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教育ローンと奨学金を借りる前に知っておきたい考え方とは?金利や損得以前に押さえるべきポイントを紹介

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佐藤 元宣

佐藤 元宣

佐藤元宣FP事務所代表、日本FP協会CFP(R)認定者、1級ファイナンシャルプランニング技能士。 税理士や社会保険労務士といった士業事務所経験と保険代理店を行った経験などを活かし、生活する上で避けて通れない「お金」の相談に幅広く応じている独立系FP。家計の収支状況と専門性を融合したプランニングを提供しています。

この記事のポイント

  • 教育ローンと奨学金の違いを表にまとめて紹介しています
  • 教育ローンについて、保護者が考えるべきことを紹介しています
  • 教育ローンや奨学金のシミュレーションをした参考例を紹介しています

教育ローンや奨学金は、高校や大学などの進学費用やその他に付随するお金を借入する、いわば借金のことを言います。

教育ローンや奨学金は、いずれも借金であるため、これらのお金を借りた方は、必ず返済義務を負うことになるのですが、少なくとも、教育ローンや奨学金といった借金を抱える前にあらかじめ知っておくべきことがあるのは確かです。

そこで本記事では、教育ローンと奨学金の違いをはじめ、これらを借りる前に知っておきたいお金の考え方や、金利や損得以前に押さえるべきポイントを幅広く紹介していきます。

教育ローンと奨学金の違いとは

はじめに、本記事を読み進めていただく上で大切なこととして、教育ローンと奨学金の大まかな違いについて、以下、政府広報オンラインの公開情報を参考に紹介していきます。

借入の種類 教育ローン 奨学金
借入する人 保護者 学生本人
借入の申し込み いつでもすることが可能 決められた募集時期
資金の受け取り方 借入する金融機関によって異なりますが、一括でも分割でも可能 毎月定額
借入限度額 借入する金融機関によって、それぞれ異なる 借入する奨学金の種類によって異なる
返済の開始時期 借入した後、基本的に毎月の返済が始まることになりますが、元金返済の据え置きも可能 学校を卒業してから6ヶ月経過した後に開始
注意点 借入することができる安定した収入や職に就いていることをはじめ、信用状態に問題がないことが必須 学力などによって、借入の可否が決定されることになるため、必ずしも希望に沿った借入ができるとは限らない

教育ローンは、保護者がお金を借入する人にあたり、奨学金は、学生本人がお金を借入する人にあたります。

また、いずれの場合であったとしても、お金を必ず借入できるものではなく、それぞれ所定の融資要件を満たしていることが必要であることも併せて押さえておかなければならないポイントであると言えるでしょう。

これらを踏まえまして、次項からは、教育ローンを借入する保護者が考えておくべきことについて個別にポイントを紹介していきます。

 

教育ローンを借入する保護者が考えておくべきこと

教育ローンを借入する保護者が考えておくべきこととしては、主に教育ローンを借入できる状態を作り出しておくこと、家計に無理のない範囲内の借入をすることの2つが考えられます。

 

教育ローンを借入できる状態を作り出しておくとは

教育ローンは、金融機関に対して申し込みを行うことで融資が実行されることになりますが、どの金融機関におきましても、教育ローンを融資するための審査が行われることになります。

そのため、教育資金が足りないために教育ローンの申し込みを行ったとしても、教育ローンを借入することができない場合は、まとまった教育資金を捻出するのがとても難しくなります。

このようなことを避けるためにも、教育ローンを借入する保護者としては、教育ローンの審査に通過することができるような状態を作り出しておかなければならず、具体的には、以下のような条件を満たしていることがあげられます。

  • 正社員や正職員で安定した収入があること(事業者は、黒字決算であること)
  • 勤続年数が2年以上など、一定の勤続年数があること
  • 個人信用情報に問題がないこと
  • 教育ローンの返済が、収入や所得に対して著しく問題がないこと

