- ネット証券のメリットは「手数料の安さ」と「ツール・情報の豊富さ」。
- ネット証券のデメリットは「人によるサポートの薄さ」と「IPOの弱さ」。
- ネット証券の選び方は「サービス」や「取扱商品」がポイント。
- おすすめのネット証券は「SBI証券」「楽天証券」「マネックス証券」。
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最近は株式投資のスタンダードにもなってきたネット証券会社。一般的になってきたとはいえ、「株初心者にはどれを選んだらいいのか迷う」という人も多いはずです。
今回はネット証券のメリット・デメリットを解説しつつ、ネット証券との付き合い方、使い方についてご説明して行きたいと思います。
最近、コロナショックの影響で株価全体が下落したことを受けて、株式投資を始めてみようという方が増えているそうです。
現在は、インターネットでの株式投資が主流になっており、中にはスマートフォンでの株式取引をしているという方も珍しくありません。私が株式投資を始めた20年以上前は、証券会社に直接電話をして注文するのが普通でしたから、時代の移り変わりを感じます。
しかし、インターネットを利用したパソコン・スマートフォンでの取引は便利だということは間違いありません。
特にインターネットを通じた株取引をメインにしているネット証券は、現在では珍しい存在ではなく、ネット証券が提供している、パソコン上で使える取引や解析のツールは無料で使えるものも多く大変便利です。
では、ネット証券は株初心者に向いているのでしょうか?その前にまずは、ネット証券とは何かというお話からしていきたいと思います。
ネット証券とは、インターネット上でのオンライントレードをメインにしているため、実店舗を持たない、もしくは実店舗を持っていてもかなり少ない店舗で運営している証券会社のことです。
店舗が少ないということは、店舗にかかる費用(実店舗の不動産や、その不動産の維持にかかる光熱費や人件費)が低コストで抑えられるため、結果的に顧客が払う手数料が少ないのです。
現在はインターネットがかなり普及しているので、ネット証券ではない普通の一般的な証券会社でもインターネットでのオンライントレードをすることができますが、上記の理由から、総じてネット証券よりは手数料がかかる場合が多いです。
では、ネット証券と一般的な証券会社の違いはコストだけでしょうか。次はネット証券のメリット・デメリットを一般的な証券会社との比較で見ていきましょう。
まず、ネット証券のメリットとして、次のような事が挙げられます。
1つずつ見ていきましょう。
まず、1つ目の「株取引の手数料が安い」という点ですが、先程説明した通り、ネット証券は実店舗が少ないので、一般的な証券会社と比べて実店舗にかかる費用が少なく、その分顧客に手数料を安くしています。
また、株取引の注文もインターネットでする訳ですから、証券会社に電話で注文するより、人件費や通信費の点でコストがかからないということは簡単に想像できます。
次に2つ目の「投資の為のツール等が豊富」という点ですが、これは株初心者の方はピンとこないかもしれません。
ネット証券はインターネットに接続していることが前提ですから、必然的にインターネットやパソコン等が使える環境ということになります。これが、投資のためのツールとすごく相性が良いのです。
投資のためのツールとは何かというと、株取引を始めると、その会社の営業成績や資産状況が株価と照らし合わせてどうなのかを分析することや、株価の上がり下がりを表すチャート等が統計的にどうかということを分析する必要が出てきます。
そんな時に、その分析を助けるツールというものが存在しており、証券会社によってはツールを売りの一つにしている所もあります。また、証券会社によっては、株初心者に向けて、株取引の知識を向上させるための動画や著名人によるセミナーの動画等を配信している所もあります。
こういったものはネット証券じゃないと絶対に無いという訳ではありませんが、ツールや動画はインターネットやパソコン・スマートフォンと相性がいいので、ネット証券の方が豊富にあることが多いです。
最後に3つ目の「証券会社からの営業がほとんどない」という点ですが、ネット証券は良かれ悪かれ人との接触があまりありません。一般的な証券会社は、金融商品の購入等を勧める営業の電話がかかってきたりするのですが、ネット証券ではまずないでしょう。
