- 借入可能額を知るコツは返済可能額から試算する事。
- 年収からの判断は少々危険。
- 具体的な返済計画を元に借入をする事が重要。
公開日:2020年2月23日
住宅購入をする際にお世話になるのが「住宅ローン」ですが、お気に入りの物件探しが終わると、本格的に話が進み購入へと移行します。「間取りも良く、立地も最高!日当たりも良いし、住環境や教育環境も良いね!」と気持ちは昂りますよね。
その際に物件価格はいかに!?という事ですが、そもそも物件の販売価格を融資してくれるのだろうか?という壁に当たる事も少なくありません。
そこで今回は年収でわかる融資金額の上限について解説したいと思います。モデルハウスやマンションギャラリー等見学に行く前に、おおよその借入可能額を知っておく事で物件を絞る事もできるかと思いますので、参考になればと思います。
まず知っておいて頂きたい事は、借入を行う際に金融機関によって審査条件や貸付規定が異なるという事です。よくサイト等で年収の何割が借入可能の上限とか見かける事もありますが、あくまでざっくりとした回答です。
正式な本審査を受ける際に初めて他社の借入や勤続年数、具体的な年収等が審査にかけられる事になりますので、年収の何割説という事に関しては目安程度に思っておいて頂ければと思います。最近の融資状況ではおおよそ年収の約7割が融資金額の上限になっている金融機関が多い様ですね。
各金融機関ではネット上で簡単に年収から借り入れ上限を試算できるシミュレーションツールが備わっています。これは非常に便利で有難いですよね。自分が借りたい金融機関でいくらまで借りられるのか、おおよその金額が直ぐに分かります。
しかも金融機関が作成しているサイトですので、各金融機関独自の貸付規定が反映されていると思いますので、一つの目安として考える分には良いと思います。しかし、私が言いたいのは便利さの裏にある事なんです。
シミュレーションツールでざっくりとした借入可能額が分かったとします。ではこの金額でローンを組めるのか?返済は出来るのか?と言うと同義ではないという事です。借入可能額はあくまでも年収からの判断だけであり、細かい生活費や家族構成等は全く反映されていませんよね。
極端な例を挙げれば子供が10人いるご家庭のご主人が年収700万円だったとします。7割で単純計算しても4,900万円は借入可能の上限と試算されます。ですが、返済は出来ますか?という事です。
シミュレーションツールを使った場合は細かなヒアリングが無いので、つい「これ位借りられるんだ!」と思い込んでしまう事もあります。出来れば購入前に、ライフプランシミュレーションで資金計画を立てておく事の方が無難なシミュレーションだと私は思います。
借入可能額とは対照的に、返済負担率という言葉があります。これも年収を目安にしているものではありますが、銀行かフラット35取扱いの住宅金融支援機構なのかで基準が異なります。ざっくりではありますが、私が調べた限りの返済負担率の一覧がこちらです。
住宅金融支援機構の返済負担率基準 | 銀行住宅ローンの返済負担率基準 | |||||
---|---|---|---|---|---|---|
年収 | 400万円未満 | 400万円以上 | 100万円以上300万円未満 | 300万円以上450万円未満 | 450万円以上600万円未満 | 600万円以上 |
基準 | 30%以下 | 35%以下 | 20%以下 | 30%以下 | 35%以下 | 40%以下 |
住宅ローンを組んだ際に年間どれ位の金額までであれば返済可能なのかという目安になります。
例えば先程の年収700万円の方の場合、上記で当てはめると支援機構であれば年間245万円以下の返済となります。1ヶ月当たりの返済額は204,166円です。銀行であれば年間280万円、1ヶ月当たり233,333円に相当します。さすがに1ヶ月の返済金額にしては高額すぎますね。
しかし融資する側としては、この負担率を目安に「基準内に収まっているのか?」という事を判断します。基準内に収まっているのであれば、考えるべきは「返済出来るのか?」という事ですね。
ここからの解説は、各金融機関がサイトに掲示しているシミュレーションツールを利用し、年収別に借入金額の限度額を比較した表を作成してみましたので、ご覧頂ければと思います。
試算の条件として、話を分かりやすくする為、サラリーマンで給与所得である事を前提にしています。また年収は最低400万円から最高900万円まで100万円刻みで最長35年ローンとし、各金融機関の代表的な金利を用いて試算します。
