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住宅ローンの返済比率はどれくらい?年収でみる借入の目安をFPが解説

住宅ローンの返済比率はどれくらい?年収でみる借入の目安をFPが解説

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田中祐介

田中祐介

住宅ローンアドバイザー、2級ファイナンシャルプランナー

大学卒業後、大手金融機関にて融資業務を担当。その後外資系生命保険会社にスカウトされ転職。 主にライフプランニングを中心に活動。以後、保険代理店へと移籍。移籍後は数多くの企業と提携し 個人向けマネーセミナーを開催中。金融業界で経験した知識、経験を基に「お金」にまつわる幅広い知識を 「いかに分かり易くお伝えするか?」をモットーに日々活動しています。

この記事のポイント

  • 年収に対する返済比率は20%を目安に。
  • 住宅ローン以外にかかる費用を頭に入れておきましょう。
  • 先々かかる維持費用も考慮しておきましょう。

子供が大きくなってきたり、親御さんと住むことを考え出すと、戸建てやマンションを見に行きますよね。住宅展示場など行くと夢が膨らむものです。

住宅を購入する時は色々と想像を膨らませながら話を進めますが、その前に、どれ位借りられるのかという事が話の中で出てきます。急に現実に戻りますが、実際に今の年収であれば銀行はどれくらいまで貸してくれるのでしょうか?

今まで見た物件を買う事は出来るのか?返済の負担は大丈夫かな?とお金にまつわる心配事が出てきます。そこで今回は住宅ローンの返済比率に関して解説していきたいと思います。

おおよそ年収からこれくらいまでは借りられるといった目安になるかと思いますので、購入をお考えの方は是非ご一読下さい。

 

借入額の目安は年収にあり!年間返済負担率を知っておこう!

借入額の目安は年収にあり!年間返済負担率を知っておこう!

まず返済比率について解説したいのですが、簡単に言うと、年収の何割までだったら返済可能という指標の事を指します。また銀行が設定してある返済比率は規定上バラバラですが、おおよその比率について今回は解説しておきたいと思います。

そして借入額のモノサシを持つのであれば、今の年収が分かれば大体の額の目算は立ちますので、合わせて解説しますね。

 

平均的な返済負担割合は?

早速ですがこちらの表をご覧ください。

住宅支援機構の返済負担率基準
年収 400万円未満 400万円以上
基準 30%以下 35%以下
銀行住宅ローンの返済負担率基準
年収 100万円以上
300万円未満
300万円以上
450万円未満
450万円以上
600万円未満
600万円以上
基準 20%以下 30%以下 35%以下 40%以下

これは住宅金融支援機構と銀行の返済比率に関する表です。ご覧頂くと、年収に応じて1年間の返済比率の記載があります。例えばですが、銀行住宅ローンの右端の年収600万円以上の所を見ると、40%以下と書いてあります。

計算すると600万円×40%ですので、1年間に240万円以内の返済であれば融資出来ると判断される目安になります。つまり、12カ月で割ると1ヶ月当たり20万円の返済までであれば可能という判断です。

但し、返済出来る安心で安全な金額であるという事の証明にはなりませんので、あくまで、ここまでのライン以内の融資額になるという意味でお考え下さい。尚、私が提唱するのは年収の20%で見立てるべきだと思います。理由は一番最後に解説しますね。

 

金利別で計算してみました

ここでは返済可能額を元に、金利別の借り入れ上限額を試算してみました。こちらがその結果になります。試算の条件は借り入れ期間35年で金利は0.5%、0.9%、1.25%の3つに分かれています。そしてボーナス返済無しで金利が35年間変動しないものとして計算していますので、目安としてお使い下さい。

毎月返済可能額 適用金利
0.50% 0.90% 1.25%
60,000円 23,113,783円 21,609,996円 20,402,175円
70,000円 26,966,080円 25,211,662円 23,802,538円
80,000円 30,818,377円 28,813,328円 27,202,900円
90,000円 34,670,674円 32,414,994円 30,603,263円
100,000円 38,522,971円 36,016,660円 34,003,626円
110,000円 42,375,268円 39,618,327円 37,403,988円
120,000円 46,227,566円 43,219,993円 40,804,351円
130,000円 50,079,863円 46,821,659円 44,204,713円
140,000円 53,932,160円 50,423,325円 47,605,076円
150,000円 57,784,457円 54,024,991円 51,005,439円

