- 少額投資の最大のメリットは「これから本格的に投資を行う前に投資の経験」ができること。
- 少額投資には、少額の現金を利用した少額投資と各種ポイントを利用した疑似投資としての少額投資の2つがある。
- 「本格投資前の投資経験」に焦点を当てると、株るいとう、ミニ株、Tポイント投資、楽天ポイント投資で少額投資を行うのがおすすめ。
公開日:2019年11月3日
最近は、投資初心者向けに少額での投資が可能な「金融商品の取引手法」や「新しい種類の金融商品」が登場しています。今回はこの少額投資にどんな意義があるか、どんな目的をもって行うとよいか、商品としてどんなタイプがあるかについてご紹介します。
投資経験がなく、まずは少額投資で投資を体験してみたいとお考えの方にとって役立つ内容を意識し記載します。ご関心のある方はぜひ読んでみて下さい。
目次
投資は、実際に体験し身体で覚えることが何よりも大切です。もちろん、本やインターネット等で知識を得ることもとても大事です。しかし、知ることと実行することは違いますし、感情に行動が左右されがちな投資であれば、ならさらそうです。
少額投資は投資の初期費用が少額であるため、投資を体験するよいきっかけになります。
とはいっても、少額投資をご自身で実践できるのか、心配される方もいらっしゃることでしょう。当然ながらただ少額投資をやみくもに行って投資を体験することを推奨しているわけではありません。少額投資の実践を考える前提で、まず少額投資のメリットとデメリットを以下にまとめてみます。
全てではありませんが、代表的なものをまとめると以下の通りです。
少額投資のメリット | ・本格投資を行う前に投資の経験ができる。
・投資初心者を意識したシンプルな商品が多い。 ・商品の選択の幅が狭く商品の選択に迷いにくい。 |
---|---|
少額投資のデメリット | ・手数料が必ずしも安いとはいえない。
・投資のスキルが必ずしも身につかない。 ・少額なので資産形成に必ずしもつながらない。 ・少額なので銘柄選びやリスク管理等がいい加減になりやすい |
結局、少額投資には大きなメリットもデメリットも存在します。であるならば、少額投資が安全か危険かはあなたの心がけ次第であるということになります。
少額投資を実りのあるものにするには、少額投資のメリットを大きくしてデメリットを小さくする方向性で、少額投資を行うことが大切です。その点について以下に記載します。
少額投資の最大のメリットは、上記の1つ目の「本格投資を行う前に投資の経験ができる」ことです。そしてこれができれば、資産形成にならない点や投資のスキルが必ずしも身につかない点というデメリットを払しょくすることにもつながります。
投資は資産づくりのために行いますが、その「資産」とは目に見える有形資産もあれば、目に見えない無形資産もあります。そして、たいていの有形資産は目に見えない無形資産があることが前提になっていることが多いです。
少額投資で得られるのは有形資産が増えることではなく、これらのうちの無形資産、つまり投資の「経験」です。
この投資の「経験」にはどんな要素が必要でしょうか。これは以下の3点が考えられます。
続いて、少額で投資できる各種サービスが、それぞれこれらの要素を満たしているかどうか検討します。
少額投資を大きく分けると、少額の現金を利用した少額投資と各種ポイントを利用した疑似投資としての少額投資の2種類があります。
そのうち現金を利用した少額投資には、株るいとう、ミニ株、FX、ロボアド、ソーシャルレンディングなどが挙げられます。全てではありませんが、これらが代表的なものになります。以下それぞれがどのような金融商品であるか表にして記載します。
それぞれの金融商品の定義は以下の通りです。
株るいとう | 毎月定額で株式を購入する投資方法。通常の単元株取引では買えない株式を少額で取引可能。 |
---|---|
ミニ株 | 単元株である100株未満の株、基本的には単元株の10分の1(10株)で取引可能な投資手法。 |
FX | 異なる通貨の売買。円、ドル、ユーロ、ポンドなどの通貨そのものを売買する投資手法。 |
ロボアド | 人工知能を利用して、自分のリスク許容度等を答えることで、資産運用の助言を行うサービスを利用した投資手法。 |
ソーシャル
レンディング |
インターネットを用いてファンドの募集を行い、投資者からの出資をファンド業者を通じて企業等に貸付ける投資手法。 |
