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奨学金返済中の結婚は難しい?無理のない結婚生活のための対策法をFPが解説

奨学金返済中の結婚は難しい?無理のない結婚生活のための対策法をFPが解説

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田中 英哉

田中 英哉

2級ファイナンシャルプランニング技能士、上級心理カウンセラー

2級ファイナンシャルプランニング技能士の有資格者。長年のライター経験の中で、お金に関する記事を執筆。日本最大級のソーシャルワークサイトにてプロクラウドワーカー TOPclass認定。ライター部門契約ランキング最高6位。難しいお金の話しを分かりやすく伝える記事は、読者から読みやすいと好評。

この記事のポイント

  • 奨学金返済中の結婚は、結婚式や子供の教育費などのライフプランをしっかりと考えておく必要があります。
  • 奨学金返済中の結婚は、夫婦共働きが前提となりやすいなどのハードルがあります。
  • 奨学金返済中の結婚生活で負担を軽減する方法としては、夫婦で財布を1つにするなどの方法があります。

奨学金返済中に結婚することは難しいのでしょうか?奨学金を利用して大学に通ったのは良いものの、社会人になった途端に返済していかなければなりません。経済面においては社会人生活がマイナススタートとなってしまいます。

その結果、奨学金返済中は結婚できないと躊躇してしまう人もいるようです。しかし計画的に生活をすればなんとかなるものです。この記事では家庭の負担にならないための対策を解説します。

 

【奨学金返済中の結婚①】あなただけではない!奨学金の利用実態

あなただけではない!奨学金の利用実態

奨学金の返済は、経済的ハンデとなってしまいがちであるため、なかなか結婚に踏み切れないケースがあります。しかし奨学金利用者は多いため、奨学金の返済を理由に結婚ができないとなると、膨大な数の人たちが伴侶を得られなくなってしまいます。

決してあなただけではなく、多くの人が奨学金を利用しているという実態から知っておきましょう。 ここでは奨学金の利用実態について以下内容を紹介します。

  • 奨学金利用者割合
  • 毎月の平均返済額
  • 平均利用期間
  • 延滞経験者の割合

 

奨学金利用者割合

日本学生支援機構のIR情報(平成31年3月)によると、学生の37.2%(平成29年度)が奨学金を利用していることが分かります。これは2.7人に1人の計算ですので、利用者の多さが見て取れます。

結婚は2人でするものですから、カップルのうちいずれかが奨学金利用者である確率はとても高いです。具体的な奨学金の利用者割合は以下のとおりです。

学種 利用者の割合(平成29年度) 人数の割合
大学・短大 37.5% 2.7人に1人
大学院 30.0% 3.3人に1人
高等専門学校 7.3% 13.8人
専修学校専門課程 41.3% 2.4人に1人
合計 37.2% 2.7人に1人

 

毎月の平均返済額

奨学金利用者が総額いくら借りて、毎月どれぐらいずつ返しているかを紹介します。「奨学金や教育費負担に関するアンケート調査(2019年3月発表)」によると、奨学金利用者は平均で総額324.3万円借入をしています。

毎月の返済額は平均16,880円となっており、毎月コツコツと返していることが伺えます。

 

平均利用期間

同じく「奨学金や教育費負担に関するアンケート調査(2019年3月発表)」によると、奨学金の平均利用期間は14.7年となっており、30代の半ば頃まで奨学金の返済が必要であることが分かります。

 

延滞経験者の割合

一方で、奨学金利用者の苦しい経済事情を読み取ることもできます。奨学金利用者のうち、延滞経験がある人は15.7%で、延滞理由は「収入が少ない」が42.5%となっています。つまり、奨学金利用者の約6.7%が収入事情での延滞をしたことが分かります。

 

【奨学金返済中の結婚②】結婚はさまざまな支払いを想定しておくべき

結婚はさまざまな支払いを想定しておくべき

奨学金返済中に結婚することはハードルがあるとはいえ、事前に人生で必要な支払いを想定し対策を取っておけば結婚しても問題はありません。結婚の際や結婚後には以下の費用がかかると想定しておきましょう。

  • 結婚資金がかかる
  • 子どもの教育費がかかる
  • 住宅購入費用がかかる
  • 老後資金は2000万円必要

 

結婚資金がかかる

結婚する際には式場代や披露宴代など、結婚資金が必要です。一般的に結婚資金は約350万円程度必要だと言われていますので、結婚前から早めに貯めておく必要があります。

ただし、ご祝儀である程度戻ってくることや、ジミ婚(派手な結婚披露宴を控える)やナシ婚(結婚式や披露宴をしない)、フォトウェディング(記念撮影だけ行う)で費用を浮かせる方法もあります。

