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債務整理の費用はどれくらい?弁護士の平均金額や内訳を解説!

債務整理の費用はどれくらい?弁護士の平均金額や内訳を解説!

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森本 由紀

森本 由紀

行政書士、AFP(日本FP協会認定)、離婚カウンセラー

行政書士ゆらこ事務所・離婚カウンセリングYurakoOffice代表。法律事務所勤務を経て、2012年に行政書士として独立。メイン業務は協議離婚のサポート。養育費、財産分与など離婚の際のお金の問題や離婚後の生活設計に関するアドバイスなど、離婚する人の悩みを解決するためトータルなサポートを行っています。法人設立や相続に関する業務にも力を入れています。

この記事のポイント

  • 債務整理(任意整理)をするなら弁護士に依頼する。
  • 弁護士に依頼すれば着手金や報酬金を払わなければならない。
  • 弁護士が受け取れる任意整理の報酬金には規制がある。
  • 法テラスを利用すれば弁護士費用を立て替えてもらえる。

債務整理をするときに、気になるのが弁護士費用ではないでしょうか?本記事では、債務整理のうち、任意整理でかかる弁護士費用について説明します。

任意整理を弁護士に依頼すれば、借金を減らすことができます。高額なイメージがある弁護士費用ですが、負担を軽くできる方法もありますので、弁護士への依頼を検討してみましょう。

 

借金返済で困ったら弁護士に依頼して債務整理(任意整理)しよう

借金返済で困ったら弁護士に依頼して債務整理(任意整理)しよう

債務整理を考える場合には、まず任意整理ができないかどうか検討してみます。任意整理なら裁判所を通す必要がないので、スピーディーに借金の悩みを解決できます。

 

任意整理とはどんな手続き?

任意整理とは、債務整理方法の一つになります。任意整理は、毎月の借金の支払いが大変になったときに、お金を借りている債権者(消費者金融など)に直接お願いして、毎月の支払い額や支払い期間を変更してもらう方法です。

任意整理をするときには、裁判所に申し立てる必要はありません。債権者の了承さえ得られれば、すぐに手続きが完了します。借金の支払いに困ったら、まずは任意整理を検討してみましょう。

 

任意整理では毎月の返済額の減額と利息カットが可能

任意整理をすれば、毎月の返済額を減額することができます。月々の返済額を減額しても、残っている借金を3~5年以内で返済できるようなら、任意整理が可能です。

また、任意整理では、将来的に発生する利息については、通常は免除してもらえます。返済期間が延びても、利息がふくらんで借金が増えるということはありません。

 

任意整理では過払い金も取り戻せる

消費者金融等との取引開始がおおよその時期で2007(平成19)年よりも前である場合、過払い金が発生している可能性があります。

過払い金とは、利息制限法で規制されている範囲を超えて払っている利息です。過払い金が発生しているケースでは、任意整理をすると大きなメリットがあります。

任意整理するときには、取引履歴を取り寄せた上で引き直し計算という処理を行い、払い過ぎの利息を計算します。払い過ぎの利息を借金の残額に充当すれば、借金が大きく減ることになります。

借金の残額よりも払い過ぎの利息の方が大きい場合には、過払い金請求をして返してもらうことも可能です。

 

任意整理を弁護士に依頼するメリット

任意整理をする場合、通常は弁護士に依頼して、代理人になってもらいます。弁護士に代理人を依頼することには、次のようなメリットがあります。

  • 借金返済をストップできる
  • 債権者と交渉してもらえる
  • 家族や職場に内緒で債務整理ができる
  • 和解書を作成してもらえる
  • 任意整理ができなくても他の方法で債務整理できる

 

【任意整理を弁護士に依頼するメリット①】借金返済をストップできる

弁護士は、任意整理の依頼を受けた段階で、債権者である消費者金融等に宛てて「受任通知」と呼ばれる書面を発送します。弁護士に受任通知を出してもらった後は、任意整理が完了するまで、借金返済を中止してかまいません。債権者から督促を受けることもなくなり、精神的に楽になります。

 

【任意整理を弁護士に依頼するメリット②】債権者と交渉してもらえる

債権者に支払い条件を変更してもらうには、交渉力が必要です。個人で交渉を申し入れても、消費者金融等の業者はなかなか応じてはくれません。弁護士が代理人として付いていると、業者側は「誠実に対応しなければ裁判を起こされる」と考えるため、交渉がスムーズに進みます

 

【任意整理を弁護士に依頼するメリット③】家族や職場に内緒で債務整理ができる

弁護士が代理人として付けば、債権者からの連絡もすべて弁護士を通すことになります。弁護士に依頼した後は、債権者から直接自宅や職場に連絡が入るようなこともありません。家族や職場にバレることなく、債務整理を完了することができます。

