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賃貸の家財保険とは?補償の仕組み&必要性をFPがわかりやすく解説!

賃貸の家財保険とは?補償の仕組み&必要性をFPがわかりやすく解説!

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松田 聡子

松田 聡子

群馬FP事務所代表、CFP®、証券外務員二種、DCアドバイザー

群馬FP事務所代表。金融系ソフトウェア開発、国内生保に法人コンサルティング営業を経て2007年に独立系FPとして開業。企業型確定拠出年金の講師、個人向け相談全般に従事。現在は法人向けには確定拠出年金の導入コンサル、個人向けにはiDeCoやNISAでの資産運用や確定拠出年金を有効活用したライフプランニング、リタイアメントプランニングで人生100年時代を生き抜くサポートをしています。

この記事のポイント

  • 賃貸住宅の居住者にも火災保険の加入は必要。
  • 賃貸住宅の居住者に必要な補償は「居住者所有の家財の補償」と「大家さんへの賠償責任補償」が柱。
  • 賃貸契約の際に不動産業者さんから提示された火災保険に加入する義務はなく、自分で納得のいく保険を選ぶことが大切。

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アパートやマンションの賃貸契約の際に加入する火災保険。たいていの人は言われるがままに加入していると思いますが、本当に必要なのでしょうか。必要だとしたら、補償内容は現状のままでよいのでしょうか。

今回は賃貸住宅のための火災保険、いわゆる家財保険について知っておきたい基本的なポイントをお伝えします。

 

賃貸住宅のための火災保険の必要性

賃貸住宅のための火災保険の必要性

アパートやマンションの火災保険を十分に吟味して加入した人というのは少数派ではないでしょうか。そして、そもそも賃貸住宅に火災保険は必要なのでしょうか?

 

アパートやマンションなどの賃貸住宅で火災保険が必要になる場合とは?

アパートやマンションの建物は大家さんの所有物なので、建物の損害については大家さんが火災保険に加入しています。

 

賃借人には大家さんへの原状回復義務がある

アパートやマンションなどの賃貸借契約では、借主には借りていた物件を退去する際に、借りたときと同じ状態で明け渡す「原状回復義務」を負います。そのため、火災や水濡れなどで部屋に損害を与えた場合は、借主の費用負担で元どおりに修復しなくてはなりません。

 

類焼などによる自己所有の家財の損害には自分で備えるしかない

日本では民法の失火責任法により、自分が起こした火事で隣室などに火が燃え移っても、重大な過失がなければ損害賠償はしなくてもよいことになっています。

だとすると、自分が被害者になった場合はどうでしょう。隣室などからのもらい火で自分の部屋の家電や家具が損害を被っても、その損害を出火元には請求できないことになります。この失火責任法により、もらい火による類焼損害に対しては、自分自身で備える必要があります。

 

賃貸住宅の賃借人にも火災保険は必須

以上のことから、「賃貸住宅のための火災保険の必要性はある」というのが結論です。自分で火災などの事故を起こしてしまった場合にしても、もらい火などの被害を受けたとしても、入居者は大きな経済的な負担を負うことになります。

その経済的負担に耐えられる資金が十分あれば、保険は不要かもしれません。けれども多くの場合、自己資金で損害分を賄うのは困難ではないでしょうか。それゆえにアパートやマンションの賃貸契約の際に火災保険の加入を求められるわけです。

 

賃貸住宅のための火災保険に必要な補償と保険料の目安

賃貸住宅のための火災保険に必要な補償と保険料の目安

賃貸住宅の入居者用の火災保険は「家財保険」と呼ばれています。一般の火災保険との違いは、賃貸住宅の入居者には建物の補償は不要で、家財の補償がメインであることです。

火災保険の対象は建物と家財で、建物だけ、家財だけという加入の仕方ができます。すでに述べましたが、賃貸住宅の建物に関しては所有者である大家さんが加入し、家財に関しては所有者である入居者が加入します。

 

家財保険の内容はどうなっている?

賃貸住宅用の家財保険の補償内容を見てみましょう。

 

家財保険の基本的な補償

補償 内容
家財保険
(基本補償)
入居者の家具や家電の損害への補償
借家人賠償
(オプション)
入居者が自分の部屋から出火させてしまった場合などに大家さんに対する損害賠償への補償
個人賠償責任
(オプション)
日常生活で起こる賠償リスクへの補償、水濡れで階下の部屋を水浸しにした場合など

借家人賠償はオプションとはいえ、賃貸住宅用の火災保険には必須の補償です。個人賠償責任は、自動車保険などに付帯されている場合はそちらでカバーされます。重複加入にならないように既加入の損害保険をチェックしましょう。

借家人賠償、個人賠償責任ともに加入する商品に示談サービスが付いていることが望ましいです。

 