この表は私がシミュレーションツールを用いて借入可能額からそれぞれの金利を入力し、借入可能額を算出した表になります。先程の返済負担率の表から、ご自身の年収より、おおよその返済比率が分かるかと思います。

例えば年収500万円の方であれば住宅金融支援機構、銀行共に返済比率は35%以下になりますので、年間175万円の基準になります。

これを12カ月で割ると1ヶ月145,833円になりますので、返済可能額14万円のラインを見て、借入したい金利を照らし合わせると、おおよその借り入れ上限額が算出できます。

物件の上限額が分かっても、実際に月145,000円が35年間返済できるかというと、結構しんどいでしょう。返って145,000円以内の90,000円だと今の家賃と変わらないのでしたら、90,000円の借り入れ上限で判断するのが良いでしょう。

 

返済比率はあくまで目安に過ぎない

返済比率はあくまで目安に過ぎない

先程の解説で、おおよそのモノサシは持てたと思いますが、この返済比率は残念ながら一つの目安にしか過ぎません。生活の中で、また人生の中で住宅にも、住宅以外にもお金は必要になってきますよね。

そのお金のことを計算に入れておかなければ、折角のマイホームも支払い不能に陥って手放さないといけなくなります。どんなお金がかかるのか実際に見てみましょう。

 

 

マンションの場合は修繕積立費や管理費がかかる

まずマンションの場合から見ていきましょう。住宅ローン以外にかかる費用として、マンションの修繕積立費や管理費が毎月発生します。この費用はどんなものなのか簡単に解説しておきます。

修繕積立費とは、マンション自体の診断や将来的な改修工事に使われる費用を、マンションの住人に少しずつ負担してもらい積み立てておく費用の事を言います。マンションの場合外壁の劣化等が考えられるため、塗装のやり替え等に使われる事が多いようです。

管理費とは、マンションには共用部分というスペースがあります。これは誰でも使える廊下部分やエレベーター、エントランス等の事を指し、例えばエレベーターの保守点検や共用部分の清掃、管理人さんがいれば管理人さんの人件費などに充てられます。

上記の2つはマンションに居住する方が負担しなければならない費用で、新築のマンションであれば修繕積立費は少なく済みますが、年数が経てば積立費用も徐々に高い金額になっていくようです。

そして別途年間に支払う固定資産税もありますので、購入前にどれ位負担しなければならないのかを把握しておく必要はあります。

 

戸建ての場合は?

では戸建てであればどうでしょう。戸建てはマンションと違って全てが自分の所有になりますので、修繕積立費や管理費は発生しません。固定資産税くらいでしょう。

しかし、戸建てはマンションと異なり、家屋全体が雨風に晒されており、傷む部分も広範囲に及びます。屋根やカーポート、外壁等は常に劣化しています。

将来的に塗装やカーポートの屋根などやり替えなければならない事も出てくるでしょう。また2階建て住宅等はトイレが2つあったりします。この時水回りの排水管などが悪くなる事もあったら、同時に2つ交換や修繕をしなければなりません。

この様に、住んでいればどこかしら悪くなってくる所も出てきますので、その分自分で別に積立をしておく事が良いと思います。

 

私の実家の話

私の実家は1993年に建てた新築戸建てでした。2世帯で済む為に、土地を拡張し大きな戸建てを建てました(建てたのは父ですが)。住み始めは快適で、広い家に住める解放感を実感できた事、庭で遊べた事を思い出します。

20年位経った頃でしょうか。洗面台の壁の内側から異音がしていました。最初は気のせいかなと思っていましたが、異音は続き、もしかして水漏れの音かなと思い調べて貰ったら、案の定排水管に亀裂が入っていて水が漏れていたようです。

また風呂の湯張り、追い炊き等するリモコンが壊れたり、トイレも交換したりと随分と修繕でお金が掛かっていたようです。またカーポートの屋根もアクリル素材でしたが、長年の太陽の熱でグニャグニャになっており、これも交換していました。

