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返金した・返金されたときの勘定科目はどうなる?正しい仕訳の仕方を専門家が解説

返金した・返金されたときの勘定科目はどうなる?正しい仕訳の仕方を専門家が解説

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大西 勝士

大西 勝士

AFP、2級FP技能士

フリーランスの金融ライター。早稲田大学卒業後、会計事務所、一般企業の経理職、学習塾経営などを経て、2017年10月より現職。10年以上の投資経験とFP資格を活かし、複数の金融メディアで執筆しています。得意分野は個人の資産形成。お金に関する疑問・不安を解消していただけるように、お金の知識をわかりやすく伝えることを心掛けています。

この記事のポイント

  • 返金は「支払先・支払金額を間違えたとき」など主に4つの場面で発生する。
  • 不明な入金は「仮受金」で仕訳しておき、返金時に適切な勘定科目に振り替える。
  • 支払先・支払金額を間違えたときは「仮払金」で仕訳しておき、返金時に適切な勘定科目に振り替える。
  • 返金の仕訳では「支払手数料」「消費税区分」「年度をまたぐ返金」に注意する。

この記事は約9分で読めます。

法人や個人で事業を行っていると、返金したり返金されたりする場面があるのではないでしょうか。通常の取引に関する仕訳は大丈夫でも、返金のようなイレギュラーな対応については、仕訳の仕方がわからないかもしれません。

業績や税金計算に影響が出るため、返金が発生した場合は正しく会計処理する必要があります。今回は返金した・返金されたときの勘定科目や正しい仕訳の仕方について、仕訳例を示しながら解説します。

 

返金や返品はどんなときに発生するのか

返金や返品はどんなときに発生するのか

事業において、どんなときに返金や返品が発生するのかをまとめました。

  • 支払先を間違えたとき
  • 支払金額を間違えたとき
  • 購入した商品を返品したとき
  • 取引金額に変更があったとき

それぞれ具体例を交えながら簡単に説明します。

 

支払先を間違えたとき

取引先から商品や材料を仕入れたり、備品や事務用品を掛取引で購入したりすると、後日代金を支払います。

取引先がたくさんある場合、代金を振込するときに支払先を間違えてしまうかもしれません。支払先を間違えてしまった場合は、先方に事情を説明して返金を依頼することになります。

 

支払金額を間違えたとき

支払先は正しくても、支払金額を間違えて予定より多く払ってしまった場合は返金が発生します。

毎月継続して取引があれば、多く払ってしまったお金を翌月以降の支払いに充当してもらうことも可能です。しかし、1回限りの取引やあまり取引がない場合は返金してもらう必要があります。

 

購入した商品を返品したとき

取引先が商品を間違えたとき、購入する商品を間違えたとき、届いた商品が壊れていたときなどは返品の手続きが生じます。

日頃から多くの取引があり、一部の商品だけを返品する場合は、返金の必要はありません。しかし、1回限りの取引で返品が生じると返金が必要になります。

 

取引金額に変更があったとき

取引後に条件が変更になり、値引きが生じた場合も返金しなくてはなりません。具体的には、購入した商品に汚れや傷があって値引きを受ける場合、改定前の利用料で請求してしまった場合などが考えられます。

代金が支払われた後に取引先から申し出があった場合は、返金対応の必要があります。

 

中小企業者・個人事業主は、返金・返品の仕訳を理解しておく

このように、事業においては返金・返品が生じる場面が出てきます。基本的な取引については問題なく仕訳できても、返金・返品などのイレギュラー対応の場合は仕訳をするのが難しいかもしれません。

業績や税金計算に影響が及ぶため、中小企業者や個人事業主は返金・返金の仕訳の仕方を理解しておきましょう。次の見出し以降で、ケース別の仕訳例を紹介していきます。

 

返金したときの仕訳例

返金したときの仕訳例

ここでは、返金したときの仕訳例について確認していきましょう。

 

間違えて振り込まれたお金を返金する

入金予定のないお金が振り込まれた場合、まずは入金時に以下の仕訳をします。

借方 貸方
現金預金 30,000円 仮受金 30,000円

その後、振込元が判明して返金を依頼されたら、返金時に以下の仕訳をします。

借方 貸方
仮受金 30,000円 現金預金 30,000円

不明な入金があった場合は、とりあえず「仮受金」で仕訳しておきましょう。そして、内容が判明して払戻金を振込するときに、経理で出金伝票を発行して処理するのが基本的な流れとなります。

