- つみたてNISAの最大のメリットは運用益が非課税となること。ただ損失は損益通算に使えないので注意!
- つみたてNISAで選べる商品は、金融庁により投資初心者向けに絞り込まれているのも大きな特徴。
- 金融機関により取扱商品は異なるので口座開設前の商品ラインナップチェックは忘れずに!
- 投資初心者で商品選びが難しいと感じる方は、バランス型1本に絞り込んで国際分散投資を始めるのもアリ!
公開日:2018年10月19日
「つみたてNISA」は2018年1月に始まった、投資初心者でも簡単に投資が始めてもらえることを意識して作られた制度です。
投資を検討中の方は、つみたてNISAは話題ですので関心のある方は多いでしょう。でも、つみたてNISAを始めるにも金融機関や商品の選び方が分からず、なかなかスタートできない方も多いはず。
今回はつみたてNISAの特徴を確認しながら、具体的な金融機関や運用商品の選び方をご紹介いたします。
なお、同じく知っておきたいiDeCo(イデコ)とつみたてNISAの違いについては以下記事を参考にどうぞ。
目次
「つみたてNISA」は2018年1月にスタートしたNISA制度の1つです。もともと2014年からNISA制度(以下、従来NISA)はありましたが、別の制度として「つみたてNISA」は新設されました。
つみたてNISA、従来NISAとも運用益に全く税金がかからないのが大きな共通のメリットです。ただ、つみたてNISAと従来NISAは併用ができないので、しっかり違いを理解して選ぶ必要があります。
以下、つみたてNISAと従来NISAの違いをまとめておきます。
つみたてNISA | 従来NISA | |
---|---|---|
利用できる人 | 口座開設する年の1月1日時点で20歳以上の国内居住者 | |
非課税投資枠 | 毎年40万円(非課税枠は20年間で最大800万円) | 毎年120万円(非課税枠は5年間で最大600万円) |
非課税期間 | 投資した年から最長20年間 | 投資した年から最長5年間 |
投資可能期間 | 2037年まで | 2023年まで |
投資方法 | 積立のみ | 通常買付、積立も可 |
投資対象商品 | 金融庁の一定基準をクリアした長期の積立、分散投資に適した投資信託のみ | 上場株式、ETF(上場投資信託)、REIT(不動産投資信託)や、株式投資信託等 |
つみたてNISAと従来NISAは、年間の投資枠、非課税運用期間、投資方法の選択肢、対象商品に違いがあります。
では、つみたてNISA・従来NISAの特徴や違いから、つみたてNISAの投資初心者に向いている理由、メリット・デメリットをお伝えします。
投資を始めようと思い立った時に、一番のハードルとなるのが商品選びではないでしょうか?
投資信託だけでも、通常、購入できる商品は2018年8月末時点で6000本以上あります。
特に投資初心者にとっては、この6000本以上の中から自分に適した商品を絞り込むことを考えると、それだけで、難しい・面倒と感じて、結局なかなか投資をスタートできない要因となることもあるでしょう。
その商品選びの難しさをクリアしているのが、つみたてNISAの大きな特徴です。
つみたてNISAで選べる投資商品は、投資初心者でも分かりやすく、シンプルで運用にかかるコストも低い商品でなければならないと、金融庁により厳格な基準が設けられています。
その厳格な基準をクリアした対象商品は金融庁によると2018年7月28日時点での、つみたてNISA対象商品は161商品となっています。
投資初心者向けの運用商品を金融庁が6000本以上の中から161本まで絞り込んでくれていますので、投資初心者が運用商品を選ぶ際の負担がかなり軽くなっています。
これは、つみたてNISAが投資初心者に向いている一番の理由と言ってもいいでしょう。
投資初心者にとって、投資は、いつ買って、いつ売ればいいのか分からないということも大きな問題でしょう。
つみたてNISAはコツコツ積立しながら最長20年の長期運用が可能となっている点も投資初心者に向いている大きな理由です。
リスクを伴う投資で、定期預金等の預貯金以上の2%や3%といった運用成果を安定的に目指すためには時間が必要です。
投資信託等の運用は、時には短期で大きく値上がりすることもあれば、同じく大きく値下がりすることもあります。
この値動きをリスクといいますが、過去の実績からですが運用期間が長いほどリスク幅を小さくできる効果があることが分かっています。
低コストの投資信託に国内外株式、国内外債券等と国際分散投資をして10年以上の期間があれば、将来の運用成果を必ず約束するものではないですがトータルでの積立資金がマイナスとなることはほぼないでしょう。
つみたてNISAでは20年の運用期間があるので、リスクを抑えながら、ある程度の運用成果を狙っていくには十分といえます。