 

【任意整理を弁護士に依頼するメリット④】和解書を作成してもらえる

債権者との間で任意整理の合意ができたら、和解書(和解契約書)を交わす必要があります。法律的な知識がある弁護士が和解書を作成することで、不利な条件で和解が成立してしまうような心配もなくなります

 

【任意整理を弁護士に依頼するメリット⑤】任意整理ができなくても他の方法で債務整理できる

弁護士に依頼しても、任意整理による和解が難しいケースもあります。任意整理できないケースでは、個人再生や自己破産といった他の方法により債務整理が可能です。弁護士に依頼していれば、個人再生や自己破産の手続きが必要になった場合にも対応してもらえます。

 

 

債務整理(任意整理)でかかる弁護士費用の内訳

債務整理(任意整理)でかかる弁護士費用の内訳

弁護士に債務整理を依頼する場合には、弁護士費用を払わなければなりません。弁護士費用の内訳は、次のようなものになります。

 

着手金

着手金は、事件を依頼した時点で払わなければならない費用です。着手金は任意整理が成功したかどうかにかかわらず、必ず発生するものです。

最初に払った着手金は、原則として戻ってくることはありません。任意整理の場合、着手金は債権者ごとに一定の額がかかるのが一般的です。

 

報酬金

報酬金は「成功報酬」と呼ばれるもので、事件の成功の度合いに応じて発生する費用です。任意整理の報酬金には、次のようなものがあります。

 

解決報酬金

債権者1社ごとに一定額がかかるものです。

 

減額報酬金

減額または免除になった借金の額に対して、一定の割合がかかるものです。

 

過払い金報酬金

回収した過払い金の金額をもとに算出される報酬金です。

 

実費

事件処理のためにかかった実費も請求されます。任意整理の場合には、裁判所での手続きが不要なので、かかる実費はそれほど多くはありません

債権者との交渉も電話や書類で行われますので、請求されるとすれば、通信費程度になります。

 

債務整理(任意整理)でかかる弁護士費用の平均的な金額

債務整理(任意整理)でかかる弁護士費用の平均的な金額

弁護士費用には統一された基準はなく、依頼する事務所によってかかる費用の内訳や金額は違います。しかし、債務整理(任意整理)については、報酬規制があるため、通常は規制に従った料金設定になっています。

 

債務整理(任意整理)の弁護士費用の規制

任意整理でかかる弁護士費用のうち、報酬金については日本弁護士連合会(日弁連)が次のような規制を設けています

 

弁護士が受領できる報酬金の種類

解決報酬金、減額報酬金、過払い金報酬金のみです。

 

弁護士が受領できる報酬金の上限額

報酬金の種類ごとの上限額は、次のとおりです。

報酬金の種類 報酬金の上限額
解決報酬金 1社につき2万円(※商工ローンは5万円)
減額報酬金 減額した金額の10%
過払い金報酬金 訴訟によらない場合回収額の20%、 訴訟による場合回収額の25%

 

債務整理(任意整理)で弁護士費用の規制がある理由

任意整理の報酬規制が設けられた背景には、2007(平成19)年以降、グレーソーン金利が撤廃されたことにより、貸金業者に対して過払い金請求をする人が急増したことがあります。

任意整理や過払い金請求では、不当に高額な報酬を請求する弁護士事務所も出てくるようになりました。事件処理の適正化を図るため、2011年に報酬規制が設けられたのです。

 

債務整理(任意整理)の弁護士費用の相場

弁護士として業務を行うためには、日弁連に登録しなければなりません。つまり、日本全国すべての弁護士が、日弁連に入っているということです。

日弁連の報酬規制は法律による規制ではありませんが、すべての弁護士が従わざるを得ないものです。こうしたことから、任意整理の弁護士費用については、日弁連の報酬規制の額が相場となっています。

なお、報酬規制の額は上限の額になるため、実際にはこれよりも低い金額で任意整理ができる事務所もあります。

 

債務整理(任意整理)で弁護士費用の負担を軽くする方法

債務整理(任意整理)で弁護士費用の負担を軽くする方法

任意整理の場合には、日弁連の報酬規制があるので、かかる弁護士費用にそれほど大きな差はありません。しかし、弁護士費用の負担を軽くする方法はあります。

 

法テラスの民事法律扶助制度を利用

民事法律扶助とは、経済的理由により法的トラブルの際の弁護士費用を払えない人に対して、費用の立て替えなどの公的な援助を行う制度です。

民事法律扶助業務は、全国に設置されている「法テラス」(日本司法支援センター)で行われています

任意整理をする場合でも、民事法律扶助の要件をみたしていれば、法テラスで弁護士費用を立て替えてもらえます。

立て替えてもらった弁護士費用は、法テラスに月5,000円~1万円程度で分割返済すればいいいので、支払いが楽です。

任意整理で民事法律扶助を利用する場合には、減額報酬は請求されません。そのため、自分で直接弁護士に依頼するよりも、かかる費用を少なくすることもできます。

 

