- ロボアドバイザーのメリットは、知識がなくても手軽に始めれて、放ったらかしでもOKなところ。
- ロボアドバイザーのデメリットはiDecoやNISAなどの非課税制度は使えないところ。
- おすすめのロボアドバイザーは「WealthNavi(ウェルスナビ)」「THEO(テオ)」「フォリオのおまかせ投資」の3社。
公開日:2019年10月8日
今回は、ロボアドバイザーの基本的な説明から特徴(株や投資信託の違いを含めて)、おすすめのロボアドバイザーをご紹介します。
「ロボアドバイザーやAI(人工知能)での運用は最近よく聞くけど、実際どうなの?」と考えている投資家にとって参考になる内容になっています。是非、最後まで読んで資産運用の参考にしていただければ幸いです。
それでは、ロボアドバイザーとは、どんな金融商品なのかを見ていきましょう。
ロボアドバイザーとは、人間に代わってAI(人工知能)が資産運用や投資のアドバイスをしてくれるサービスです。「資産運用を始めたいけど、自分で金融商品を選ぶのは難しい」「昼間仕事をしているので、銘柄を研究する時間がない」といった方にはロボアドバイザーが役立つでしょう。
ロボアドバイザーを始める流れは次のようになります。
年齢や年収、資産運用の目的などいくつかの質問に答えます。所要時間は1~3分程度で済みます。
質問の内容によって顧客のリスク許容度を計り、最適なポートフォリオを決定してくれます。ポートフォリオとは、金融資産の組み合わせのことです。例えば、「株式50% + 債券50%」「株式70% + 債券30%」などです。一般的に債券よりも株式の方が、リスクが大きくなります。
資産運用における「リスク」とは、収益のブレのことです。リスクが高くなるほど大きな利益を狙えますが、そのぶん損失を出す可能性も高くなります。
提示されたポートフォリオを元に運用を始める場合は、口座を開設して入金をします。ロボアドバイザーでは、投資アドバイザー型(自分で運用をする)と、投資一任型(おまかせ運用)の2種類があります。投資一任型を選べば、商品の購入からポートフォリオまですべて自動で行ってくれるので便利です。
続いて、ロボアドバイザーの特徴(メリット・デメリット含む)と、株や投資信託との違いを見ていきましょう。
以下、詳しく説明していきます。
国内の上場株式は約3,500銘柄、投資信託は約6,000種類あります。初心者がこの中から自分で選んで購入するというのはハードルが高くなります。ロボアドバイザーなら、自動で銘柄選択から買付けまで行ってくれます。
株や投資信託では、自分で商品のリスクを見極めて選ぶ必要があります。例えば、株や投資信託のリスクには次のようなものがあります。
投資信託が組み入れている株式や債券の価格が変動するリスクです。株価は売りと買いの需給によって決まりますが、国内外の経済情勢や企業の業績等の影響を受けます。
外貨建て資産(外国株や外国債券)に投資する際に、為替レートが変動するリスクのことです。一般的に円安になれば価格は上昇しますが、円高になれば下落します。
債券を発行する企業や国が、財政難や経営不振により、元本の払い戻しや利子の支払いが滞ったりするリスクのことです。株式の場合は企業が倒産して上場廃止になると、紙くず(無価値)になってしまいます。
金融商品には、このように様々なリスクがあります。ロボアドバイザーでもこれらのリスクを排除することはできませんが、投資家のリスク許容度に応じて最適な資産クラス(株式・債券・不動産・商品)に分散投資するので、リスクを低減させる効果が期待できます。
株式投資では数万円~数十万円以上の資金が必要ですが、ロボアドバイザーでは1万円程度の資金で始めることもできます(サービス会社によって異なる)。ただ、投資信託なら積立投資で100円から始めることもできるので、より少額から投資を始めることができます。
株式は売買手数料がかかりますが、保有コストはかかりません。投資信託は購入手数料が0~3%程度で、保有コストとして信託報酬がかかります(0.5~2.5%)。ロボアドバイザーの場合、購入時の手数料は無料のサービスが多いものの、保有コストとして預かり資産の1%程度かかるのが主流です。
ロボアドバイザーでは、NISA(少額投資非課税制度)やiDeco(個人型確定拠出年金)などの非課税制度を使うことはできません。
株式 | 通常の投資信託 | ロボアドバイザー | |
---|---|---|---|
上場・非上場 | 上場 | 非上場 | 投資対象による |
購入場所 | 証券会社 | 証券会社、銀行など | サービス提供会社 |
取引価格 | リアルタイム | 1日1回の基準価額 | おまかせ |
銘柄数 | 3500前後 | 5000以上 | 数十銘柄 |
取得時コスト | 売買手数料 | 購入手数料 | なし |