取引先が間違えて振込をした場合、返金する際の振込手数料は先方負担となるため、振込手数料を差し引いて返金します。今回は振込を前提に「現金預金」を使っていますが、現金を直接手渡す場合は「小口現金」などの勘定科目を使いましょう。

 

予定より多く入金された売掛金を返金する

売掛金の入金予定額が5万円のところ6万円の入金があった場合、まずは入金時に以下の仕訳をします。

借方 貸方
現金預金 60,000円 売掛金 50,000円
仮受金 10,000円

取引先に多く入金された1万円について確認し、返金することになった場合は、返金時に以下の仕訳をします。

借方 貸方
仮受金 10,000円 現金預金 10,000円

 

返品された商品について返金する

すでに代金入金済の商品について、諸事情により返品されて返金する場合、返金時に以下の仕訳をします。

借方 貸方
売上 20,000円 現金預金 20,000円

返品された商品は売上に計上されているので、借方に「売上」を計上して売上を取り消します。返品された商品をすでに売上原価に振り替えている場合は、以下のように仕訳をして在庫に戻しておきましょう。

借方 貸方
商品 10,000円 売上原価 10,000円

 

売上後の値引きにより返金する

販売した商品に汚れや傷があり、値引きにより返金することになった場合は、返金時に以下の仕訳をします。

借方 貸方
売上値引 10,000円
(売上 10,000円)
現金預金 10,000円

勘定科目は「売上値引」を使っていますが、売上値引は売上から控除されるため、「売上」で仕訳をしても問題ありません。

 

返金されたときの仕訳例

返金されたときの仕訳例

ここでは、返金されたときの仕訳例について確認していきましょう。

 

 

支払先を間違えたので返金してもらう

支払先を間違えて振込した場合、まずは支払時に以下の仕訳をしておきます。

借方 貸方
仮払金 30,000円 現金預金 30,000円

ここでは勘定科目を「仮払金」にしていますが、「未収金」などの勘定科目を使用しても構いません。そして、支払先に返金依頼をして入金された際に以下の仕訳をします。

借方 貸方
現金預金 29,700円 仮払金 30,000円
雑費 300円

返金時に振込手数料(ここでは300円)が差し引かれて入金された場合は、振込手数料については「雑費」で処理しましょう。

 

多く払ってしまった買掛金を返金してもらう

仕入商品の代金(買掛金)を多く払ってしまった場合は、支払時に以下の仕訳をしておきます。

借方 貸方
買掛金 50,000円 現金預金 60,000円
仮払金 10,000円

その後、支払先に返金を依頼して、返金されたときには以下のように仕訳しましょう。

借方 貸方
現金預金 9,700円 仮払金 10,000円
雑費 300円

 

仕入れた商品を返品して返金してもらう

仕入れた商品を返品して代金を返金してもらうことになった場合、返金されたときに以下の仕訳をします。

借方 貸方
現金預金 20,000円 仕入 20,000円

最初に代金を払ったときに買掛金はなくなっているため、ここでは「仕入」を使って仕訳をしています。

 

仕入後の値引きにより返金してもらう

すでに代金を支払っている仕入商品について、汚れや傷があって値引き(返金)を受ける場合、返金時に以下の仕訳をします。

借方 貸方
現金預金 10,000円 仕入値引 10,000円
(仕入 10,000円)

ここでは勘定科目を「仕入値引」にしていますが、仕入値引は仕入から控除されるので、「仕入」を使って仕訳しても問題ありません。

 

経費に関する返金の仕訳例

経費に関する返金の仕訳例

ここでは、売上や仕入の返金ではなく、経費に関する返金の仕訳例について説明します。

 

購入した商品を返品して返金される

購入した事務用品を返品して返金される場合、返金時に以下の仕訳をします。

借方 貸方
現金預金 5,000円 事務用品費 5,000円

今回は「事務用品費」で仕訳していますが、ほかの経費についても同じように仕訳して問題ありません。たとえば、消耗品の返金なら「消耗品費」、報酬支払いの返金であれば「報酬料金」といったように、該当する勘定科目を使いましょう。

 

クレジットカード払いの商品を返品する

クレジットカード払いの商品・サービスを返品する場合、通常は返金ではなくマイナスの決済が行われます。そのため、マイナスの決済日に以下の仕訳をします。

借方 貸方
未払金 3,000円 消耗品費 3,000円

ただし、返品した商品・サービスのほかに購入しているものがなく、代金が返金される場合は、返金時に以下のように仕訳しましょう。

借方 貸方
現金預金 3,000円 消耗品費 3,000円

 