なお、ロボアドの詳細はこちらの記事をご参照下さい。
また、ソーシャルレンディングの詳細はこちらの記事をご参照下さい。
投資の「経験」が得られる少額投資として挙げた上記の3点を、これらの金融商品が満たしているかどうかを表形式で以下まとめます。
これはあくまで「本格投資を行う前に投資の経験ができる」という視点での選別です。3点の要件を満たしていないから投資初心者に全く不適切な金融商品である、と述べているわけではありません。この点はご注意下さい。
本格投資の練習 | 銘柄選びの体験 | 投資のリスクを体験 | |
---|---|---|---|
株るいとう | 〇 | 〇 | 〇 |
ミニ株 | 〇 | 〇 | 〇 |
FX | × | × | 〇 |
ロボアド | × | × | 〇 |
ソーシャルレンディング | × | 〇 | 〇 |
株るいとうは、いわば株を小さく分割した商品と考えることが可能なので、本質は株式と同じで投資金額が小さくなっただけです。ですので、今後本格的に投資をしていく練習になります。また、銘柄選択もしていますし、価格変動等のリスクがある点も、株とほとんど違いはありません。
よって、投資の「経験」が得られる少額投資として、ふさわしい金融商品の1つと言えるでしょう。
ミニ株も株の小さく分割したような商品である点は株るいとうと同じなので、同じく投資の「経験」が得られる少額投資としてふさわしい金融商品の1つと言えるでしょう。
FXは為替が円安になるか円高になるか2つのうち1つを選択するだけなので、銘柄選びの経験という意味では弱いです。また、資産形成としての本格投資で、為替そのものの売買でFXのように価格が乱高下する商品を選択することは考えにくく、本格投資の練習としても不適切です。
よって、投資の「経験」が得られる少額投資として、ふさわしい金融商品の1つとは言えません。
ロボアドは投資を行う際にいくつかの質問に答えて運用方針を一度決めたら、後はAIが自動的に銘柄を売買します。そのため、投資のスキル向上にはつながるとも、本格投資の練習になるとも言い難く、自分で銘柄を選んで投資しているとも言えません。
よって、投資の「経験」が得られる少額投資として、ふさわしい金融商品の1つとは言えません。
ソーシャルレンディングは投資先を決めたら基本的に途中売却はできず、あとは満期まで待っているしか選択はありません。一度銘柄を選んだら動かせないという点において、本格投資の練習になるとは言い難いです。
よって、投資の「経験」が得られる少額投資としてふさわしい金融商品の1つと言えません。
各種ポイントを利用した疑似投資としての少額投資としては、現在様々なサービスが乱立していてその種類は無数に存在します。
そこで、代表的なものと思われるサービスとして、Dポイント、au WALLETポイント、楽天ポイント、Tポイントを利用した少額投資に絞って解説します。まずは、それぞれのサービスの概要について記載します。
それぞれのポイント投資の定義は以下の通りです。
dポイント投資 | dポイントを投資信託やETF(上場投資信託)などの値動きに連動し毎日変動する「運用ポイント」に交換(追加)することで、投資の疑似体験ができるサービス。 |
---|---|
auWALLETポイント運用 | au WALLET ポイントを投資信託(auスマート・プライム(高成長))の価格増減に連動した運用ポイントに振り替えて利用可能な疑似投資体験サービス。 |
楽天ポイント運用(投資) | 楽天スーパーポイントを運用ポイントに移行・追加して投資信託に連動して、運用ポイント数が日々変動する疑似投資体験サービス。(楽天ポイント投資は口座開設して実際の投資信託をポイントで購入する形態) |
Tポイント投資 | 口座開設することで、1ポイント = 1円相当で実際の株式を購入できるサービス。 |
現金利用の少額投資と同様に、投資の「経験」が得られる少額投資として挙げた上記の3点をこれらのポイント投資が満たしているかどうかを表形式で以下にまとめます。
なお、こちらもあくまで「本格投資を行う前に投資の経験ができる」という視点での選別ですので、3点の要件を満たしていないから投資初心者に全く不適切な金融商品であると述べているわけではありません。
本格投資の練習 | 銘柄選びの体験 | 投資のリスクを体験 | |