信託報酬 | なし | あり(0.5~2.5%) | あり(1%前後) |
分配金・配当・株主優待 | 配当金・株主優待 | 分配金 | 分配金 |
最低投資額 | 数万円、数十万円~ | 100円~ | 1万円~ |
非課税枠(NISA) | 〇 | 〇 | 不可 |
非課税枠(iDeco) | 不可 | 〇 | 不可 |
※ロボアドバイザーの詳細は次の章で見ていきます。
ロボアドバイザーにはネット証券や金融機関が多数参入しています。その中からおすすめのロボアドバイザーを3社紹介します。
まずは、ロボアドバイザー預かり資産・運用者数が一番多いウェルスナビの特徴から見ていきましょう。ウェルスナビは6つの質問に答えるだけで、その人にリスク許容度にあった商品で国際分散投資を行ってくれます(下図)。
出典:ウェルスナビ
自動でポートフォリオを決めてくれるので、後は口座開設をして入金するだけで、簡単に資産運用を始めることができます。
ウェルスナビの投資対象は海外ETFです。海外ETFは国内のETFや通常の投資信託に比べて信託報酬(保有している間にかかるコスト)が安いのが特徴です。低コストの海外ETFを利用することにより、安いコストで運用できるのです。
手数料は預かり資産の1%(年率・税込)のみ(3000万円を超える部分は0.5%)。そのほかのサービスはすべて無料で利用できます。
もちろん、自分で海外のETFを購入すれば、より安いコストで運用することができますが、海外ETFの数は5,000本以上あります。国内の証券会社でも300本以上の品ぞろえがあるので、自分に合ったETFを見つけるのは困難です。
ウェルスナビなら購入からポートフォリオまですべてを自動で決めてくれるので、特に高い手数料ではないでしょう。
ウェルスナビの最低投資金額は10万円。ただ、毎月同じ額を積み立てる「自動積立」なら月1万円から可能です。
リバランスとは、金融商品の組み合わせ(ポートフォリオ)において、資産の再配分を行うことをいいます。
運用を行っていると、時間の経過とともに相場が変動し、当初設定した資産配分が変わってきます。そこで、定期的に資産配分の比率を当初の計画通りに戻すのです。
ウェルスナビでは、原則半年ごとにリバランスを行います。
続いて、テオの紹介です。
出典:テオ
テオの特徴は、投資対象の豊富さです。最大30種類以上のETFから構成され、投資対象は株式、債券、コモディティや不動産など6種類。バリエーションは世界86カ国の地域にわたり、投資対象は11,000銘柄以上になります。
テオの最低投資金額は1万円からとなっています。また、1万円以上1,000円単位で積立投資も可能です。
運用報酬は年率1%(3,000万円を超える分は0.5%)です。
テオでは月に1回のリバランスを行います。
テーマ型投資で有名なフォリオでも、ロボアドバイザーの「おまかせ投資」がスタートしました。
出典:フォリオ
2018年11月に始まった新しいロボアドバイザーで、安定運用は「ピーター」、積極運用は「ジェームス」などキャラクターが設定されています。フォリオでは若年層を意識しているので、既存のサービスより親しみやすさをだしています。
投資対象は米国ETFです。フォリオでは、その中から流動性が高く、手数料が低い銘柄を選んでいます。
最低投資金額は10万円。手数料は預かり資産の1%(3000万円を超える部分は1%)です。
おまかせ投資では、リバランスを3ヶ月に1回行います。
それでは、3社の比較表を見てみましょう。
ウェルスナビ | テオ | フォリオ | |
---|---|---|---|
サービス開始 | 2016年7月 | 2016年2月 | 2018年11月 |
運用者数 | 口座数 39万口座を突破(2021年3月8日時点) | 6万人 | 非公表 |
預かり資産 | 3100憶円 | 315憶円 | 非公表 |
投資対象 | 海外ETF | ETF | 米国ETF |
最低投資金額 | 10万円 | 1万円 | 10万円 |
運用報酬料 | 1% | 1% | 1% |
リバランス | 半年ごと | 月1回 | 3ヶ月に1回 |
自動積立 | 1万円~ | 1万円~ | なし |
公式HP | 公式HP | 公式HP |
※運用手数料は、3社とも3,000万円を超える部分は0.5%
今回は、ロボアドバイザーと他の金融商品(株・投資信託)との違いを解説し、おすすめのロボアドバイザー3社を比較してご紹介してきました。
おまかせで資産配分を決めてくれる、リバランスも自動で行ってくれるなどメリットが多いロボアドバイザーですが、iDecoやNISAなどの非課税制度は使えないので注意しましょう。
次回は、ロボアドバイザーの預かり残高が一番多い、ウェルスナビでの実際の運用を見ていきます。