- クレジットカード払いによる決済では、一般的には領収書は出ない。
- その場合、利用明細書で領収書の代用ができる。
- クレジットカード払いの費用を計上するには、クレジットカードを事業用と個人用に分けるなど注意が必要。
公開日:2019年10月20日
あなたは、勤めていた会社を辞めてフリーランスとして独立されたのでしょうか、それとも個人事業を始められたのでしょうか?
でも、これまで領収書をあまりもらったことがないので、クレジットカードで決済したら領収書はどうなるのかと不安を感じているのかもしれません。
そこでこの記事では、そうした不安を解消するためクレジットカード決済の場合の領収書の取扱について説明します。あわせて、クレジットカード決済で経費を計上する時の注意点について述べていきます。
目次
いきなりショッキングなことを申し上げますが、まず、クレジットカードで決済をした場合には基本的には領収書が発行されませんこれは一体どういうことなのでしょうか?以下で説明してまいります。
いきなりそんなことを言われても、すぐには想像が働かないかもしれません。そこで、具体的にはどういう形になるのかということについて、実店舗とオンライン決済それぞれの場合を取り上げて実際のシーンを以下で描写いたします。
あなたは、備品を購入するため街中の店舗に出かけていきます。そして、無事に目当ての商品を見つけることができました。
ただ、備品は思いのほか値段が張るもので、クレジットカードを使って購入することにしました。そして「領収書をください」と依頼すると、「申し訳ありません、カードの場合領収書はお出しできません」と言われるわけです。
あなたは、仕事の上で必要な書籍や備品を購入する必要が出てきましたが街中の店舗にはなさそうな商品なので、amazonで調べてみました。
すると、無事に見つかったので、いつも個人で購入しているようにクレジットカードを使いました。そして散々探した結果、「購入履歴」の中に「領収書等」の文字を発見。よかった!とその領収書を印刷します。
すると、宛名欄は空欄、支払い情報にバッチリとクレジット払いが記載されていて、金額は「受領金額」ではなく「ご請求額」になっています。
実はこれ、私が施設の管理運営会社に勤務していた頃さんざん経験したケースです。実際には会社の規定でこの領収書は無効とわかっていました。購入はしませんでしたが、街中でいくら探してもない商品がamazonにあると、「これがクレジットカードで購入できればなぁ」と何度も思ったものです。
それでは、一体なぜオンライン決済や店舗でのクレジットカード決済では領収書が発行されないのでしょうか?
その理由は、「領収書が発行されない」のはまだ実店舗やオンライン店舗に現金の支払いが行われていないからなんです。したがって、代金を受け取っていないので店舗側では領収書を発行する義務がないというわけです。
ただ、店舗によっては形式的に領収書を出してくれる場合もありますが、厳密には税法上正式に認められるものとはいえませんので注意が必要です。
これはどういうことかというと、クレジット払いであることが領収書に記載されていて、代金の授受が行われていないことが示されているためで、逆にそのように記載されていないと違法の可能性もあります。
でも、いくら無効とわかっていてもその形式的な領収書だけでも持っておきたい気持ちになりますよね。ただし、その形式的な領収書にはどんなに高額な商品を購入しようが収入印紙が貼られることはありません。
これも代金のやりとりがその場では行われていないためで、収入印紙などはなくても別に影響はありません。
ただし、店舗によってはその形式的な領収書すら出さない場合もあります。そんな場合には、とりあえず商品を購入した時に受け取る購入明細を保存するか、オンラインの場合には購入明細を印刷などして保存しておきましょう。
実は、購入日や購入金額、購入した商品・サービスの内容や購入相手などが記載されている購入明細は領収書の代わりになるんです。
利用明細書が領収書の代わりになるといわれても、自分が捺印・サインしていない購入明細が領収書になるとはにわかには信じられませんよね。それでは、いったいどうすれば利用明細書が領収書の代わりになるのか、以下で説明してまいります。
まずは、ここでいう利用明細書とは一体何かというところから説明いたします。
利用明細書とは、おおまかにいうと販売した業者などが発行する、購入日や購入金額、購入した商品・サービスの内容や購入相手などが記載された書類のことです。
ただし、カード会社から送られてくる請求明細は、どんなに項目が細かくても領収書の代わりにはならないので注意が必要です。といっても、後で述べますが、参考資料として保存しておくのは問題ありませんので余裕があればこちらも持っておきましょう。
とはいえ、利用明細書が領収書の代わりになるには、いくつか記載されていなければならない項目があり、これが漏れていると領収書の代わりにならない場合があります。具体的には下記の項目です。
入手した利用明細書にこれらが記載されていることを確認しておきましょう。足りない項目があれば、カード会社から送られる請求明細も保存して補うことを検討しておく必要があります。先ほど述べた参考資料というのはこのことです。
では、最初の疑問に戻って、そもそもなぜ利用明細書が領収書の代わりになれるのでしょうか?先ほど述べた通り、クレジットカード決済では、商品の受け渡しと現金の受け渡しの日時が異なっているため、販売者側が領収書を発行する義務はありません。
これはつまり、極端なことを言えば領収書は「発行しない」のではなく「存在しない」のです。だから、利用明細を代用するしかないというのが実態です。
これまで領収書について説明してきました。ここからは、確定申告の際に手間をかけないように経費を計上するための注意点を紹介していきます。
懇親会などで飲み会に参加し、気が大きくなったあなたは「交際費で落とそう」と一旦立替払いで個人のクレジットカード払いにしてしまいます。すると、後になって「どれがあの分だったっけ。申告の時分けるのが面倒くさいし、税務署に疑われるかも」と後悔することになります。
こうならないように、法人カードを作成して個人の費用と分離しておくと、事業に計上する経費がはっきりするのでおすすめです。法人ではないフリーランスの場合には、クレジットカードを1枚事業専用にしておくなどして工夫しましょう。
くれぐれも個人分と事業分の経費を混在させないように注意しましょう。
それでは利用明細書は一体どのくらいの期間保管する義務があるのでしょうか?事業に使用した利用明細書は7年間の保管義務があります。これは税務調査に対応するためそのように定められています。ちなみに、個人にはそのような保管義務はありません。
通常、費用は発生した時点で計上する「発生主義」なので、商品の購入日やサービスの提供を受けた日時に経費を計上するのが一般的です。ただし、クレジット支払いは支払いが後日になるため例外的に支払日での計上が認められています。
どちらを採用してもかまいませんが基準を一定にしておくことが重要です。
ここまでクレジットカードと領収書について解説してきましたが、いかがでしたでしょうか?
脱サラをして最初に確定申告に臨むとなると誰でも不安ですし、ましてクレジットカード払いの領収書はどうなるかなど心配の種はつきません。ですが、ここに書かれていることを参考にしていただければ、あなたも必ず無事に確定申告を突破できます!