- 投資の割合は余裕資金の「100−自分の年齢」%が目安になる。
- 年齢や収入、貯蓄の状況に応じて投資割合の見直しが必要。
- 投資金額に応じて様々な分野にバランスよく投資できる商品を選ぼう。
公開日:2021年2月15日
「将来のために投資することが大切。それは分かっているけれど、どのくらいの金額を投資に回せばいいのだろう。」こうした悩みを解決するには、投資するお金の割合をまず決めてしまうことが有効です。運用しながらその都度バランスを取っていくという方法をとれば、無理なく資産運用に取り組めます。
そこで今回は、投資割合の決め方や、家計の状況を踏まえた投資資金の捻出方法についてご紹介します。
家計状況はひとりひとり異なります。そのため、絶対的な答えというものは投資の世界には存在しないのですが、投資割合を決める方法のひとつに「100から自分の年齢を引いたものを投資割合の基準にする」というものがあります。
実際、この方法はとても分かりやすく、不思議と納得できる条件が揃っています。
「100−自分の年齢」の「100」は余裕資金の総額を指します。ここから自分の年齢を引くことで、余裕資金の何%を投資に回すのがいいか、おおよその目安を算出できます。たとえば現在25歳の方なら「100−25歳=75%」、33歳の方なら「100−33歳=67%」となります。
ここで考えたいのは、なぜ自分の年齢が投資割合に関係してくるのかということです。次の表をご覧ください。
年齢 | 「100−年齢」で算出した投資割合 |
---|---|
25歳 | 75% |
35歳 | 65% |
45歳 | 55% |
55歳 | 45% |
65歳 | 35% |
年齢が上がるにつれて、「100−年齢」で算出された投資比率は減っていきます。これは、次のような理由が視野に入っているためです。
たとえば20代や30代にとっての100万円と、40代や50代にとっての100万円では、稼ぐための労力やお金そのものの意味付けが変わってきます。年齢を重ねれば重ねるほど、貯蓄したり収入が増えたりするチャンスは当然多くありますね。
同時に、年代が上がっていくほど、住宅購入や子育てに伴うまとまった出費が増えていくとも考えられます。定年退職後の生活が近づいてくることも忘れてはいけません。
特に資産の見直しをせず、若い頃と同じ割合で投資を続けていくのはリスクが大きいといえます。万が一、経済状況の変化などで投資資産の価値が減ってしまった場合、予定していたライフイベントに使うお金や、将来の老後資金も減ってしまうことになりかねません。
老後まで時間のある若いうちは積極的に投資をしてお金を増やし、年代が変わるごとに少しずつ投資利益を確定しながら変動の少ない資産に切り替えていく。そんな資産運用が理想的です。
投資で失敗したくないと思うなら、できるだけ早めに投資を始めるのがよいでしょう。経済状況は日々、変化します。それに合わせて投資資産も増減します。運用できる期間が長ければ長いほど、こうしたリスクにも対応しやすいのが投資の特徴です。
無理に「100−自分の年齢」を目指さなくても構いません。これはあくまでも一例です。とはいえ、なんとなく先延ばしにしているといつまでたっても投資をスタートできません。または、適切な投資割合まで運用を引き上げることができなくなります。
いったんは「100−自分の年齢」を投資割合の目標にしてみる。その目標を目指す中で自分に合う割合や投資スタイルを見つけていく、というのがスムーズです。
投資の元手を作るためには、日頃から家計のやりくりの中で余裕資金を作る必要があります。特に単身世帯の方は、2人以上の世帯に比べて自分の自由になるお金が多い傾向にあり、意識しておかないとつい使ってしまうということになりかねません。
家計はいちばん身近な「経済」です。家計を自分できちんと管理できるようになると、その経験が投資にも活きてきます。
まずは現在の余裕資金について把握しましょう。そして具体的にどのくらいの金額を投資できるのか、というところまで落とし込んでみることが大切です。また、定期預金や投資による配当などで得た利益をすべて再投資することが、コツコツと資産を増やす秘訣です。
年間にどのくらいの収入があるか計算してみましょう。投資の比率を考える際に知りたいのは「手取り収入」です。手取り収入とは、税金や社会保険料などを差し引いた、自分で実際に使うことができる収入金額を指します。
税額や社会保険料額は、給与明細や納税通知書で確認しましょう。
普段、どのくらいの支出をしているか考えてみます。下記を参考にしながら算出してみましょう。まずはひと月あたりの支出を計算し、そこから1年の支出を考えていくとやりやすいです。
生活費 | 食費、光熱費・水道代、通信費、衣類や日用雑貨費、娯楽費など |
---|---|
保険料 | 生命保険、自動車保険、損害保険など |
住宅費 | 家賃、管理費、住宅ローンなど |
移動手段費用 | 駐輪場・駐車場代、ガソリン代、自動車ローン、自動車税、メンテナンス費用など |
教育費 | 自分自身の学習・習い事費用、資格取得代、お子様の学校教育費、習い事費用など |
その他 | 冠婚葬祭費、長期休暇時のレジャー費用など |
年間収入から年間支出を差し引いて残った金額が、1年あたりの余裕資金になります。この金額に投資比率をかけることで、具体的にいくら投資に回すことができるのかがわかります。
さらに、その投資金額を12ヶ月で割って、毎月どのくらいの金額を投資できるか把握することをおすすめします。1ヶ月あたりの投資金額が分かれば、あとは具体的な行動を起こすだけです!
