数料の安さだけで自分が利用する証券会社を決めるのは早計です。例えば、この表の上位に出ているむさし証券・DMM.com証券・ライブスター証券などでは投資信託の取扱いがないか、あっても他社と比べて少ないです。
株式の売買だけをする予定であれば問題はないのですが、株式以外の金融商品などの取扱いがない、もしくは少ないという場合もありますので注意しましょう。
続いて、1日の合計金額で算出した売買手数料の比較表です。<(単位:円)(税抜)>
証券会社名 | 10万 | 50万 | 100万 |
---|---|---|---|
松井証券 | 0 | 0 | 1000 |
楽天証券 | 0 | 0 | 858 |
SBI証券 | 0 | 0 | 762 |
岡三オンライン証券 | 0 | 0 | 800 |
岩井コスモ証券 | 80 | 400 | 800 |
内藤証券 | 181 | 410 | 753 |
立花証券 | 200 | 500 | 900 |
ここで少し定額制の料金体系についてご説明したいと思います。株式を使った投資というのはいろいろな方法があり、株式を購入し、業績の好調を見越してその株を保有し、一定期間後に株価が値上がりしたら売るという方法が一般的です。
しかし、デイトレードと呼ばれる1日に複数回の取引を行うことが多い投資家もいます。このような人達にとっては、1回の売買でいくらという売買手数料よりは、1日の株式売買の合計金額で手数料を決める方法のほうがよいと考えられます。
例えば、A社の株を10万円分購入し1時間後に10万円で売却、同様にB社の株を10万円分購入し1時間後に10万円で売却、さらにC社の株を10万円分購入し1時間後に10万円で売却という取引をした場合、合計60万円株式を売買したということになります。
この1日の合計金額で株式の売買手数料が決まるという計算方法です。合計金額のほうは10万円・50万円・100万円の表にしました。特徴としては、50万円までの取引に関しては無料としている証券会社もありお得です。
しかし一方で、50万を超える金額については他社より安いなど、各社特徴があり興味深いところです。
また、証券会社によっては1日で売買を終了するデイトレードに関しては、購入した株式をその日に売却するのであれば、売却時の手数料は計算に入れないところもあり、もしデイトレードを始めるということであれば、証券会社の料金体系をきちんと確認したいところです。
ところで、デイトレードとは一体どういうものなのでしょうか。株式の売買を1日の間に複数回繰り返すことをデイトレードと言います。基本的にその日のうちに株式を買って売ってしまうので、文字どおりデイトレードというわけです。
例えば10円の株があるとして、この株が仮に11円に値上がりしたとすれば、半日の間に投資資金の1割が増えたことになりますから、充分に利益が出る可能性があります。
また、そこまでではなくても100円の株式を100万円分購入し、101円で売却できたとすれば1万円利益になります。さらにこのような売買を1日に複数回実行できたとすれば、利益はさらに跳ね上がります。
しかしながら逆もまた然りで、1円下がっただけで大損害ということも考えられます。ですので、初心者にはあまりおすすめできないハイリスクハイリターンな投資方法です。
皆さんは株式の信用取引というものをご存知でしょうか。信用取引とは現金や株式を担保に、担保の約3.3倍までの株式の売買ができるという仕組みです。この信用取引の売買手数料を比較したいと思います。<(単位:円)(税抜)>
証券会社名 | 10万 | 50万 | 100万 | 300万 |
---|---|---|---|---|
松井証券 | 0 | 0 | 1000 | 3000 |
SMBC日興証券 | 0 | 0 | 0 | 0 |
ライブスター証券 | 0 | 0 | 0 | 0 |
立花証券 | 0 | 0 | 0 | 0 |
auカブコム証券 | 0 | 0 | 0 | 0 |
むさし証券 | 75 | 175 | 320 | 440 |
DMM.com証券 | 80 | 80 | 80 | 80 |
