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学資保険にはどんな税金がかかる?課税の仕組みと節税のコツをFPが解説!

学資保険にはどんな税金がかかる?課税の仕組みと節税のコツをFPが解説!

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飯塚 桜子

飯塚 桜子

1級ファイナンシャル・プランニング技能士、CFP、日商簿記2級

大手金融機関で年間200名以上のFP相談を受けている現役FPです。20代〜80代と幅広い年齢層のお客さまを担当しています。 マネーライフプラン、運用相談、相続対策など様々なテーマのコンサル経験があります。 本業での経験を活かして、独立した立場でのFP相談業務、記事執筆を行っています。

この記事のポイント

  • 必要な学費の目安は1000万円程度であり、早めの準備が効果的です。
  • 学資保険の受取は課税対象となり、契約の方法によって課税方法が変わります。
  • 受取方法や契約の方法を工夫すれば受取時の税金を節税できます。

この記事は約9分で読めます。

今後かかる学費について不安に感じ、学資保険を利用して教育費に備えたいという方も多いでしょう。学資保険は教育費の積立方法として定番ですが、受取時は課税の対象となるため注意が必要です。

本記事では、学資保険にかかる税金の種類と仕組み、計算方法について分かりやすく解説します。また、税金を節税できる契約方法も具体的に紹介します。今後学費の積立や学資保険の加入を検討されている方は必見です。

 

子供1人あたりに必要な学費は945万円程度

子供1人あたりに必要な学費は945万円程度

上記の金額は、「幼稚園〜高校まで公立、大学のみ私立」で計算しています。大学以外でも私立に通った場合はさらに高くなります。また、教育費と言っても学校の授業料だけでなく、教科書代、習い事、修学旅行、留学など様々な費用がかかります。

将来子どもが希望した時に、お金を理由に叶えてあげられないといったことを防ぐためにも、子どもが小さいうちからお金が貯まる仕組み作りをしておくことが重要です。

 

参考:公立・私立別の学費相場

公立 私立
幼稚園 65万円 158万円
小学校 193万円 959万円
中学校 146万円 422万円
高校 137万円 290万円
大学 242万円 404万円

※大学は4年間で計算。学校教育及び学校外活動のために支出した金額を学費として表記

 

学資保険とは

学資保険の仕組み

学資保険は、お子様の学費を準備するための積立型の保険です。保険といっても医療保険のように掛け捨てではありません。毎月保険料を積み立てて支払うことで、進学準備金、お祝い金、満期額資金として将来受け取ることができます。また、途中で解約すると解約返戻金を受け取れます。

 

学資保険の特徴

払込免除

払込免除とは、契約者である親が事故などで万が一亡くなってしまった場合や高度障害状態に該当した場合に、以後の保険料払込が免除されたうえで、進学準備金や満期学資金を受け取れる仕組みのことです。

保険の種類によってはこの仕組みがないものもありますので、加入前に確認するようにしましょう。

 

子どもの成長に応じて保険金を受け取ることができる

学費といっても、学年や塾に通うタイミング、習い事を始めるタイミングによって大きく学費のかかる時期は変わりますし、通う学校の種類などによってもかかる費用は異なります。

学資保険では、①様々な費用が重なりやすい高校入学時に大きな資金を受け取る、②大学入学前に受け取るといったように、お子様の成長や学習環境に合わせて受け取る時期を設定できます。

より自由なタイミングで条件よく受け取れるようにするためにも、お子様がなるべく小さいうちに加入しておくといいでしょう。

 

学資保険を受け取る方法は4種類

学資保険を受け取る方法は4種類

①満期金や祝い金で受け取る

一般的なのは、満期金や祝い金で受け取るという方法です。各学校の入学のタイミングに合わせて祝い金を受け取れる保険、一定の年齢の時にまとまった金額を受け取れる保険などがあります。

受け取りのタイミングと金額は契約時に決まりますが、保険によって異なりますので、複数の学資保険を比較して合ったものを選ぶようにしましょう。

 

②解約返戻金で受け取る

受け取り開始年齢よりも前に資金が必要になった場合は解約の手続きをし、解約返戻金として一時金を受け取ることが可能です。ただし、満期金や祝い金で受け取るときの金額と比較すると条件が悪くなるのが一般的なので注意が必要です。

また早期解約をすると、解約返戻金が払込金額を下回る可能性が高くなります。

 

③年金で受け取る

被保険者であるお子様が一定の年齢になった後、数年間に渡って年金として保険金を受け取ることができます。この受け取り方法が選べない保険もあります。

 

