- がんの治療は目覚ましく進化しているため、それに対応したがん保険が日々作られている。
- 長期間に渡って加入しているがん保険は見直して今の治療事情に合ったものに変えていくべき。
- がん保険の保障内容は保険商品によって考え方が全く異なる。
公開日:2020年2月26日
めざましい医療の進歩に伴い、がん保険も環境の変化を捉えた新しい商品が登場しています。優れた商品の登場はうれしいのですが、がん保険は医療保険と違い、同じ条件で比較するのが難しいのがネックです。
そこで今回は、保険の比較サイトなどで人気の商品を分析し、筆者独自の視点で厳選した今おすすめのがん保険をランキングにしました。あなたのがん保険選びの満足度アップにつながれば幸いです。
ランキングに入る前に、最近のがん治療事情について詳しくお伝えします。
がんは一般的に治療後5年間、再発・転移しないと完治したとみなされます。国立がん研究センターの2019年4月のデータによると、がん全体の5年生存率は生存率は66.4%で、年々上昇傾向が続いています。
部位別では前立腺がんの5年生存率は98.8%ともはや恐れるに足らない病気になりました。それに伴い、再発・転移のリスクは上昇し、治療の長期化による経済的な負担が新たな問題になっています。
がん治療には主に「手術」「放射線治療」「抗がん剤治療」の3つがあります。かつては手術が中心でしたが、今ではがんの種類や進行度に応じてこれらの治療を組み合わせた個々の患者に合った治療が選ばれます。
がんの手術で開腹・開胸など難しいものでは患者の身体への負担も大きく、回復に時間がかかり、入院期間が長くなることが普通でした。最近では状況によりますが、身体に負担が少ない内視鏡手術などが選ばれることも多く、早く退院できるようになりました。
「放射線治療」「抗がん剤治療」については通院による治療が普通になってきています。がん保険の入院給付金の給付限度日数は無制限であることが普通ですが、そのメリットはあまりなくなりました。
以上のことを踏まえ、具体的な保険商品選びのポイントを解説します。
がん保険を構成する基本的な保障には「診断給付金」などがん保険独自のものがあります。
ほとんどの医療保険では入院給付金が主契約(外すことのできない保障)となっていますが、がん保険では商品ごとに主契約の内容が異なり、それが各商品のコンセプトになっています。
主契約以外は特約(オプション)として必要に応じで選ぶことができます。個々の特約の取捨選択は医療保険の加入の有り無しなどで判断するとよいでしょう。
「診断給付金」とはがんと診断されたときに給付される一時金で、がん保険の大黒柱のようなものです。使い道が自由なまとまったお金なので、高額になりやすいがんの治療費としてだけでなくがんによる収入減の補填にも役立ちます。
診断給付金は保険商品によって1回しか支払われないタイプと複数回支払われるタイプがあります。複数回支払われるタイプには、「2年に1回を限度」などの条件が付く場合がほとんどです。
5年生存率の上昇とともに再発・転移のリスクが高くなることを踏まえると複数回払いタイプを選ぶほうがベターだといえます。ところが、今も診断給付金が1回しか支払われないタイプは多く販売されています。その点を確認せずに加入すると思わぬ落とし穴にはまることになります。
なぜなら、がんにかかって診断給付金を受け取ってから1度しか給付金が受け取れないことに気が付いても、別のがん保険に入り直すことはほぼできないからです。
がん保険の保険期間は終身タイプと有期タイプがあります。終身タイプは保障が一生涯続くのに対し、有期タイプには保障の終期があり必ず保障はなくなります。有期タイプの保険料は更新がある場合、更新のたびに上がっていきます。
がん保険は一度がんにかかると新規に加入することは難しいため、保険期間は終身のタイプに加入するのが無難でしょう。また、加入の目的を考えると貯蓄性を求めることは合理的でなく、保険料を抑えるためには掛け捨てタイプをおすすめします。
小児がんにかかる子供はおよそ1万人に1人くらいです。仮に小児がんにかかったとしても「小児慢性疾患医療費助成制度」を利用でき、治療費の負担はあってもごくわずかです。ですから、子供があえてがん保険に加入する必要性は低いです。
ただ、がん保険の保険料は上昇傾向にあるので、保険料が安い子供のうちからがん保険に加入しておくことにもメリットはあります。
すでに述べましたが、がんの治療の変化に伴い、がん保険の補償内容も変化しています。これからも次々に新しいがん保険が開発されるでしょう。
そこで、何十年も前に加入したがん保険が役に立つでしょうか。保険料が安いだけで役に立たない、などという可能性も高いはずです。がん保険は入りっぱなしにせず、時々は見直すようにしましょう。
では、いよいよ具体的なおすすめのがん保険ランキングを発表します。
順位 | 保険会社 | 商品名 |
---|---|---|
1 | 三井住友海上あいおい生命 | &LIFE ガン保険スマート |
2 | チューリッヒ生命 | 終身ガン治療保険プレミアムDX |
3 | FWD富士生命 | 新がんベスト・ゴールドα |
4 | メットライフ生命 | ガン保険 ガードエックス |
5 | セコム損害保険 | 自由診療保険メディコム |
以下、それぞれのがん保険についての詳細を解説していきます。
栄えある1位に輝いたのは、2018年9月に販売がスタートした三井住友海上あいおい生命の「&LIFE ガン保険スマート」。今回ランクインした商品の中で1番新しい保険です。
最大のストロングポイントは診断給付金の受取りが1年に1回であることです。また、筆者は診断給付金が増額できるところにも注目しています。
がんにかかって毎年200万円の一時金が受け取れたら、治療費以外の収入源にも備えることができるのではないでしょうか。保険料は高くなりますが、病気で働けない場合に健康保険の傷病手当金がない個人事業主などにはメリットがあると思います。