また地方銀行など入れるとキリが無いので、誰でも共通で利用できる金融機関に絞って作成しました。また試算は2020年2月15日以降に行っていますので、予めご了承下さい(先々変更の可能性もあります)。
では早速調べた結果がこちらになります。
金融機関名/年収 | 400万円 | 500万円 | 600万円 | 700万円 | 800万円 | 900万円 |
---|---|---|---|---|---|---|
住宅金融支援機構 | 3,786万円 | 4,732万円 | 5,679万円 | 6,625万円 | 7,572万円 | 8,000万円 |
楽天銀行 | 3,194万円 | 4,659万円 | 5,591万円 | 6,523万円 | 7,454万円 | 8,386万円 |
auじぶん銀行 | 3,100万円 | 3,880万円 | 4,650万円 | 5,430万円 | 6,200万円 | 6,980万円 |
三菱UFJ銀行 | 3,410万円 | 4,260万円 | 5,120万円 | 5,970万円 | 6,820万円 | 7,680万円 |
新生銀行 | 3,000万円 | 3,750万円 | 4,500万円 | 5,250万円 | 6,000万円 | 6,750万円 |
イオン銀行 | 3,230万円 | 4,030万円 | 4,840万円 | 5,650万円 | 6,450万円 | 7,260万円 |
上記は各サイトのシミュレーションツールを用いた検証結果です。今回の結果はあくまでざっくりとした内容ですので、最終的には本審査を受けてからの結果によりますが、年収に関わらず住宅金融支援機構は高額な借入可能額を提示した事が分かりました。
他銀行は横一線といったところですが、中でも楽天銀行が高い借り入れ可能額を算出しているようです。
では次に返済可能額からの試算結果で表を作成してみました。というのも、サイトによっては毎月どれ位返済可能ですか?と入力する画面が有り、どちらかと言えば現実味が高いのではないのかと思い、補足説明の一環で作成しましたので、良ければ参考にされて下さい。
尚、返済可能金額は月70,000円から10,000円刻みで最高12万円までの6段階で作成しています。
金融機関名/月間返済可能額 | 70,000円 | 80,000円 | 90,000円 | 100,000円 | 110,000円 | 120,000円 |
---|---|---|---|---|---|---|
住信SBIネット銀行 | 2,716万円 | 3,104万円 | 3,492万円 | 3,880万円 | 4,268万円 | 4,656万円 |
ジャパンネット銀行 | 2,740万円 | 3,130万円 | 3,520万円 | 3,910万円 | 4,310万円 | 4,700万円 |
三井住友銀行 | 2,696万円 | 3,081万円 | 3,467万円 | 3,852万円 | 4,237万円 | 4,622万円 |
みずほ銀行 | 2,702万円 | 3,080万円 | 3,457万円 | 3,834万円 | 4,211万円 | 4,588万円 |
上記の様に、毎月の返済額から試算するとより現実的な借入可能額の上限が見えてくると思います。おおよそどの銀行も大きな差がありません。
また今回の試算は全て最安の変動金利でシミュレーションしていますので、もし金利が少しでも高い商品となると、上記一覧表から変動する可能性がありますのでお気をつけ下さい。
今回のテーマは年収から判断できる目安という事で解説する様にしていましたが、年収からだとざっくりとした金額にしかなりません。
私個人的な意見で言えば、毎月の返済可能額から借り入れ可能な金額を算出する事の方が、より現実的だと思います。何故なら、お子さんの教育資金や家計のやりくりなど、把握している方が一番体感で分っているからです。
住宅ほど高額なものはありませんが、万が一支払いが出来ない、支払いに苦しむような事があると、お金の工面の事ばかり考えてしまいます。苦労する為に家を買う訳ではなく、家族が笑顔になる為の家だと思いますので、余裕を持てる資金計画を立てる様にしましょう。
今回は様々な銀行の比較表を用いて借入可能額の上限を解説しましたが、借りられる金額と返済出来る金額は同じ意味ではありません。くれぐれも気持ちが大きくなり過ぎない様にしましょう。
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