個人的なお話をさせてもらえば、私は複数のネット証券の口座を長年に渡って所有していますが、今まで一回も営業や勧誘の電話がかかってきたことはありません。
あくまで個人的な話ですので、絶対に無いとは言い切れないですが、おそらくそういった営業の電話等がかかってくる確率は少ないでしょう。証券会社とのやりとりが煩わしい方にはメリットと言えるのではないでしょうか。
以上がネット証券の特徴的なメリットと言えるでしょう。ではネット証券にはデメリットは無いのでしょうか?次はネット証券のデメリットについて見ていきましょう。
ネット証券のデメリットとしては、以下のようなことが挙げられます。
まず、1つ目の「人によるサポートが受けづらい」ですが、基本的にネット上で完結するネット証券では、証券会社によるサポートはあまり受けられません。
まったく受けられないという訳ではないのですが、基本的には、パソコン上の取引画面の操作を電話で聞くというようなことがメインです。どういう風に投資したら良いかを相談するとかはあまりできません。
これに対してネット証券以外の証券会社では、担当の人間がつくということがあったり、おすすめの金融商品があれば勧めてきたりと人間の手によるサポートは、ネット証券に比べて手厚いです。
ただ、これは一長一短で、同時に営業や勧誘の機会になりますので、このようなことが煩わしい人は避けるべきでしょう。
2つ目の「IPOに弱い」という点があります。IPOという言葉を聞きなれない方もいらっしゃるかと思いますが、新規上場株式のことです。
もう少し具体的に話すと、ある会社が業績を上げ、自社の株を上場し一般の方が取引できるようになったとき、通常はすぐに買えません。
証券会社ごとに抽選をしたり、特定の投資家に買ってもらったりするのですが、こういった時にネット証券よりは、既存の一般的な証券会社の方が強いとされています。
もっと簡単に言ってしまえば、新しい会社の株が取引できるようになった時に、その新しい株を買う権利をもらうにはネット証券より一般の証券会社の方が良いということです。
ただし、ここで注意しなければならないのは、一般的に言ってIPO、新規上場の株は儲かるとされていますが、「必ずしも」そうではないという点です。新しい株もきちんとした分析と見極めが必要なのです。
そういった意味では、株式投資を始めたばかりの方はIPOに手を出さなくても良いのかも知れません。
3つ目の「PCやネットに影響を受ける」という点ですが、ネット証券は基本的にインターネットを使いますから、インターネットやパソコンを使えるということが前提となります。
パソコンもインターネットも良くわからないというのでは、株取引はおぼつきません。とはいえ、それほど難しいものではないので、きちんと操作方法を理解すれば問題はないと思います。
ただ、パスワードの管理等、インターネット上のセキュリティには注意を払わなければなりませんし、サーバーのトラブル等、ネット証券側のトラブル等によって株取引に影響がある場合もあります。
株そのものの知識だけでなく、ネット証券の特性をきちんと理解した上でネット証券を利用するのが大事です。
上記のネット証券のメリット・デメリットを理解した上であれば、株を始めたばかりの方であってもネット証券はおすすめです。
では、どのネット証券を選べば良いのでしょうか。ここではネット証券の選び方、そして、その後の口座開設から投資までを順を追ってご説明したいと思います。
ネット証券を選ぶポイントで一番大事なのは商品やサービスが自分の希望と合っているかです。
実はネット証券の手数料に関してはかなり下がってきているので、どこもあまり変わりません。またネット証券の内の一社が手数料を安くすると、他も手数料を下げることが多いので、特に少額の取引から始める方の手数料はそれ程変わらないという現実があります。
ですので、そのネット証券が提供している商品やサービスが自分の行いたい投資と合っているかどうかを見ることが必要です。
例えば、日本ではなく外国の株を購入したいのであれば、諸外国の株の商品が少ない所で口座を開いても意味がありません。きちんと情報を調べて投資をしたいというのであれば、情報の提供や分析の為のツールが多い所が良いでしょう。