 

子どもの教育費がかかる

文部科学省の「子供の学習費調査(平成28年度)」や「私立大学入学者に係る初年度学生納付金、国立大学等の授業料その他の費用に関する省令(平成29年度)」を要約すると、子供の教育費用は、全て公立か私立かによって大幅に異なり、1人あたり約800万円~3,000万円必要です。

結婚後の教育資金を念頭に家族計画を立てる必要があります。教育資金は早く準備するほど有利となりますので、結婚を具体化する時点である程度想定しておきましょう。

 

住宅購入費用がかかる

結婚して家族が増えると、住居をどうするかというテーマが出てきます。もし住宅購入をする場合の話しですが、住宅には多くの資金が必要です。

「住宅金融支援機構(フラット35利用者調査2017年度)」によると、土地付注文住宅は4,000万円台、建売住宅は3,300万円台、マンションは4,300万円台が相場です。

教育資金と同様に、たとえ少額でも早目に頭金の準備を始めた方が有利です。

 

老後資金は2,000万円必要

金融庁が2019年6月3日に公表した金融審議会の市場ワーキング・グループ報告書「高齢社会における資産形成・管理」では、老後資金は2,000万円必要との試算が出されています。

この金額は貯蓄が多い団塊の世代が、ゆとりある生活をしている可能性もあるため、切り詰めた生活をすればこれほど必要とは限りません。とはいえまとまった資金は必要となりますので、結婚の段階から先回りで捻出して行きましょう。

 

【奨学金返済中の結婚③】奨学金を返しながら結婚は難しい?6つのハードル

奨学金返済中の結婚は難しい?6つのハードル

奨学金を返済中の結婚にはさまざまなハードルがあります。ウェブサイトや各種SNSでリサーチをしていると、奨学金返済中に結婚するハードルは主に以下の6つに集約できます。

  1. 相手に伝えるタイミングが難しい
  2. 夫婦共働きが前提となりやすい
  3. 2人とも奨学金返済中なら借金が倍
  4. 新たなローンが組みにくい
  5. 預貯金が増えにくい
  6. 子どもを大学へ行かせるのが不利

それぞれの内容を見て行きましょう。

 

 

1.相手に伝えるタイミングが難しい

結婚を考えている場合、奨学金の返済中であることはなるべく早く相手に伝えましょう。交際中の何気ない会話の中、早い段階であれば伝えやすいことではありますが、結婚が具体化してからなど、遅くなればなるほど言い出しにくくなります。

プロポーズの後に伝えてしまうと、相手に騙されたと思われてしまうかも知れません。

 

2.夫婦共働きが前提となりやすい

結婚生活では夫婦共働きか専業主婦かなど、自由に選択ができるはずです。しかし一方に奨学金の返済がある場合、夫婦共働きが前提となりやすいです。最初から生活の形に対して選択肢が少なくなってしまうというハードルがあります。

 

3.2人とも奨学金返済中なら借金が倍

万が一、カップルの男性女性ともに奨学金返済中であれば、借金が倍となっていまします(厳密には借入金額などにより異なる)。先述の平均で見れば、15年間近く毎月3万円以上返さなければなりません。

社会人生活がスタートして毎月1万6千円、結婚生活がスタートして毎月3万2千円の返済が必要となり、節目ごとにマイナススタートとなってしまいます。

 

4.新たなローンが組みにくい

結婚は、後述の結婚資金や子供の教育費など、何かと物入りです。しかし、借金があると新たなローンが組みにくくなります。

借入審査の条件面で不利になるほか、万が一借り入れができたとしても返済負担が大きくなるため、ローンの利用によって生活苦に陥る可能性が高くなります。

 

5.預貯金が増えにくい

預貯金が増えにくいというハードルもあります。独身の時には自由に使えるお金があったかもしれませんが、結婚後は住居費や保険代、教育費など、独身時代にはかからなかった支出が出てきます。その上、借金の返済まであれば預貯金が増えにくくなってしまいます。

 

6.子どもを大学へ行かせるのが不利

奨学金の返済によって経済的に出遅れた結果、子供の教育資金が満足に捻出できない可能性が高くなります。結果的に子供にも奨学金を利用させることになり、同じ問題を引き継いでしまうことも考えられます。

先述の「奨学金や教育費負担に関するアンケート調査(2019年3月発表)」でも、親世代が子どもの奨学金返済に不安を持っている人が75.8%と多数いらっしゃいます。

 