投資するためのお金を増やすポイントのひとつに、預金の利息や投資で得た利益はできるだけそのまま運用に回すということが挙げられます。せっかく資産運用でお金が増えても、日々の生活費として使ってしまっては意味がありません。
定期預金であれば、申し込み時に満期時の取り扱いを「元利継続」にします。もし自動解約などにより元金と利息が普通預金に入金されたら、利息も含めた全額を早急に定期預金に預け直すか、新たな投資先に入金しましょう。
株式や投資信託などの投資商品の場合は、配当金や分配金などが銀行口座に振り込まれたら早急に投資に回すか、うっかり使ってしまわないように別の場所に移しましょう。
投資で得た利益はすべて次の投資に回す、ということを繰り返していくと資産を増やすことにつながります。
今はまだ投資に回す余裕資金があまりないという方や、いきなり投資を始めるのは少し不安という方は、ポイント投資がおすすめです。ポイント投資とは、ネットショッピングやクレジットカード利用時に貯まったポイントを運用できるサービスです。
詳しくは下記の記事を参考にしてみてください。
家計の状況は、環境の変化や収入の増減によって影響を受けます。多少の変動があっても長期的かつ継続的に運用していける投資スタイルを築くためには、「お金のバランス感覚」が求められます。具体的に見ていきましょう。
私たちの年金を運用・管理している年金積立金管理運用独立行政法人では、年金資金を下記の配分で運用しています。
国内債券 | 外国債券 | 国内株式 | 外国株式 | ||
---|---|---|---|---|---|
資産構成割合 | 25% | 25% | 25% | 25% | |
乖離許容幅 | 各資産 | ±7% | ±6% | ±8% | ±7% |
債券・株式 | ±11% |
国内外の債券と株式にそれぞれ同じ割合で投資しており、どのくらい価格変動を許容できるかという割合も細かく定められています。個人においても、このバランスはよい指標になるでしょう。
この4分野にバランスよく投資することで値動きが違う資産を保有できることになり、価格が変動するリスクにも対応しやすくなるというメリットがあります。
いざ4分野に分散投資をしようとしても、投資先がありすぎてどの商品を選べばいいか悩んでしまうと思います。そこでおすすめなのは、投資信託で分散投資を図るという方法です。
少額から世界中の株式や債券などに投資ができる、それが投資信託の特徴です。たとえば100万円で売買されている株式にも、投資信託を通じてなら数千円から投資可能です。
初めての投資にはもちろん、今後投資を続けていく中で資産配分を見直すときにも投資信託は良い選択肢といえます。
株式投資も、できれば銘柄やジャンルに偏りがない方がリスクを抑えられます。まずは株式に投資する投資信託からスタートしてみたり、単元株未満の単位でも購入できる証券会社のサービスを利用して少額から投資してみたりすることをおすすめします。
少額から投資する方法については下記の記事もぜひ参考になさってください。
投資に回す割合の目安は「100−自分の年齢」です。余裕資金を把握し、目安を参考にしながら投資額を考えましょう。
貯蓄や収入の状況によって余裕資金は増減します。その中でもなんとか踏ん張って投資を続けていくことで、毎月の投資金額はささやかでも将来的には大きな金額に成長していきます。
長期的かつ継続的に投資を行うためには、余裕資金を増やすことと投資割合の見直しを定期的に行うことが大切です。投資を含めた家計の状況に日頃から興味を持って管理していくことが、資産運用のカギになります。
NISAや投資信託など資産運用を始めるには口座を開設する必要があります。銀行や証券など多くでNISAや投資信託などの取扱いがございますが、一番のおすすめはSBI証券です。
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