- ネット銀行は銀行の中でも特徴的で、あまり知られていないサービスもある。
- ネット銀行は金利(利率)、ATM手数料、振込手数料、口座利用の利便性、セキュリティなどで比較する。
- 自分なりの重点ポイントや銀行以外の利用サービスも加味して、複数の銀行口座を使い分けるのもあり。
公開日:2020年5月21日
銀行口座は、社会生活を営む上で欠かすことのできないものです。その口座を開設できる銀行は、昔ながらの大手や地域の銀行以外にも新興のさまざまな銀行があります。その中には調べてみると、意外と知られていないサービスなどもあります。
そこで今回は銀行、中でも各種サービスが特徴的なネット銀行の比較ランキングについて記載してみたいと思います。
ひとえに銀行といってもさまざまなタイプがあります。まずはそのおおまかな分類をご紹介します。
銀行には、対面型サービスが中心の対面型銀行とオンライン型サービス中心のネット銀行の大きく2つがあります。対面型銀行は人件費がかかる分、各種手数料は高めで金利は低いです。一方、店舗で直接相談可能でATM網も設置されています。
それに対して、ネット銀行は人件費負担が少ない分、各種手数料が安く各種金利は高いです。一方、店舗での直接相談ができずATM利用で不便なケースがあります。
詳細は下記の記事もご参照ください。
銀行業は昔からあるビジネスですが、規制緩和などにともない、新興企業による新しい銀行も次々誕生しています。預金が1000万円まで保護されるペイオフは、銀行の規模関係なく適用される点は同じですが、新興の銀行のほうが違ったサービスを展開しているところが比較的多いです。
目新しいサービスに着目したい方は、新興の銀行を調べてみると思わぬサービスを見つけられるかもしれません。
銀行を選ぶ際には人気や評判などの口コミではなく、自分なりの重視したいポイントを大事にして選ぶのがおすすめです。なぜならば、銀行の数は非常に多く、提供サービスも細かくチェックすると多種多様だからです。
とはいえ、比較的どういった方でも当てはまると思われる基準もありますので、どこを重視するポイントにするか複数の着眼点を以下記載します。
まずは預金や定期預金の金利(利率)です。低金利が常態化している現在においては、どの銀行も似たりよったりではないかとお考えの方も多い点ではないかと思います。
確かに、預金や定期預金で資産形成を行うのは昔と違って難しいです。ただ、長い期間使っていく銀行口座はうまく利用すれば家計のやり繰りを助けてくれるでしょう。そこで、あえて1つのポイントとして挙げさせていただきました。
次はATM手数料です。1回当たりの金額は小さいですが、何回も使っていると案外ばかにできない金額になっていきます。普段意識せずに使いがちで家計を圧迫する要因にもなりかねないため、ここは大切なポイントだといえるでしょう。
同じ手数料でも振込手数料も意識するべきポイントです。法人でなければ振込をする機会はあまりないように思えるかもしれません。しかし、振込は何か大きな金額で買い物やサービスの購入をするたびに発生するので、長い目で見れば無視できない頻度で利用するサービスです。
銀行口座は金利やサービスが優れていても、そのサービスにアクセスしにくかったら元も子もありません。その銀行のサービスが便利で利用しやすいかどうかという点も無視できない項目です。
利便性といってもさまざまな視点がありますが、店舗やコールセンターでの接客、ホームページの見やすさ、ATMなどの設置状況などは確認するべきポイントだと思います。
最後がセキュリティです。利便性に加え、安全面での着眼点も大切です。昨今はネット上の詐欺事件が増えています。中でも社会問題化しているのが、金融機関になりすましてメールを送り、偽のウェブサイトに誘導して個人情報を取得・悪用するフィッシング詐欺です。
昨年秋から件数・金額ともにそれまでの4倍以上に急増し、社会問題化しています。このような詐欺事件に遭わないようにしっかり対策を行っているかどうかも重要ポイントです。
出典:警視庁ホームページ
以上の項目を着眼点として個々の銀行のおすすめのランキングを作ってみました。
銀行はサービス面で特に特徴があるネット銀行のみに対象を絞っています。筆者の独断も含まれており、ここに記載した内容は、掲載時点では変更になっている可能性もあります。気になる銀行があれば、個別の銀行のホームページでサービス内容を確認することをおすすめします。
以下ランキングを記載した後に個別の銀行について解説します。
金利(利率) | ATM手数料 | 振込手数料 | 口座利用の利便性 | セキュリティ | |
---|---|---|---|---|---|
イオン銀行 | ◎ | 〇 | 〇 | ◎ | 〇 |
住信SBI ネット銀行 |
