- 教育資金は1人1,000万円以上必要!現在の教育費を支払いつつ、将来の進学費用を準備する。
- 確実に教育資金を残したいなら「預貯金」がおすすめ。
- 貯蓄しながら万が一の保障を確保したいなら「貯蓄型保険」がおすすめ。
- 進学時まで時間がない!少しでも早く、大きく増やしたいなら「投資」がおすすめ。
公開日:2021年3月4日
子どもの教育資金を準備するための手段である学資保険。ひと昔前は「子どもが生まれたら学資保険に加入するのが当たり前」といわれていましたが、昨今の低金利の時代では、学資保険の貯蓄性には期待が持てないという声も増えています。
この記事では、学資保険の特徴やメリットを把握した上で、学資保険以外で教育資金を準備するための方法を解説します。それぞれの仕組みを正しく理解して、計画的な準備を進めましょう。
子どもの教育資金準備の代名詞ともいえる学資保険。その加入率は減少傾向にあるものの、いまだに多くの子育て世代から支持を得ています。ソニー生命が発表した、高校生までの親748名を対象とした調査によると、2019年の学資保険加入率は50.8%という結果でした。
教育資金の準備に学資保険が選ばれる理由は、他の貯蓄方法にはない学資保険だけの特徴にあります。ここでは学資保険の特徴とメリットについて解説します。
学資保険とは、子どもの教育資金の準備を目的とした貯蓄型の生命保険の一種です。契約時に定めた保険料を一定期間払い込むことで、将来「祝い金」や「満期学資金」という形でまとまった返戻金を受け取ることができます。
自分の子どもには、将来は子どもが希望する進路に進ませてあげたいと望むのが親の思いです。そのために教育資金を準備しておくのは、親の責任であり愛情であるともいえます。
しかし、そんな親としての責任や愛情を果たす前に、親に万が一の事態が発生した場合、子どもに辛く悲しい思いとともに経済的なダメージを与えてしまうことになります。学資保険は教育資金を貯蓄するという目的以外に、以下のような機能を備えています。
加入後の万が一の事態に備えて、教育資金を貯めながら保障も備えることができる点が、学資保険の最大の特徴です。
学資保険に加入するにしても、他の金融商品を選択するにしても、そもそも「子どもの教育資金はどの程度準備が必要なのか?」を知っておかなければ、目標を定めて貯蓄を進めていくことはできません。
子どもの教育資金準備の目安、開始時期や予算の考え方について解説します。
文部科学省による「子どもの学習費調査(平成30年)」によると、小学校から高校までの12年間で必要な学習費の総額は以下の通りです。
進路 | 小学校(6年) | 中学校(3年) | 高校(3年) | 合計 |
---|---|---|---|---|
すべて公立 | 193万円 | 146万円 | 137万円 | 476万円 |
すべて私立 | 959万円 | 422万円 | 290万円 | 1,671万円 |
中学から私立 | 193万円 | 422万円 | 290万円 | 905万円 |
高校のみ私立 | 193万円 | 146万円 | 290万円 | 629万円 |
これらの費用を支払いながら、高校卒業後の進学に備えて貯蓄しておく必要があります。高校卒業後、大学や短大への進学に必要な費用は以下の通りです。
区分 | 国立大(4年) | 私立文系(4年) | 私立理系(4年) | 私立医歯系(4年) | 私立短大 |
---|---|---|---|---|---|
自宅の場合 | 516.6万円 | 682.6万円 | 820.4万円 | 2,534.4万円 | 346.0万円 |
下宿の場合 | 814.7万円 | 972.3万円 | 1,110.1万円 | 2,951.9万円 | 484.7万円 |
小学校から高校・大学まで全て国公立であった場合でも、合計992.6万円の計算になります。その他諸費用を加味すれば、教育資金は最低でも1,000万円以上準備する必要があるといえます。
学資保険やその他の金融資金で準備する必要があるのは、特にまとまった支出が必要となる大学進学時期です。現時点で必要な教育費を支払いながら、同時に将来に向けて資金準備を行わなければいけません。
よって教育資金の貯蓄は、他の負担が大きくなる前に、可能な限り早めに開始するのがおすすめです。子どもが生まれると、0歳から15歳までは自治体から児童手当が支給されるため、できる限り貯蓄に充てるようにしましょう。
事情により教育資金の貯蓄開始が遅れ、短期間で準備しなければいけないという場合は、リスクと向き合いながら、より高い貯蓄性のある手段を選択する必要があります。
子どもが大きくなればなるほど、進路の選択肢が広くなります。子ども自身の意思や受験の事情などにより、公立から私立へ進学するケースも考えられます。つまり、子どもが成長すればするほど予期せぬ支出増が発生する可能性があります。
よって、教育資金の貯蓄は可能な限り早めに終わらせておくことが得策です。早めに支払いを終わらせることで、必要になる時期まで据え置いた資金は運用を継続し、元本をより多く増やすことができます。
同様に、余力があればまとめて支払っておくことで、より長期間で運用の恩恵を受けることができます。
子どもの教育資金準備を目的とした貯蓄方法として、学資保険以外におすすめする3つの方法や、学資保険との違いについて解説します。
