- 税金の対象となる保険金は「死亡に関する保険金」と「満期保険金」と「個人年金保険の年金」
- 死亡保険金にかかる税金は所得税、相続税、贈与税のいずれか
- 相続税で死亡保険金を受けれとれば、非課税枠があり税金の心配はほとんどない
- 生命保険契約を検討する際は受取人から決め、その後受け取る保険金が相続税にあたるように契約者と被保険者を決める
公開日:2019年1月8日
生命保険で受け取る保険金にも税金がかかる場合があることをご存じですか?
生命保険の保険金にかかる税金は、誰が契約をして誰が受け取るのかでその種類が変わってきます。残された家族に税金の心配をさせないためにも、契約時にしっかり準備しておく必要がありますね。
さっそく、生命保険と税金の話をみていきましょう。
生命保険って何?という方は、先に以下記事をご覧ください。
目次
生命保険に加入していると病気やケガや死亡の際に保険金が支払われ、ご自身と家族の生活を守ってくれます。万一の時に安心できますが、保険金を受け取る際には税金がかかる場合があります。
これから生命保険で受け取る保険金と税金の対象となる保険金をご紹介します。
生命保険で保険金を受け取る場合は大きく分けて5パターンあります。
病気やケガで治療した時に受け取る保険金には、入院/手術/通院給付金、身体障害/介護状態になった時の給付金、特定損傷/特定疾病、先進医療給付金などがあります。こちらは医療保険や介護保険、傷害保険、その他の特約を付加している際に支払われる保険金です。
死亡した際に受け取る保険金には、死亡保険金、災害死亡保険金があります。死亡保険金は家族に万が一のことがあった場合に支払われます。
余命6ヵ月と診断された時に受け取る保険金は、リビング・ニーズ特約による生前給付金です。リビング・ニーズ特約とは、「余命6ヵ月以内と診断された場合に、死亡保険金の一部または全部を生前に受け取れる」生命保険に追加できる特約です。
満期保険金と個人年金保険の年金も生命保険で受け取る保険金です。これらは病気やケガや死亡で受け取る保険金にくらべて保障としての意味合いが弱く、貯蓄性の高い商品です。
生命保険で税金がかかる場合は、前項の「2. 死亡に関する保険金」と「4. 満期保険金」と「5. 個人年金保険の年金」です。
「1. 病気やケガで治療した」には税金がかかりません。個人が生命保険から受け取るこれらの保険金は非課税です(所得税法施行令第30条第1号)。
以下は、具体的に非課税となる生命保険保険金(給付金)の種類です。
保険金の種類 | |
---|---|
入院給付金 | 入院したら支払われる |
手術給付金 | 手術の際に支払われる |
通院給付金 | 通院の際に支払われる |
死亡/災害死亡給付金 | 死亡した際に支払われる |
ガン診断給付金 | ガンと診断された時に支払われる |
疾病(災害)療養給付金 | 疾病や災害での療養が必要な時に支払われる |
高度障害保険金 | 所定の高度障害状態になると支払われる |
障害給付金 | 一定期間障害状態が続いた場合に支払われる |
介護保険金 | 一定期間介護状態が続いた場合に支払われる |
特定疾病保険金 | ガン/急性心筋梗塞/脳卒中などで治療を受けた際に支払われる |
特定損傷給付金 | 骨折/脱臼/腱の断裂などの治療を受けた際に支払われる |
先進医療給付金 | 国が定める保険適応外の高度な医療を受ける際に支払われる |
リビング・ニーズ特約の生前給付金 | 余命6ヵ月以内と診断された場合に死亡保険金の一部または全部が生前に支払われる |
出典:生命保険文化センター
また、「3. 余命6ヵ月と診断された」リビング・ニーズ特約に基づく生前給付金も非課税所得にあたるので税金はかかりません。
リビング・ニーズ特約による生前給付金は、死亡保険金の前払的な性格を有していますが、被保険者の余命が6か月以内と判断されたことを支払事由としており、死亡を支払事由とするものではないことからすれば、重度の疾病に基因して支払われる保険金に該当するものと認められます。
