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年金手帳がオレンジの人は要注意?表紙の色による違い・注意点をわかりやすく解説!

年金手帳がオレンジの人は要注意?表紙の色による違い・注意点をわかりやすく解説!

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著者名

西岡 秀泰

西岡 秀泰

社会保険労務士、FP2級

生命保険株式会社に25年勤務し、FPとして保険・年金販売を関わってきました。現在は、社会保険労務士事務所を開設し、労働保険・社会保険に関する企業サポートを行うとともに、日本年金機構の年金事務所・相談員をしています。社会保険労務士は公的な保障制度により、FPは私的な保険を活用して「ひと」が抱えるリスクに対応します。両者の経験・知識、また関連する税金や金融商品についてお役に立つ情報をお届けします。

この記事のポイント

  • オレンジの年金手帳は昭和49年11月から交付開始、平成9年1月に青色の年金手帳に変更。
  • オレンジの年金手帳には国民年金番号や厚生年金番号が記載されていて、基礎年金番号通知書と一緒に保管する。
  • 国民年金番号や厚生年金番号がうまく基礎年金番号に統合されずに、年金記録の漏れが発生した。
  • 年金記録は年金定期便やねんきんネットで確認し、誤りがあれば年金事務所で訂正手続きをする。

年金問題と言えば、昨年には「老後資金2,000万円問題」が話題となりましたが、平成19年には約5,000万件の年金記録が誰のものかわからないという「消えた年金問題」で大騒動となりました。

現在も誰のものかわからない年金記録は約2,000万件あり、特に年金手帳の表紙がオレンジの人は要注意です。今回の記事では、年金手帳の表紙の色による違いと注意点について解説します。

 

公的年金の種類と基礎年金番号

公的年金の種類と基礎年金番号

年金手帳は公的年金の加入者に対し交付され、加入者を識別する基礎年金番号が記載されています。

 

公的年金の種類

公的年金の種類は下記の2パターンで分類されます。

 

被保険者の種別

1つ目のパターンが、国民年金の「被保険者の種別」による分類です。日本に住んでいる20歳以上60歳未満の人は全員、国民年金に加入しなければならず、下記のとおり分類されます。

  • 第1号被保険者:学生、自営業者など
  • 第2号被保険者:会社員、公務員など
  • 第3号被保険者:第2号被保険者に扶養される配偶者

 

国民年金のみか、ほかの年金制度にも加入しているか

会社員は国民年金の第2号被保険者ですが、厚生年金にも加入しています。国民年金のみに加入しているか、ほかの年金制度にも加入しているかによって、下記のとおり分類(2つ目のパターン)されることもあります。

  • 国民年金:国民年金の第1号被保険者、第3号被保険者
  • 厚生年金:会社員など国民年金と厚生年金に加入している人
  • 共済年金:公務員など国民年金と共済年金に加入している人

 

基礎年金番号と年金問題

基礎年金番号は、年金加入者それぞれに1つの番号が付番され、年金手帳を見れば確認できます。

基礎年金番号制度が始まった平成9年1月までは、加入する年金制度ごとに厚生年金番号と国民年金番号が付番され、複数の年金番号を持つ人がいました。「消えた年金問題」の主な原因は、複数の年金番号を持つ人の年金記録の一部が基礎年金番号に統合されなかったことです。

基礎年金番号によってすべての年金記録が1つの番号に集約されるはずでしたが、記録のデータベース化の遅れやずさんな年金記録管理が原因で、誰のものかわからない年金記録が多数発生しました。

 

いつから?年金手帳の表紙の色の違い

年金手帳の表紙の色は、加入する年金制度と交付された時期によって様々です。

いつから?年金手帳の表紙の色の違い

 

表紙の色は交付年月日で違う

表紙の色は、年金手帳の交付年月日などによって下記の4つに大別できます。

発行年月
厚生年金手帳 昭和29年5月~昭和49年10月
国民年金手帳 昭和35年10月~昭和49年10月(色は5年ごとに変更)
オレンジの年金手帳 昭和49年11月~平成8年12月
青色の年金手帳 平成9年1月~現在(発行者は平成22年1月に「社会保険庁」から「日本年金機構」に変更)

昭和49年11月に国民年金手帳と厚生年金手帳が統一され、オレンジの年金手帳になりました。1つの手帳にすべての年金記録(番号)が集約されるようになったのです。

さらに、平成9年1月には基礎年金番号の導入によって1つの番号ですべての年金記録が管理され、同時に年金手帳の色も青色に変わりました。

 

