- 生命保険の受取人は死亡保険金の請求権があり、実際に保険金を受け取ることができる。
- 生命保険の受取人には、配偶者、親、子など2親等までの親族と、婚約者や血縁関係者を指定できる。
- 受取人は複数人指定可能で、それぞれの受取人が受け取る保険金の割合も決められる。
- 受取人を誰に指定するかによって税金が異なる。
- 変更事由が生じたときは速やかに受取人を変更したほうがいい。
公開日:2019年9月1日
生命保険に加入する際には、受取人を指定する場合があります。主に死亡保険金の受取人を指定するのですが、この受取人は誰を指定できるのかご存じですか?
また、万一の場合に死亡保険金を受け取った時に、指定する受取人によっては税金を多く払う場合があります。ですから、生命保険契約時には保障内容だけでなく、死亡保険金の受取人を誰にするのかもよく考える必要があります。
今回は、生命保険の中でも重要な役割を持つ、死亡保険金の受取人に関する話をご紹介します。
なお、生命保険の「死亡保険」と「医療保険」の違いについてはこちらをご覧ください。
生命保険(死亡保険金)の受取人は誰がなれるのかを知る前に、まずは生命保険の基本的な用語「契約者」「被保険者」「受取人」の意味を確認しましょう。
今の生活を維持し、残された家族の生活を守るという生命保険の性質上、主な受取人は被保険者の法律上血縁関係のある家族です。他にも婚約者や内縁関係者を受取人に指定できる保険会社もあります。
基本は、家族もしくはそれに準ずる者以外の他人は指定できないようになっています。誰が死亡保険金の受取人になれるのかについて、契約者と被保険者が同じ場合の契約を以下に詳しくご紹介します。
契約者=被保険者=本人、受取人が被保険者の配偶者の場合は契約時になんの制限もなく配偶者を受取人に指定できます。法律上婚姻関係が成立している場合は、問題なく被保険者の配偶者を受取人に可能です。結婚後に生命保険を見直す場合は、受取人を配偶者である夫や妻に指定する場合が多くみられます。
契約者=被保険者=本人、受取人が被保険者の親や子の場合も、法律上家族関係が成立していれば問題なく親や子を受取人に指定できます。再婚相手に子どもがいた場合でも、法律上の一親等であれば受取人に指定可能です。
契約者=被保険者=本人、受取人が被保険者の祖父母、兄弟、姉妹、孫の場合も、祖父母、兄弟、姉妹、孫を受取人に指定できます。このタイプの契約形態は、相続対策として生命保険に加入し受取人を孫に指定する場合に多くみられます。
契約者=被保険者=本人、被保険者の婚約者や内縁関係者が受取人の場合も受取人に指定可能です。その場合は以下の基準を満たしている必要があります。
近年は時代の多様性に合わせて、同性パートナーを受取人に指定できる保険会社も出てきました。事実婚や同性婚を選択される方も増えてきているので、自分に万一のことがあった時にパートナーに生活資金を残せることは非常に安心できるのではないでしょうか。
生命保険の受取人は複数人指定できます。例えば、被保険者の配偶者に50%、被保険者の2人の子に25%ずつといった割合で指定可能です。受取人を指定しておけば、相続トラブルを避けることができ、指定された受取人に迅速に保険金が支払われます。
生命保険(死亡保険金)の受取人が保険金を受け取った際には、税金がかかる場合があります。生命保険(死亡保険金)の受け取りで発生する税金は3種類あります。
ここでは受取人別に死亡保険金に課税される税金をご紹介します。わかりやすくするために、登場人物を本人、配偶者、親、子の一親等までとします。
契約者と被保険者が同じ場合(契約者=被保険者=A、受取人=B)、死亡保険金にかかる税金は相続税です。前項で紹介したパターンはすべて相続税に該当します。
契約者 | 被保険者 | 受取人 |
---|---|---|
本人 | 本人 | 配偶者/親/子 |
配偶者 | 配偶者 | 本人/親/子 |
親/子 | 親/子 | 本人/配偶者 |
法的に婚姻関係、親子関係、血縁関係がある場合は、生命保険の非課税金額(500万円×法定相続人の数)、相続税の基礎控除額(3,000万円+600万円×法定相続人の数)、配偶者の税額軽減(1億6,000万円までは実質非課税)などで優遇されています。
婚約者や内縁関係者は生命保険の受取人になれますが、法的な相続人ではないためこれらの優遇制度が利用できず、死亡保険金に対して相続税が課税されるので注意が必要です。
契約者と受取人が同じ場合、死亡保険金にかかる税金は所得税です。以下がこの場合に考えられるパターンです。
契約者 | 被保険者 | 受取人 |
---|---|---|
本人 | 配偶者/親/子 | 本人 |
配偶者 | 本人/親/子 | 配偶者 |
親/子 | 本人/配偶者 | 親/子 |
所得税は受取人の所得によって5%~45%の税率です。年収600万円の方だと20%の所得税が課税されます。所得税は相続税と違って公的優遇が少ないので、税金が発生する場合があります。
契約者、被保険者、受取人がそれぞれ違う場合、死亡保険金にかかる税金は贈与税です。以下がこの場合に考えられるパターンです。
契約者 | 被保険者 | 受取人 |
---|---|---|
本人 | 配偶者 | 親/子 |
本人 | 親/子 | 配偶者 |
配偶者 | 本人 | 親/子 |
配偶者 | 親/子 | 本人 |
親/子 | 本人 | 配偶者 |
親/子 | 配偶者 | 本人 |
贈与税は、3,000万円以下で15%、5,000万円以下で20%の税率です。贈与税は相続税に比べると税率が高く、優遇制度も少ないです。
ここでは生命保険(死亡保険金)受取人の変更手続きについて紹介します。生命保険(死亡保険金)受取人の変更手続きは何度でもできますが、万一のことが起こり保険金の支払事由が発生したあとは変更できません。変更手続自体は各保険会社のカスタマーセンターに連絡すると簡単に開始できるので、案内に従って手続きを行ってください。
変更手続きには受取人の同意は必要ありませんが、被保険者の同意が必要です。受取人は複数名指定可能で、受け取り割合を指定できます。
受取人が2親等以内にいなくなってしまった場合は、受取人のその直系卑属(子)が相続権を引き継ぐ考え方(代襲相続)に基づき、受取人を三親等の甥・姪への変更が認められる場合があります。相続トラブルを回避するために、変更が必要になった段階で受取人の変更を行ってください。
離婚した場合は受取人の変更を検討されたほうがいいかもしれません。生命保険では受取人に保険の請求権があるので、被保険者が本人、受取人が元夫(元妻)だけの場合、元夫(元妻)に全額支払われます。
離婚した場合に受取人を変更する必要がないなら構いませんが、子や親に資金を残したいなら、受取人がいない場合と同様に、変更が必要になった段階で受取人変更手続きをとってください。
遺言で保険金受取人を変更する場合は以下の要件が必要です。
遺言で受取人を変更する場合は、生命保険会社に変更の通知が到着した後に、変更が有効になります。到着するまでは変更前の受取人に保険金請求権があります。遺言書の作成には時間がかかるので、時間に余裕を持って変更手続きを行ってください。
生命保険(死亡保険金)の受取人は、生命保険の保障内容と同じくらい大切なものでした。誰にどれくらいの資金を残すのかよく考えて生命保険の契約を行い、変更が必要な場合は速やかに手続きすることでトラブルを回避し、スムーズな保険金の支払いが行われます。
大事な家族の生活を守るための生命保険契約です。契約後はしっかりご自身の契約を管理しましょう。
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