岩井コスモ証券 | 80 | 400 | 800 | 1000 |
こちらの表に関しては、10万円時の売買手数料が安い順に8社選んで比較しました。高額の価格帯で売買手数料が安い証券会社や、比較的少額での取引での売買手数料が安い証券会社などバラエティに富んでいます。
しかし、信用取引にかかる費用はこれだけではありません。その点について、信用取引についてご説明しながら確認していきたいと思います。
信用取引には大きく分けて「制度信用」と「一般信用」の2つがあります。
まず「制度信用」のほうですが、これは証券取引所が発表している制度によって取引できる株式が決まっている信用取引です。証券会社ではなく証券取引所の制度です。「制度信用」は返済期限が6か月と決まっていますので、「一般信用」と比べて金利が低めです。
「一般信用」のほうは、証券会社が決めた銘柄だけを取引できる信用取引です。「制度信用」と比べて金利が高めですが、返済期限は証券会社が各々決定しており無期限という証券会社もあります。
この金利は、「制度信用」では2.5%から3%ぐらいであることが多く、「一般信用」は2%から4%と証券会社によって幅があります。信用取引は少ない資金でより多くの株式を購入できますが、売買手数料のほかに金利が発生するので、相対的に通常の取引よりリスクがあります。
余談ですが、信用取引で購入した株式では株主優待は受け取ることができません。
また、信用取引の大きな特徴で、持っていない株式を売る「売り」ということができます。
これは簡単に言うと、株式をほかから「借りて」自分が持っていない株式を売ります。自分の株式ではない株式を売ったのですから後で返さなければなりません。ですので通常の取引とは違い、「売った」後に「買う」ことが必要となります。
これは通常、これからこの株の値段が下がるであろうと予想されるときに使います。株価が下がる前にほかから株式を借りて「売り」、安くなったら買い戻すというわけです。
このとき、ほかから株を借りたということで「貸株料」という料金が発生します。「貸株料」はだいたい1%から2%ぐらいで証券会社によって異なります。
さて、いろいろな株式の売買手数料を比較してみましたが、株初心者はどの証券会社を選べばよいでしょうか。
考え方は2通りあると思います。1つは、とにかく安い手数料の証券会社を選び、なるべくコストをかけない方法。もう1つは、安いながらもある程度のサービスも期待できる証券会社を選ぶ方法です。
とにかく株式取引の売買手数料が安い証券会社を選ぶなら、松井証券、立花証券、むさし証券、ライブスター証券あたりがおすすめです。特に松井証券は歴史も長く、インターネット取引専業の証券会社として、日本で初めて東証第1部に上場した先駆者でもあり信用もあります。
また、松井証券は安いだけでなく、サービスに関しても投資信託・IPO・FXと一通り取扱っているので初心者でも問題ない証券会社と思われます。
投資信託:投資信託に投資した資金をファンドマネージャーなどが顧客に代わって投資し利益を分配する金融商品
IPO:これから市場上場する株式を購入することができる。通常多くの人が殺到するので抽選になるケースも多い
FX:「Foreign Exchange」の略称で、外国為替証拠金取引のこと。外貨を売買することで差額を稼ぐ資産運用
サービスも期待できるネット証券なら、SBI証券か楽天証券で口座を開くべきでしょう。上記の比較表にも出て来るような安い売買手数料ながら、取扱っている金融商品の多さでも他を圧倒しています。特に投資信託や外国株の取扱いの多さは、ほかの証券会社と一桁違うほどです。
加えて、両方とも大手のネット証券会社でグループ会社に銀行もあるので、グループ会社の銀行口座をお持ちなら資金の移動などもスムーズに行えます。
今回は証券会社の株式の売買手数料を比較してみました。各証券会社によって金額も違えば、価格帯によっても手数料が変わってくるということがご理解いただけたと思います。
加えて、定額制や信用取引も料金が違いますので、きちんと料金体系を把握することが、無駄なコストをかけずに株式投資をすることにつながります。