家財保険のそのほかの補償

家財保険にはそのほか、修理費用、残存物片づけ費用、臨時宿泊費用などの費用の補償があります。保険会社によって付けられる補償は異なります。

 

家財保険でカバーされる損害

家財保険の補償の範囲はどこからどこまででしょうか。

火災・落雷・破裂・爆発
(ほとんどの商品でカバーされている)
風災・雪災・雹災
水災(台風・暴風雨、高潮)
(補償されない商品もある)
建物外部からの物体の落下・飛来・衝突
漏水などによる水濡れ
集団行動に伴う暴力・破壊
盗難による盗取・損傷
持ち出し家財(旅行などで一時的に持ち出された場合)
不測かつ突発的な事故(汚損・破損)

なお、地震保険については希望すればセットできる商品と最初からセットできない商品があります。地震による火災や建物の倒壊で家財に損害が出た場合は、通常の家財保険では補償されません。

ただし、地震保険で付けられる保険金額は家財保険の保険金額の半分までですし、保険料もそれなりにかかります。お住まいの地域の大地震の可能性、建物の耐震性や耐火性、全損時の経済的ダメージなどをよく考えて、地震保険を付けるか付けないかを決めましょう。

 

家財保険の便利な使い方

家財保険でカバーされる損害の範囲を確認するとおわかりかと思いますが、カバーされるのは火災や自然災害だけではありません。そこで意外に多いのが、加入している家財保険で補償されるのを知らずに請求しないでいることです。

例えば、落雷でテレビやパソコンが故障した場合、故障したもののみ、保険金額の範囲内で補償されます。不測かつ突発的な事故の補償が付いていれば、パソコンを運んでいる最中に落として壊した、などという場合にも補償されます。

 

必要な補償額の決め方

では、実際に家財保険に加入する際に、保険金額をいくらにするかの決め方について考えてみましょう。保険金額が大きいほどいざというときに安心ですが、それだけ保険料も高くなります。

火事で全焼した場合に家財道具を一式買いなおすとして、自分の場合、いくらかかるのかチェックしてみます。細かいものは除き、テレビ、パソコン、テーブル、ソファなど自分が持っていてそれなりに値の張るものを書き出して、それぞれの金額を合計してみましょう。

それに細かいものをまとめたおおよその金額を足してみます。その金額を基準にして家財の保険金額を決めましょう。

家財の金額がわからない場合や、計算するのが面倒な場合は、火災保険のサイトやパンフレットに年齢や家族構成ごとの保険金額の目安が載っていることがありますので調べてみてください。

 

家財保険の保険料はどのくらい?

家財保険の保険料は基本となる家財の保険金額によって決まります。また、オプションの有無によってもかなり変わってきます。賃貸住宅の契約は2年ごとが多いため、賃貸住宅用の火災保険の保険期間は1年または2年となっています。

例えば1人暮らしの20代の場合、最低限の補償内容で年間4,000円を切る保険もあります。

こくみん共済の掛金例(20代、建物構造:マンション、延床面積:25㎡)
家財 借家人賠償 個人賠償責任 保険期間 保険料
300万円 1,000万円 3億円 1年 6,200円

 

賃貸住宅用の火災保険はどこで契約すればよいか?

賃貸住宅用の火災保険はどこで契約すればよいか?

最後に、賃貸住宅用の火災保険を契約する場合の注意点です。

 

 

不動産業者さんの勧めるプランがベストとは限らない

不動産業者さんとアパートやマンションの賃貸契約の手続きをすると、火災保険の加入を求められ、プランを提示されます。

その際に不動産業者さんが勧める火災保険のプランはパッケージ化されたものが多く、場合によっては不要な補償が付いていたりします。もしくは保険金額が過剰な場合も多いです。結果として、ムダな保険料を払うことになってしまいます。

また、不動産業者さんが複数の保険会社を取り扱っているケースは少なく、割高な保険しか選べない場合もあります。

 

複数の保険会社を比較して決める

不動産業者さんから勧められた火災保険に入居者が加入する義務はありません。プランを提示されたら、いったん保留にしてインターネットの比較サイトなどで複数の保険会社の商品を比較してみましょう。

その上で、不動産業者さんの扱う保険会社を含めたベストの商品を選ぶとよいでしょう。

 

賃貸住宅の家財保険に関するまとめ

賃貸住宅のための火災保険(家財保険)は、居住者所有の家財の保険と大家さんへの賠償責任保険を最低限のセットにします。家財の保険金額は居住者の年齢や家族構成で変わってきますが、過不足なく設定することで保険料を抑えられます。

加入にあたっては、必ずしも不動産業者さんのプランを鵜呑みにせず、複数の商品を比較して納得のいく補償内容のものに加入しましょう。

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