〇 | ◎ | ◎ | △ | 〇 |
楽天銀行 | ◎ | △ | 〇 | △ | 〇 |
ソニー銀行 | ◎ | ◎ | △ | △ | 〇 |
一番の特徴は利用のしやすさです。ネットバンキングも比較的利用しやすいですが、イオン銀行に加え、さまざまな提携金融機関などのATMも利用できて入出金がしやすいです。またイオン銀行店舗で土日祝日も各種相談可能です。
キャッシュカード・クレジットカード(イオンカード)・電子マネーWAONが一体になった、入会金・年会費無料のイオンカードセレクトを合わせて活用すればさらに利便性が増すので、イオングループ利用の方には特におすすめです。
出典:イオン銀行ホームページ
利用状況によってステージが決まる「イオン銀行Myステージ」のランクによっては高金利を享受できます。普通預金金利は通常0.001%とメガバンクと同程度ですが、一番上の「プラチナステージ」になると0.10%になり、普通預金金利が通常の100倍までアップします。
イオン銀行のATMを利用すれば終日無料で利用できます。提携金融機関ATMを利用した場合は有料ですが、三菱UFJ銀行、みずほ銀行、ゆうちょ銀行など平日日中は無料で利用可能な金融機関も多いです。
金額面では安くはありませんが、いずれも会員ステージに応じて最大5回/月無料という特典があります。金額としては、インターネットバンキングの自行宛ての振込手数料は0円で他行宛ては220円です。
ATM振込手数料は、自行宛ての5万円未満は220円で5万円以上は440円です。他行宛て5万円未満は440円で5万円以上は660円となっています。
ネットバンキング以外にも各種の銀行やATMが利用でき、利便性に優れています。イオン銀行ATMはイオングループ(ミニストップ、マックスバリュー、ウエルシア等)の各店舗に設置されており、その数は全国に6,000台ほどになります。
提携金融機関ATMも入出金手数料無料で使えるATMだけで全国に55,000台あり、たいていの金融機関で利用することが可能です。さらに、セブンイレブン以外の主要なコンビニATMも利用可能です。
各方面でバランスよくセキュリティ対策がされています。ホームページではセキュリティ対策セルフ診断が可能です。ログインページには、ログイン後のトップページに過去3回もの「ログイン履歴」が表示され、自動ログアウト機能も備えています。
また、イオン銀行そっくりな偽サイトにお客さまを誘導し、ログイン情報を不正に取得しようとするフィッシングサイトを自動閉鎖する24時間365日監視サービスも導入しています。
ATMや振込の手数料無料特典が充実しており、有料の場合も金額は割安です。ATM利用可能場所が少ないデメリットはありますが、比較的低コストで利用できる点が大きな特徴です。SBI証券との連動サービスもありますので、SBI証券で証券口座をお持ちの方にもおすすめできます。
普通預金がイオン銀行と同様に通常は0.001%なところ、最大0.010%までアップ可能です。同グループの証券会社・SBI証券と連携した円預金であるSBIハイブリッド預金を利用すれば、この預金金利がつきます。
出金の無料回数の多さに加え、有料な場合も金額が安いところが特徴的です。入金は0円で利用可能です。出金は会員ステージに応じて最大15回/月無料で無料回数がない場合は110円です。
ATM手数料と同様に無料回数の多さに加え、有料な場合も金額が安いところも特徴的です。自行宛ては0円で利用可能です。他行宛ては会員ステージに応じて最大15回/月無料です。他行宛ては0円で利用な可能な場合もあり、有料でも最大157円です。
銀行ATMで利用はできません。ここはデメリットですが、全国の主要なコンビニやスーパーでは利用可能です。
各方面で充実しています。ホームページではイオン銀行と同様にセキュリティ診断を行うことが可能です。加えて、「今すぐできるセキュリティ対策」として口座利用者が対策しやすい方法をまとめて解説するページがあります。
また、銀行として24時間365日体制の振込モニタリングを行っており、第三者が操作した可能性があると思われる取引は一時的に取扱停止し、お客さまへ電話やメールなどをする態勢が整えられています。
どのポイントをとっても大きなマイナスはありません。ただし、無料特典が使えるかどうかで利便性が変化するので、利用する場合に自分がどの会員ステージで利用可能か確認することは必要です。
楽天証券で証券口座を利用されている方への連動サービスがあるので、楽天証券を利用されている方には特におすすめです。
出典:楽天銀行ホームページ
普通預金金利が0.02%と比較的高金利です。さらに、同グループの証券会社である楽天証券との口座連動サービス「マネーブリッジ」を利用すると0.10%にアップします。