【奨学金返済中の結婚④】無理のない結婚生活のための負担軽減策

奨学金返済中の結婚生活で負担を軽減する対策

奨学金返済中に無理のない結婚生活を送るためには、どうすれば良いのでしょうか?ここでは具体的な対策として以下を紹介します。

  • 夫婦で財布を1つにする
  • 家計簿をつけて節約する
  • 繰り上げ返済をする
  • クレジットカードを上手に活用する
  • 結婚前にほかの借金を完済する
  • 債務整理で借金自体を軽くする

 

 

夫婦で財布を1つにする

結婚後は夫婦で財布を一つにすることをおすすめします。夫婦によっては家計をバラバラにしているところや、生活費だけ出し合って貯蓄はバラバラにしているところ、一方が生活費を賄って他方は自由にしているところなどさまざまです。

しかし、夫婦の財布がバラバラだと、それぞれが自由にお金を使ってしまいやすくなります。

結婚後のライフプランに対して効率良く資金捻出をするのであれば、財布を1つにまとめ、お互いが家計を把握している状態が望ましいでしょう。結果的に浪費を防ぎ、協力しながら各種資金の準備が進められます。

 

家計簿をつけて節約する

結婚生活で負担を軽減するためには、家計簿をつけましょう。家計簿はつけるだけで節約ができると言われるほど効果のある方法です。家計簿をつけることによって今まで気づかなかった浪費が浮き彫りになったり、収支の差が分かる事で資金計画が立てやすくなります。

また、家計全体の中に占める割合が大きい支出に対して節約を検討するなど、節約のポイントが分かりやすくなるでしょう。固定費の見直しや食費の予算化など、節約の工夫がしやすくなります。

 

繰り上げ返済をする

まとまったお金がある場合は、繰り上げ返済を検討しましょう。有利子の奨学金の場合、繰り上げ返済をすれば、今後支払うはずだった利息が浮きます。

少しでも早い段階で繰り上げ返済した方が、将来利息の軽減分が増えますので、早ければ早い返済ほどお得です。支払い総額を下げるほか、完済すれば今後の家計が楽になりますので、ぜひ検討すると良いでしょう。

 

繰り上げ返済しない方が良い場合もある

ただし、繰り上げ返済しない方が良い場合もあります。それは借入している奨学金の金利よりも利率の良い金融商品を利用する場合です。たとえば、奨学金の金利が年率0.3%だとした時に、もし年率1.0%の金融商品に投資できれば、投資の方が年率0.7%得となります。

まとまったお金を返済に充てるよりも、返済を続けながら投資した方が得である可能性もありますので、総合的な判断が大切です。

 

クレジットカードを上手に活用する

クレジットカードを上手く活用することも大切です。クレジットカードはショッピング利用分に対してポイントが貯まりますので、ポイント還元率が高いクレジットカードを選ぶと良いでしょう。

また、大きな支出がある際には、分割払いやリボ払いを計画的に活用することが有効ですが、2回分割までは手数料がかかりませんので、知っておくとお得です。

カードによって、スーパーの割引デー、ガソリン代の値引、交通機関でお得な利用ができるなど、家計負担を軽くしてくれますので、あなたのライフスタイルに合ったカード選びが重要です。

 

結婚前にほかの借金を完済する

奨学金以外の借金がある場合には、なるべく結婚前に完済しておきましょう。結婚後にローンを組む際、ほかの借金があるとより一層借入しにくくなります。

各種ローンの審査では、たとえば年収の3分の1までが上限などのケースがありますので、借金を減らすほどローン審査で有利となります。

 

債務整理で借金自体を軽くする

このまま結婚すると生活の目途が立たないという場合には、債務整理も検討しましょう。債務整理とは合法的に借金を軽減する方法で、借金の負担軽減する任意整理や借金を5分の1程度に減らす個人再生、資産がなくなる代わりに借金もゼロになる自己破産などがあります。

クレジットカード発行やローン利用が不可となるデメリットはありますが、生活再建がしやすくなりますので、状況に合わせて検討しましょう。弁護士や司法書士などが無料相談に応じてくれますので、お近くの専門家事務所に相談すると良いでしょう。

 

奨学金返済中の結婚に関するまとめ

奨学金返済中は、結婚式や子供の教育費などのライフプランをしっかりと考えておけば、無理のない結婚生活が送れるでしょう。夫婦共働きが前提となりやすいなど、いくつかのハードルがありますが、結婚できないというわけではありません。

奨学金返済中の結婚生活で負担を軽減する方法としては、夫婦で財布を1つにすることや、繰り上げ返済をする、クレジットカードを上手に活用するなどの方法があります。夫婦で話し合いながら、やりくりして行くと良いでしょう。

 

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