④死亡保険金で受け取る

被保険者であるお子様が事故や病気等で契約期間中に亡くなった際に、契約者が受け取るものです。

 

学資保険にかかる税金は3種類

学資保険にかかる税金は3種類

 

 

所得税

所得税は、1年間の各種所得に対してかかる税金です。所得の種類は全部で10種類あります。

  1. 利子所得
  2. 配当所得
  3. 不動産所得
  4. 事業所得
  5. 給与所得
  6. 退職所得
  7. 山林所得
  8. 譲渡所得
  9. 一時所得
  10. 雑所得

所得税は累進課税の税金なので、課税所得が高い人ほど税率が高くなります。所得税率は以下の通りです。

所得税の速算表
課税される所得金額 税率 控除額
1,000円〜1,949,000円 5% 0円
1,950,000円〜3,299,000円 10% 97,500円
3,300,000円〜6,949,000円 20% 427,500円
6,950,000円〜8,999,000円 23% 636,000円
9,000,000円〜17,999,000円 33% 1,536,000円
18,000,000円〜39,999,000円 40% 2,796,000円
40,000,000円以上 45% 4,796,000円

 

総合課税と分離課税

所得税の課税方法には、総合課税と分離課税があります。

分離課税はその所得のみに独自の税率をかけて計算しますが、総合課税は複数の所得と合算した課税所得に所得税率をかけて計算します。総合課税の対象になるのは配当所得、不動産所得、事業所得、給与所得、譲渡所得、雑所得、一時所得です。

給与所得のみのサラリーマンの場合、通常なら給与所得のみで税金額が決まります。しかし、保険金の受け取りがあった場合、一時所得や雑所得が増える可能性があるため、所得税額が上がることがあります。

 

住民税

住民税は、地方公共団体の住民であることに対して課税される税金です。【所得割額】と【均等割額】を合計した金額が税額になります。

保険金の受け取りがあると、【所得割額】の課税所得額(税金を計算するときの基準となる額)が増えることになります。計算方法は基本的に所得税と同じですが、所得控除額等が異なります。課税所得に対する税率は、所得にかかわらず10%です

均等割額は所得に関係なくかかるので、保険の受け取りがあっても税額は変わりません。

 

贈与税

贈与税とは、個人からの贈与によって財産を取得した場合に、その取得した財産に課税される税金です。贈与税額は以下の式で求められます。

贈与税額=(1年間に受け取った財産額−110万円)×贈与税率

110万円は基礎控除として贈与税の対象から除くことができる金額です。

 

参考:基礎控除とは何か

贈与税には110万円の基礎控除があります。そのため、1月1日〜12月31日の1年間に贈与された金額が110万円を超えなければ非課税になります。

贈与税は受け取った側に支払い義務がありますので、110万円の基礎控除は贈与される人1人あたりに対するものです。つまり、子どもが複数人いる場合はそれぞれに基礎控除枠があります。

たとえば、祖父・祖母からそれぞれ110万円ずつを同じ孫に贈与すると、基礎控除額がオーバーとなります。一方で祖父が兄に110万円、弟に110万円贈与した場合はどちらも基礎控除内ということになります。

 

贈与税率は2種類

以下は贈与税の税率表です。

 

一般的な贈与税率
基礎控除後の課税価格 200万円以下 300万円以下 400万円以下 600万円以下 1,000万円以下 1,500万円以下 3,000万円以下 3,000万円超
税率 10% 15% 20% 30% 40% 45% 50% 55%
控除額 10万円 25万円 65万円 125万円 175万円 250万円 400万円

 

直系尊属から20歳以上の者に贈与する場合の贈与税率
基礎控除後の課税価格 200万円以下 400万円以下 600万円以下 1,000万円以下 1,500万円以下 3,000万円以下 4,500万円以下 4,500万円超
税率 10% 15% 20% 30% 40% 45% 50% 55%
控除額 10万円 30万円 90万円 190万円 265万円 415万円 640万円

この税率は直系尊属(祖父母や父母など)から、20歳以上の者(子・孫など)への贈与の場合のみ適用でき、一般の税率よりも優遇されています。

 

受け取り時の税金は、受け取り方法と契約方法によって変わる

受け取り時の税金は、受け取り方法と契約方法によって変わる

税金の課税方法はどの受け取り方法にするか、また契約者と受取人を誰にするかで決まります。ただし、被保険者は無関係です。主な契約例と受取方法ごとに表にまとめました。

契約者 受取人 受け取り方法 税金の種類
パターン① 父母 父母 一括で受け取り 一時所得として所得税
パターン② 父母 父母 年金で受け取り 雑所得として所得税
パターン③ 父母 子ども どちらでも 贈与税