従来NISAは運用期間が5年です。5年で売るタイミングを計るとなると少し中途半端な期間で判断が難しい時もあるでしょう。
5年の非課税期間終了後は、翌年以降5年の非課税枠で引き続いて運用をすることは可能ですが、継続すべきかどうかの判断も投資初心者にとっては難しい作業になるかと思います。
その点、つみたてNISAは20年の長期で短期的な上がり下がりを気にすることなく積立資金の成長を待つことができるので、投資初心者にとっては投資を簡単に継続できる仕組みともなっています。
その他、初心者におすすめの資産運用についてはこちらの記事をどうぞ。
つみたてNISAの最大のメリットは、つみたてNISAで得た利益には一切、税金がかからない点です。仮に毎月1万円を、つみたてNISAで積立投資を開始し20年後、投資元本240万円が300万円になったとすると、20年間で年率2.2%の運用成果で60万円の利益が出たことになります。
通常、NISA口座以外からの投資で得た利益には20.315%の税金がかかります。
もし、この60万円がNISA口座以外からの利益だとすると約12万円の税金がかかります。
同じ運用成果でもつみたてNISAでは税金はかかりませんので12万円の負担なく300万円まるまる受け取ることができます。
この差は大きいですよね。運用益が非課税である点は、同じ将来のために積立投資するなら使わない手はない大きなメリットです。
あとは前述の通り、商品を選ぶ負担が軽いこと、20年の長期運用ができる点も大きなメリットです。
つみたてNISAの選べる商品数が限定されている点は、積極的に個別銘柄の株式への投資や、分配金を期待した運用をしたい方にとってはデメリットになるでしょう。
リスクをとってでも積極的に株式なども選びたい方は、幅広い銘柄の個別株式やETFも投資対象となる従来NISAが選択肢に入ってきます。
例えば、つみたてNISA以外の証券口座を複数A口座とB口座を持っていたとします。ある年にA口座で利益が10万円、B口座で10万円の損失が出た場合、
NISA口座以外では損益通算によりA口座の利益からB口座の損失を差し引いて税金を計算することができるので、トータルでは利益はゼロとなりA口座の利益10万円には税金がかかりません。
一方、つみたてNISAででた損失は損益通算では使えないのでご注意ください。
それはつみたてNISAは利益はないものとみなされ非課税となるメリットを受けることができますが、損失もないものとみなされるからです。
例えば、つみたてNISAの運用期間20年経過時、積立資産に損失が出ている状態で売却をするとします。その時に前述と同じようにA口座で10万円の利益が出ていても、つみたてNISAの損失は損益通算には使えません。
A口座の利益には20.315%の税金がかかり約2万円が利益から差し引かれることになります。
つみたてNISAは利益が出ないと、優遇税制メリットを受けられない仕組みとなっています。
よって、リスクを抑えたながら安定的に資産の期待できる運用スタイルをとることが大切になってきます。
つみたてNISAは金融庁の厳格な審査により2018年7月28日時点では161本に絞り込まれていますが金融機関により選択できる商品は異なります。
例えばネット系のSBI証券では140種類以上の商品から、つみたてNISAの運用商品を選ぶことができます。
また投資初心者にとってはあまり選ぶ商品が多すぎても難しいという方もいらっしゃるでしょう。
つみたてNISAで選べる商品を、迷わなくていいように、あえてかなり絞り込んでいる金融機関もあります。
例えば、みずほ証券は3商品、みずほ銀行では5商品、ゆうちょ銀行では8商品まで絞り込んでいます。
先ほど分散投資で10年以上の運用期間があればリスクはかなり低減できる可能性があることをお伝えしましたが、
分散の仕方が難しい場合には、絞り込まれた商品の中から、さらにあらかじめ分散投資されているバランス型の商品1本まで絞り込りこむのもアリでしょう。
ちなみに、みずほ証券では国内外株式(新興国含む)、国内外債券(新興国含む)、国内内外不動産の8資産に均等に分散投資しているバランス型、1商品にまで絞り込まれていますので、この商品1本だけで低コストでの国際分散投資が可能となっています。
つみたてNISAは利益が出た時にしか優遇税制メリットを受けられないので、長期でコツコツと安定的に育てる付き合い方が大切になってきます。
リスクを抑えながら安定した運用成果を出すためには、国際分散投資、長期運用が目標達成のカギとなりますが、「つみたてNISA」は投資初心者の方でも簡単に、100円や1000円といった少額からの積立投資で、そのカギを握れる仕組みとなっていますので気軽に活用いただきたいと思います。
積立NISAを始めるには口座を開設する必要があります。銀行や証券など多くで取扱いがございますが、おすすめはSBI証券か楽天証券です。業界屈指の格安手数料や、豊富なサービス・商品ラインナップを誇るネット証券業界最大手の2社です。