入金に関しても、金額がかかる場合がある点はデメリットです。具体的には、入金は3万円未満の場合に220円もしくは275円かかります。3万円以上は0円です。出金は220円もしくは275円かかります。
ただ、会員ステージに応じて最大7回/月無料になるので、会員ステージの高い方にとってはさほどデメリットではないでしょう。
自行宛ては0円です。他行宛ては会員ステージに応じて最大3回/月無料です。さらに、給与・賞与・公的年金の受取があれば翌月3回無料(上限5回/月まで)です。このように、利用条件によってはだいぶお得になる点は特徴的です。他行宛てで有料の場合は最大262円です。
地方銀行などのATMでは利用できず、ここはデメリットになり得ます。ただ、三菱UFJ銀行、みずほ銀行、ゆうちょ銀行では利用可能です。また主要なコンビニATMやイオン銀行なども利用可能です。
ホームページに対策方法についてわかりやすく記載されている点が特徴的です。初心者向けから上級者向けの対策と分かれており、認証強化機能、口座管理機能など観点別の解説もあります。
外貨関連サービスが特に充実しています。利用可能なATMがやや少ない点や振込手数料の無料回数が少ない点などのデメリットはありますが、海外に関わる仕事をされている方や海外旅行がお好きな方にとっては、デメリットを上回る利便性がありますのでおすすめです。
出典:ソニー銀行ホームページ
特徴的なのは外貨預金です。取扱外貨の種類が12通貨と豊富で、定期預金にすればほかの銀行と比べ高金利を享受することが可能です。外貨預金の場合、為替手数料が高コストになる場合がありますが、ソニー銀行の場合は会員ステージが上がれば低コストで利用可能です。
円普通預金に関しても、同時に円定期と外貨定期を申し込むセット定期という商品があり、この定期で円定期の金利を条件次第では1%以上で利用することも可能です。
条件なしの無料利用回数がほかの主要なネット銀行よりも多く、有料の場合も比較的低コストなところは特徴的です。具体的には、入金に関しては0円です。
出金に関しては月最大4回まで無料で、優遇プログラム Club S プラチナの利用者は無制限で無料です。料金がかかる場合でも金額は110円です。
無料回数が少ない点で利用される方次第ではデメリットかもしれません。具体的には、自行宛ては0円で他行宛ては月1回まで無料で、Sony Bank WALLETをお持ちの方なら月2回まで無料です。料金がかかる場合は220円です。
銀行ATMで利用できる場所が少ないので、利用する方によってはデメリットかもしれません。大手メガバンクのうち三菱UFJ銀行、三井住友銀行が利用できますが、みずほ銀行は利用できません。コンビニ銀行、ゆうちょ銀行、イオン銀行も利用可能です。
「3stepセキュリティ講座」というコンテンツがホームページに掲載されており、金融犯罪の手口、万が一の対処法、事前の対策についてよくまとまっています。マイページには自動ログアウト機能がついており、フィッシング対策サービスも利用可能です。
ランキングには入れませんでしたが、個別のポイントでは利便性が高いと思われる銀行もありますので、番外編として何行か紹介いたします。
ATM手数料の観点でお得に利用できる可能性があります。毎月最初の1回は入金も出金も0円、2回目以降は3万円以上ならいつでも何回でも無料です。ATMで入出金をよく利用される方にとっては、利用する銀行口座の1つとして検討の余地があるかもしれません。
厳密にはネット銀行ではありませんが、ネットバンキングも利用可能なので記載いたします。この銀行はATM手数料に加え、振込手数料の観点でお得に利用できる可能性があります。
利用可能な提携ATMが多く、ATM手数料は少なくとも3回は無料で入出金可能です。ネットバンキング他行宛てで少なくとも3回は無料です。
出典:SBJ銀行ホームページ
振込手数料の観点でお得に利用できる可能性があります。また、auユーザー向けの特典があるので、auユーザーはサービス内容を確認してみる余地があります。振込手数料に関しては、三菱UFJ銀行への振込手数料は無料で、三菱UFJ銀行からじぶん銀行へも無料です。
auユーザー向けの特典としてはPontaポイントが貯まりやすくなるサービスなどがあります。
サービス内容はネット銀行によって多種多様です。また、お得感や利便性は銀行口座以外のどんなサービスを利用しているかでも異なってきます。
ランキングを掲載しましたが、銀行を利用する際に重視したいポイントがあれば、そこを重点的にチェックして利用を検討してみるとよいでしょう。また、各銀行の特徴を生かして銀行口座を複数使い分ける方法もありだと思います。
今回の記事も参考に、ぜひ自分に合う銀行を見つけてみてください。