分析ツール:証券会社が株価を分析するために提供しているツール。複数の指標や統計的なデータ等を自動で計算して、利用者を手助けする。ツールによっては有料であったり、無料であったりする。また、ツールから直接株を購入することができるものも多く、スピーディで簡単な取引を促す。
とはいえ、始めたばかりの方であれば、どう選んだら良いかよくわからないという人もいらっしゃると思いますので、後ほどおすすめをご案内したいと思います。
無事にネット証券を選ぶことができれば、後は手続きだけですので簡単ですが、念のため、どのネット証券でも共通の大まかな始め方をご説明しましょう。
まず口座を開設することが必要です。銀行であれば預金通帳はすぐに渡されないものの、来店当日から口座を開くことができますが、証券会社ではそういう訳にはいきません。個人の身元を確認する為の身分証明書のコピー等を送り、確認してもらうことが必要となります。
最近はこの手続きを簡略化してスムーズになっていますが、2週間は見ておいた方が良いでしょう。また、身分証明書を取るために市役所等に行く必要があれば、さらにその分時間がかかります。書類に不備があれば訂正にさらに時間がかかりますので、きちんと正確な手続きが必要になります。
口座開設されれば、最後にその口座に入金して終了です。
ここまでネット証券に関するさまざまな項目についての説明をしてきました。最後に、中でもおすすめの人気証券会社について比較しながらご案内したいと思います。
まず、最初に最大手であるSBI証券についてご案内したいと思います。名前からもわかる通り、SBIホールディングス株式会社の100%出資子会社、つまりソフトバンクグループの証券会社ということになります。
最大手だけあって、手数料もほぼ最安値クラスですがサービスも豊富です。またネット証券であるにも関わらずIPOに強く、IPOの数はトップクラスです。
また、PTSにも対応しているので、通常の株取引は東京証券取引所では9:00 ~11:30と12:30 ~ 15:00の間しか取引できませんが、8:20~23:59の取引が可能です。
PTS:証券取引所を利用せずに株式等の売買を行う「私設取引システム」のことを指す。証券取引所を利用しないために、証券取引所の営業時間外でも売買が可能になっている。
株取引だけではなく、投資信託数はネット証券でトップであり、それ以外の金融商品も豊富です。
次にご案内するのが楽天証券です。こちらはあのIT会社の楽天の関連会社である証券会社です。楽天と言えば楽天市場で有名ですが、楽天市場等で使えるポイントを取引でもらえたり、逆に楽天証券でポイントを使ったりできます。楽天関連のサービスを多く利用されている方におすすめです。
楽天ポイントが使えるだけではなく、取り扱っている投資信託等の金融商品の品揃えもトップクラスで、投資信託の数は2600本を超え(2020年3/31現在)。前述のSBI証券にも見劣りしません。
楽天銀行等とも連携しているので、既に楽天関連のサービスを利用されているなら検討の価値があるでしょう。
最後にご紹介するのが、マネックス証券です。外国の株への投資に強いのが特徴です。そもそもネット証券は外国の株投資に強いのですが、中でも外国の株への投資に最も強いのがマネックス証券と言っても良いでしょう。
取扱いのある外国の株は3500銘柄以上(2020年3/31現在)と、外国の株の種類の多いSBI証券や楽天証券を大幅に上回ります(SBI証券は約3300銘柄、楽天証券は約2600銘柄)。
マネックス証券であれば、AmazonやApple等の有名外国の株はもちろん、他の証券会社では購入できない外国の株に投資することも可能です。さらに、マネックス証券もこれだけのサービスを提供しているのにも関わらず、手数料がトップクラスの最安値で利用できます。
最近は、ネット証券もスマートフォンの発展によりさらに増えています。そして、そのネット証券ごとのいろいろなサービスも増えていますので、株初心者は手数料だけでなく自分に合ったサービスを提供する所を選ぶことが大事です。
また、証券会社に入金をする際には銀行を使うことがメインになりますが、その手間や振込手数料は馬鹿になりません。自分が利用している銀行が提携している所があれば、そこを選ぶのも良いでしょう。