 

パターン①:一括受取で契約者と受取人が同じの場合

契約者・受取人ともに父母になっている場合に保険金を受け取ると、一時所得の扱いになります。一時所得と課税対象額の計算方法は以下の通りです。

一時所得=満期保険金−支払保険料総額−50万円※

※50万円は特別控除額として一時所得から一律で差し引くことができる金額です。

注意点は、同じ年に他の保険金などの受け取りが重なり、一時所得を複数回得たとしても、特別控除は50万円のみです。

課税対象額=一時所得額×1/2

一時所得はそのまま課税されるのではなく、1/2してから課税対象になるので他の所得に比べて有利になります。この課税対象額と他の所得(給与所得など)を足したものが課税所得となり、それに税率をかけて所得税額を計算します。

 

パターン②:年金受取で契約者と受取人が同じ場合

契約者・受取人ともに父母になっている場合に保険金を年金で受け取ると、所得税の対象になります。所得の種類は雑所得です。

雑所得の計算方法は以下の通りです。

雑所得=学資保険の年金額−学資年金額×(支払保険料総額÷総支給見込額)

雑所得は、経費相当額を引いたものがそのまま課税対象になります。この雑所得額と他の所得(給与所得など)を足したものが課税所得となり、それに税率をかけて所得税額を計算してます。

 

パターン③:契約者と受取人が別人の場合

契約者が父母で、受取人が子どもの場合は贈与税の対象になります。

贈与税額=(1年で受け取った金額−110万円)×贈与税率

基礎控除があるので、保険金が110万円を超えなければ非課税で受け取ることができます。

 

例外:死亡保険金で受け取る場合

契約者が親、被保険者が子どもの契約において、被保険者が亡くなり親が死亡保険金を受け取った場合は、所得税の対象になります。この場合の所得の種類は一時所得です。

一時所得=死亡保険金−支払保険料総額−50万円

課税対象額=一時所得額×1/2

この課税対象額と他の所得(給与所得など)を足したものが課税所得となり、それに税率をかけて所得税額を計算します。

 

学資保険の受取で節税するコツ

受け取り時の税金は、受け取り方法と契約方法によって変わる

 

 

学費の都度払いは課税の対象にならない

意外と知られていないことですが、都度かかる授業料や塾代などを贈与した場合は非課税になります。また、父母だけでなく直系尊属である祖父母が支払う場合も非課税です。

一括贈与の場合は、教育資金贈与信託等を活用すると非課税で贈与ができます。一方で、教育費として使わずに預貯金等に入金したままになっている場合は課税対象になりますので注意が必要です。

詳細は、国税庁資料のこちらを参照してください。

 

保険金が贈与税の対象になる契約は避けるのが無難

上記の通り、教育費に対しての贈与税は優遇されています。そのため、学資保険に加入することによって贈与税を取られてしまうのはもったいないでしょう。受取金額が基礎控除(110万円)を超える金額で加入する場合は、保険金が贈与税の対象になる契約は避けるのがおすすめです。

 

契約者と受取人を同じにして所得税の対象にする

契約者と受取人を父母にして契約すると受取金が一時所得になり、有利な方法で税金が計算されます。円建の学資保険であれば、将来の受取金額の目安が契約時に決まりますので、利益部分が50万円を超えないように契約しておけば税金はかかりません。

 

学資保険で生命保険料控除を活用して節税する

生命保険料控除は、保険料の支払いによって税金負担を軽くできる制度です。生命保険料控除には保険の種類によって3つの控除枠があります。

  1. 生命保険料控除
  2. 介護医療保険料控除
  3. 個人年金保険料控除

それぞれの控除枠において最高4万円まで所得税の控除を受けることができます。控除額は年間の支払保険料によって決まります。

生命保険料控除の枠は対象の保険が最も多いため、すでに他の保険に加入していていて保険料が8万円を超えている場合は、学資保険に生命保険料控除は使えないので注意が必要です。

年間の支払保険料等 控除額
20,000円以下 支払保険料等の全額
20,000円超 40,000円以下 支払保険料等×1/2+10,000円
40,000円超 80,000円以下 支払保険料等×1/4+20,000円
80,000円超 一律40,000円

 

学資保険にかかる税金に関するまとめ

学資保険は教育費を積立する仕組みとして有効です。一方で、契約の方法によっては受取時に課税対象になってしまう可能性があります。税制の基礎、税金の種類、課税方法の種類を理解したうえで契約の相談をしましょう。

迷われるようでしたら、上記でも述べた通り、契約者と受取人を父母にして一括受け取りにするのが節税効果が高いためおすすめです。

 

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