- 住民税を滞納すると給料、口座、売掛金などが差し押さえられる。
- 売掛金を差し押さえられると、取引先に税金の滞納がバレて信用を失う。
- 早い段階で役所に相談して解決策を考えることが大切。
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会社員の方は住民税が給与から天引きされているので滞納することはまずありませんが、自営業やフリーターの人など普通徴収になっている人については、納付が遅れると住民税の滞納状態になります。
税金の支払いを甘く見ていると、実は結構あっさりと差し押さえされてしまうことがありますので注意が必要です。そこで本記事では、住民税が差し押さえられる流れと、差し押さえを回避するための対処法について詳しく解説します。
住民税の滞納について考える前に、まずは住民税の正しい納期について確認しましょう。納期限は会社員とそれ以外とで次のように異なります。
会社員の場合は給与から差し引かれて自動で支払われているので、あまり納期限について意識したことはないかもしれませんが、基本的には年間の税額は6月から翌年の5月までの12回に分けた税額が、毎月の給料から差し引かれていきます。そして翌月の10日までに会社が納税するという流れです。
自営業の人やバイトを掛け持ちしている人については、自分で住民税を納税する普通徴収になります。普通徴収は年間の住民税の金額を全部で4回に分割して納税します。期日としては、次のとおりです。
また、一括で納税することもできます。
住民税を期日までに支払わずに放置していると、住民税を請求している市区町村から納税催告書という通知が届きます。これが届くといきなり差し押さえというわけではありませんが、その前段階の催告状という形になります。
住民税を滞納すると届く納税催告書にはどんなことが書いてあるのでしょうか。内容は地域によって微妙に違いますが、おおむね次のようなことが書かれています。
要するに、差し押さえの前段階の通知といった感じです。この催告書を無視すると、やがて時間の問題で差し押さえされてしまうので必ず対応する必要があります。ただ、まだ納税催告書が最後通告というわけではありません。
納税催告書を無視して記載されている指定期日を過ぎると、自治体から差押予告書といういかつい見た目の書面が届きます。そしてこの通知が事実上の最終通知です。
差押予告書には本当の最終日となる期日が記載され、その日までに納税がされない場合は、差し押さえする旨記載されています。また、すでに勤務先への給料照会などの財産調査も行っている旨も書かれているため、いよいよ逃げ場がない状態になります。
差押予告書をもらったその後も無視し続けると、最終的に給与などの財産が差し押さえられることになります。
給料が差し押さえられた場合、すべてが取られるわけではなく、地方税、所得税、社会保険料などを除いた振込金額の1/4までと決まっています。また、手取りの給料が44万円を超えると、33万円を超えた部分は全部差し押さえの対象です。
ただ、住民税を滞納するケースというのは自営業者などの場合が多いので、実際は給料そのものではなく、銀行口座を差し押さえられることが多いでしょう。
口座差し押さえとは簡単にいうと、本人の口座から勝手に滞納している住民税を差し引いて持っていくということです。口座を差し押さえられると、そのときの残高から滞納分を回収することになるので、口座への入金が多い月末近辺に差し押さえられることがよくあります。
ですので、口座に残高があるのであれば催促状が届いた段階ですぐに支払ったほうが、延滞税が加算されない分マシです。
税金を滞納すると、滞納額がそこまで高額ではなくても金銭以上に失うものが出てきます。それは信用です。特に住民税が特別徴収で差し引かれない個人事業主の場合、差し押さえられるのは銀行口座だけとは限りません。
個人事業主はほかの事業者と取引をしていれば、事前に請求書を発行していた売掛金などが、月末に取引先から入金されることになるので、税務署はこの売掛金を狙って差し押さえすることがあるからです。
例えば会社員の場合、給料を差し押さえられるということは、すなわち会社に自分が税金を滞納していることを知られるということになります。会社には第三債務者あての差押通知が届き、給料のうち一定額を本人に振り込まないよう指示されるのです。
実務上、このような処理は勤務先の総務経理にとって非常に面倒なので、会社から怒られますし社内での信用も大きく失うことになります。
対して個人事業主の場合は、給与ではなく取引先から入金される予定の売掛金が狙われるのです。売掛金を差し押さえられるということは、すなわち取引先に住民税を滞納していることがバレることを意味しています。
住民税を滞納するようなところと、今後取引をしたいと思う事業者はいないでしょう。つまり、売掛金を差し押さえられたことで、すぐに取引先の信用を失ってしまうのです。失った信用はすぐに回復することは極めて難しいので、差し押さえられたこと以上のダメージを受けることになります。
住民税の滞納による差し押さえを回避するには、いつ督促されるのかと待っているのではなく、自ら役所に出向いてすぐに納税することが難しい旨を正直に相談して、適切な解決策について話し合うことが大切です。
役所も差し押さえするとなると手続きが面倒なので、できれば一定の条件のもと分割でも任意で支払いに応じてもらいたいと思っています。滞納しているからといって逃げるのではなく、誠意を持って対応する心構えが何より重要ということです。
個人事業をしていると、住民税の支払い以外にも家賃や光熱費、取引先への支払いなど支出が多岐にわたると思います。ただ、忘れてはいけないのは、税金の支払いは最も優先しなければならないということです。
住民税だからといって甘く見てはいけません。納税は国民の義務ですから、いかなる支払いよりも優先されます。通常、口座を差し押さえるとなると、裁判を起こして勝訴し債務名義を取得してからでなければすることができません。
ですが、税金の滞納はそういった手続きを経ることなく、いきなり差し押さえできることから、いかに税金の支払いが優先されるべきかがわかります。
どうしても資金繰りに困ってしまったら、まずは弁護士に相談して債務整理などを検討することをおすすめします。キャッシュフローが赤字になってしまうと、立て直すためには法律の力が必要です。
早い段階で相談すれば、自己破産を回避して任意整理などで解決できる場合もありますので、1人で抱え込まず早めに相談しましょう。
債務整理の手続きは複雑で難しいため、債務整理のプロへ相談することが賢明です。まずは相談料無料で債務整理に強い弁護士事務所に相談してみるのがいいでしょう。
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住民税を滞納したまま放置すると、気がついたときには口座を差し押さえられている可能性があります。また、売掛金を差し押さえられると、信用を大きく失うことになるので、絶対に回避しなければなりません。税金は自己破産しても支払いを逃れられないので、必ず決着をつける必要があります。
何よりまずは役所に出向いて現状の資金状態を正直に話した上で、分割払いなども含めて今後の支払いについてどうしたらいいのか相談しましょう。