あまりウィークポイントはありませんが、保険料払込免除がないのがデメリットといえばデメリットです。
主な保障 | 入院日額(10,000円/日) |
---|---|
オプション | 診断給付金(100万円/回) |
先進医療特約 | |
ガン治療通院給付金(10,000円/日) | |
抗ガン剤給付金(10万円/月) | |
40歳男性保険料 | 5,226円/月 |
40歳女性保険料 | 5,394円/月 |
診断給付金が1回限りの商品と比べると安心感が断然違うと思います。このプランに加入すれば、がんの治療が長期化してもお金の心配をしなくて済みそうです。この内容でこの保険料は安いのではないでしょうか。
診断給付金を200万円にすると男性1,743円、女性1,567円のアップになります。毎年200万円受け取れたら、収入減にも対応できそうです。
保険料が高いと感じたら入院日額を5,000円にしたり、通院給付金を5,000円にすれば1,000円以上負担を軽くすることができます。
チューリッヒ生命の「終身ガン治療保険プレミアムDX」は常にランキング上位に選ばれる実力派です。最大の特徴は従来のがん保険では特約だった抗ガン剤給付金を主契約に据えた先進性です。
また、日本では自由診療扱いになる未承認の抗ガン剤・ホルモン剤治療にも対応している点も他にはないアドバンテージだと言えます。
主契約にプラスするオプションが多彩で保険料も手ごろなため、「保障充実のフル装備」でも「主契約のみで既契約がん保険の上乗せ」でも活用できる柔軟性は高く評価できるポイントです。
自由診療の抗がん剤給付金と通院給付金の支払い限度は少し残念なマイナスポイントでしょう。
主な保障 | 抗がん剤給付金(10万円/月) |
---|---|
自由診療抗がん剤給付金(20万円/月) | |
オプション | 診断給付金(一時金100万円) |
先進医療特約 | |
通院給付金(10,000円/日) | |
40歳男性保険料 | 4,495円/月 |
40歳女性保険料 | 3,595円/月 |
医療保険に加入している場合などは、上記のように入院給付金や手術給付金を付けない設計で保険料は抑えて必要な保障を手厚くすることが可能です。また、既存のがん保険にはない保障だけを組み合わせて上乗せとして活用することもできます。
FWD富士生命生命の「新がんベスト・ゴールドα」も常にがん保険ランキング上位に選ばれる人気商品です。主契約の診断給付金が最大300万円まで設定可能で、治療費だけでなくがんで働けない時の収入減にも活用できます。
2回目以降の診断給付金は通院治療でも受け取ることができ、入院を支払い要件にしている他社が多い中、通院のみの治療が増えている実情に合っていると評価できます。
2回目以降の診断給付金を割り増しできる特則は入院の長期化、収入減に対応できるなど他社にはないユニークなものです。保険料払い込み免除が自動付帯されるのもうれしいポイントです。
オプションの抗がん剤給付金・放射線給付金が何回でも支払われるので長期の治療を安心して受けられます。女性がんの特約が付けられる点も見逃せません。
基本保障 | 悪性新生物診断給付金(一時金200万円) |
---|---|
オプション | がん治療給付金特約(10万円/月) |
がん先進医療特約 | |
40歳男性保険料 | 4,912円/月 |
40歳女性保険料 | 4,317円/月 |
診断給付金、抗がん剤給付金が無制限で受け取れるので治療が長期化しても安心です。ちなみに悪性新生物診断割増給付金をプラスした場合、男性6,596円、女性5,787円となります。2年に1回400万円ずつ受け取れれば、治療費以外の生活費の足しにもできるのではないでしょうか。
この保険は上皮内新生物の保障をオプションにしています。通常、上皮内新生物の治療は高額にはならないため、オプションだとしてもデメリットにはならないと筆者は考えています。
がんの三大治療を受けたときに入院・通院に関わらず悪性新生物治療給付金が受け取れます。提携しているティーペックの付帯サービスが他社より充実しています。
なぜか男性の保険料が安いので、男性は特に検討する価値がある保険です。先進医療特約は10年ごとに更新され、保険料が変更されます。
基本保障 | 悪性新生物治療給付金(一時金100万円) |
---|---|
ホルモン剤治療給付金(10万円/回) | |
ガン通院サポート給付金(5,000万円/日) | |
オプション | 保険料払込免除 |
がん先進医療特約 | |
40歳男性保険料 | 3,576円/月 |
40歳女性保険料 | 4,851円/月 |
がんの三大治療の費用を治療給付金で賄うシンプルな内容です。通常、同条件の場合は女性より男性の保険料が高くなりますが、この商品は男性の保険料が格安です。
項目 | 内容 | 支払限度など | 備考 |
---|---|---|---|
基本補償 | ガン診断保険金 | 3年1回を限度に回数無制限 | 一時金100万円 |
ガン外来保険金 | 回数無制限 | 最大1,000万円 | |
ガン入院保険金 | 回数無制限 | かかった治療費全額補償 | |
保険期間 | 5年 | 90歳まで自動更新 |
今回ランクインしたがん保険の中で唯一の損害保険です。通院でも入院でもかかった実費の全額が保険金として支払われます。5年ごとの更新があるため、保険料はアップすること、補償も一生涯でないことに注意が必要です。
がんの治療は日々、進化しています。がん保険の保障もがん治療の変化に対応しなくてはいざというときに役に立ちません。
ご加入中のがん保険も入りっぱなしにせず、ときどき見直して内容を確認してください。もし、見直しが必要と感じたら、このランキングを参考にしていただけると幸いです。
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