父は金額こそ子供の私には言いませんでしたが、貯蓄から出していたようです。私が見た記憶では戸建ても色んな所が傷んでくるんだなと実感しています。戸建てをお考えの方はしっかりと貯蓄しておきましょうね。

 

家以外にかかる費用も考慮しておくこと

家以外にかかる費用も考慮しておくこと

先程はマンション、戸建てにかかる費用について私の実家の話も添えて解説しましたが、戸建て以外にかかる費用も見越しておかなければなりません。どんな費用があるのかと言いますと、大きな費用として次に挙げる費用です。

  • 教育費
  • 耐久財購入費
  • 旅費・帰省費

この3つは少なくとも10万円以上する費用として見込んでおきますが、毎月かかるものでは教育費くらいでしょうか。お子様の人数や、進学先で金額は大きく異なります。また大学に進学した場合自宅から通うのか、県外へ出るのかでも仕送り等の費用負担は変わります。

次に耐久財購入費用ですが、耐久財とは車や家電製品など数年間毎に買い替えるもので、ご家庭によっては車を2台所有している場合もあります。

車検、重量税は年間でかかりますし、TVや洗濯機、エアコン等も7~10年スパンで買替が必要になってくるでしょう。そしてご自身の実家への帰省費用や家族旅行の為の旅費等も、毎年のイベントに入れているのなら1回当たり10万円以上はするのではないでしょうか。

この様に住宅ローンに目が行きがちですが、掘り下げてみると、色んな出費がある事が分かりますね。もちろんこの記事をご覧頂いている方を脅している訳でもありません。しかし私の仕事上この様な相談が数多く来ますので、必ずお伝えしている事をここにしたためている訳です。

 

将来お金の不安を解消するならライフプランを作成しよう

これは私が実際に行っている業務の一つでもありますが、ライフプランシミュレーションを作成する事で、先々のお金の流れやイベントの入力、老後必要資金額まで分かる優れものです。

今はハウジングメーカーさんと提携し、住宅を購入する方へ、購入前にライフプランシミュレーションサービスを行っていますが、住宅を購入する前に資金計画を立てる事や、希望借入額でシミュレーションしたり、子供の進学まで計算してみて家が買えるかどうかの判断まで行っています。

金銭的に難しい場合は何かを削ったり、物件価格を下げたりとアドバイスする事もできますので、まずはやってみる事をおすすめします。FPなら誰でも出来る訳ではなく、実際にライフプランをやったことがある経験豊かなFPさんに相談するのが一番です。

 

 

夫婦合算での購入の場合、返済比率はどうしたらいいの?

夫婦合算での購入の場合、返済比率はどうしたらいいの?

最後に夫婦合算で住宅を購入する場合について解説しておきます。夫婦合算の場合でも上記に示した額で見立てを立てますが、今回の解説で使用した目安は銀行等が用いる目安です。

私個人的な意見で言うと、年収の20%で見立てを立てるのがベストだと考えています。理由は、上記の目安や、銀行などに言われたままの金額であれば、思い込んでしまうからです。

先程の事例で年収500万円の方が月145,000円までなら大丈夫ですと言われたら、中には「結構イケるな!」と思う事も有るでしょう。良い家に住みたいという気持ちは分かりますが、支払いが滞るような事があれば大切な家に住めなくなります。

私の性格なのかもしれませんが、堅実に維持できる範囲で回答するなら夫婦合算であれ、単独であれ、年収の20%が維持できるラインだと経験上そう思います。

 

住宅ローンの返済比率に関するまとめ

今回は返済比率に関する話でした。関連するその他の支払いについても実話を交え解説しました。

銀行やネットの情報では年収の35%だと書いてあることもありますが、現実と照らし合わせると私は20%が最善だと思います。もちろん買う方の考え方が優先されますが、しっかりと維持できる範囲で購入しましょう。

 

複数の金融機関の比較検討で、数百万円単位での節約の可能性も!

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人生最大の買い物だからこそ、しっかりと比較検討しましょう。

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