共済年金加入者には基礎年金番号通知書が送付される

共済年金加入者には年金手帳が発行されないため、基礎年金番号通知書の送付によって基礎年金番号が通知されます。

共済年金加入者には基礎年金番号通知書が送付される

また、平成9年1月(基礎年金番号導入時)には、国民年金番号や厚生年金番号を持っていた人に対し基礎年金番号通知書が送られました。

 

年金手帳を再発行した人は青色

基礎年金番号が導入される前に年金加入した人も、年金手帳を紛失して再発行すれば、年金手帳は青色に変わります。再発行前に記載されていた国民年金番号や厚生年金番号は新しい年金手帳にはなく、基礎年金番号だけが載っています。

 

年金手帳がオレンジの人は要注意

年金手帳がオレンジの人は要注意

いまから年金の受給が始まる人のほとんどは、年金手帳がオレンジの人です。年金手帳がオレンジの人は、青色の人と比較して年金記録に漏れ・誤りが多いので注意が必要です。

 

 

年金手帳がオレンジの人の年齢

オレンジの年金手帳の交付は昭和49年11月から平成8年12月の間です。20歳で年金加入する人が多いので、年金手帳がオレンジの人の現在の年齢は44歳から66歳くらいです。

一部に人はすでに年金受給が始まっていますが、大半は今後20年くらいの間に受給手続きすることになります。

 

年金記録が漏れている可能性

前述のとおり、年金手帳がオレンジの人は、年金加入時は国民年金番号や厚生年金番号が付番されていました。基礎年金番号に記録を統合するとき、誰のものかわからない年金番号が多数あることが判明しましたが、年金手帳がオレンジの人もこの中に含まれます。

実際に記録漏れが多いのは次のような人です。

  • 転職回数が多い人
  • 結婚後に退職して姓が変わった人
  • 名前の読み方が複数ある人
  • 再婚している人

 

転職回数が多い人

何回も転職している人は、複数の年金番号を持っていることがあります。特に転職のたびに新しい年金番号を発行している場合、10件前後の年金番号を持っていることも珍しくありません。

こういった事情から、数の多い番号の一部が統合されなかったことで年金記録漏れするケースが多数発生しました。

また、転職回数の多い人は短期間で辞めた会社について忘れてしまっている可能性もあり、年金記録の空白期間については慎重に確認する必要があります。

 

結婚後に退職して姓が変わった人

結婚して姓が変わった人も年金記録に要注意です。結婚前の姓と結婚後の姓がうまく名寄せされずに、結婚前に加入していた年金記録が別人のものと判断されるケースがあるのです。

年金記録を調べるとき、まずは結婚前の年金記録が正しく反映されているかを確認しましょう。

 

名前の読み方が複数ある人など

名前の読み方が複数ある人や漢字名をよく間違えられる人も、年金記録が漏れている可能性が高いです。年金加入時に漢字名や読み方が間違って登録されたため、別人の年金記録だと判断されたケースなどです。氏名が間違って登録されるのは、次のような場合です。

  • 小山(オヤマ)さんの読み方を「コヤマ」と登録
  • 長田(ナガタ)さんの漢字名を「永田」と登録
  • 斎藤(サイトウ)さんの漢字名を「斉藤」や「齋藤」と登録

氏名以外にも、生年月日が誤って登録されていたケースもあります。

 

再婚している人

再婚して何度も姓が変わっている人も、年金記録の漏れが散見されます。婚姻や離婚前後の姓がうまく名寄せされないことが原因です。

長期間、厚生年金に加入している人はあまり問題ありませんが、結婚や離婚のたびに国民年金の第1号、第3号被保険者への加入を繰り返しているケースは要注意です。

 

年金記録が間違っている可能性

年金記録が漏れているケース以外にも、下記のように記録自体が間違っているケースもあります。

  • 加入期間や標準報酬額(保険料や年金額の計算基礎となる報酬)に誤りがある
  • 第3号被保険者期間に誤りがある

 

加入期間や標準報酬額に誤りがある

厚生年金の加入期間や標準報酬額に誤りがあるケースも散見されます。勤務先の会社が誤って報告するケースもありますが、旧社会保険庁の年金記録の管理が十分でなかったことが原因で発生した誤りも多数見つかりました。

