公開日:2019年5月15日
昨今、大手損害保険会社では、ドライブレコーダーを利用したサービスを展開しており、これによって安心をサポートする動きがみられるようになりました。
しかしながら、実際のサービス内容を確認しますと、筆者も含め、はたして本当に必要なサービスなのか、疑問を持つ方も多くおられると思います。
そこで本記事では、ドライブレコーダーを利用したサービスは本当に必要なものなのか、優良ドライバー目線で考えてみます。
目次
自動車保険のドライブレコーダーを利用したサービスとは、一般に、ドライブレコーダーを利用したサービスを提供している保険会社が指定しているドライブレコーダーを保険契約している自動車へ設置することによって、高度な事故対応をはじめ、事故防止支援や安全運転診断といったサービスを提供するものになります。
高度な事故対応とは、ドライブレコーダーが自動車から強い衝撃を検知した場合、自動的に事故連絡と事故映像を同時に保険会社(事故受付センター)へ連絡する仕組みになっています。
これによって、ドライブレコーダーを通じて早急な事故対応が可能となっており、事故状況に応じて、消防などに連絡してもらえる流れも確立されています。なお、保険会社間による特別に大きな違いは見られません。
事故防止支援とは、ドライブレコーダーが、現在走行している場所や天候、時間帯などから危険地点の接近についての注意喚起をリアルタイムに行うほか、仮に、片寄り走行や前方車両の接近があった場合などは、警告する仕組みとなっています。
これらの支援によって、自動車事故を事前に防止する働きがあります。
安全運転診断とは、ドライブレコーダーがドライバーの運転特性を基に安全運転診断を行うもので、これによって、自分の運転が客観的にどうなのか、自分の運転技術はどうなのか、自分の運転の変化や特徴はどうなのかなどが知れる仕組みになっています。
安全運転診断を提供する方法は、ドライブレコーダーのサービスを提供している保険会社によってそれぞれ違いがあるため、WEBサイトなどで詳細確認されるのが望ましいでしょう。
自動車保険のドライブレコーダーを利用したサービスは、執筆時点(平成31年4月現在)において、大手損害保険会社がほとんどになっており、自動車保険料が安いとされている、いわゆるダイレクト型自動車保険では、ドライブレコーダーを利用したサービスが提供されていません。
紹介したドライブレコーダーのサービスを見て、個々の必要性は異なると思いますが、次項で紹介する注意点も合わせて確認しておくことが大切です。
自動車保険のドライブレコーダーを利用したサービスの注意点は、やはり経済的な負担が保険料(特約)といった形で増えるところにあります。
つまり、自動車保険のドライブレコーダーを利用したサービスを付加するということは、すでに紹介した高度な事故対応、事故防止支援、安全運転診断といった保険会社からの提供サービスについて、保険料(特約)を支払って備えると捉えることができ、無料のサービスではないのです。
自動車保険のドライブレコーダーを利用したサービスは、当然のことながら、保険契約している自動車に、保険会社が指定しているドライブレコーダーを取り付けする必要があります。
この時、ドライブレコーダーを取り付けするためにかかる費用は無料ではなく自費の取り扱いになるほか、ドライブレコーダーのサービスを利用することによる自動車保険料の割引もないため、経済的負担は、保険料(特約)以上に発生することになります。
ここまで自動車保険のドライブレコーダーを利用したサービスと注意点について紹介しましたが、以下、参考までに、同サービスを提供しているそれぞれの保険会社間のドライブレコーダーサービスを比較できるようにポイントをまとめて紹介します。
三井住友海上 | 東京海上日動 | 損保ジャパン | あいおい | |
---|---|---|---|---|
保険商品名 | GK 見守るクルマの保険(ドラレコ型) | ドライブエージェント パーソナル | ドライビング! | タフ・見守るクルマの保険(ドラレコ型) |
保険料(特約) | 月額850円 | 月額650円 | 月額850円 | 月額850円 |
ドライブレコーダーの取得方法 | ドライブレコーダーの特約を付加することで、それぞれの保険会社が指定している本体が貸与される(機材は保険会社によって異なる) | |||
ドライブレコーダーの取付方法 | 取付費用は自己負担 | |||
事故対応 | 事故発生時に、事故受付センターへ自動で送信される | |||
事故防止支援 | あり | |||
安全運転診断 | あり |
大手損害保険会社4社のサービスを比較しましたが、どの保険会社もサービス内容に大きな違いが見られないことがわかります。唯一、東京海上日動のみ保険料(特約)が他社に比べて安いことが確認できます。
自動車保険のドライブレコーダーを利用したサービスを提供しているそれぞれの保険会社では、保険契約した自動車へ搭載するドライブレコーダーを指定しているため、仮に、ご自身で用意したドライブレコーダーが指定商品と異なっている場合、サービスの提供を受けることができません。
そのため、このような場合は、ドライブレコーダーを搭載していない方と同様に、事故発生時は、ご自身で保険会社へ事故連絡をしなければなりません。
ここからは、あくまでも筆者個人の主観となりますが、筆者は、自動車運転歴が20年を超え、ゴールド免許および自動車保険等級が20等級の優良ドライバーです。
また、筆者は、北東北の地方に在住しており、基本的に首都圏や政令指定都市などとは異なり、車社会で基本的に毎日自動車運転をする立場にありますが、保険料(特約)を支払ってまでメリットが得られるサービスとは残念ながら思えません。
自動車保険のドライブレコーダーを利用したサービス(特約)が不要と感じる理由は、優良ドライバーにとっては、不要のサービスばかりだからです。
高度な事故対応は、そもそも事故を起こさない限り利用することはないほか、一般に、優良ドライバーは、事故防止のための運転や安全運転に長けているわけでありますから、相手側の過失が高い事故に巻き込まれない限り、基本的に不要のサービスばかりだと考えられます。
メディアでも取り上げられているように、危険運転や高齢者の事故が多い昨今、優良ドライバーであったとしても、自らを守るといった意味合いにおいて、ドライブレコーダーを取り付けすることには大賛成です。
保険料(特約)を支払うお金は、形として残ることはありませんが、そのお金があれば、ご自身の自動車へドライブレコーダーを取り付けするための費用の足しには十分なると考えることができるのではないでしょうか?
自動車保険のドライブレコーダーを利用したサービスは、ドライバーによって需要が大きく左右されます。優良ドライバーからしますと不要なサービスと思える一方、自動車事故が多い方や運転歴が浅い方などは、自らを守るための備えと考えるのも良いでしょう。
ただし、現代を考慮しますと、ドライブレコーダーの搭載は優良ドライバーであるか否かを問わず、有事の際に自らを守ってくれるものであることは確かと言えるでしょう。
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