公開日:2019年10月13日
年末調整の際、住宅ローン控除を適用できると還付額がとても多くなるイメージがあります。ではそもそも住宅ローン控除とはどのような控除のことを言うのでしょうか?
住宅ローン控除とは住宅借入金等特別控除ともいい、適用要件はありますが住宅ローンによってマイホームを取得した場合、その住宅ローンの借入金の残高によって所得税から控除できるというものです。
では年末調整で住宅ローンを控除する方法と適用要件とは何なのでしょうか?今回の記事では住宅ローン控除を申請する方法と必要書類の種類、書類の書き方について解説していきます。
少し先述しましたが、住宅ローン控除とはそもそも何なのでしょうか?ここでは住宅ローン控除の概要と適用要件もあわせて紹介していきます。
住宅ローン控除とは、個人が住宅ローン等を利用して自宅の新築や取得又は増改築などをした場合に様々な要件はありますが、その要件を満たすと、住宅ローン等の年末残高の合計額を基準にして計算した金額を、一般的に10年間にわたって納めた所得税から差し引くことができるというものです。
なお各種の要件については下記のとおりとなります。
住宅ローン控除には、居住についての要件があります。要件として、自宅の新築や自宅の取得の日から起算して6ヶ月以内に住み始めて、その後住宅ローン控除を受ける年の年末まで住み続けていることが要件とされています。
つまり新築や住居を取得して、そのまま放置しているだけでは要件を満たさないということになります。
住宅ローン控除には、年収について要件があります。基準としては3,000万円になりますが、年収3,000万円ではなく合計所得が3,000万円以下であることが適用要件になります。
なお年収と所得の違いについてですが、年収が収入の額面金額であるのに対して、所得とは収入から各種の所得控除を差し引いた金額のことをいいます。
そのため、例えば年収が3,000万円であれば各種の控除を差し引けば合計所得が3,000万円以下になるため、適用要件を満たす形となります。
住宅ローン控除には、床面積についての要件があります。要件として自宅の新築や自宅の取得をした建物の床面積が50㎡以上で、床面積の50%以上を居住用として使用していることとなっています。
床面積の判断基準などの詳細につきましては国税庁HPなども参考にしていただければと思いますが、このように床面積についても要件がある点には注意が必要です。
住宅ローン控除の借入金についても要件があります。10年以上にわたって分割して返済する予定になっている、新築や取得のための一定の借入金で、住宅とともに土地を取得するための借入金も含みます。
こちらについても詳細は国税庁HPを参照いただければと思いますが、借入金の要件としては金融機関からの借入などが要件となっております。
その他の要件として、居住した日の年の前後の2年ずつの5年間に、居住用財産の譲渡した場合の特例を受けていないことなどが要件となっています。例えば今まで居住していた物件を譲渡して、新築する場合などはこの要件を満たさない可能性もあるため特に注意が必要です。
住宅ローン控除は通常の所得控除とは異なり税額控除という種類のものになります。所得控除とは収入から差し引ける金額のことで、収入から所得控除を差し引いたものが所得というイメージです。そして所得をもとに税額の%を掛けて所得税を計算する流れになります。
一方、税額控除とはその名のとおり税額から控除できます。つまり税金から直接差し引くことができる控除になるため、納めた税金の額が大きければその分、減税額も大きい可能性が高いです。
先述したように住宅ローン控除は減税効果が大きいものではありますが、適用するためにはどのようにすればいいのでしょうか?ここでは住宅ローン控除の申請方法について紹介します。
2年目からは年末調整で処理が可能となりますが、初年度だけは確定申告をしておかなければなりません。初年度の確定申告については、内容が煩雑になるため専門家への依頼も選択肢の1つとなります。
確定申告の際の注意点として、建物の総床面積のうち居住割合が50%以上ないと住宅ローン控除が受けられないという点については見落としやすいので注意が必要です。税理士などの専門家へ依頼する際も確認されるかと思いますので要件を満たしておかなければいけません。
せっかく念願のマイホームを購入しても、住宅ローン控除が受けられなくては喜びも半減となってしまうため購入の前によく検討していただくことが大事です。
初年度の確定申告後の注意点として、確定申告をした年に2年目以降の年末調整に使用する住宅ローン控除に関する書類が複数年分まとめて送られてくることになります。書類の保管場所を決めておかないと紛失してしまう可能性もあります。
再交付も可能ですが、紛失しないことが一番なので送られてきた際は大事に保管しておくことが重要です。
住宅ローン控除は確定申告後、2年目以降は年末調整で控除が可能です。そのため年末調整時に提出している給与所得者の扶養控除等申告書や保険料控除申告書などと一緒に必要な書類を準備します。
住宅ローン控除を年末調整で処理するためには、通常の年末調整の書類の他にも書類を提出しなければいけません。ここでは2種類の提出書類について紹介します。
今回のケースでは、新築で自宅と土地を夫婦折半で購入した場合について考えていきます。
まずは、まとめて送られてきている給与所得者の住宅ローン控除申告書(給与所得者の住宅借入金等特別控除申告書)の中から該当年度の書類を使って記入していきます。使わなかった書類は翌年度以降に使用するため、保管場所などを決めて大事に保管しておくことをおすすめします。
書類の左側から書き方について紹介します。
次に計算の記入欄(前半)について紹介します。
左側の記入欄が新築や購入に関する計算となるため、今回のケースでは左側の記入欄について紹介します。
計算の記入欄(後半)について紹介します。
その他の記入欄について紹介します。
住宅ローンを組んでいる金融機関等からは、毎年年末残高が記入されている住宅取得資金に係る借入金の年末残高等証明書が送られてきます。住宅ローン控除では住宅ローンの年末残高を基準として、所得税の控除金額を計算するため大変重要な書類となります。
一般的に10月頃から届き始めるので到着したら、税務署から送られてくる給与所得者の住宅借入金等特別控除申告書と一緒に保管しておくのも1つの方法です。
先述したように金融機関の残高証明書は10月頃送られてくるのですが、通常通り返済した場合の予定の残高となります。そのため10月以降に繰り上げ返済などをすると当然、年末の予定残高も変わってきてしまいます。
繰り上げ返済などをした場合は、早めに金融機関に問い合わせをして書類の再発行の手続きを取ることをおすすめします。
今回の記事では年末調整による住宅ローン控除について、申請方法や書類の書き方について紹介しました。1年目に確定申告を自分で行った人は、年末調整での住宅ローン控除申請は楽に思えるかもしれません。
しかし1年目の確定申告を専門家に依頼した人にとっては、年末調整での住宅ローン控除申請は書類の種類も増えるため手間がかかるものです。確かに手間はかかるかもしれませんが、書類の管理さえ徹底することができれば必要以上に構える必要はありません。
この記事が少しでもお役に立てれば幸いです。最後までお読みいただきありがとうございました。
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