また、昔は紙ベースの台帳で年金記録を管理していたため、年金記録をデータベース化する際に加入期間や標準報酬額などが誤って登録されたケースも数多くあります。ずさんな年金記録の管理が社会問題となり、旧社会保険庁解体の一因にもなりました。

 

第3号被保険者の加入期間に誤りがある

会社員の配偶者などが加入する国民年金第3号被保険者の記録についても、多くの誤りが発生しています。

第3号被保険者の手続きは、配偶者が会社に届け出て会社が日本年金機構へ書類提出しますが、会社への届け出や会社の対応が遅くなったため、年金加入が遅れたり未加入だったりするケースもあります。

第3号被保険者は保険料の支払いがなく手続きも自分でしないため、年金に対して関心が薄い人もいます。しかし、将来受け取る年金額が減ってしまうリスクがあるので、記録の確認だけでも自分でしましょう。

 

基礎年金番号が付番されていない可能性

平成9年1月以降、国民年金や厚生年金などに加入していない場合、基礎年金番号が付番されていない可能性もあります。基礎年金番号を付番してもらうには、年金事務所での手続きが必要です。

基礎年金番号通知書を持っている人や年金定期便が送付されている人は、すでに基礎年金番号が付番されているので上記手続きは不要です。

 

基礎年金番号が複数ある可能性

基礎年金番号の最初の2桁が「99」の人は、基礎年金番号が複数ある可能性が高いです。

年金加入時に基礎年金番号が確認できなかったときには「仮基礎年金番号」が発行されていました。「99」で始まる基礎年金番号は、あくまで仮の番号なので、年金事務所で正式な基礎年金番号を付番してもらいましょう。

また、「99」で始まる基礎年金番号を持つ人に対しては、日本年金機構から確認の案内が送付されていますので必ず対応しましょう。

 

年金記録の確認方法と訂正方法

年金記録の確認方法と訂正方法

公的年金は老後の生活を支える重要な資金です。年金記録に誤りがあると年金額が少なくなるので、早い時期に年金記録を確認し、誤りがある場合は記録の訂正手続きを取りましょう。

 

 

年金記録の確認方法

年金記録は下記により確認できます。

  • 年金定期便:毎年ハガキで送付され「年金加入期間」が記載。35歳、45歳、59歳に封書で送付される定期便には加入記録が詳細に記載されている。
  • ねんきんネット:インターネットで「年金加入状況」を確認できる。将来受け取る年金額のシミュレーションも可能。
  • 年金事務所:「年金加入状況」の確認のほか、年金相談も可能。

 

年金記録確認のチェックポイント

年金記録確認のチェックポイントは下記のとおりです。

 

未加入期間の確認

複数の年金に加入していた場合、前の年金の資格喪失日と次の年金の資格取得日が同日か確認しましょう。同日でない場合、その間の期間が未加入期間です。

 

未加入期間の加入状況の確認

年金記録上は未加入である期間についても、会社に勤めていたり国民年金保険料を払っていたりしたことがないか確認しましょう。自分の記憶以外にも、古い年金手帳、未加入期間の給与明細、源泉徴収票、保険料の振込用紙などで記録が判明するケースもあります。

 

年金記録の訂正は年金事務所で

年金記録の訂正が必要な場合、または可能性がある場合は年金事務所で確認・訂正します。

本人確認書類以外に必要書類はありませんが、前述の古い年金手帳や当時の給与明細など記録の確認に役立ちそうな資料は持参しましょう。また、勤務先の会社名や加入時期など、覚えていることはメモしていくことをおすすめします。

年金記録を証明する書類がなくても、勤務先の会社名や住所、加入期間が確認できれば、自分の年金記録として認められるケースもあります。よくわからない場合も含めて、まずは年金事務所で相談することをおすすめします。

 

オレンジの年金手帳に関するまとめ

年金手帳の表紙の色は交付年月などによって異なります。昭和49年11月からオレンジの年金手帳、平成9年1月から青色の年金手帳が交付されました。

オレンジの年金手帳が交付されたときは国民年金番号や厚生年金番号が使われていて、基礎年金番号導入時にうまく統合されなかった年金記録があったため、年金記録に漏れが発生しました。

老後生活を支える年金を確実に受け取るために、早めに年金記録を確認し、誤りがあれば年金事務所で訂正しましょう。

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