将来に向けた積立は大事ですが、それが今の生活を圧迫してしまい、大きな負担となって継続ができなくなってしまえば意味がありません。それぞれの家庭のライフプランやリスク許容度に応じた貯蓄方法を選択しましょう。
お金を貯める上で、最も安全で定番なのは預貯金です。預け入れたお金は目に見える形で確実に積み立てられるので、将来の教育資金をコツコツと貯めていくことができます。子どものために堅実にお金を残してあげたいと考える人には、預貯金をおすすめします。
預け入れたお金はいつでも自由に引き出すことができ、急な出費にも対応できます。
学資保険の場合だと、急な出費でお金が必要になったとき、対応するためには契約自体を解約する以外に方法はありません。途中で契約を解約してしまうと、これまで支払ってきた元本を大きく下回ることになってしまいます。
昨今の低金利下において、銀行の預金金利は極めて低いため、預け入れたお金はほとんど増えることはありません。確実に元本を守ることはできても、増やすことには期待が持てないのが預貯金です。
また、親に万が一の事態が発生しても支払った元本が戻るだけで、死亡保障が担保されないのも預貯金のデメリットといえます。
預貯金が向いているのは、毎月の家計管理ができていて、自らの意思で決まった金額を確実に積立できる人です。毎月積み立てなくてもペナルティはないため、計画的に続けられない人では教育資金準備という目的を達成することができません。
また自由に引き出せる分、万が一の出費が発生したときの余剰資金が不安な人は、預貯金で貯蓄した方が得策といえます。
学資保険以外にも、貯蓄型保険を活用して貯蓄する方法があります。万が一の保障を確保しながら、将来の教育資金を準備することが可能です。自分にもしものことがあっても、子どもに不自由な思いをさせたくないと考える人は、貯蓄型の保険の活用がおすすめです。
学資保険と貯蓄型保険は、どちらも貯蓄と保障を両立できる点がメリットですが、その違いは保障の目的にあります。学資保険の目的が子どもの教育資金であるのに対し、それ以外の貯蓄型保険は遺族の生活保障がメインです。
契約者(親)に万が一の事態が発生したとき、学資保険では教育資金は確保できますが、遺族のその後の生活保障は不十分です。一方、貯蓄型保険で死亡保障として受け取ったお金は、教育資金や生活保障など遺族が自由に使うことができます。
貯蓄型保険が向いている人は、毎月決まった金額を貯蓄するのが苦手な人です。学資保険を含めた貯蓄型保険は、積み立てているお金を自由に使うことはできず、途中で解約すると元本割れが生じます。
それが解約への抑止効果となり、途中でやめたらもったいないという心理によって強制的に貯蓄を継続することができます。
加入している限り一生涯死亡保障が続く生命保険です。払い込んだ一部が積み立てに回り、保険会社による運用によって返戻金が貯まっていきます。一定期間を超えると返戻金が払い込んだ金額を上回り、解約することでその時点での返戻金を受け取ることができます。
日本円よりも利率の高い外貨建てで運用する終身保険です。高い運用利率が期待でき、同じ保険料でも高い保障を確保することができます。ただし為替相場の影響を受けるため、払い込む際や解約する際には注意が必要です。
預かった保険料を株式や債券で運用する保険です。経済状況の影響を受けるため、高い運用効果が期待できる反面、損失が生じる可能性もあります。一生涯保障が続く終身型と、一定期間の保障を確保する有期型があります。
死亡保険金と満期保険金を同額に設定する保険です。一定期間の保障を確保し、その期間に死亡すれば死亡保険金が、死亡せず満期を迎えれば満期保険金が受け取れます。
払い込んだ保険料をもとに積立を行い、将来年金形式で受け取れる保険です。本来は老後資金の確保を目的として利用しますが、払込期間を短くすれば教育資金としても利用できます。
国債や株式、投資信託など、保険以外の金融商品を購入してお金を貯める方法が投資です。国や企業の経済成長による恩恵を受けることができ、高い貯蓄効果が期待できる反面、景気次第では損失を生じる可能性もあります。
多少のリスクがあっても、とにかく積極的に増やしたいと考える人には投資がおすすめです。
経済成長の恩恵が受けられる投資は、その資産運用次第では預貯金や貯蓄型保険と比較しても大きな増加が見込めます。また、運用次第では短期間での効果も見込めるため、教育資金準備に時間がない人でも準備を進めることが可能です。
現在はiDeCoやNISAなど、政府でも国民に対して積極的な資産運用を促しており、節税の観点でも投資にはメリットがあります。
高い貯蓄効果が見込まれる反面、運用次第では資産がマイナスになる可能性もあります。自己資産の運用責任は自身にあるため、多少のリスクは許容できる、リスクを負ってでも増やしたいという人には向いていますが、絶対に減らしたくないという人には不向きです。
教育資金は子どもの進学時に確実に必要となる資金のため、その貯蓄方法には慎重になる必要があります。
学資保険以外にも、将来の教育資金を準備するための方法はあります。それぞれの特徴を十分に理解し、「自分にはどんな方法が向いているのか?」を考え、自身のライフプランや必要額・準備期間に応じた手段を選択することが大事です。
子どもの進路をも左右する大切な教育資金は、メリットだけに着目することなく、総合的に判断して計画的な準備を進めましょう。
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