---|---|---|---|
dポイント投資 | 〇 | 〇 | △ |
auWALLETポイント運用 | 〇 | × | △ |
楽天ポイント運用(投資) | 〇 | 〇 | △(投資は〇) |
Tポイント投資 | 〇 | 〇 | 〇 |
dポイント投資ではWつのコースを選択する形や5つのテーマに沿った投資を行うことができるので、本格投資の練習になりますし、銘柄選びの体験にもなっています。
ただ、ポイントの価格も実際の投資信託やETFに連動しているとはいえ疑似体験としての投資なので、リアルな投資にリスクを感じにくいかもしれません。
よって、投資の「経験」が得られる少額投資として、検討の余地のある金融商品とは言えるでしょう。
auWALLETポイント運用は選べる商品が決まっていますので、銘柄選びの体験としては十分とは言えません。また、dポイントと同様に疑似投資サービスなのでリスク体験という意味でも十分とは言い難いです。
よって、投資の「経験」が得られる少額投資として、ふさわしい金融商品の1つとは言えません。
楽天ポイント運用の場合は、dポイントとauWALLETポイント運用と同じく疑似体験のサービスなので、投資のリスク体験としては弱さもありますが、楽天ポイント投資では、口座を開設して実際の投資信託を買付するので、投資のリスク体験をすることができます。
よって、楽天ポイント投資であれば、投資の「経験」が得られる少額投資としてふさわしい金融商品とは言えるでしょう。
Tポイント投資では口座開設を行い、実際の株式を購入します。ですので、本格投資の練習、銘柄選びの体験、投資のリスクを体験のいずれにもなっていると考えられます。
よって、投資の「経験」が得られる少額投資としてふさわしい金融商品と言えるでしょう。
少額投資の価値を「本格投資を行う前に投資の経験ができる」ことに置いた場合、投資の成功と失敗の定義も一般的な投資と変わってきます。
少額投資での失敗とは、「本格投資を行う前に投資の経験ができない」ことです。利益が出ないことや資産が元本より値下がりしたことではありません。むしろ、少額投資で元本割れの経験はなぜそうなったのか失敗分析をして今後の投資に役立てることができる点で、利益の要素が大きいです。
それでは、少額投資の振り返りはどのように行えばよいのでしょうか?この点は、本格投資をする場合とほとんど同様に行うことができます。少額投資を本格投資前のシミュレーションと位置付けた場合、投資後の振り返りをすることで、その投資経験をさらに意義深いものにしていくことが可能です。
具体的には、投資ノートを作成します。少額投資での売買をした場合、その理由を記載します。
買った場合 | ・なぜ、その銘柄に投資したか?
・なぜ、そのタイミングで投資したか? ・売却タイミングはどこに基準を置いているか? |
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売った場合 | ・なぜ、その銘柄を売却したか?
・なぜ、そのタイミングで売却したか? ・その取引の売買損益はどれくらいだったか? ・その取引の買付を振り返って感じたことや学びのメモ |
少額投資をする方は投資初心者の方が多いでしょうし、値動きの変動がそれなりに大きい商品も少なくありません。そこで、振り返りタイミングはこまめに行うとよいでしょう。
個別の株式等に投資するタイプなら1週間に1回、投資信託やそれに類似した金融商品に投資するタイプなら1か月に1回は必要でしょう。
以上、少額投資の意義、具体的な商品、購入後の振り返りの仕方など、これから少額投資を行う方向けに必要事項を書いてみました。
こう書くと、本格投資につながらない少額投資はやってはいけないのかと感じられる方もいらっしゃるかもしれませんが、そうではありません。
まず投資というアクションを取りやすいのが少額投資のよいところです。ですので、本格投資を意識した少額投資を行いつつ、楽しみのために他の少額投資をやってみるのは全く問題ありません。
勉強だけのために少額投資を行うと途中でしんどくなってしまい、「投資はきついもの」という先入観が生まれてしまうおそれもあります。楽しみながら実施することも大切な視点ですので、そこも合わせてぜひやってみて下さい。
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