着手金0円の弁護士事務所に依頼

債務整理については、着手金無料で依頼できる事務所もあります。特に、過払い金がある場合には戻ってきた過払い金で報酬を払えることもあるので、着手金無料なら持ち出し0円で債務整理できる可能性もあります。

 

分割払い対応の弁護士事務所を選ぶ

任意整理では、受任通知発送後和解成立までは借金返済を中断できます。この期間を利用して、弁護士費用を分割払いできる事務所もあります。

和解成立後は借金の返済が始まってしまうので、借金返済のない期間に弁護士費用を分割払いできるのはメリットがあります。

 

 

債務整理について料金無料で相談する方法

債務整理について料金無料で相談する方法

債務整理をするべきかどうか悩んでいる場合、とりあえずどこかに相談したいと思うでしょう。以下のような場所で、債務整理の無料相談ができます。

 

自治体の無料法律相談

都道府県、市区町村などの自治体では、住民向けの無料法律相談を実施しています。相談受付については、広報やホームページなどで確認しましょう。

1人あたり30分程度と時間は決まっているのが通常ですが、弁護士などの専門家に無料で相談することができます。

 

財務局の多重債務無料相談窓口

各地の財務局では、多重債務の無料相談窓口を設けています。必要に応じて弁護士会等の窓口も紹介してもらえますので、まずは気軽に相談に行ってみましょう。

 

公益財団法人日本クレジットカウンセリング協会(JCCO)

JCCOは、クレジットや消費者ローンを利用して多重債務に陥った人のためのカウンセリング事業を行っており、全国約20か所に相談室があります。JCCOでは無料で任意整理の手続きもとってもらえます。

日本クレジットカウンセリング協会公式サイトはこちら

 

法テラス

法テラスでは、収入・資産が一定額以下の人については、無料で3回まで法律相談が受けられます。法律相談後に、そのまま弁護士に依頼することも可能です。

法テラス公式サイトはこちら

 

弁護士会

各地の弁護士会では、弁護士による法律相談を行っています。通常は30分5,000円の相談料金がかかりますが、債務整理については無料で相談できるところも多くなっています

 

弁護士事務所の無料相談

債務整理について弁護士に直接相談する場合でも、初回は相談料無料のところが多くなっています。初回無料相談を利用して、いろいろな弁護士事務所に相談し、依頼する事務所を決めることも可能です。

▼極限の債務整理!イストワール法律事務所

 

債務整理(任意整理)を依頼する弁護士事務所の選び方

債務整理(任意整理)を依頼する弁護士事務所の選び方

債務整理(任意整理)を弁護士に頼みたい場合には、単に手続き費用が安いという点だけに注目しない方がよいでしょう。弁護士選びのポイントとしては、次のような点が挙げられます。

 

任意整理の実績が豊富か

任意整理では、弁護士に借金の減額交渉をしてもらわなければなりません。交渉力のある弁護士でなければ、希望どおり借金が減らないこともあります。任意整理の実績が豊富な事務所ほど交渉力があると考えられます。

実績豊富な事務所であれば、消費者金融各社の最新の対応状況などの情報も持っているはずです。ホームページで処理件数などの数字を確認すると同時に、情報量が豊富かどうかもチェックしましょう。

 

返済代行手数料が発生するか

任意整理で和解が成立した後の返済は、自分で直接債権者に支払うケースと、弁護士事務所が返済を代行するケースがあります。

返済代行の場合、弁護士事務所に毎月の返済分をまとめて支払い、弁護士事務所から各社に振込してもらえます。

返済代行は一見便利ですが、1社につき月1000円程度(振込手数料含む)の返済代行手数料を取られてしまいます。任意整理で借金が減額した効果が薄くなってしまうことがありますから、注意しておきましょう。

 

債務整理にかかる費用に関するまとめ

債務整理(任意整理)をするときには、裁判所の費用はかかりませんが、弁護士費用がかかります。任意整理の弁護士費用には報酬規制があるので、不当に高額な費用を請求されるようなことはありません。

任意整理の弁護士費用が払えない場合でも、法テラスを利用したり、分割払いができる弁護士事務所に依頼したりすれば、負担を軽くすることはできます。弁護士に相談すれば、他の債務整理方法も検討できますから、借金の悩みの解決につながります。

債務整理について無料で相談できる窓口もありますので、まずは相談に行ってみましょう。

 

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