上記の4つの項目は、教育ローンの借入をするためにすべて満たしていることがまずもって必要であり、これらの項目に対して何かしらの問題がある場合は、教育ローンの借入が難しく、あらかじめ教育ローンを借入するための対策が必要になってきます。

 

家計に無理のない範囲内の借入をするとは

教育ローンの審査に無事通過し融資が受けられた場合、保護者は当然に教育ローンを返済していく義務を負うことになりますが、この時、毎月の返済に余裕を持った借入を行い、かつ、家計に無理のない範囲内での返済金額に留めておく必要性があります。

中には、毎月の返済が大変であることから、元金返済を据え置いて、利息のみを支払う方も多くおられますが、これは教育ローンの返済を繰り延べしているのに過ぎず、トータルで支払うお金は大きく増加することになります。

この結果、教育ローンを融資する側の金融機関からすれば利息という名の利益が多く得られることにつながるため御の字である一方、教育ローンを借入する保護者側としては、負担するお金が多くなってしまうデメリットがあります。

このようなことから、まとまった教育資金が必要となる時まで、時間をかけて計画的に教育資金準備をしておくことが重要と言えます。

 

教育ローンと奨学金の併用を上手に活用する

教育ローンは、借入する人が保護者であり、奨学金は、借入する人が学生本人であることはすでに紹介した通りですが、教育資金が足りない場合は、教育ローンと奨学金をどちらも活用して併用する方法も効果的です。

特に、奨学金は、借入したお金を返済するのが、大学等を卒業してからとなりますので、単純に4年制大学へ進学するために奨学金を活用した場合、その返済は、4年以上経過した後になります。

つまり、お金を返済するための4年間の時間的余裕が得られると考えることができるため、あらかじめ教育ローンや奨学金を無理なく返済できるプランを立てておくことで、窮屈な借金返済に負われるリスクは相当低くなります。

 

教育ローンや奨学金を借りる前は、返済シミュレーションが必須

教育ローンや奨学金を借入する場合は、親子での話し合いはもちろん、いずれの場合も返済シミュレーションを行って、おおむね、どの程度のお金を返済していくことになるのか確認しておくことがとても大切です。

以下、参考となりますが、仮に、国の教育ローンである日本政策金融公庫と日本学生支援機構が貸付を行う奨学金をいずれも借入した場合における返済シミュレーション結果を紹介しておきます。

なお、シミュレーションにあたり、教育ローンおよび奨学金は、いずれも350万円(合計700万円)の融資を受けるものとし、返済期間は最長期間であるものとします。

 

借入の種類 教育ローン

(日本政策金融公庫)

奨学金

(日本学生支援機構)

借入する人 保護者 学生本人
借入金額 350万円 350万円
金利 年1.76% 年0.33%
返済期間 15年 20年
毎月の返済金額 22,138円 15,071円
完済までの総返済金額 約398.5万円 約361.7万円
完済までの支払利息 約48.5万円 約11.7万円

※平成30年10月現在の適用金利を下に筆者計算・作成

上記表は、借入する年度やボーナス返済の有無、連帯保証人が保護者なのか、別の機関なのか、などによって返済する金額が異なるため、あくまでも目安程度に留めておくようにして下さい。

 

まとめ

教育ローンや奨学金といった借金を抱えることは簡単ですが、その借りたお金を最後まで完済するための計画を立てておくことはとても大切です。

実際のところ、教育ローンや奨学金を返済することが出来なくなってしまう多くの方に共通していることは、あらかじめ返済計画を立てておかないことによる失敗や安易な考えによる借り過ぎに尽きると思われます。

また、教育ローンや奨学金を比較して、金利やどちらが得なのかといった情報も多く出回っているようですが、そのようなことを考える以前に、自分達の懐具合をしっかりと再確認しておき、「お金の流れ=キャッシュフロー」と、どのくらいの借り入れに耐えられる家計状況なのかを知るのが、まずもって押さえておかなければならないことなのです。