疾病により重度障害の状態になったことなどに基因して支払われる保険金は、所得税法施行令第30条第1号《非課税とされる保険金、損害賠償金等》に掲げる「身体の傷害に基因して支払われる」保険金に該当するものと取り扱っており(所得税基本通達9-21)、その保険金は非課税所得となります。
生命保険で税金がかかる場合は「死亡に関する保険金」と「満期保険金」と「個人年金保険の年金」ですが、今回はその中で「死亡保険金」に焦点をあてて話を進めていきます。
生命保険の死亡保険金の受け取りで発生する税金は3つあります。
これらの中で最も高い税率は贈与税です。贈与税の税率は贈与額が3,000万円を超えると55%の税率です。所得税は所得によって決まりますが、年収600万円の方で20%の税率です。相続税は法定相続分5,000万円以下で20%の税率です。
ですから、生命保険の保険金が贈与税にあたる契約は高額な税金を支払う場合があるので注意した方がいいと考えられます。
参考:国税庁HP No.4408 贈与税の計算と税率(暦年課税)
生命保険の死亡保険金を受け取る際には、所得税/贈与税/相続税のいずれかが課税されますが、誰が保険の契約者なのか?誰が受け取るのか?によって課税される税金が異なります。
これから生命保険にかかる税金がどのように決まるかご紹介します。
生命保険には、契約者、被保険者、受取人がいます。
契約者は生命保険を契約している人で保険料を支払っています。被保険者は生命保険の対象者で、万一のことがあった時に保障が用意されている人です。受取人は生命保険の保険金を実際に受け取る人です。
ここでは契約者、被保険者、受取人にあたる人物を「夫」「妻」「子」で表します。
今回ご紹介する死亡保険金の税金は、これらが誰なのかによって決定されます。
以下が死亡保険金の契約者/被保険者/受取人と税金の種類です。
契約者 | 被保険者 | 受取人 | 税金の種類 | |
---|---|---|---|---|
1 | 夫 | 妻 | 夫 | 所得税(一時所得として総合課税) |
2 | 夫 | 夫 | 妻または子 | 相続税 |
3 | 夫 | 妻 | 子 | 贈与税 |
前項でお伝えした通り、死亡保険金にかかる税金は所得税・相続税・贈与税の3種類です。
死亡保険金に所得税が課税される場合は、上記表1です。妻が被保険者の保険金を夫が受け取るので所得とみなされます。
死亡保険金に相続税が課税される場合は、上記表2です。夫の保険金を妻または子が相続するので相続とみなされます。
死亡保険金に贈与税が課税される場合は、上記表3です。契約者と被保険者と受取人がすべて異なる場合は、贈与にあたります。
生命保険では、誰にお金を残したいのかが重要です。まずはその部分をおさえ、その後に税金のことを考えます。
相続税で受け取る死亡保険金には、死亡保険金の非課税金額(500万円×法定相続人の数)や、相続税の配偶者控除(1億6千万円までは非課税)などがあり、相続税で受け取る死亡保険金に関する税金はほとんど心配しなくていいです。
死亡保険金の非課税限度額の計算は以下記事で詳しく記載しています。
ですから、まずは誰のためにお金を残したいのかを一番に考え、生命保険の契約を検討する際には「受取人」から決め、保険金受取時に高額な税率の贈与税になるのを避け、受け取る保険金が相続税にあたるように契約者と被保険者を同一にするといいのではないでしょうか。
これまで「生命保険で受け取る保険金と税金」「契約者、被保険者、受取人によって変わる税金」をみてきました。
相続税で受け取れば、万一の時の保険金にはほとんど税金の心配はありませんでした。そして、誰にいくら残すのか決める「受取人」が重要でした。
残された家族に必要な保険金をできるだけ多く残せるようにしっかり考えて生命保険を契約してくださいね。