返金しない・返金されないときの仕訳例

返金しない・返金されないときの仕訳例

実際の取引では、少額の誤入金(誤支払)の場合などは返金しない・返金されないこともあります。ここでは、返金しない・されないときの仕訳例について説明します。

 

 

少額の誤入金で返金しないケース

売掛金の入金額が予定より多かった場合、まずは入金時に以下の仕訳をします。

借方 貸方
現金預金 32,450円 売掛金 32,400円
仮受金 50円

1回限りの取引で、返金額より手数料のほうが高くなることから返金の申し出がなかった場合、返金不要が確定した日に以下の仕訳を行いましょう。

借方 貸方
仮受金 50円 雑収入 50円

今回は売掛金の入金で説明していますが、経費について返金不要になったときも同じように「雑収入」で処理して問題ありません。

 

少額の誤支払で返金を求めないケース

先ほどのケースとは反対に、予定より多くの買掛金を払ってしまった場合、まずは振込時に以下の仕訳をします。

借方 貸方
買掛金 32,400円 現金預金 32,450円
仮払金 50円

諸事情により返金を求めない場合、返金されないことが決定した日に以下の仕訳をしましょう。

借方 貸方
雑損失 50円 仮払金 50円

経費の支払ミスで返金を求めない場合も、同じように「雑損失」で処理して問題ありません。

 

年度をまたいで返金する・返金されるときの仕訳例

年度をまたいで返金する・返金されるときの仕訳例

年度をまたいで返金する・返金される場合、当期の収益・費用は、当期に計上しないと業績や税金計算に影響が出るので注意が必要です。ここでは、年度をまたいで返金する・返金されるときの仕訳例について説明します。

 

年度をまたいで返金するときの仕訳例

年度をまたいで返金する予定の金額を「仮受金」で処理している場合は、勘定科目を「未払金」に振り替えておき、内訳を明らかにしておきましょう。

また、年度内に売上値引や返品が確定し、翌期に返金する場合は、年度内に以下の仕訳をします。

借方 貸方
売上値引 10,000円
(売上 10,000円)
未払金 10,000円

そして、翌期に返金するときに以下の仕訳をします。

借方 貸方
未払金 10,000円 現金預金 10,000円

 

年度をまたいで返金されるときの仕訳例

年度をまたいで返金される予定の金額を「仮払金」で処理している場合は、勘定科目を「未収金」に振り替えておき、内訳を明らかにしておきましょう。

また、年度内に仕入値引や経費購入した商品・サービスの返品が確定し、翌期に返金される場合は、年度内に以下の仕訳をします。

借方 貸方
未収金 10,000円 仕入値引 10,000円
(仕入 10,000円)
借方 貸方
未収金 5,000円 事務用品費 5,000円

そして、翌期に返金されたときに、以下の仕訳をします。

借方 貸方
現金預金 10,000円 未収金 10,000円
借方 貸方
現金預金 5,000円 未収金 5,000円

 

返金や振込についての注意点

返金や振込についての注意点

支払金額の間違いや返品によって返金が生じる場合、どのようなことに注意すればよいのでしょうか。ここでは、返金や振込についての注意点について説明します。

 

振込手数料を考慮する

返金した・返金されたときの仕訳では、振込手数料を考慮することが大切です。基本的には、返金が生じる原因を作った側が振込手数料を負担することになります。

振込手数料が差し引かれて入金されたときは、「雑費」などの勘定科目を使って仕訳をしましょう。実際に仕訳をするときは、先ほど説明した「返金されたときの仕訳例」を参考にしてください。

 

消費税区分に注意する

返金の仕訳では、消費税区分を間違えないように注意しましょう。

たとえば、予定より多く入金された売掛金を返金する場合、消費税は課税対象外となります。しかし、売上値引や仕入値引、返品は消費税の対象です。

会計ソフトによって処理方法は異なるため、消費税区分の設定について確認しておきましょう。

 

返金した・返金されたときの勘定科目に関するまとめ

返金した・返金されたときの仕訳は、慣れていないと難しいかもしれません。しかし、正しく処理しないと業績や税金計算に影響が出るため、事業を行うなら勘定科目や仕訳の仕方を理解しておく必要があります。

特に振込手数料や消費税区分、年度をまたぐ返金については注意が必要です。この記事で紹介した仕訳例を参考に、返金した・返金された場合は適切に処理しましょう。

 

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